2023年9月9日土曜日

The J.J. Johnson Quintet / Dial J.J. 5

 

 トロンボーンの第一人者の J.J.ジョンソンが、リズム隊にピアノ Tommy Flanagan、ドラムに Elvin Jones、ベースは Wilbur Little を配置、テナーに Bobby Jaspar を加えたカルテットで、小気味よいスイングしながら絶妙のセッションを聴けるジャズ史に誇る一枚です。強力なリズムセクション、ブラスのフロントラインの柔軟性が聴きどころですね。録音は1957年ですから、Tommy Flanagan はソニー・ロリンズの Saxophone Colossus に参加した翌年に Overseas を発売した頃でやっと頭角を現してきた頃で Elvin Jones も同様。やはり凄いメンツは集まるものです。
 さていつも最初に試聴させていただく音楽好きの集まる「おでんバー」のマスターも J.J.ジョンソン 好き。レコードはどこかに仕舞ってあるようで聴き比べはできませんでしたが、このアルバムは随分長い間聴いていなかったらしく、思っていたイメージより随分と良かったようで、持参した本人もホッとしました。


 トロンボーンと言う楽器は、トランペットやサックスのようにバルブやキーを操作することで音階を変化させるのではなく、スライドを伸縮させることによってそれを行うので、中間音が容易に出せる特徴がありスライドトーンといった表現が可能ですが、素早いフレーズを吹きにくい、音程が狂いやすい、音と音の間の音程の切り替えが曖昧になりやすい楽器です。ビバップは素早い音の切り替えや幅広い音階を多用したアドリブ・プレイが必要であったためトロンボーンの特性はジャズの主流とはなりにくい状況になりました。しかし J・J・ジョンソンは超絶的技巧により、この楽器の欠点をを感じさせない演奏で多くのトロンボーン・ジャズ・プレイヤーに多大な影響を与えています。
 それではレビューです。オープニングは Tea Pot でJJのアドリブから開始、トミフラのピアノも絶好調でスリリングな演奏は素晴らしい。何かお洒落で格好良く気品があります。Barbados はカリプソ調の出だしのフォー・ビート。リズム隊が複雑なリズムを出しながらの演奏は粋な演奏の印象です。In A Little Provincial Town は、Bobby Jaspar の作曲で、本人のフルートが、かなり効いていてお洒落で格好よく清涼感もあり格調高い演奏です。Cette Chose も Bobby Jaspar の作曲で軽快なアンサンブルで曲の途中のキメもカッコ良いですが3分18秒は短すぎてもったいない。Blue Haze は、マイルスオリジナルのスローブルーでもったいを付けた始まり方が気合を見せている感じがします。4分7秒のところでピアノのソロに合わせて気持ちよく歌っているのはトミフラ?でしょうか。Love Is Here To Stay は、ガーシュイン作曲のスタンダード、Bobby Jaspar はお休みのカルテットで親分のJJをフューチャー。So Sorry Please は、中華っぽいイントロのフレーズの曲で、J.J. Johnson
Bobby Jaspar の二人ともお休みのトリオで花形は Tommy Flanagan です。中間でこの変化のある仕掛けはアルバムの作り方としては好印象。これってて Overseas トリオですね。It Could Happen To You では、Bobby Jaspar のフルートメインで J.J. Johnson はお休みです。フルートがホント気持ち良い。Bird Song は、Elvin Jones の兄、トランペットの Thad Jones の曲ですね。更に Hank Jones もお兄さんでピアニストでしたっけ。Bobby Jaspar と J.J. Johnson のユニゾンが気持ち良いです。トミフラのピアノ・ソロもキラリンとしてます。ラストの Old Devil Moon は、ラテン・リズムの作品で、Elvin Jones のシンバル・ワークが効果ありで、カリプソ風味のトミフラがまたカッコ良い。
 電話機の中でJJが笑っている写真のジャケット、曲名と関係のないアルバムタイトルも良いですし、演奏やアルバム構成だったり非常に考えて作りこまれた聴きどころ見どころ有りの良作でした🎵 

trombone : J.J. Johnson
piano : Tommy Flanagan
bass : Wilbur Little
drums : Elvin Jones
tenor sax, flute : Bobby Jaspar

recorded at Columbia 30th Street Studios, NYC on January 29, 1957 (tracks 5, 6, 8 & 9), January 31, 1957 (tracks 2-4) and May 14, 1957 (tracks 1, 7 & 10)

1. Tea Pot
2. Barbados
3. In A Little Provincial Town
4. Cette Chose
5. Blue Haze
6. Love Is Here To Stay
7. So Sorry Please
8. It Could Happen To You
9. Bird Song
10. Old Devil Moon

▶ Tea Pot




  

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