2024年1月1日月曜日

Bobby Hutcherson / Happenings

 

  まずは、この中身がジャズであるとは想像できない斬新なジャケットに惹かれます。ジャケットを手掛けたのは Reid Miles なるグラフィック・デザイナーで、1956~1967年のBlue Note で400枚余りのアルバムを手掛けていたとのこと。これほどの仕事をしているのに、好きな音楽はクラシックであったとのことで仕事と趣味は別物であったようです。少し調べてみただけで、Reid Miles のお仕事は Cookin' Bags GrooveSomethin' ElseThe SidewinderBlue TrainSoul StationMidnight BlueSearch For The New LandGreen Street・・・・色付け写真、文字のみジャケなど、様々なパターンがありますが一定の法則はありそうな感じです。


 得てしてジャケットに反してイモな音であることも良くあるかと思いますが内容がまた良かった。ボヤボヤしていない輪郭がはっきりした vibraphone のサウンド。これにセンスの良いピアノ・サウンドは Herbie Hancock でした。なので、Maiden Voyage も収録されています。vibraphone と言えば、スイングの Lionel Hampton、モダン化の Milt Jackson ですが、そういった先陣のサウンドを進化させたのが Bobby Hutcherson と言えるのではないかと、このアルバムを聴いていて思います。演奏は脂がのっていますが、サウンドはクールです。
 さてレビューです。 Aquarian Moon は、イントロが始まったと思ったら直ぐに疾走感がありながらも透明感のあるプレイに魅了されます。ハンコックのピアノも絶好調でメロディー楽器で有りながら打楽器でもある両楽器の相性の良さを感じながらもスリリングなプレイは爽快。Bouquet は、どこか抽象的で前衛的な神秘的な楽曲で心に安定感をもたらしてくれます。Rojo はボサノバですが、音使いが不思議な曲です。正しい音使いがあるとすれば、そこから0.5ぐらいズレた音の選択をし続けることによって不思議な感覚が生まれます。Maiden Voyage は言わずもがなのハンコックの持ち込み曲です。1965年にハンコックは発表で、この録音はその翌年です。ハッチャーソンよりも、やはりハンコックの世界観で進行していると感じるので、オリジナルの方が印象としては好いかもしれません。Head Start ここで高速バップで主役はハッチャーソンに戻ります。どこかで聞いたことのあるテーマですが、そこは気にしない。When You Are Near は、ゆったりめのバラードで、vibraphone の、ゆらぎを聴かせるプレイです。The Omen は、怪しいフリーな曲です。Omen は日本語では「前兆」ですが何の前兆なのかを知りたいところ。嵐ではなく何か不思議なことの起こる前兆のようなホラーな雰囲気でした。アルバムの締めをこの曲にするところに芸術性を感じます。
 とりわけ好きな音って訳では無いですが、何か心に引っかかるものを遺してくれる作品でした🎵
 
vibraphone, marimba : Bobby Hutcherson
piano : Herbie Hancock
bass : Bob Cranshaw
drums : Joe Chambers

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder
photography, design : Reid Miles
recorded on February 8, 1966.

1. Aquarian Moon
2. Bouquet
3. Rojo
4. Maiden Voyage
5. Head Start
6. When You Are Near
7. The Omen


▶ Rojo



  

2023年12月31日日曜日

The Neville Brothers / Valence Street


 Neville Brothers (ネヴィル・ブラザーズ)を聴き始めたのは、私がソウル・ファンクに凝って聴いていた北海道時代の頃。名前は知っていたものの田舎っぽい音を想像していましたが、どちらかと言えば都会的な音でした。しかし暫く聴かないと音を忘れてしまいます。
 バンド略歴もおさらいしておきましょう。ネヴィル家の4兄弟が1977年に結成したR&Bバンドで、前身としてメンバーのアートは1960年代半ばにはジョージ・ポーターJr.らと The Meters(ミーターズ)を結成し、ミーターズの後期にはシリルもメンバーに加わっています。つまりネヴィル・ブラザーズの前身がミーターズで、後にネヴィル・ブラザーズともニューオーリンズを代表するR&Bバンドとなっています。


