女性ジャズボーカルを発掘しようと DiskUnion をフラフラとして手に取った一枚。これも縁かと購入してみました。あまり私が聴いてこなかった現代音楽の不思議タイプですね。購入して最初の試聴時より印象は良くなってきています。DiskUnion の棚では、ジャンルはジャズ・ボーカルですが、Funk/Soul に分類される向きもあるようですが分類は非常に難しいので後でレビューします。
さて Nia Andrews とはどんな方なのか?父は有名な作曲家で、Donald Byrd / Black Byrd でMusic Consultant としても参加されていたミュージシャンでもあり、LAでも有名な公立高校の Locke High School で音楽教師として在籍し、多くのミュージシャンを送り出した Reggie Andrews の娘です。さぞかし英才教育を受けたのだろうと思いきや、娘の音楽活動へのサポートは無しで、彼女は楽器や理論は自分で学んだそうです。しかしUCLAの学生時代は音楽ではなく映画関係の勉強をしていたが、途中で音楽を捨てきれずにツアーのローディをやりながら音楽の世界に戻ってきて、楽器からボーカルを執るようになり、バックシンガーを経て自分の音楽制作もするようになったとのことで、親の助けは無く自分の道を進んでこられたようです。
また、ライナーノーツには、このアルバムはコンセプトを描いて作ったわけではなく、日々の作曲の積み重ねをまとめて完成した作品であることが書かれています。ただ曲の多くは「悲しみ」「安全」が多く、曲の作成中には、黒人が警官に職務中に殺されるが警察の処分は無かった事件なども書かれています。
改めて日本でも報道のあった事件ですが調べて見ると「ニューヨーク・スタテンアイランドで2014年7月、アフリカ系アメリカ人男性エリック・ガーナー氏が逮捕される際、警察官から腕で首を絞められ死亡した事件」「ミネソタ州ミネアポリスで、たジョージ・フロイドさんが警察に拘束された際に首を膝で押さえ付けられ死亡する事件」は2020年に起きています。
それではレビューしていきます。The Road (Intro) ボーカルとキーボードのみの楽曲でスピリチュアルな雰囲気の楽曲。自分の中にある愛から離れてしまったことを歌っているとのことです。Linger 報われないラブソングで、誰かとの恋愛が終わっても消えない思いがあることを歌われているとのこと。内面に語りかけてくるような不思議な響きです。Might Be Eternity フォーキーなギターに独特のアフリカンを感じる音階を混ぜてくるボーカルでの弾き語り。人類のこの状態は永遠に続くかはわからない。自分の気に入らない状況でも心の平和を見つけることは大事と歌っています。Call Your Name とても作るのに時間がかかった曲とのこと。歌のテーマ自体はシンプルな繰り返しですが様々なアプローチで4人のキャラクターが歌っている仕様。音が掠れてくる演出は、とてもサイキックな感じがします。Be a Smart Girl 普通のアプローチで歌われる楽曲で普通に聴きやすい。だからか?1分43秒と短い。Cleo and the King 人間関係の中での自信喪失、操作、傷つけることについて歌っているとのこと。ここまで来て気づくのですが、ほぼこの人の曲は楽器のソロなどは無い。ひたすら歌で、メッセージを大切にしている感じです。Ho’oponopono (Interlude) 宇宙的なサウンドの中でI Love You, I'm sorry, Please forgive me, Thank you が繰り返される。ハワイの伝統的な和解と許しの儀式がモチーフとのこと。The Ceiling バンドサウンドとしては、かなり凝っているように聞こえるが、実は3人のみで作成しています。酔っ払いの大柄な友人が自分の悪行に気づいて、自分から離れないでと懇願してくるストーリーで、フィクションであるとのこと。と言うことは、他の曲はフィクションではないのか。Seems So これも聴きやすい楽曲です。Little Girl ピアノでの弾き語りです。とてもまとまった曲ですが、断片的な寄せ集めだそうです。まあ歌詞の中身が断片的と言う意味ですね。Old Man 鬱病について、その時の気持ちをそのまま表現しているとのこと。彼女は鬱を経験しているとのことですね。なるほど内省的なことが多いのは、そのような理由からですか。
ライナーノーツなども見ながら、じっくり聴くと、なるほど1曲を大切に作ったことが良くわかりますので、聴こえ方もまた変わります。深いですね。再度じっくり聴いてみようと思います🎵
producer : Nia Andrews
1.The Road (Intro)
vocals : Nia Andrews
rhodes : Mark de Clive-Lowe
2.Linger
vocals, electric bass, piano, snaps : Nia Andrews
percussion and programming : Paul Taylor
additional programming : Nia Andrews
3.Might Be Eternity
vocals, acoustic guitar, piano, snaps : Nia Andrews
4.Call Your Name
vocals, piano, electric guitar : Nia Andrews
electric bass : Brandon Eugene Owens
5.Be a Smart Girl
vocals, piano, synth bass, drum programming, tambourine : Nia Andrews
additinal keyboads and additional programming : Mark de Clive-Lowe
6.Cleo and the King
vocals, piano, electric guitar, synth bass : Nia Andrews
rhodes, programming : Mark de Clive-Lowe
violin : Molly Rogers
7.Ho’oponopono (Interlude)
vocals, piano : Nia Andrews
programming : Mark de Clive-Lowe
8.The Ceiling
vocals, piano, keyboads : Nia Andrews
bass : Brandon Coleman
percussion : Allakoi Peete
drums : Guillermo Brown
violin, viola, additional percussion : Molly Rogers
habdclaps : Nia Andrews, Guillermo Brown, Allakoi Peete, Mark de Clive-Lowe
9.Seems So
vocals : Nia Andrews
piano : Joey Dosik
moog : Brandon Coleman
percussion : Guillermo Brown
acoustic bass : Brandon Eugene Owens
additional vocals : Muhsinah and Nia Andrews
additional keyboads : Nia Andrews
handclaps : Coco O., Guillermo Brown, Mocky, Molly Rogers, Nia Andrews, Paul Taylor
10.Little Girl
vocals, piano : Nia Andrews
11.Old Man
vocals, piano, electric bass and electric guitar : Nia Andrews
violin : Molly Rogers
percussion, additional vocals : Allakoi Peete
▶ Linger
▶ Old Man
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