2022年12月18日日曜日

Joe Pass Trio / Sentimental Moods


 普通のトリオ録音だと思っていましたが、よく見ると With Tommy Gumina Sound Project トリオにもう一人ゲストか?と思いましたが、polycorus という楽器奏者の Tommy Gumina がもう一人の主役のようです。さて polycorus という楽器ですが、音を聴いていると、オルガンのようなシンセのようなエレクトーンっぽい感じの音色です。
 ライナーノーツを読んでいると、この楽器は、シンセサイザー・アコーディオンだそうでどんな形状なのか、ググってみましたも出てくるのは、ギター・エフェクターのこればかりで、corusではなくてchorus です。



しかしRolandで見つけましたシンセ・アコーディオン

FR-1xbFR-4x

 鍵盤はボタン式と鍵盤の2種類ああるようですが、形状はまったくアコーディオンですが、アルバムで聴く限り音はエレクトーン。私が持っているのとジャケ違いで見つけたものでは、Tommy Gumina が持っているのは鍵盤タイプのようです。



 さてこのアルバム、ジョー・パスのギターは Tommy Gumina の音につられてか若干リバーブがきつめで、曲よっては、きつめのオーバー・ドライブで歪ませているのに驚きました。1曲目 My Shining Hour は1943年の映画 The Sky's the Limit のために書かれた楽曲でミュージカル・コメディーの映画だったようで軽快でダンサブルなナンバーです。続く My Ship は1941年のミュージカル Lady in the Dark のナンバーで、しっとりとしたバラードにジョー・パスがメインでソロが展開されています。Once In A While はスタンダードで1938年にルイ・アームストロング、1952年にパティ・ペイジがヒットした曲をミドル・テンポでスイングさせている。Cavaquino はブラジルの演奏家エルネス・トナザレー(Ernesto Júlio Nazareth)の作曲でショーロというブラジル音楽の楽曲で途切れなく連続する音符の羅列をジョー・パスとトニー・グミナがユニゾンしながらアドリブという大変楽しい楽曲です。In The Wee Small Hours もしっとり系で1955年にシナトラがヒットさせたバラード。恋の歌とのことでジョー・パスもロマンティックなギターを展開している。Secret Love は1953年のドリス・デイ主演の Calamity Jane からの楽曲です。時代を感じるスイングでオルガンのような polycorus の音色が印象的。I'm Getting Sentimental Over You は1936年にトミー・ドーシー楽団で原曲はバラードとのことだが、ここでは軽快なスイングで、ジョー・パスが張り切ってます。When You Wish Upon A Star は、ご存じのディズニーアニメのバラード。いつ聴いても素晴らしいメロディーですね。polycorus の幻想的な伴奏に ジョー・パス の透明感あるギターでまさに星空を思い浮かべる美しい仕上がり。難しいことは一切抜きですがこれは良いですね。About Time はトニー・グミナのオリジナルでシンプルな楽曲でトリオが楽しんで演奏しています。ここでジョー・パスが、オーバー・ドライブをギンギンにかけたブルース・フレーズ連発なのが思わずニヤリとしてしまいます。polycorus も遊んでいますね。Will You Give Me These はジョー・パスのオリジナルで独演の曲となります。これぞジョー・パスという感じでさすがです。Guess I'll Hang My Tears Out To Dry は1944年のミュージカル Glad To See You の楽曲で、Tommy Gumina の独演です。ドラムレスで静かに音が流れていく曲でバンド・ネオンの音色に、エレクトーンのようなベース・ラインで、なるほど これが polycorus の名手の演奏なのだなとわかりました。 
 全体的に、ミュージシャンの音楽性云々を考えるより音楽を聴くという楽しみがあるアルバムでした。

guitar : Joe Pass
polycorus : Tommy Gumina
drums : Jimmy Smith

producer : Joe Pass, Tommy Gumina

1. My Shining Hour
2. My Ship
3. Once In A While
4. Cavaquino
5. In The Wee Small Hours
6. Secret Love
7. I'm Getting Sentimental Over You
8. When You Wish Upon A Star
9. About Time
10. Will You Give Me These
11. Guess I'll Hang My Tears Out To Dry

