2024年6月16日日曜日

Donald Byrd Quintet / Byrd In Paris

 


 名トランペット奏者ではあると思うのですが、録音数が非常に多くてムラがあると思っているドナルド・バード(Donald Byrd)が、1958年11月22日、フランスはパリにあるオリンピア劇場(L'Olympia)で行ったライブ演奏のうち、5曲を収録したアルバムです。原盤は「Byrd In Paris Vol. 1 (Brunswick 87 903)」で入手困難とのこと。率直に言って、これは良い方のムラに転んだ録音で、メンバー全員の調子の良さが伺えるライブです。
 あちこちの解説を読んでいたら、「バードは自分名義のアルバムでは自分のオリジナル画中だが、これは一曲も彼のオリジナルがない。しかもFlute BluesとRay's Ideaでは吹いてない。ライブとしては一過性のセッションであるが、ダグ.ワトキンスの堅実な仕事がよく見える感じが良い」のようなことが書いてあります。でも「Byrd のリーダーっぽさが無いから聴きやすい」なんて人もいたり、ひどいなあと思いつつ、なるほどとも思いながら何回か聴き直しております。


 音楽好きの集う「おでんバー」の住人には「またByrdはハズレ引いてるのにまた持ってきた?」的な反応でしたが「これは良い」との評判には安心したアルバムを再度聴きながらレビューです。Dear Old Stockholm は、Miles Davis、Stan Getz による演奏が有名なスタンダード。秘かに Kenny Burrell がギターの Paul Chambers Quartet / Bass On Top のバージョンなんかも好きです。ここではベースの Doug Watkins の長尺ソロが中間にある12分24秒の熱演です。イントロの Byrd の音がかなり小さいのが録音としては気になるところではあります。Paul's Pal は Sonny Rollins 作曲の Paul Chambers に捧げた曲。これもミドルテンポの12分22秒の長尺の演奏です。テーマ部分で途中音が割れているところはありますが、気にしてはいけません。Bobby Jaspar のサックス・ソロは最初がフレーズが細切れで調子悪いのかと思いました後半持ち直します。リーダー Byrd のソロはリズム感があり、歯切れが良い感じでテクニックよりもファンキーなノリ中心のソロが心地よく感じます。Flute Blues は、Bobby Jaspar のブルースで、Byrd はお休み。イントロはフルートとベースのテーマのユニゾンで、怪しい感じでお手軽な感じが良い印象デュオ部分からすでに、ファンキーな香りが漂ってきます。The J.J. Johnson Quintet / Dial J.J. 5でもサックスとフルートで参加していました。拍手大きいです。Ray's Idea は、Ray Brown 作品。ここではピアノの Walter Davis Jr. が中心となったピアノ・トリオです。ここも Byrd はお休みですが最初のメンバー紹介は彼でしょうか。リーダー不在ですが非常にスリリングで荒々しいバップはとても私好みです。感極まると同じフレーズを連続させるのはハードロックのギタリストみたいです。最後の The Blues Walk は Sonny Stitt の作曲とアナウンスが前曲の最後でアナウンスありますが Clifford Brown 名義と他でも指摘有り私もその認識。メンバーの演奏はかなりノッていて、聴きごたえは充分。ビッグバンドのようなキメが、このような少人数編成のコンボでやるのも珍しいかなとも思いますし、最後のソロ回しが、またよろしい。
 録音状態はよろしくないですが、興奮できる聴きどころがあり何よりわかりやすい。ヘビロテの棚に保管しときます🎵

trumpet : Donald Byrd
bass : Doug Watkins
drums : Art Taylor
piano : Walter Davis Jr.
tenor sax, Flute : Bobby Jaspar

recorded October 22, 1958 at the Olympia in Paris.

1. Dear Old Stockholm (Ack Värmeland, du sköna)
2. Paul's Pal (Sonny Rollins)
3. Flute Blues (Bobby Jaspar)
4. Ray's Idea (Ray Brown)
5. The Blues Walk (Clifford Brown)





  

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