 この Valence Street (ヴァレンス・ストリート) は、1999年発売の9枚目のアルバムです。それまで在籍していたA&Mから5枚のアルバムを発表し、CBSに移籍後の第1弾としてこのアルバムは発表されました。アルバム・タイトル曲のヴァレンス・ストリートは彼等が育ったニューオーリンズの通りの名前でファンキーなブルース・インスト曲です。ジャケ写にはこのルイジアナ州の川沿いや街並みが使われ、ライナーノーツには、おそらく兄弟の実家であろう写真が使われています。



 本作はバラエティ豊かな楽曲が収録されており、お馴染みファンク・ナンバー、美しくメロウなソウル・バラード、ジャズ・フレイバーの強いナンバーと楽めるアルバムになっています。また ステージでは既に演奏されてレパートリーの1つだったThe Dealer がはじめてスタジオ録音され、ワイクレフがプロデュースした Mona Lisa が再録音されています。そのほか推しはしっとり系が美しく芯のある音の Until We Meet Again。完全ファンク系ではReal Funkは、あれ P-FUNK?なんてのもあります。
 メンバーではサンフランシスコ在住の日本人JAZZピアニストで作曲家の、沙耶斎藤こと斉藤沙耶(Saya Saito)さんが初の女性メンバーとし参加しているのも注目の点です。
 改めて再び彼等の育った故郷に立ち返りルーツであるニューオーリンズ・ファンクと真摯に向き合ったメンバーの思い入れのあるアルバムでありました🎵

vocals, tambourine : Aaron Neville, Cyril Neville 
vocals, keyboads : Art Neville 
vocals, sax : Charles Neville
background vocals : Earl Smith
keyboards : Eric Kolb, Saya Saito
guitars : Shane Theriot
bass, background vocals : Nick Daniels
drums : Willie Green

producer : The Neville Brothers 

1. Over Africa
2. Utterly Beloved
3. Little Piece Of Heaven
4. Valence Street
5. If I Had A Hammer
6. Until We Meet Again
7. The Dealer
8. Mona Lisa
9. Dimming Of The Day
10. Real Funk
11. Give Me A Reason
12. Tears





  

2023年12月30日土曜日

Eric Clapton / Backless


 地味ではありますが実はこのアルバムは愛聴盤の人も多いのではないでしょうか。前作の「スローハンド」の成功でプロデュースは、再びグリン・ジョンズで当然「スローハンド」路線を踏襲した内容です。1978年発表の、このアルバムでのヒット曲は Tulsa Time、Promises。肩ひじ張らないライトでポップスよりの音作りです。以前のレビューでは「ひたすら地味なアルバム」と書いていましたが、少し失礼かと思いますので今回の再レビューでは撤回いたします。しかしながら、これでも一発儲けようとする気はまるでないようなアルバムであることは事実で、この盤でのクラプトンは我が道を突き進んでいます。


 今作ではヒットは狙わずによりクラプトンが好きな曲が中心にセレクトされているようです。クラプトンは他のアルバムもカバーは多いのですが、本アルバムでは Bob Dylan から2曲で、Walk Out In The Rain、If I Don't Be There By Morning 元曲よりはビートを効かせて聴きやすくしていますが売れ線ではありません。またクラプトンが敬愛している J. J. Cale の楽曲もあります。 I'll Make Love To You Anytime は、独特のカントリーと融合したスタイルのブルース・ロックになっています。オリジナルの Roll It は、ABなしサビ無しの一発もののブルース・セッションをそのまま3分半で、ゆたっりしたスライドギターで遊んでいます(ここらへんは初心者の若者バンドがリフが単純だからとマネをしてライブで披露するとケガするパターン)Early in the Morning はクラシック・ブルースで、枯れたクラプトンの歌声とギターのオブリガードが自然です。こういった何でもない普通の曲をサラリとやって聴かせてくれるのが魅力の一つですね。Tell Me That You Love Me はビートを効かせたクラプトンの売れ線サウンドが嬉しい。そしてカントリーのスタンダード Promises なんて楽曲が出てくるのもクラプトンっぽい、原題は You らしい。クラプトンのオリジナルは Watch Out For Lucy、Roll It、Golden Ring の3曲。ちなみにこのアルバムで売れ線の曲は、このWatch Out For Lucy ですね。
 クラプトンのファンには十分楽しめますが入門者には誤解されかねないアルバムと書いて結ぼうと思っていましたが、お勧め3曲をセレクトしていたら、意外と初心者でも結構楽しめるかもしれないと思います🎵

