2024年6月28日金曜日

incognito / Live In London The 30th Anniversary Concert


 2010年発売のこのアルバムは、30周年記念ライブ。つまり現在で既に結成40年は迎えてしまったということ。これ以降のアルバムは購入していないので、また少しづつ仕入れときたいです。それにしても月日の経つのは早いもの、インコグの結成は1981年、ブレイクしたのは1990年でした。私どちらかと言えば泥臭いブルースや、胡散臭いファンク、それにハード・バップ系ジャズが好みですが、一方で完成されたヒット確率90%以上みたいなインコグの音も結構好みです。このバンドメンバーはドンドン入れ替わりますがカリスマのブルーイのもと、まだまだ健在です。というかブルーイの私物のようなバンドなんで彼が現役の限り続く。


 UK 発、アシッド・ジャズの火付け役のこのバンド、30周年の貫禄のライブ。中身は当然、ソウルフル、ダンサブル、キャッチー。2枚組合計23曲の盛り沢山な内容です。正直知らない曲も未だあるもんだなと思いました。1枚目のレビューです。オープニングは、やはりインコグのテーマ曲のような Talkin' Loud 耳慣れた曲。ホーンズも充実の演奏で切れ良いのは当たり前ですが、サックス、トロンボーン、トランペットの三人だけでこの厚み。アルバム Positivity、Maxi Single Pieces Of A Dream 等でスタジオ版が聞けます。Step Aside 聴いたことがあると思ってたけどスタジオ版は持っていませんでした。When The Sun Comes Down 2008年 Tales from the Beach の曲で、これも持っていません。耳覚えはあるんですけど。Jacob's Ladder アルバム 100°and rising のラストの曲。ベースがメインのスパニッシュな一曲です、超絶技巧な感じですね。Centre Of The Sun ゆったりとした夜景に流れるような感じの楽曲で1999年 No Time Like The Future の楽曲です。もっと早いテンポでのこの曲を聴いたことがあると思ったんですけど見つけられませんでした。Get Into My Grouve これも1999年 No Time Like The Future の楽曲ですね。このアルバム買わなくっちゃ。Labour Of Love 少しテンポ落としてソウルフル。どのアルバムに収録されているのかよくわかりません。Ain't No Mountain は、Marvin Gaye と Tammi Terrell のヒット曲のカバーです。ストリングスが入ってマイルドですが、本家よりソウルフルで激しいですね。Always There 2作目1991年 Inside Life の楽曲で激しいパッションが溢れる曲ですね。今の incognito とは違う魅力があります・初期も聞いておくべきですね。Colibri 1992年 Tribes, Vibes + Scribes に収録でこれも聴いたことがあると思うのですが、所有の音源では見つかりませんでした。 N.O.T. 2008年 Tales From The Beach に収録。これも聴いたことがあるのに所有音源からは見つかりません。どうやら、このアルバムを過去に聴いた記憶が頭の中でゴチャゴチャになっているようです。This Thing Calles Love は1枚目のラストでピアノのソロが美しいバラードのイントロ。そしてボーカルとピアノでのデュオが、ヒートアップした気分を鎮めてくれる演出。
 そして大好きな Still a Friend of Mine から始まる2枚目のレビューとしたいですが今回は疲れたのでやめときます。
 ボーカルを数えると六人も入れ替わりで、これもインコグらしい層の厚さでした。リミックス・バージョンやジャケ写違いで、重複して何度も同じ内容の盤にお金を貢いでいるインコグですがやっぱり好きです。

leader, vocals, guitar : Jean Paul "Bluey" Maunick
vocals : Imaani, Jocelyn Brown, Joy Rose, Maysa, Tony Momrelle, Vanessa Haynes
keyboards : Graham Harvey, Matt Cooper
guitar : Richard Bull
backing vocals : Charlise, Dira, Gail Evans
bass : Francis Hylton, Randy Hope-Taylor
drums : Francesco Mendolia, Pete Biggin
percussion : Karl Van Den Bossche, Thomas Dyani
sax : Finn Peters
trombone : Trevor Mires
trumpet : Sid Gauld
violin : Alison Dods, Catherine Browning, Everton Nelson, Lucy Wilkins
violin, guest : Alice Hall, Davina Clarke
viola : Becca Ware, Vince Greene
cello : Chris Worsey, Ian Burdge