Cavaquino

My Shining Hour

When You Wish Upon A Star

全世界の音楽を聴きつくすことはできない
muu music webzine

  


2022年12月17日土曜日

Herman Kelly & Life / Percussion Explosion


 帯は捨ててしまったんですが、限定プレスのCDとのうたい文句とかにひかれて買ったアルバムで、存在を忘れがちなマイアミのパーカッションの Herman Kelly(ハーマン・ケリー)率いる Herman Kelly & Life 。数年前に書いた本ブログで「唯一のアルバムらしい」と書いてありググってみても確かにリーダーアルバムはこれだけというか他のアーティストへの参加なども確認できなかったのでその活動はよくわかりません。ミュージシャンとしての情報量が圧倒的に少ない Herman Kelly です。写真もほぼ無くいろんなバージョンのアルバムジャケットぐらいです。

 
 
 サウンド的にはファンク・ソウルかと思いきやバリバリにラテンの曲もあります。基本的に踊れるパーティ系であることは間違いなく、この限定プレスの再発以前もDJ系の人にはサンプリングされて使われることも多い方のようです。確かドラムとパーカッションにファンク・ベースに乗せるが基本のこういった楽曲はDJのリミックスには適していそうです。
 サンプリングでよく使われるのは Dance To The Drummer's Beat で、きっちりと作ってあって爽やか系の売れ線のファンク。Time After Time は懐かしいレトロなメロディー・ライン、A Refreshing Loveは静かにピアノから始まったかと思ったらワールド系のラテン・ファンクでコーラスはアフリカンな感じも入れてきていて、曲の間のブレイクは完全にラテンの決めで思わずニッコリ、Who's The Funky DJ はラテンとかは排除したジェイムス・ブラウン系の繰り返しファンク・リフの楽曲(ギターもそれ系)Share Your Love ではサザンソウル系に変身します。Do The Handbone はグルーヴィーなモータウンも入ったファンクでホーン部隊がイイ感じ。そしておそらくサイケ路線を狙ったけど失敗したような変なギター・ソロもレトロでバカバカしくて素晴らしい。
 70年代ディスコティックなファンク好きの方ならきっと気に入るアルバムで、私は70年代ディスコに興味はありませんが耳には心地よく感じる世代。こんなマニアなアルバムよく買ったもんだと自分でも感心しております。

vocals & percussion instruments
vocals, drums, bells, temple block, cowbell, castanets, bass drum, gong, cymbal, effects, bongos, congas, wood Block : Herman Kelly

Recorded in Brazil and Miami.

1. Dance To The Drummer's Beat
2. Time After Time
3. A Refreshing Love
4. Who's The Funky DJ
5. Share Your Love
6. Do The Handbone






  

2022年12月16日金曜日

Norman Brown / Just Between Us


 George Benson、Wes Montgomery 系のギタリスト、Norman Brown(ノーマン・ブラウン)のデビュー作。ジャズよりの音色ですが、ロック・フュージョン系のこともできるので私のイメージ的にはフュージョンというよりは、スムース・ジャズ系のギタリストと表現した方がしっくりきます。アメリカ・カンザスシティー出身で、8歳の時から兄の持っていたギターを弾き始め高校卒業後、プロのギタリストとして活動スタート。22歳でハリウッドのギター専門学校の講師を務めながらこのアルバムを発売。レーベルはモータウンのコンテンポラリー・ジャズ部門のレーベル MoJazz の第1弾として発売されました。この手のギタリストも大好きで Ronny Jordan(ロニー・ジョーダン)、Zachary Brooks(ザカリーブルックス)なども聴いてます。


