2021年12月20日月曜日

Curtis Fuller / Crankin'

 

 Curtis Fuller (カーティス・フラー) は1961年のArt Blakey And The Jazz Messengersへの参加で三菅黄金期を形成した一人であり、ライオネル・ハンプトン楽団、カウントベイシーオーケストラなどのスター・プレイヤーでありJJジョンソンの直系ともいえるバカテクのトロンボーン奏者です。
 本作は、ハード・バップ、フュージョンやファンク系が混在し、クロス・オーバー関連のリズム隊が集結するワクワクするメンバーの録音で、迫力と気迫に満ちたアルバムで、これはまた面白い。発売はジャズ・ファンク系のレア・グルーブで人気の Mainstream Records で、以前に絶賛のレビューをした Alice Clark もこのレーベルで録音されたものが株式会社ウルトラ・ヴァイブによって発売されていたもので、これも同様のシリーズです。


 タイトル曲の Crankin' で高速バップから始まり、フラーのトロンボーンもトランペット並みの速さでのブロー。ここではギターの Bill Washer のクリーントーンに盛り上がりでクランチなギターに切り替えてサイケな曲調に変わり時代を感じます。そして Maze では、3菅のテーマで始まり、Bill Washer のグシャグシャなバッキングがアクセントとなり、短い Ray Moros のテナーソロにインパクトあり。Black Bath は3管のテーマでモーダルなジャズでスイング。Ballade はエレピが美しいバラードだが、菅のアンサンブルが少し不安定なところが惜しいかな。The Spirit では、Stanley Clarke のエレクトリック・ベースがファンクする気持ちの良い曲でブラス部隊も気持ちよさそうにソロに興じているようで、従来のジャズ・ファンにどうだ?と言っているようで、締めがこの曲であることで何か不思議な力を感じます。
 ディスコ・グラフィを見ていたらこの後に Smokin' というアルバムも同レーベルで録音しているので、これも聴いてみたいものです。それにしても、Crankin'、Smokin' というアルバムのネーミングはマイルスの影響なのでしょうか。それでは3枚目は?と言えば発売されていないようです。ライナーノーツによると Mainstream Records の契約は通常3枚なので、一枚はお蔵入りになったか売り上げが悪かったので2枚で打ち切りになったかとのことですから、3枚目の発売を考えてのネーミングとすればお蔵入りの録音が眠っていてもおかしくは無さそうなもんですね。

trombone : Curtis Fuller
tenor sax : Ray Moros
trumpet : Bill Hardman
electric guitar : Bill Washer
electric piano : George Cables
bass, electric bass : Stanley Clarke
drums, percussion : Lenny White

producer : Bob Shad

1. Crankin'
2. Maze
3. Black Bath
4. Ballade
5. The Spirit





muu music webzine

  

0 件のコメント:

コメントを投稿