guitar vocals : Eric Clapton
keyboads : Dick Sims
vocals : Marcy Levy
guitar : George Terry
bass vo :Carl Radle
drums percussion vo : Jamie Oldaker

producer : Glyn Johns

1. Walk Out in the Rain
2. Watch Out for Lucy
3. I'll Make Love to You Anytime
4. Roll It
5. Tell Me That You Love Me
6. If I Don't Be There by Morning
7. Early in the Morning
8. Promises
9. Golden Ring
10. Tulsa Time

2023年12月29日金曜日

Tommy Flanagan / Sunset And The Mockingbird The Birthday Concert

 

 1997年3月16日、Village Vanguard での Tommy Flanagan(トミ・フラ)の67歳のバースデイ・コンサートのライブ録音。1998年以降は体調を崩し2001年11月16日、動脈瘤による合併症のため71歳で永眠されています。1950年代から活躍するモダン・ジャズのピアニストで、自身のリーダー作よりセッション的に名演と言われるアルバムにはトミ・フラの名前がクレジットされていることが多く、デトロイト生まれなのでデトロイト系ミュージシャンとの共演も多数ある。ソロ作品より Ella Fitzgerald などの歌手との相性は抜群のようなイメージです。私の持っている晩年の作品は Let's (1993) 最初に購入したソロ作品でした。


 この作品、演奏自体はリラックスした感じで「やりたいことをやった」演奏です。プロデュースも奥方の Diana Flanagan で、メンバーもベースとドラムのみの気の知れた仲間との演奏で派手さはありませんが、滋味あふれると言う言葉がしっくりきます。曲目は当然同世代のジャズ仲間がつくったスタンダードが中心で安心感は抜群でした。
 さて、改めて聴きながらのレビューです。Birdsong は Thad Jones の作品で、Bird は当然 Charlie Parker のことかと思いますが、追悼曲ではなくイメージだそうです。テーマの伴奏は モンク作品でも聴いたことのあるフレーズですが、めんどくさいので追いません。軽快にライトにスリリングに楽しい演奏です。 With Malice Toward None は、Tom McIntosh 作品で、曲名はリンカーンの名言で、メロディーの元は賛美歌とのことで、テーマの節々にゴスペル的なまとめ部分があるのに納得。エレガントで有りながらポップさも感じる曲です。選曲が良いですね。Let's これも、Thad Jones の作品。前述した1993年の Let's (1993) のタイトル曲でこの1993年バージョンよりもテンポ早めでコロコロしたピアノの音色とキメの細かさが決まっていることから、トリオでかなりご用達の曲なのでしょう。ドラムは前作でも Lewis Nash でした。I Waited For You は、John Gillespie, Gil Fulle 作品のバラード。マイルス作品で聴いたこともありますが、このピアノ・トリオの演奏の方が管楽器が入るより、やはりキラキラした曲に仕上がります。このアルバムの中では短めの5分22秒ですが聴いた後の余韻が残ります。Tin Tin Deo 続けて John Gillespie, Gil Fulle 作品となります。長めのイントロはメドレーのような構成でイントロの不思議感から一挙にラテン風に転じるのがとても素敵な展開です。Sunset And The Mockingbird テーマ曲になります。Tom Macintosh 作品で、作者はトロンボーン吹きのようですが、スローなロマンティックな作品で、途中ブルージーになるところに思わず聴き惚れながら、曲の中で色々とシーンが変わっていくような展開に、なるほどタイトル曲に相応しいと感じながら聞き入ります。そして、The Balanced Scales/The Cupbearers のメドレーです。前半はドラム・ベース無しのソロ演奏でしんみりとしながら後半の快調なスイングへのイントロ的な役割を果たしています。締めは Good Night My Love で Mark Gordon 作品です。Ella Fitzgerald が若い時に Benny Goodman & His Orchestraで歌っていた作品ですが、ここでは軽快さは消してバラード作品としています。しんみり来ます。そして最後みんなが「Happy Birthday、Tommy」と合唱してコンサートは終わります。お客も最後はハモっているのが良い感じですね。
 強烈な印象は無いですが、トミ・フラの人柄も伝わるような演奏とアット・ホームな環境での好演で良盤です🎵