producer : Bernhard Rössle

recorded 22 August 2009 at indigO2 at the O2

【Disc 1】
1. Talkin' Loud
2. Step Aside
3. When The Sun Comes Down
4. Jacob's Ladder
5. Centre Of The Sun
6. Get Into My Grouve
7. Labour Of Love
8. Ain't No Mountain
9. Always There
10.Colibri
11. N.O.T.
12. This Thing Calles Love

【Disc 2】
1. Still A Friend Of Mine
2. Can't Get You Out Of My Head
3. Deep Waters
4. Wild And Beauty
5. Morning Sun
6. Expresso Madureira
7. Don't You Warry 'Bout A Thing
8. Reach Out
9. Everyday
10. I Hear Your Name
11. Night Over Egypt





  

2024年6月23日日曜日

松岡直也 / MAJESTIC

 

  松岡直也に、とびっきりハマったわけではありませんが、私がロックから脱出してジャズ、フュージョン、ラテン 等をかじり始めた頃にい活躍されていた頃に活躍されていたので、このサウンドを聴くと心が躍ります。歳をとった方には、青い三角定規の「太陽がくれた季節」私と同年代の方には中森明菜の「ミ・アモーレ」などの作者、日本テレビで放送された「ハート・カクテル」の音楽担当をされていた、日本のラテン音楽シーンを牽引してきたかたです。アルバムを持ってはいませんが、松岡直也 & Wesing(ウィシング)の演奏はカッコ良くFMラジオからカセットに録音して聴いていた記憶があります。デジタルな楽曲も多かった松岡直也ですが、Wesing は安心アナログなラテン・フュージョンでデジタルな方にクールさを感じる人は多いようですが、私はアナログ派です。
 そんな懐かしさもあって中古屋で見つけた時に直ぐに購入の決断をしたわけですが、このアルバムは1988年作で、エレクトロ・ビートが特徴的なアルバムでした。メンバーも、高橋ゲタ夫、ウィリー長崎、和田アキラ、 カルロス菅野などの日本のジャズ、ラテン、フュージョン業界の重鎮がズラリと並んでいます。



 私は非常に懐かしく思って聞きましたが、いつもの音楽好きの集う「おでんバー」では、ほぼ皆さん無反応であったのが若干残念でしたが気を取り直して再度聴きながらレビューです。Majestic プログラミングされた打ち込みが前面に打ち出されています。最近YMOなんかも長々と聴き直したこともあり、その影響も感じられるサウンドは懐かしいとしか言いようがない。プログラミングは深沢純氏で、この無機的な音作りも今やレトロではあるが当時はクールと言う人は多かった気がします。生のストリングスも入れて豪華。In The Nude プログラミングのリズムトラックが更に無機的に感じます。和田アキラのギターは P. Project。 Cry For The Moon 当時NHKで放送されていた「ベスト・サウンドⅣ」で講師の松岡直也先生とともに演奏講座をする課題曲にもなっていたとのこと。ラテン・フュージョンですがリズム・トラックは生演奏なので違和感はあまりありません。Te Quero Mucho 明るいノリのラテン・フュージョン。和田アキラのギターがとてもよく泣いていて好きですね。この曲。
Primavera-Ba-Tu-Ca-Da 完全にリズムトラックは打ち込みで、スネアのアタックが強いのが印象に残るボーカル入りの曲です。スペイン語で歌われていますがメロディーは歌謡曲っぽいのが時代を感じます。昔は流行ったニューウェイブと言われるジャンルの曲作りにも感じます。primavera と言う単語を耳にすることが前にもあったような気がするので、意味を調べて見ると、木材の名前でプリマベーラ、ルネサンスの画家Sandro Botticelliの代表作でで春という意味。おそらく後者の意で曲名にしたと思うのですが春っぽい曲ではありません。Ba-Tu-Ca-Daは全く不明。Gossamer ラテン・フュージョンで、ここら辺の軽いノリは松岡直也のイメージ通りの曲です。パーカッションが気持ちよく、和田アキラのギターがまたそれっぽい。生ピアノも気持ち良い。Solitaire は、歌詞をはめたら歌謡曲で通用するイメージで、これもある意味松岡直也っぽいし、日本人の感性によく合うメロディーつくりの曲ですね。
 知っている曲はありませんでしたが、懐かしさは楽しめること、松岡直也の作るメロディーは歌謡曲などを通じて日本人に浸透していたんだなと実感させらました🎵

