2021年10月10日日曜日

本日のCD Steve Lacy ♪ The Straight horn of Steve Lacy

 

 Solid Jazz Giants という復刻版の名盤シリーズで見かけて聴かずに、知らずに購入した一枚です。最近はジャズを聴くことが多いのですが、トランぺッターに偏っていたので別の楽器も聴きたいと思っていてソプラノ・サックス片手のこの一枚はジャケ買いでした。
 ということでこの人についても全く知識は持ち合わせずに拝聴したわけですが、バリトンとソプラノ・サックスの組み合わせでピアノレスのカルテット編成は斬新でした。低音と高音の対決なのか?と思いきや、バリトンもソプラノもテナー寄りの音域に近づけた演奏になっていて、とんでもないバトル展開ということはありません。
 またアルバム6曲中、Monkを3曲、Cecil Taylorを2曲、Parkerを1曲 でマニアのような選曲に好感でした。フリー好きの「おでんバー」のマスターはフリーの時代のこの人の演奏を知っていたのですが普通の演奏を聴くことはなかったらしく、一緒に聴きながら感慨深げなことを語っておられました。このレビューを書きながら再度、聴いているんですが後にフリーに行く人と思って聞くと、饒舌で吹き出すと止まらないソロや、吹きながらドンドン展開していくインプロにその片鱗は見えるような気がします。ジャズはアドリブにこそ面白さがあるということが世に言われておりますが、まさにこのアルバムは上手く楽曲を構成させる技術ではなく、感じることを音にして出していくジャズの面白さがこのアルバムでは伝わってきます。
 と私の中でグッと高評価になった Steve Lacy ですが、ピアノレスのこの編成でこの盛り上げ方をした共演者にも注目するとバリトンの Charles Davis は Sun Ra とも一時共演する人物で斬新な感覚と才能で、Taylorの曲 AIR でのアドリブは明らかにレイシーを触発していますね。そしてベーシスト John Ore です。このアルバムで3曲とりあげられているモンクのカルテットに参加していたベーシストで、共演者がどんなところに飛んで行っても堅実なリズムキープを続け自分は決して熱くはならず共演者に火をつけてしまうベーシストで、堅実な演奏なのに後に Sun Ra に参加していますね。ピッタリと寄り添¥いながら徹していながら他のベースでは決して出なかっただろう独特な魔術的ともいえる雰囲気を生んでいます。Roy Haynes はコルトレーンの Impressions 、モンクとコルトレーンの共演ライブ Live at the Five Spot Discovery! なんかに参加しているドラマーでやはり後にフリージャズにも突入する人です。モダン・ジャズから前衛的ジャズへ切り込んでいく境界線のアルバムで、こんなことがあるからジャズは楽しい。

soprano sax : Steve Lacy
baritone sax : Charles Davis
bass : John Ore
drums : Roy Haynes

recorded at Nola Penthouse Sound Studios, New York on November 19, 1960.

1. Louise / written-by Cecil Taylor
2. Introspection / written-by Thelonious Monk
3. Donna Lee / written-by Charlie Parker
4. Played Twice / written-by Thelonious Monk
5. Air / written-by Cecil Taylor
6. Criss Cross / written-by Thelonious Monk





muu music webzine

  

0 件のコメント:

コメントを投稿