piano : Tommy Flanagan
bass : Peter Washington
drums : Lewis Nash

producer : Diana Flanagan

recorded live at the Village Vanguard on March 16, 1997, Tommy Flanagan's 67th birthday.

1. Birdsong
2. With Malice Toward None
3. Let's
4. I Waited For You
5. Tin Tin Deo
6. Sunset And The Mockingbird
7a. The Balanced Scales
7b. The Cupbearers
8. Good Night My Love





  

2023年12月24日日曜日

Professor Longhair / Rock'n Roll Gumbo


 私の中のニューオリンズのブギウギ・ピアノと言えば、この人となってしまいました。生まれはボガルーサという町で後にニューオリンズに移り住んだそうで1918年生まれ1980年72歳で没されています。ニューオリンズと言えば、ブルース、ブギウギ、ジャズ、アフリカンなどの音楽が存在しますが、基礎となるのはセカンド・ライン・リズム(ビート)と言われるこのリズム。少し勉強したんですがこのセカンド・ラインは、ジャズ・フューネラルというニューオーリンズ独特の葬儀のパレードから生まれたもので、墓地までは重々しい雰囲気でのブラス・バンドでのパレードを行いながらも、帰路は賑やかで活気のある曲を演奏します。先頭を歩く人はファースト・ラインで故人の縁者。セカンドラインは故人と関係ない人たちで構成され音楽に合わせて踊り、ハンカチを振り、色とりどりの傘を掲げてパレードを盛り上げるといった様相で、このセカンド・ラインで演奏されるリズムがプロフェッサーの音楽の基礎となっています。
 プロフェッサーのアルバムを聴いていると、かなり一辺倒の楽曲で作風はほぼ変化しないのでツマラナイと思った時期もありましたが、こんなことを知ってここまで徹底していると、そこが味となってくるようです。聴く人によっては演歌やブルースはみな同じに聞こえるのと同じことのようで、聴き続けることで心地よくなるものも世の中にはあるものと同じことですね。


 この、プロフェッサーは、近所で捨てらていた壊れたピアノを拾ってハンマーを使ってピアノを修理しながら、ピアノを習得。音楽キャリアとしては最初はギタリストだったんですが、ブギウギ・ピアノの方がモテそうだとピアニストに変更したと伝記には書いてあるようです。そのほか、途中音楽の仕事はなかなかなくて、プロのギャンブラーで生計を立てていたとは以前どこかで書いておりますが、どこか歌い方が胡散臭いのもこの人。伝記を額面通りに受け取ってよいのかどこまで本当なのか迷うとこではあります。そんな売れなかった時期から1974年に「再発見」されて作ったこのアルバムは、どこまでも自分の路線を崩さない教授の頑固さと味があります。(どのアルバムも平均してこのテンションではありますが)歌えるブギウギ・ピアノを目指そうとする人は是非🎵