synthesizer : Naoya Matsuoka (1 to 7)
piano : Naoya Matsuoka (1 to 4, 6, 7)
synthesizer, programmed by PPG Wave Term Programming : Jun Fukasawa (1 to 7)
electric bass (5 strings) : Getao Takahashi (3, 4, 6)
guitar (P. Project Guitar) : Akira Wada (2 to 4, 6, 7)
drums : Mansaku Kimura (3, 4, 6)
congas, guiro : Carlos Kanno (3, 4, 6)
timbales : Willie Nagasaki (3, 4, 6)
vocals : Brazuka (5), Leeza (5)
vocals, Surdo, Repinique, Ganzá, Agogô, Pandeiro, Cuica, Tamborim, Apito, Francis Silva (5)
strings : Joe Kato Group (1)

producer : Naoya Matsuoka

1. Majestic
2. In The Nude
3. Cry For The Moon
4. Te Quero Mucho
5. Primavera-Ba-Tu-Ca-Da
6. Gossamer
7. Solitaire





  

2024年6月22日土曜日

Nia Andrews / No Place Is Safe

 

 女性ジャズボーカルを発掘しようと DiskUnion をフラフラとして手に取った一枚。これも縁かと購入してみました。あまり私が聴いてこなかった現代音楽の不思議タイプですね。購入して最初の試聴時より印象は良くなってきています。DiskUnion の棚では、ジャンルはジャズ・ボーカルですが、Funk/Soul に分類される向きもあるようですが分類は非常に難しいので後でレビューします。
 さて Nia Andrews とはどんな方なのか?父は有名な作曲家で、Donald Byrd / Black Byrd でMusic Consultant としても参加されていたミュージシャンでもあり、LAでも有名な公立高校の Locke High School で音楽教師として在籍し、多くのミュージシャンを送り出した Reggie Andrews の娘です。さぞかし英才教育を受けたのだろうと思いきや、娘の音楽活動へのサポートは無しで、彼女は楽器や理論は自分で学んだそうです。しかしUCLAの学生時代は音楽ではなく映画関係の勉強をしていたが、途中で音楽を捨てきれずにツアーのローディをやりながら音楽の世界に戻ってきて、楽器からボーカルを執るようになり、バックシンガーを経て自分の音楽制作もするようになったとのことで、親の助けは無く自分の道を進んでこられたようです。
 また、ライナーノーツには、このアルバムはコンセプトを描いて作ったわけではなく、日々の作曲の積み重ねをまとめて完成した作品であることが書かれています。ただ曲の多くは「悲しみ」「安全」が多く、曲の作成中には、黒人が警官に職務中に殺されるが警察の処分は無かった事件なども書かれています。
 改めて日本でも報道のあった事件ですが調べて見ると「ニューヨーク・スタテンアイランドで2014年7月、アフリカ系アメリカ人男性エリック・ガーナー氏が逮捕される際、警察官から腕で首を絞められ死亡した事件」「ミネソタ州ミネアポリスで、たジョージ・フロイドさんが警察に拘束された際に首を膝で押さえ付けられ死亡する事件」は2020年に起きています。