 ウェスとベンソンが好きです系なんですがと言われなくても聴けばわかる演奏ですが、このデビュー作改めて聞いてみると粒立ちの良い音とピッキングの正確さによって詰め込まれる無数の音はやっぱり引き込まれてしまいます。
 アルバムの作りとしてはオケやボーカル入れたりしたりしているのでフュージョン的なアレンジの曲が多いですが、意外と柔らかな音も出してます。そして4曲目 Love's Holiday なんかはEWFのホーンセクションがまるごと参加、そしてEWFのナンバーをカバー、ヴォーカルにステーヴィー・ワンダーが参加した6曲目 Too High などもコッテコテで格好良い。発売当時、弱冠22歳。レーベル的にも力を入れていただけに、他にも Al McKay、Nathan East、Boyz II Men、豪華メンバーで金かかってる音で出来も最高です。

guitar : Norman. Brown
keyboards : Jerry Peters, Brian Simpson, Herman Jackson, Wayne "Ziggy" Linsey 
piano : Bobby Lyle
synthesizer : Herman Jackson
rhythm guitar : Al McKay
bass : Verdine White, Nathan East, Richard Patterson, Sam Sims 
drums  : Land Richards,  Chuck Morris, Mike Baker 
percussion : Darryl Munyungo Jackson, Paulinho DaCosta

backing Vocals : Boyz II Men, Della Miles, Tony Warren, Perri
lead vocals, harmonica : Stevie Wonder

soprano sax : Ronnie Laws
tenor sax : Kirk Whalum,  Gerald Albright
sax, flute : Gary Bias , Jeffrey Clayton
trombone : Reginald Young
trumpet : Raymond Brown

1. Stormin'
2. Just Between Us
3. East Meets West
4. Love's Holiday
5. It's A Feelin'
6. Too High
7. Something Just For You
8. Here To Stay
9. Moonlight Tonight
10. Sweet Taste
11. Inside




  

2022年12月11日日曜日

Keith Jarrett, Gary Peacock & Jack DeJohnette / Standards, Vol. 1

 

 キース・ジャレットも最近聴き始めたピアニストで、難解というイメージが付きまとっていたせいか今まで敷居が高かった人です。オジサンの世代的には有名な人なので知ってはいましたし、行きつけの「おでんバー」でもマスターが好きなので比較的よくかかっていたので段々と耳馴れしてきてやっと自分で購入した一枚目がこのアルバムとなりました。
 初のリーダーアルバムの購入とはなりましたが、Keith Jarrett の参加している作品はマイルスぐらいでした。Miles Davis / Live EvilMiles Davis / Get Up With It


 イメージとしては長尺のソロを唸りながら演奏する印象だったので、このアルバムは正直正統な演奏だったのが意外でした。この作品はトリオでの演奏としてのデビュー作で、その出発点と言うことです。実際1981年までは、キースは全くと言っても良いほどスタンダードを弾かないピアニストで1982年のソロ・コンサートでアンコールにOver The Raibow, All The Things You Are などのスタンダードを演奏したのが反響を呼び翌1983年1月に、このアルバムのレコーディングに入ったとのこと。
 選曲はスタンダードながらも繊細なタッチでありながらドラマチックなピアノにドラムのジャックのリズムに乗せ、ベースのゲーリーも濃密に絡み合う。激しく高揚させてくれたり音は鳴っているのに静かな静寂ような気持にさせてくれたりとこれも買ってよかった。
 Meaning Of The Blues ではスタンダードではあるものの、お互いの音を確かめるような感じで、そっと演奏が始まります。All The Things You Are は、ジャズマンならお馴染みの名曲で、コンサートでもアンコールで演目には入っていたとのことで、やはり堂に入ったもの美しいテーマ部分は導入部でその後は激しく目まぐるしいソロに入ります。唸り声も絶好調でノリにのった力強い曲になっていますが、曲のラストでいきなり失速してくずしたテーマに戻るところがまた良い。It Never Entered My Mind は美しいバラードで1940年に初演のブロードウェイ・ミュージカル Higher And Higher の中の失恋ソングで原曲はミディアム・テンポだったのがフランク・シナトラが歌って以降バラードとして定着した曲だそうです。The Masquerade Is Over については、落ち着いた調和のとれたスタンダードらしい演奏で安心感がありますが気持ちよさそうに唸るキースが絶好調だなあ。God Bless The Child はエリックドルフィーで有名な曲で、元々の曲は非常に辛気臭いブルース調の曲なのですが、ダンサブルなソウルのような曲調にしていて、ドラムも8ビートですか?へえこんなこともするのかと15分の演奏も気にならない。新鮮でした。なるほど、これも名盤と呼ばれているのがわかります🎵

piano : Keith Jarrett
double bass : Gary Peacock
drums : Jack DeJohnette

producer : Manfred Eicher

recorded January 1983 at Power Station, New York City.