piano, vocals : Professor Longhair
guitar, violin : Clarence "Gatemouth" Brown
bass : Julius Farmer
drums : Shiba
congas : Alfred "Uganda" Roberts
tenor sax, baritone sax : Jerry Jumonville
trumpet : Steve Madaio

producer : Philippe Rault

1. Mardi Gras in New Orleans 
2. Hey Now Baby 
3. Junco Partner
4. Meet Me Tomorrow Night 
5. Doin' It 
6. How Long Has That Train Been Gone 
7. Tipitina 
8. Rockin' Pneumonia 
9. Jambalaya (On the Bayou) 
10. Mean Ol' World 
11. Stag-O-Lee 
12. Mess Around 
13. Rum and Coke 
14. (They Call Me) Dr. Professor Longhair


2023年12月23日土曜日

The Bodyguard


 1992年のケビン・コスナーとホイットニーの競演する映画「ボディガード」のサントラです。ホイットニーは人気歌手レイチェル・マロン役を務め、ケビン・コスナーが警備を担当していました。ちなみに、この主題歌は映画製作の慣例と異なり撮影現場でホイットニー・ヒューストンのツアーバンドを呼び寄せて撮影したライブ録音で無編集・無修正のものが使用されていました。この時はホイットニーは若くて細身でお美しい、まさに歌姫でした。2012年に亡くなったのは48歳でグラミー賞前日に浴槽で亡くなっています。遺体からはコカインが検出されていたとのことで2000年から薬物の使用を告白していたんですが、やめられなかったんですね。悲しいことです。


 サントラではありますが、バラードあり、ロックあり、映画も良かったけどこのサントラも素晴らしい。

 

 それでは、懐かしさを込めて聴き直してみます。I Will Always Love You は渾身のバラードです。ホイットニーの独唱から始まりしなやかで細い歌声が浸みます。I Have Nothing もバラードですが、力いっぱいの力みどころがいっぱいあって感動の名作。I'm Every Woman は、もともとは、Chaka Khan の楽曲でアルバムから2枚目のシングルとしてカットされているダンサブルな楽曲で「全てを兼ね備えた女」ってカッコ良い歌詞ですね。Run To You で、恋する女の歌に変わります。こんなに激しく駆け寄ってきてくれたら幸せいっぱいです。Queen Of The Night で、やんちゃなロック姫が誕生します。I Have Nothing も好きだけど一度聴くと暫く口ずさんでしまう良ロック。Jesus Loves Me は、ゴスペル調のポップな讃美歌。幸せあふれる様子が思い浮かぶ楽曲です。Even If My Heart Would Break は、Neville Brothers の Aaron Neville と Kenny G のコラボです。People get ready と同じコード進行と似たメロディですが異なる曲で頭が少し混乱する楽曲といつも思ってしまいます。Someday (I'm Coming Back) は、1990年代のディスコ・クラブシーンへの功績の大きい Lisa Stansfield のボーカル。上手いんだけどホイットニーと同じサントラへの楽曲参加は分が悪いですね。It's Gonna Be A Lovely Day は、Bill Withers  A Lovely Day ラップ・カバーで大ヒットでした。適度にポップさも加わって感じの良いラップです。 (What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding は、パブロックバンド Brinsley Schwarz のヒット曲の Curtis Stigers ですが、Elvis Costello のバージョンが好きでした。いや懐かしの楽曲。Waiting For You は、これからホイットニーが歌うのかと思っていたら最後まで Kenny G でした。Trust In Me は、 Joe Cocker Featuring Sass Jordan 軽く大人の貫録のロック。これも良い。Theme From The Bodyguard は、パットメセニーっぽい大地を感じる楽曲になっています。Alan Silvestri の楽曲です。
 サントラとしても懐かしく聴けますがオムニバス・アルバムとしても楽しめますね。ホイットニー以外にも良い楽曲があったのを久々に思い出しました🎵