 それではレビューしていきます。The Road (Intro)  ボーカルとキーボードのみの楽曲でスピリチュアルな雰囲気の楽曲。自分の中にある愛から離れてしまったことを歌っているとのことです。Linger 報われないラブソングで、誰かとの恋愛が終わっても消えない思いがあることを歌われているとのこと。内面に語りかけてくるような不思議な響きです。Might Be Eternity フォーキーなギターに独特のアフリカンを感じる音階を混ぜてくるボーカルでの弾き語り。人類のこの状態は永遠に続くかはわからない。自分の気に入らない状況でも心の平和を見つけることは大事と歌っています。Call Your Name とても作るのに時間がかかった曲とのこと。歌のテーマ自体はシンプルな繰り返しですが様々なアプローチで4人のキャラクターが歌っている仕様。音が掠れてくる演出は、とてもサイキックな感じがします。Be a Smart Girl 普通のアプローチで歌われる楽曲で普通に聴きやすい。だからか?1分43秒と短い。Cleo and the King 人間関係の中での自信喪失、操作、傷つけることについて歌っているとのこと。ここまで来て気づくのですが、ほぼこの人の曲は楽器のソロなどは無い。ひたすら歌で、メッセージを大切にしている感じです。Ho’oponopono (Interlude) 宇宙的なサウンドの中でI Love You, I'm sorry, Please forgive me, Thank you が繰り返される。ハワイの伝統的な和解と許しの儀式がモチーフとのこと。The Ceiling バンドサウンドとしては、かなり凝っているように聞こえるが、実は3人のみで作成しています。酔っ払いの大柄な友人が自分の悪行に気づいて、自分から離れないでと懇願してくるストーリーで、フィクションであるとのこと。と言うことは、他の曲はフィクションではないのか。Seems So これも聴きやすい楽曲です。Little Girl ピアノでの弾き語りです。とてもまとまった曲ですが、断片的な寄せ集めだそうです。まあ歌詞の中身が断片的と言う意味ですね。Old Man 鬱病について、その時の気持ちをそのまま表現しているとのこと。彼女は鬱を経験しているとのことですね。なるほど内省的なことが多いのは、そのような理由からですか。
 ライナーノーツなども見ながら、じっくり聴くと、なるほど1曲を大切に作ったことが良くわかりますので、聴こえ方もまた変わります。深いですね。再度じっくり聴いてみようと思います🎵

producer : Nia Andrews

1.The Road (Intro)
vocals : Nia Andrews
rhodes : Mark de Clive-Lowe
2.Linger
vocals, electric bass, piano, snaps : Nia Andrews
percussion and programming : Paul Taylor
additional programming : Nia Andrews
3.Might Be Eternity
vocals, acoustic guitar, piano, snaps : Nia Andrews
4.Call Your Name
vocals, piano, electric guitar : Nia Andrews
electric bass : Brandon Eugene Owens
5.Be a Smart Girl
vocals, piano, synth bass, drum programming, tambourine : Nia Andrews
additinal keyboads and additional programming : Mark de Clive-Lowe
6.Cleo and the King
vocals, piano, electric guitar, synth bass : Nia Andrews
rhodes, programming : Mark de Clive-Lowe
violin : Molly Rogers
7.Ho’oponopono (Interlude)
vocals, piano : Nia Andrews
programming : Mark de Clive-Lowe
8.The Ceiling
vocals, piano, keyboads : Nia Andrews
bass : Brandon Coleman
percussion : Allakoi Peete
drums : Guillermo Brown
violin, viola, additional percussion : Molly Rogers
habdclaps : Nia Andrews, Guillermo Brown, Allakoi Peete, Mark de Clive-Lowe
9.Seems So
vocals : Nia Andrews
piano : Joey Dosik
moog : Brandon Coleman
percussion  : Guillermo Brown
acoustic bass : Brandon Eugene Owens
additional vocals : Muhsinah and Nia Andrews
additional keyboads : Nia Andrews
handclaps : Coco O., Guillermo Brown, Mocky, Molly Rogers, Nia Andrews, Paul Taylor
10.Little Girl
vocals, piano : Nia Andrews
11.Old Man
vocals, piano, electric bass and electric guitar : Nia Andrews
violin : Molly Rogers
percussion, additional vocals : Allakoi Peete

▶ Linger


▶ Old Man


  