1. Meaning Of The Blues
2. All The Things You Are
3. It Never Entered My Mind
4. The Masquerade Is Over
5. God Bless The Child





  

2022年12月10日土曜日

Chet Baker / Sings


 私の友人もトランぺッターだけど歌が好き(なおかつ上手い)歌うトランぺッターと言えばガレスピが真っ先に思い当たり、ジャンルは違いますがスペクトラムの新田一郎氏もハイトーンなボーカルが素敵でした。トロンボーンやサックスではあまり思い当たらずトランぺッターに歌う人が多いように感じますね。なぜかと考えると私の友人を思いだします。彼は楽譜も読めますが「歌えなければ吹けるわけがない」を信条にメロディーやアドリブを口ずさみ、その音を吹きます。また彼のバンマスの練習の時には楽器を置いて、口ずさむことから練習は始まりました。ここら辺がトランぺッターとボーカルに何か関係性があるのかなとも思っています。トランペット吹けないんで私にはその理屈はわかりませんが。


 いつもの「おでんバー」に行くと珍しくほぼ満席でビックリ。基本オジサン多めなのでですが本日は女性客もちらほらといらっしゃいます。最初にマスターが「これは誰でしょう?」とかけたのは日野照正。ほぼ今まで聴いていないんですが、前回来た時に1枚聴いてあれカッコイイなと思っていたのでマスターのニヤニヤ顔と併せて直ぐに正解できました。その後もオジサンたちはあれやこれやと好きなものをかけていたのですが女性にも何か好きなものをかけなよ。と薦めると「これ」でした。甘いささやきボーカルは私ずっと聴いていると飽きるんですが、他の女子たちにも受けは良く女性はこれが良いようです。

 さてチェット・ベイカーの代表作として多くの人が真っ先にあげるのが本作。基本スタンダードを力を入れずに静かに歌っています。ジャズ・ボーカリストは基本メロディーをフェイクするのが常ですがチェットはメロディーをストレートにシンプルに歌い上げています。トランペットも派手に吹きまくることがなくアンニュイといった表現も似合います。
 こんなに地味なのに名作と呼ばれ、CDショップにはほぼ必ず置いてあるなんて音楽性とセールスで見てジャズ史の中でもこれは特殊なアルバムなのではないかと思っていましたが、先にも書いたように女性にはこれが好みの方も多いようなので私の偏見ですか。
 トランぺット・メインのジャズがも最近よく聞いているんですが熱めの演奏が好きで経年とともに加熱してファンク系に晩年移行したりする人がどちらかと言えば好みです。ほぼチェット・ベイカーもこれしか聞いていないため晩年のアルバムも少し聞いてみたい気はしています。 1960年代はマイルスも凌ぐ人気があり、1960年ドラッグにはまって人生転落しガレスピによって1973年に復活。1988年にはオランダのホテルから転落死とこの人も壮絶人生。

※最近気になっている Celesta(チェレスタ) という楽器がこのアルバムでも使われています。基本ピアノなんですが音域は、ピアノの中央ハから上へ4オクターブが従来の標準で高音を担当する楽器とのこと。

vocals, trumpet : Chet Baker
piano : Russ Freeman
celesta : Russ Freeman (1 to 6)
bass : Carson Smith (1, 7-12) , James Bond (2-6)
drums : Bob Neel (1, 7-12) , Lawrence Marable (3, 4), Peter Littman (2-5)

1. That Old Feeling
2. It's Always You
3. Like Someone In Love
4. My Ideal
5. I've Never Been In Love Before
6. My Buddy
7. But Not For Me
8. Time After Time
9. I Get Along Without You Very Well
10. My Funny Valentine
11. There Will Never Be Another You
12. The Thrill Is Gone
13. I Fall In Love Too Easily
14. Look For The Silver Lining




