2023年9月1日金曜日

Kenny Garrett / Songbook


 たまにしか聴かないけど毎回思います。これは良い盤だなと。昔のバップが現代に移行するとこうなるのかとまさにそう感じる音で、複雑さやとっつきにくさは無い。おそらく往年のヤジオ・ジャズ・ファンにも親しみやすいイージーなジャズではないハードでディープな空気が充満。ジャズを知らない人にジャズってカッコ良い音楽だなと思わせたかったら、特効薬にできそうなアルバムです。1997年のニューヨーク録音のワーナー第4弾、Kenny Garrett の全曲オリジナルの楽曲でメンバーは Nat Reeves(b), Jeff Watts(ds) と当時の売れっ子、さらにピアノの Kenny Kirkland の重量感のあるピアノがまた素晴らしい。


 リーダー初録音は1984年 Introducing Kenny Garrett、1986年に Art Blakey & The Jazz Messengers、Miles Davis に参加、私の手持ちアルバムでは、Marcus Miller / TalesThe Sun Don't LieLive & More に参加しています。このアルバムは、かなりお気に入りなのですが、他にリーダーアルバムは持っていないので調べていると、前作の  Pursuance : The Music of John Coltrane なんかも、良いらしいので、こちらもそのうち仕入れたいと思います。
  さてレビューですが、Two Down & One Across オープニングは、メンバー全員でルバートで始まりまるのがカッコ良すぎで、アップテンポでスリリングな展開で、アウトなサックスソロも、かなりイイ感じ。November 15 は、ミドルテンポの都会的な4ビート。せつない、テーマの響きがとても良い曲です。Wooden Steps は、ラテンのマイナーブルースですが混沌としたバンドの爆発力がたまらない。吹きまくるギャレットと、切れまくるピアノの Kenny Kirkland が最高に良い。推しです。Sing a Song of Song は一転して穏やかな曲になりますが、これがまた名曲ですね。素朴なコード進行で徐々に盛り上げていくのですが、しんみりとしたテーマを聴く人の心に植え付けながら、最後は全力、力いっぱい疾走していきます。Brother Hubbard は、ジャズ路線から少しフュージョンに寄せているのですが、アーバンな感じで、せつない響きがたまらんです。Hubbard は Freddie Hubbard だと思われます。彼との思い出はせつないものなのか。Ms.Baja は、ボサノバ。色々とあの手この手を駆使するんだなあと感心します。選曲、曲順も完璧な流れです。そして House That Nat Built で、後ろ乗りの重たいビートでたっぷりと音をためながら盛り上げてきます。ベースのNat が建てた家? She Waits for the New Sun は、美しいバラード。アルトはこういった曲で抜群の表現力が発揮されるんだなあと感心します。サンボーンも好きだけど、こういったサラっとした表現も良いもんです。Before It's Time to Say Goodbye で、2曲続けてバラードです。これはピアノの Kenny Kirkland の独壇場です。せつないピアノにギャレットが色を添えるセンスの良さを感じます。Sounds of the Flying Pygmies は、コンサートの最後のような感じで締めの軽快な4ビートです。
 アルバムの構成も完璧に感じる素晴らしいアルバムでした。何度聞いても良いですね。でもこの完璧さは、いつもの「おでんバー」の面々には軽いとか言われそうだな。今度持って行こう🎵

alto sax : Kenny Garrett
piano : Kenny Kirkland
bass : Nat Reeves
drums : Jeff "Tain" Watts

producer : Kenny Garrett
management, co-producer : Robin Burgess
recorded by (assistant) : John Reigart, Tom Schick

recorded at Sear Sound, New York City on January 7-8, 1997

1. 11Down & 1 Across
2. November 15
3. Wooden Steps
4. Sing A Song Of Song
5. Brother Hubbard
6. Ms. Baja
7. The House That Nat Built
8. She Waits For The New Sun
9. Before It's Time To Say Goodbye
10. Sound Of The Flying Pygmies

▶ Wooden Steps

▶ November 15

▶ Sing A Song Of Song


  

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