2024年6月21日金曜日

Deep Purple / Come Hell or High Water


 中古CD屋の安売りワゴンで見た時に思わず懐かしいと手にしたままレジに行ってしまった Deep Purple (ディープ・パープル)です。何しろ私が最初にロック・ギターの練習をしたのは、やはり Smoke on the Water ですし、初めて買ったエレキ・ギター教則本の課題曲は、タブ譜なしの Black Night と Speed King がスコア譜で掲載されていましたので、全く歯が立ちませんでしたのも良き思い出の、まさに青春の思い出のバンドです。最も最初にギターで弾けるようになった曲は、アコギでさだまさし の「雨宿り」です。これは当時のコード譜が乗っている「明星」という雑誌のコード譜が最初でしたか、いや懐かしい。


 特にこのアルバムが欲しかった訳では無く、見つけたので購入です。懐かしかったのは「Deep Purple」であり、私が聴いていたのは、ちょうどこの頃のメンバーの 第2期 (1969年 - 1973年) でした。この後にベースが Glenn Hughes、ボーカルが David Coverdale の頃までは良かったんですが、Tommy Bolin がギターになった頃にはすっかり興味が無くなり、David Coverdale を追って、White Snake にハマって Gary Moore に  Motörhead なんかも聴きだして、気が付いたら パンクなんかも聴きだしたんですね。
 はじめてライブ・ハウスのステージ・レンタルして演奏した時は、やっぱり Smoke on the Water はレパートリーに入ってました。Michael Schenker なんかも同じステージで演奏したんですから、節操がないハード・ロック・コピー・バンドでした。
 そしてはじめて生リッチーを見たのは、既に Rainbow 時代。いや懐かしい。アルバムレビューは、これはしなくても良いかな🎵

vocals : Ian Gillan
guitar : Ritchie Blackmore
organ, keyboards : Jon Lord
bass : Roger Glover
drums : Ian Paice

1. Highway Star
2. Black Night
3. A Twist in the Tale
4. Perfect Strangers
5. Anyone's Daughter
6. Child in Time
7. Anya
8. Lazy
9. Space Truckin'
10. Woman from Tokyo
11. Speed King
12. Smoke on the Water


Lazy 



  

2024年6月16日日曜日

Donald Byrd Quintet / Byrd In Paris

 


 名トランペット奏者ではあると思うのですが、録音数が非常に多くてムラがあると思っているドナルド・バード(Donald Byrd)が、1958年11月22日、フランスはパリにあるオリンピア劇場(L'Olympia)で行ったライブ演奏のうち、5曲を収録したアルバムです。原盤は「Byrd In Paris Vol. 1 (Brunswick 87 903)」で入手困難とのこと。率直に言って、これは良い方のムラに転んだ録音で、メンバー全員の調子の良さが伺えるライブです。
 あちこちの解説を読んでいたら、「バードは自分名義のアルバムでは自分のオリジナル画中だが、これは一曲も彼のオリジナルがない。しかもFlute BluesとRay's Ideaでは吹いてない。ライブとしては一過性のセッションであるが、ダグ.ワトキンスの堅実な仕事がよく見える感じが良い」のようなことが書いてあります。でも「Byrd のリーダーっぽさが無いから聴きやすい」なんて人もいたり、ひどいなあと思いつつ、なるほどとも思いながら何回か聴き直しております。