  

2022年12月9日金曜日

Tommy Flanagan / Eclypso

 

 エレピを購入して練習を始めたからかピアニストに着目した音源の購入が多くなってきているような気がします。昔はギタリストにしか興味が無かったんですが人は変わるもんです。さて今回は Tommy Flanagan を購入です。リーダー作品としては OverseasConfirmationLet's を所有しており、参加作品は、Thad Jones / Motor City SceneThe Incredible Jazz Guitar Of Wes MontgomeryKenny Burrell& John ColtraneKenny Burrell / Jazzmen DetroitCurtis Fuller / South American Cookin'John Coltrane / Giant StepsKenny Burrell With Coleman Hawkins / Bluesy Burrell などがあり、私ん所有する盤ではデトロイトつながりの作品が多いようです。


 初のリーダーアルバム Overseas よりも本作ではサラッとスインギーなタッチでリラックスした演奏でわかりやすい、帯の諸評としては「1970年代を代表するピアノ・トリオ名盤にしてトミー・フラナガン自身の代表作」「!ジョージ・ムラーツ~エルヴィン・ジョーンズとのトリオはどこまでもエレガントでスウィンギー!これぞ究極のモダン・ピアノ・トリオ・サウンド!」とあります。未だ聴いていない人に売るための文句ですから当然大袈裟なんですが、このアルバムは確かに!と思わせてくれます。Overseas からの変化としてはベースが Wilbur Little から George Mraz に交代となっています。、
 軽快な Oleo から始まりますが、このアルバムでは「キーをCに上げている」との情報があったので調べてみたら原曲のキーはB♭でした。なるほど半音上げで少し雰囲気が変わるんですね。フラナガンのピアノは気持ち良い。Denzil's best はピアノはややリラックスでベースは滑らか、三人の抜群のコンビネーションですね。A Blue Time はミディアム・スローでブルージー。Relaxin' At Camerillo は、カマリロ州立病院に入院したチャーリー・パーカー が47年に Dial セッションで録音した曲でテーマは短めで軽やかなピアノソロに直ぐに移行してからのベースソロ、ドラムソロがスムーズでカッコ良い。Cup Bearers は Tom McIntosh の作曲で63年にガレスピ録音した曲で、ピアノとベースがシンクロしている様が気持ち良い。Eclypso は実は Overseas でも収録されているが、本アルバムではタイトルになった曲で長尺になり重厚感のある曲となっている。Confirmation はこれもチャーリーパーカーの代表作のひとつ。1946年で録音したが、その3ヵ月後、麻薬常用と過度の飲酒のため6ヵ月間にわたってカマリロ病院で療養し、3曲目の Relaxin' At Camerillo が作成されたという関係性のようです。
 これも当たりの良いアルバムですねえ。

piano : Tommy Flanagan 
bass : George Mraz
drums : Elvin Jones

producer : Horst Weber, Matthias Winckelmann

Sound Ideas Studios, NYC, February 4, 1977

1. Oleo 
2. Denzil's Best 
3. A Blue Time 
4. Relaxin' At Camerillo 
5. Cup Bearers 
6. Eclypso 
7. Confirmation

▶ Oleo


▶ Eclypso


  

2022年12月4日日曜日

The Miles Davis Sextet / Jazz At The Plaza VOL1


 おそらく私がマイルスの音源を入手した最初の盤がこれです。大学時代にジャズ研に属していたのでそれなりにマイルスの話題は出るのですが全く聴いたことも無いけれどマイルスを聴いたことが無いと言うのも気恥ずかしかったため、話題が出れば静かにしていたので何か聞いてみようかと購入したのが確かこれです。ギターを担当していた私はギターレスの音源を入手することは皆無であったので、このようなモロジャズには、ほぼ接していなかったこともあり衝撃的でした。なにしろギターレスなので、ここに直ぐにコピーしようと思うようなフレーズが無かったんですから。今当時の私の音源選びの基準はそこらへんだったんですから今のようなジャズ好きになるとは思ってもいませんでした。


