2021年12月27日月曜日

Pat Metheny & Lyle Mays / As Falls Wichita So Falls Wichita Falls

 

 1980年の Pat Metheny (パット・メセニー) と Lyle Mays (ライル・メイズ) の共作。パーカッションの Nana Vasconcelos (ナナ・バスコンセロス) はゲストとして参加しています。したがってジャケット裏面の写真には、メセニーとメイズのみが写っています。


 なんとも不思議なこのアルバムの名前ですが、「Wichita Falls」はアメリカのテキサスの町の名前で、メセニーとライルが出会ったのは1974年の「Wichita」での大学対抗ジャズ祭だったそうです。アルバムのコンセプトは人類の争いの悲しみからやがて解放へ向かう様、大虐殺から世界が再建していくというストーリーがあるので、これがこの町の歴史なのか?と思ったのですが、この町の歴史にはそのようなことはないようでストーリーは架空のものであるようです。


 タイトル曲の As falls Wichita はそのコンセプトから大変ですが20分の大作でもあります。最初は暗いキーボードで始まり爆撃音、そして沈黙、黙々と再建に励む人々、そして子供たちの声による未来への希望へと発展する細かなテーマが組み合わさってできています。そして、LPではここで1枚目が終了し、2枚目の Ozark の飛び跳ねるような開放感のあるピアノとギターのデュオとなります。メセニーによくある流れるような展開ですね。そして Bill Evans の追悼曲である September Fifteenth を経て,美しい It's for You に到達します。締めは開放感のある Estupenda Graça になり、鳥のさえずりと人の吐息も入り生命の尊さのようなものが表現されているのかと思います。
 今まではあまり考えて音楽を聴いたりすることもなく、しっかりとしたビートを刻む音楽ばかりを聴いてきたのですが、最近は行きつけの「おでんバー」でフリージャズ、ノイズなんかもかける人がいるため、秩序のある音楽から、心地よい音を聴いたり、そこから想像しながら音楽を聴くことをしています。そういった意味ではパット・メセニーの世界観は今まで全く理解できなかったのが興味深く聴けるようになってきています。人の心と耳の変化は面白い。

electric guitar, acoustic guitar (six & welve string), bass : Pat Metheny
piano, synthesizer, organ, autoharp : Lyle Mays
berimbau, percussion, drums, vocals : Nana Vasconcelos

producer : Manfred Eicher

recorded September 1980 at Talent Studio, Oslo

1. As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls
2. Ozark
3. September Fifteenth (Dedicated To Bill Evans)
4. "It's For You"
5. Estupenda Graça





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