 音楽好きの集う「おでんバー」の住人には「またByrdはハズレ引いてるのにまた持ってきた?」的な反応でしたが「これは良い」との評判には安心したアルバムを再度聴きながらレビューです。Dear Old Stockholm は、Miles Davis、Stan Getz による演奏が有名なスタンダード。秘かに Kenny Burrell がギターの Paul Chambers Quartet / Bass On Top のバージョンなんかも好きです。ここではベースの Doug Watkins の長尺ソロが中間にある12分24秒の熱演です。イントロの Byrd の音がかなり小さいのが録音としては気になるところではあります。Paul's Pal は Sonny Rollins 作曲の Paul Chambers に捧げた曲。これもミドルテンポの12分22秒の長尺の演奏です。テーマ部分で途中音が割れているところはありますが、気にしてはいけません。Bobby Jaspar のサックス・ソロは最初がフレーズが細切れで調子悪いのかと思いました後半持ち直します。リーダー Byrd のソロはリズム感があり、歯切れが良い感じでテクニックよりもファンキーなノリ中心のソロが心地よく感じます。Flute Blues は、Bobby Jaspar のブルースで、Byrd はお休み。イントロはフルートとベースのテーマのユニゾンで、怪しい感じでお手軽な感じが良い印象デュオ部分からすでに、ファンキーな香りが漂ってきます。The J.J. Johnson Quintet / Dial J.J. 5でもサックスとフルートで参加していました。拍手大きいです。Ray's Idea は、Ray Brown 作品。ここではピアノの Walter Davis Jr. が中心となったピアノ・トリオです。ここも Byrd はお休みですが最初のメンバー紹介は彼でしょうか。リーダー不在ですが非常にスリリングで荒々しいバップはとても私好みです。感極まると同じフレーズを連続させるのはハードロックのギタリストみたいです。最後の The Blues Walk は Sonny Stitt の作曲とアナウンスが前曲の最後でアナウンスありますが Clifford Brown 名義と他でも指摘有り私もその認識。メンバーの演奏はかなりノッていて、聴きごたえは充分。ビッグバンドのようなキメが、このような少人数編成のコンボでやるのも珍しいかなとも思いますし、最後のソロ回しが、またよろしい。
 録音状態はよろしくないですが、興奮できる聴きどころがあり何よりわかりやすい。ヘビロテの棚に保管しときます🎵

trumpet : Donald Byrd
bass : Doug Watkins
drums : Art Taylor
piano : Walter Davis Jr.
tenor sax, Flute : Bobby Jaspar

recorded October 22, 1958 at the Olympia in Paris.

1. Dear Old Stockholm (Ack Värmeland, du sköna)
2. Paul's Pal (Sonny Rollins)
3. Flute Blues (Bobby Jaspar)
4. Ray's Idea (Ray Brown)
5. The Blues Walk (Clifford Brown)





  

2024年6月15日土曜日

The Red Garland Trio / A Garland Of Red

 

 マイルスやコルトレーンのアルバムでよく聞いているものの、Red Garland はリーダー作は聴き始めたのは割と最近です。1923年5月13日 生まれ 1984年4月23日 で亡くなったピアニストで、ピアノを始めたのは兵役中の18歳の時、デビュー前にはプロ・ボクサーで35試合を戦っているとのことで、なかなか個性的な遍歴です。
 1946年にニューヨークに移りビリー・エクスタインのビッグ・バンドに参加し、チャーリー・パーカー、マイルス・デイビス、ファッツ・ナヴァロと共演する経験を積んでいます。1955年から1958年にかけてはマイル・デイビス・クインテットに参加しますが、デイビスはステージを離れて、トリオの形でガーランドを主役にするのが定番だったらしい。
 このアルバムはリーダー作としてデビュー作の1956年の録音。スタンダード集ですが洒落たタッチで、ブルージー。人気が出始めた頃の快作。この後の12月にドラムが Art Taylor に変わり、2枚目の Groovy を録音しています。売れっ子は録音を量産します。