1. I Will Always Love You
2. I Have Nothing
3. I'm Every Woman
4. Run To You
5. Queen Of The Night
6. Jesus Loves Me
7. Even If My Heart Would Break / Kenny G  & Aaron Neville
8. Someday (I'm Coming Back) / Lisa Stansfield
9. It's Gonna Be A Lovely Day / The S.O.U.L. S.Y.S.T.E.M. 
10. (What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding / Curtis Stigers
11. Waiting For You / Kenny G
12. Trust In Me / Joe Cocker Featuring Sass Jordan 
13. Theme From The Bodyguard






  

2023年12月22日金曜日

Donald Byrd / Blue Breakbeats

 

 こんなマイナーなコンピが楽しい。Donald Byrd の1972年~1976年のファンク・サイドの楽曲を集めています。いつもの音楽好きの集う「おでんバー」のマスターも、これを聴きながらノリノリで調理していました。
 私、ジャズ・フュージョンの聴き始めは、サックス系のものが多かったのですが、最近はトランペット作品を好んで聴くことが多く Donald Byrd は、かなり聴きこんできました。きっかけは多分 Black Byrd あたりのファンク系作品かと思います。Donald Byrd 自身は1955年から、リーダーとしてハード・バップ作品を発表し続け1970年代は本コンピにも記載されている Mizell 兄弟とともにファンク・ロックのスタイルを取り入れた作品を残しています。下記の全5枚のアルバムの中から選ばれた楽曲ですが全てを持っていないのが悔しいところ。

track 1 recorded in 1976. Originally issued on Caricatures
tracks 2 and 4 recorded in 1973. Originally issued on Street Lady
tracks 3 and 6 recorded in 1975. Originally issued on Places And Spaces
track 5 recorded in 1967. Originally issued on Slow Drag
track 7 recorded in 1972. Originally issued on BlackByrd


 Dance Band はボーカル入りの思いっきりのファンク・ナンバーで、重いベースに乗せたグルーブとパリピ的なコーラスが楽しい。Lansana's Priestess は、ボーカル無しのインスト・ソウルナンバーでフルートが大活躍のです。ピアノの Jerry Peters、ドラムの Harvey Mason、ギターは David T. Walker、パーカッション Stephanie Spruill が固定メンツの本気が嬉しい。Wind Parade は、アーバン・ソウル的な楽曲で、曲を追うごとにサウンドが進化しているアルバム構成にジャズ・ファンクに対するマニアな愛を感じます。Miss Kane は、サウンドがアシッド・ジャズって感じに進化します。シンセ・サウンドがチープで活きの良いフルートが時代を感じます。もう少しダサいと嬉しいんですけどキレイにキメてくれてます。Jelly Roll は、8ビートのジャズ・ブルースでピアノ、ベース、ドラム+2管のシンプル構成です。ブルーノートだとこうなるんですよね。ジャズから脱却する過程。You And Music で、またソウル系に戻りますがファルセットのボーカル入りでまた時代が逆行します。Love's So Far Away は、やはり完成された集大成のようなサウンドになっています。ピアノには Joe Sample も参加。
 コンピの中も、B級だと思いますが個人的には非常に楽しいアルバムでした🎵

1. Dance Band (1976 Caricatures)
trumpet, flugelhorn, vocals : Donald Byrd
backing vocals : Donald Byrd, Fonce Mizell, Larry Mizell, Theresa Mitchell, Vernessa Mitchell
keyboards : Jerry Peters, Patrice Rushen, Skip Scarborough
guitar : Bernard Taylor, David T. Walker, John Rowin
bass : James Jameson 
drums : Harvey Mason
percussion : Mayuto Correa, Stephanie Spruill
horns : Ernie Watts, Fonce Mizell, Gary Bartz, George Bohanon, Oscar Brashear