 さて Kind of Blue カインド・オブ・ブルーのメンバーで録音された1958年のニューヨーク、プラザホテルでCBSの主催するパーティのライブ録音です。リリースされたのが1973年というから15年間眠っていた録音で、第1集はこのセクステット。第2集はデュークエリントン楽団です。録音されたのは9月9日で、ビリー・ホリデイも出演していた贅沢なライブでこの強力なメンバーでの演奏は凄まじく何度聞いても素晴らしい。このメンバーでは最高の出来ではないでしょうか。
 1曲目タイトルは、Jazz At The Plaza ですが中身は Straight, No Chaser でキャノンボールのテナー → アルト でサックスのソロ展開は強力で見事。My Funny Valentine ではマイルスのミュートでのバラードプレイが徐々に迫ってくるかのような迫力あるプレイ。If I Were a Bell はマイルスの当時の主要レパートリーの一つでミュージカル「野郎共と女たち」の1曲でもあります。長尺のマイルスのソロで盛り上がり、コルトレーンのソロで盛り上がり過ぎたのかマイクにぶつかる音もあり、マイルスは「Oleo」のイントロが詰まってしまったりしています。録音状態の悪さやこういったハプニングでお蔵入りになっていたのでしょうか? そんなに聞き込んだ覚えはないのですが、このアルバムは覚えてしまうほど聞いています。何かわくわくしてしまう演奏ですね

trumpet : Miles Davis
piano : Bill Evans
bass : Paul Chambers
drums : Jimmy Cobb
tenor sax : John Coltrane
alto sax : Julian "Cannonball" Adderley

1. Jazz At The Plaza (Straight, No Chaser)
2. My Funny Valentine
3. If I Were a Bell
4. Oleo



▶ Oleo


  

2022年12月3日土曜日

向井滋春 / Mukai On The Wing Live Recording

 


 学生時代にトロンボーン・フュージョンバリバリの向井滋春のコピーバンドを組んでいたことは何度か、このブログで書いていると思いますがバンドを組んでいたことがトロンボーンという楽器の出す音、音使いの魅力を、この時に刷り込まれたんだなあと改めてこのアルバムを聴いて思います。
 トロンボーンを吹いたことは無いですが、指使いではない楽器の特性を思うとキレの良いトロンボーンは聴いていて感嘆するものがあります。
 このアルバムは、行きつけのおでんバーで私以外に誰も来なかったときにマスターと向井滋春を聴いていて、やはり良いなあとお借りした一枚であります。


 このアルバムは1991年1月24日25日に行われた江古田の Buddy でのライブの収録です。録音状態が良く音像も奥行きがあるのだがライナーノーツによると、この会場は広くは無かったらしい。リーダー作としては久しぶり録音のようですが気負いのある録音というよりは、ブラジル音楽をベースにした息の合った演奏は聴いていて安心感があります。アルバム全体としては曲調とは裏腹にノッペリしてしまっている印象がありますが、それほど広くない会場でのライブだったことから間近で見る演奏に向井さんやメンバーの妙技を見れて観客は十分楽しめるめるものだったものと想像されます。
 オープニングは、トロンボーンの巨匠JJジョンソンの Lament 向井さんのテーマ・ソロとリーダー・メインで聴かせてくれます。トロンボーンでこの細かな音階の表現はさすがです。 Berlin は向井さんのオリジナルで1980年ベルリンジャズフェスに出演した際にベルリンの壁崩壊の喜びを込めて描いた曲。 Tamagawa Blues ( タマガワ・ブルース ) も向井さんのオリジナルなのはネーミングからわかります。 Forever も向井さんのオリジナルで本気の美しいバラード。Vera Cruz はブラジルの黒人音楽家ミルトン・ナシメントの作品でいかにも向井さんの好みのブラジルテイストのジャズです。 Dindi は、アントニオ・カルロス・ジョビンの作品で美しいイントロとうっとりとさせるトロンボーンのロングトーンがマッチしています。そして誰もが知るジャズ・スタンダード All The Things You Are はブラス部隊がイキイキと軽々とした演奏でここら辺の曲になるとまさに円熟味が感じられます。Purple Field はブラジルテイストの向井オリジナルですがオリエンタルな音使いも魅力的。. Wedding はアフリカの黒人ピアニスト、ダラー・ブランドの作品。アフリカよりもポップなメロディー・ラインが印象的。ラストは、日本人大好き Recado Bossa Nova です。定番ですよね。このグルングルンと開店するように軽やかな展開は大好きなパターンです。
 今回も和ジャズの良さを感じるアルバムでした。演奏的にはえっこれが日本人?というレベルの高さですけど計算されたような外しのない構成は和ジャズならではの楽しみですね。こうゆうのはオジサンになってくると演歌の良さがわかってくるみたいなものと共通する間隔なんでしょうか。

