Bud Powell (バド・パウエル) の BlueNote(BLP5003)1951年リリース。1949年8月9日と1951年5月1日録音の2回に分けて録音され1955年には収録曲を変更して12インチLP盤(BLP1503)がリリースされています。今回のアルバムは後発の(BLP1503)をCD化したバージョンです。Un Poco Loco のTakeが3パターン続けて収録されていて It Could Happen To You は(BLP5003)とは異なるTakeが収録、A Night In Tunisia については、異なるTakeと合わせて2曲、Dance Of The Infidels、52nd St. Theme、Wail、Parisian Thoroughfare は(BLP5003)には無い追加曲、(BLP5003)にあったYou Go To My Head は消えています。そして曲順も全く異なるものとなっているので(BLP5003)は持っていませんが、かなり印象の異なるアルバムになっていると想像されます。そしてこのアルバムのタイトルに Vol. 1 がついている通り Vol.2 を1953年の session録音で発表しているので、おそらく最初の録音後に続くアルバムを録音する企画が持ち上がり、Vol. 1, 2 のタイトルにして楽曲や構成を組みなおしての録音となったものと推測されます。
ピアノ・スタイルは右手の高速なシングルトーンと、左手はコードプレーで頻繁なコードチェンジに徹する形です。パウエルの最盛期は1940年代後半から50年代初頭にかけてと言われておりこれはその時期の作品で、他をあまり聞いていないのでわかりませんがこのアルバムでは終始「唸りっぱなし」でこの人も「唸るピアニスト」であったようです。音楽にのってくると唸る人は多いですがこの人は常に唸りっぱなしなのが特徴的ですね。50年代中期以降は麻薬やアルコールなどの中毒に苦しみ、精神障害となっています。
また特徴的なのは、Un Poco Loco が冒頭から続けて3Take入っていることでしょうか。一聴して難易度の高い曲ですので、納得がいくまでに時間がかかったようです。1Take目はピアノソロも少し迷走していて途中で曲は突然終わります。2Take目はカウベルの入れるタイミングを変えていますが、音質が少し耳障りです。ピアノソロも未だ手探りしているようなところも見られ、ドラムソロに入るタイミングもブレイクなのかなんなのかよくわからない感じ。そして3Take目になるとカウベルの音量が下がり録音のバランスも良くなり流れるように曲の完成度も高くなっています。このような完成に至るまでの録音を続けて収録ってのもかなり珍しい。似たように未完成でも入れてしまった曲はこのアルバムにもう1曲あります。最後の Parisian Thoroughfare は、ベースソロか?と思ったところで話し声がして録音がぶった切れています。演奏を中断してしまったのか?それとも・・演奏は素晴らしいことはもちろん、こういったところも興味深い録音です。
piano : Bud Powell
bass : Curly Russell (1 to 3, 6 to 8, 12), Tommy Potter (4, 5, 9 to 11)
drums : Max Roach (1 to 3, 6 to 8, 12), Roy Haynes (4, 5, 9 to 11)
tenor sax : Sonny Rollins (4, 5, 9, 11)
trumpet : Fats Navarro (4, 5, 9, 11)
producer : Alfred Lion
recorded on August 9, 1949 (tracks 4, 5, 9 to 11) and on May 1, 1951 (tracks 1 to 3, 6, 7, 8, 12).
1. Un Poco Loco (1st Take)
2. Un Poco Loco (2nd Take)
3. Un Poco Loco
4. Dance Of The Infidels
5. 52nd St. Theme
6. It Could Happen To You (Alternate Master)
7. A Night In Tunisia
8. A Night In Tunisia (Alternate Master)
9. Wail
10. Ornithology
11. Bouncing With Bud
12. Parisian Thoroughfare