producer: Larry Mizell & Fonce Mizell

2. Lansana's Priestess (1973 Street Lady)
trumpet : Donald Byrd, Fonce Mizell
flugelhorn : Donald Byrd
piano : Jerry Peters
electric piano (fender rhodes) : Jerry Peters
synthesizer (arp synthesizer) : Freddie Perren
electric bass : Chuck Rainey
guitar : David T. Walker
drums : Harvey Mason
congas : King Errisson
percussion : Stephanie Spruill
clavinet : Fonce Mizell
flute : Roger Glenn

producer : Larry Mizell

3. Wind Parade (1975 Places And Spaces)
trumpet, flugelhorn, vocals : Donald Byrd
backing vocals : Kay Haith, Larry Mizell & Fonce Mizell
piano (acoustic) : Larry Mizell
electric piano (fender rhodes) : Skip Scarborough
clavinet, trumpet : Fonce Mizell
electric bass (fender) : Chuck Rainey
guitar : Craig McMullen, John Rowin
drums : Harvey Mason
congas : King Errison
congas, percussion : Mayuto Correa
whistle : James Carter
tenor sax : Tyree Glenn, Jr.
trombone : George Bohannon
trumpet : Raymond Brown

producer : Larry Mizell & Fonce Mizell

4. Miss Kane (1973 Street Lady)
trumpet : Donald Byrd, Fonce Mizell
flugelhorn : Donald Byrd
piano : Jerry Peters
electric piano (fender rhodes) : Jerry Peters
synthesizer (arp synthesizer) : Freddie Perren
electric bass : Chuck Rainey
guitar : David T. Walker
drums : Harvey Mason
congas : King Errisson
percussion : Stephanie Spruill
clavinet : Fonce Mizell
flute : Roger Glenn

producer : Larry Mizell

5. Jelly Roll (1967 Slow Drag)
trumpet : Donald Byrd
piano : Cedar Walton
bass : Walter Booker
drums, vocals : Billy Higgins
alto sax : Sonny Red

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

6. You And Music (1975 Places And Spaces)
trumpet, flugelhorn, vocals : Donald Byrd
backing vocals : Kay Haith, Larry Mizell & Fonce Mizell
piano (acoustic) : Larry Mizell
electric piano (fender rhodes) : Skip Scarborough
clavinet, trumpet : Fonce Mizell
electric bass (fender) : Chuck Rainey
guitar : Craig McMullen, John Rowin
drums : Harvey Mason
congas : King Errison
congas, percussion : Mayuto Correa
whistle : James Carter
tenor sax : Tyree Glenn, Jr.
trombone : George Bohannon
trumpet : Raymond Brown

7. Love's So Far Away (1972 BlackByrd)
trumpet, flugelhorn, trumpet (electric), vocals : Donald Byrd
trumpet, vocals : Fonce Mizell
vocals : Larry Mizell
piano, electric Piano : Joe Sample
synthesizer, vocals, electric piano : Freddie Perren
guitar : David T. Walke
bass : Chuck Rainey
flute, sax : Roger Glenn
percussion : Stephanie Spruill

producer : Larry Mizell





  

2023年12月17日日曜日

Billy Branch / Satisfy Me


 ほのぼのしながらもひたすら気持ち良いリズムを刻むドラムとベース。ソウル・テイストが入った力強いボーカル、ビリーブランチは歌ってブルースハープも心地よく吹く。これが気持ちよい。これぞ現代のシカゴ・ブルースってサウンドは、特別にテクニックを見せつけているわけでも無いのですが聞いていて飽きないですし、こんなバンドをやりたくなってしまいます。
 10歳のとき、彼はロサンゼルスで最初のハーモニカを購入しすぐに簡単な曲やメロディーを演奏し始めたそうです。しかしブルースマンによくある小さな時からライブハウスに出てプロで活躍というような経歴ではなく彼はイリノイ大学に通うために1969年にシカゴに戻り、イリノイ大学シカゴ校で理学士号を取得して卒業。プロとしてのスタートは1974年頃でピアニストの Jimmy Walker と一緒にやったのが最初と語っています。その後、Willie Dixon のバンド Chicago Blues All-Stars に Carey Bell の後任として5年間いて、1977年に自身のバンド、Sons of Blues を結成。ちなみにこのバンド、ギターにLurrie Bell は(Carey Bellの息子)、ベースに Freddie Dixon(Willie Dixonの息子)と、どこまでもブルース・ファミリーです。その後は1982年「Chicagos Young Blues Generation」でデビュー。その後も1984年「Where's My Money」1992年「Mississippi Flashback」などを発表。企画物では1990年ジェームス・コットンやジュニア・ウェルズとの「Harp Attack」に参加し、サポートでも150を超えるアーチストのアルバムに参加しています。