trombone : 向井滋春 Shigeharu Mukai
bass : 古野光昭 Mitsuaki Furuno
drums : 村上寛 Hiroshi Murakami
piano : 福田重男 Shigeo Fukuda
tenor sax : 山口真文 Mabumi Yamaguchi

producer : Genroh Hara

recorded January 24 & 25 1991 @ Buddy, Ekoda Tokyo.

1. Lament
2. Berlin
3. Tamagawa Blues ( タマガワ・ブルース )
4. Forever
5. Vera Cruz
6. Dindi
7. All The Things You Are
8. Purple Field
9. Wedding
10.Recado Bossa Nova





  

2022年12月2日金曜日

Bill Withers / Live At Carnegie Hall


 1970年代に活躍した男性ニューソウル系と言えば、Donny Hathaway (1945 - 1979) Bill Withers(1938 - 2020)Curtis Lee Mayfield(1942 - 1999)Marvin Gaye (1939 - 1984) などを挙げる人が多いと思いますが、私の音楽系リスナー仲間では Bill Withers は馴染みが薄い人のようで、行きつけの音楽好きが良く集まる「おでんバー」ではビル・ウィザーズをかけても懐かしんでくれる人はあまりいません。私よりも10歳年上のマスターなんかは確実に世代だと思うのですが、Use Me をかけても無反応で、ソウル・ファン以外の日本ではマイナーな存在かもしれません。でも私にとってはカーティス、マービンゲイ は別格として、Donny Hathaway、Bill Withers は双璧をなすヒーローです。


 このアルバムは1972年10月にアメリカのカーネギーホールでのライブ。ソロ2作をリリース後の唯一のライヴ盤です。ビル・ウィザーズにとって、初めての全国ツアーのせいか満員のファンを前にスタート直後は、恥ずかしがったような話し方だったのが、徐々にこなれ最後は新曲「Harlem」では大合唱での大団円となります。USアルバム・チャート第63位、US R&Bアルバム・チャート第6位の売り上げとなったヒット作です。
 Donny Hathaway、Bill Withers に共通するのは、ソウルとともに感じるフォーキーな味わい。私が特に好きなのは1曲目の様々なアーチストにカバーされている Use Me で単純なコードと歌なのにシャウトもしてないのに何故こんなに熱いのか名曲です。Ain't No Sunshine は、何故こんなに寂しいメロディーなのか? Lean On Me は何故こんなに心を揺さぶるのか?シンガーとしても素晴らしいが一挙にソングライターとしても素晴らしい人でこれも文句なしに素晴らしいライブ!

vocals guitar piano: Bill Withers
guitar : Benorce Blackmon
bass : Melvin Dunlap
piano, string & horn : Ray Jackson
drums : James Gadson
percussion : Bobbye Hall

1. Use Me
2. Friend of Mine
3. Ain't No Sunshine
4. Grandmas's Hands
5. World Keeps Going Around
6. Let Me in Your Life
7. Better Off Dead
8. For My Friend
9. I Can't Write Left Handed
10. Lean On Me
11. Lonely Town Lonely Street
12. Hope She'll Be Happier
13. Let Us Love
14. Harlem/Cold Baloney

▶ Use Me