 基本的にシンプルで曲自体をアドリブ部分などもすぐに口ずさめるアルバムですね。レビューしていきます。 A Foggy Day スタンダードで Gershwin 作品です。ころころと軽快にメロディーをわかりやすく解説してくれるような演奏です。Paul Chambers のソロも触発されるように早口でしゃべりかけてくるような感じで余裕も感じます。My Romance は、Lorenz Hart, Richard Rodgers のスタンダード。これも曲を演奏しながら、きっちりと解説してくれるのはガーランド。テーマが良いので飽きがこないですね。ピアノに聞きほれてたら曲の最後でベースは弓弾きであったことを確認。What Is This Thing Called Love?  は Cole Porter の作曲です。メンバー三人の呼吸があっていて良いです。アルコ弾きのベースソロは、好きでは無いものも多いですが、この曲の Paul Chambers のメロディーの作り方は冴えていると思います。またドラムの Art Taylor のソロもメリハリ良く全体的にさりげない自己主張がまた良いバランス。Makin' Whoopee  は Walter Donaldson, Gus Kahn のスタンダード。ブルージーでガーランドのピアノも今までよりかしこまっていないところが、この曲の魅力でしょうか。September in the Rain は Al Dubin, Harry Warren のスタンダード。この曲も悪くはないが Paul Chambers のアルコ弾きソロはあんまり趣味ではないかな。 Little Girl Blue は Hart, Rodgers のバラードです。ブロック・コード弾きで演奏される序盤は単音メロディのコロコロとは違って曲のイメージが、しっかり浮かび上がり、ソロとの対比が良いです。Constellation  は Charlie Parker の曲で、I Got Rhythm コード進行に基づいた曲です。おそらくライブでも最も受ける曲の一つでしょうから気合十分の高速進行です。アルバムに1曲あっても良い変化かなって感じですが、このバンドではこれぐらいでちょうど良いかなって感じです。Blue Red は Red Garland のオリジナル。ベースソロからの幕開け。そしてドラムのシンバルが加わり最後にリーダー登場です。最初の曲とピアノのタッチがだいぶ違うのも聴き比べて良い感じです。
 軽やかなシングル・トーンとブロックコードと独特のスタイルです。何よりもわかりやすピアノで曲を間接してくれるような演奏が好印象です🎵

piano : Red Garland
bass : Paul Chambers
drums : Art Taylor

Recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey, August 17, 1956

1. A Foggy Day (George Gershwin, Ira Gershwin)
2. My Romance (Lorenz Hart, Richard Rodgers)
3. What Is This Thing Called Love? (Cole Porter)
4. Makin' Whoopee (Walter Donaldson, Gus Kahn)
5. September in the Rain (Al Dubin, Harry Warren)
6. Little Girl Blue (Hart, Rodgers)
7. Constellation (Charlie Parker)
8. Blue Red (Red Garland) 





  

2024年6月14日金曜日

The Beatles / Magical Mystery Tour


 私のアマチュア音楽生活もギターを始めてから40年以上。ビートルズの初来日は1966年6月、私生まれてはいましたが赤ちゃんでしたので全く記憶になく、残念ながら熱狂的なビートルズの日本の歓迎は記憶にはありません。テレビの記録映像を見ただけです。中学生になり、洋楽に興味を持ち始めた頃にはハードロック系に行ってしまったんで、ビートルズを聴くことがなく聴いていても懐かしむ気持ちが起きないのです。しかし普通に生活していても未だに聴くことも多いし、ジャズ含め様々なアーチストもカバーしていますので耳にすることは多いですし、影響を受けたと言っているアーチストはゴロゴロいるし、これは聴いていたほうが良いかな、音楽生活も広がるもんかな?音楽仲間と話しているときにこの曲知らんではカッコ悪いしな、と何枚かオジサンになってから購入しています。しかし余り心に響かないのはしょうがない。


 このアルバム有名ですが、イギリスで作ったテレビ映画用サウンドトラック。ポール発案で制作されたこの映画自体のコンセプトは様々な「普通の」人々(ジョン・レノンの叔父、チャーリーを含む)が観光バスに乗り込んで旅行し、予測できない「マジカル」な冒険をするというものであります。脚本とプロの映画監督無しという状況で撮影は行われ、結果無秩序な映画なってしまい映画自体はあまり評判が良くなくて、イギリスでは最初 BBC One にて1967年のクリスマス休日をまたいで2回放送されたのですがその放送でに非難が集まるという惨敗だったそうです。その結果アメリカではABCで放送するという予定がキャンセルされ、公には1976年まで見ることが出来なかったアンダーグラウンド映画扱いでビートルズがコケた初めての瞬間だったようです。
 ただ、そこはビートルズ。アルバムのレコードセールスは好調でサウンドトラックに加えて Strawberry Fields Forever、All You Need Is Love などの私でも十分に知っている強力なシングルとなり、アルバムも全米チャートは8週連続第1位の好成績だったようです。いくら駄作でもこれだけのヒット曲を使っている映画ですから、普通はたまにTVでOAがあっても良さそうなもんですが、見たことがないと言うことは、よほどの駄作だったんでしょう(かえって見てみたいもんです)
 知っている曲が多いだけに私でも楽しめるアルバムではあります。久しぶりに聞いた中で個人的には Your Mother Should Know の作風、I Am the Walrus なんかが好きかなあと思ったりして、今更恥ずかしい感じがします🎵