 それではレビューしましょう。It's A Crazy Mixed Up World は Willie Dixon の作品で、オールド・ファッションなブルース作品で昔の映画でも見ている気分の軽快な楽曲です。ブルース・ハープも明るく跳ねるように吹いています。Pay Or Stay は Teenie Hodges, Earl Radall のジャンプ・ブルースです。重厚感のあるリズム隊のどっしりとしたビートは大好きなパターンです。コーラスもついて豪華な仕様です。Kissin' My Love は Bill Withers 作品のソウル・タイプ。でもアレンジは、もっと最近のアーバン・ソウル風になっているのがお洒落で、ここら辺が現代のブルース・マンって感じがします。(Hey baby) Your Looking Real Good は、J.J. Cale 作品で、カントリーが入った曲調にジャマイカンなテイストがそのまま持ち込まれています。Satisfy Me は主題曲で作曲は Billy Earl McClelland なるセッション・ギタリスト、コンポーザーがメインで活躍していた方の作品、ライトなブルース・ロックといった感じです。続けて Highway Blues も Billy Earl McClelland 作品。こちらはロック色が強いブルース・ロックです。ハープ奏者よりはギタリストが好みそうな曲調です。 One Chance With You は Walter Jacobs=Little Walter作品です。エンターテイメント色が強いブルースです。王道の昔のブルースで落ち着きます。最後にマイクにチュッチュの音は本家でもやっているんですかね。Heart In Your Life は Bill Withers をレゲエ調にしています。ここまで聴いてきて何となく Eric Clapton っぽい作品の作り方の影響があるような気がします。Son Of Juke これは本人作。このアルバムで唯一のオリジナルです。作品と言ってもボーカル無しのセッションに曲名を付けただけですが、生き生きブルース・ハープがとても印象に残ります。Same Thing は Willie Dixon でこの作品」で2回目です。Muddy の系譜のザ・ブルースです。Boogie Man はLeon Russell, Chuck Blackwell 作品ですね。アルバムを引き締めている楽曲です。王道は気持ち良い。Goin' Down は Don Nix で、ブルース・ロックのセッションの定番です。ギターソロがいかにもなブルース・ギターでかっこよいですね。ここ一番の出番なので気持ちだけで弾ききっている感じです。
 ブルース一辺倒でもなくて少し都会的な仕上がりのアルバム🎵

vocals, harmonica : Billy Branch
vocals : Alisa Peebles Yarbrough(3)
guitar : Carl Weathersby, Kip Bacque 
bass : George Porter, Jr., Nick Lewis
drums, cowbell, cabasa, wood Block : Herman Ernest III
congas, shaker, guiro, cabasa, triangle : Tracy C'Vello

producer : John Snyder

recorded October 24-27 November and mixed December 4-6, 1995 at Dockside studios, Maurice, Louisiana.

1. It's A Crazy Mixed Up World
2. Pay Or Stay
3. Kissin' My Love
4. (Hey baby) Your Looking Real Good
5. Satisfy Me
6. Highway Blues
7. One Chance With You
8. Heart In Your Life
9. Son Of Juke
10. Same Thing
11. Boogie Man
12. Goin' Down