1. Magical Mystery Tour
2. Fool on the Hill
3. Flying
4. Blue Jay Way
5. Your Mother Should Know
6. I Am the Walrus
7. Hello Goodbye
8. Strawberry Fields Forever 
9. Penny Lane
10. Baby You're a Rich Man
11. All You Need Is Love








  

2024年6月9日日曜日

Brecker Brothers / Out Of The Loop

 

 1994年GRP移籍の2作目で通算8作目。このアルバムを発表後に活動を休止し Brecker Brothers としては最後のスタジオ・アルバム作品となります。Michael Brecker は、これ以降は2001年に Jack Wilkins のReunion と言う作品に参加し、2005年にマイケルは骨髄異形成症候群(前白血病状態)を患っていることを明らかにし、ライブ等の活動を一時停止し、2007年にマイケルが骨髄異形性症候群から進行した白血病によって死去しています。
 アルバムとしては、ファンク・サウンドがマーカスっぽいと思いましたが、クレジットは無し。ヒップ・ホップやプログラミング等の当時のトレンドを取り入れつつ生のバンド・サウンドにもこだわりを見せたサウンドづくりや、当時の流行りなのかテーマのメロのハモリ方とベースのかぶせ方がマーカスの得意パターンと酷似していると感じます。

 

 まず最初の Slang はランディのミュート・トランペットがとてもクールで、マイケルのソロが対比的に変態フレーズ少な目の王道のソロで、ファンク的なアプローチにつなげていくとが素晴らしい。サンプリングやヒップホップ要素を取り入れた Scrunch、When It Was
あたりは、アシッド・ジャズ系の曲でアーチストに影響を多大に与える名作子のリフがマンマ使われているのを聴いたことがあります(どの楽曲か思い出せませんし、楽曲検索では出てこないのが悔しいですが) Secret Heart は王道にフュージョン路線。African Skies は曲名通りの、アフリカン・リズムをダイレクトに取り入れたメセニーっぽい曲で、実際、後年マイケルはメセニーとやっているようです。暴れん坊な曲が多いアルバムですが、締めは、And Then She Wept で美しくメローに終わります。
 ということで、様々な曲がちりばめられているブレッカー・ブラザーズらしい作品ですが、全体的にはトリッキーさを抑えて、ポップに仕上げてきている印象です。バップも良いですがこのようなフュージョン作品もたまらないものがあります🎵



 そして時代を感じるのが上記ウインド・シンセ EWI の宣伝がライナーノーツに含まれていること。ブレッカーファンは楽器奏者が多いからなのでしょうが値段まで記載してあるのが本気を感じます。1994年で本体60,000円、モジュール68,000円。現在価格を見てみると本体は同じようなもの。今はモジュールは不要なんですかね。検索ででてきませんでした。

soprano tenor sax, EWI : Michael Brecker
trumpet : Randy Brecker 
programmed by (keyboards and rhythm) : Maz Kessler (3, 6), Robbie Kilgore (3, 6)
guitar : Dean Brown, Larry Saltzman ( 2), Robbie Kilgore (6)
bass, acoustic bass : James Genus (1, 3, 4, 7 to 9)
bass, acoustic bass (Piccolo Bass), vocals : Armand Sabal-Lecco
drum programming, programmed By (bass & keyboard programming): Andy Snitzer (2), Chris Botti (2)
drums : Rodney Holmes (4, 5), Steve Jordan (1, 7 to 9)
percussion : Steve Thornton (1, 2, 5, 7 to 9)
backing vocals : Mark Ledford (4)

executive producer : Dave Grusin, Larry Rosen

1. Slang
2. Evocations
3. Scrunch
4. Secret Heart
5. African Skies
6. When It Was
7. Harpoon
8. The Nightwalker
9. And Then She Wept

▶ Slang