2026年5月2日土曜日

The Oscar Peterson Trio / We Get Requests


 Oscar Peterson と言えば、Night Train (1962) が最も有名、本盤はジャズ初心者向けの名盤と言われています。ファンのリクエストから曲を選び、当時流行っていた曲、スタンダード、ボサ・ノバ、映画のテーマ曲が多く含まれており、メロディーに重点を置いた短い演奏です。
 Oscar Peterson は1925年にカナダのモントリオールの西インド諸島出身の移民家庭に生まれ、5歳より父からピアノとトランペットを習い始めるが、7歳の時結核にかかり、ピアノに専念。24歳の1949年にアメリカに進出し、Ray Brown、Louis Armstrong、Ella Fitzgerald、Joe Pass、Count Basie、Stan Getz など共演し、1959年からは Verve Records、1965年~1971年にはドイツのMPS Records、1973年には Verve のグランツが創設したPablo Records でも作品を残しています。1993年に脳梗塞で倒れましたが、リハビリを重ねて演奏活動を続け、82歳で亡くなる前年の2006年まで演奏を続けています。


 録音は1964年10月19~20日にニューヨークでレコーディングで、当時39歳の脂がのっている時期で、前身レーベルを含めると約15年間続いたピーターソンの Verve Records 時代をこのアルバムで締めくくっています。

「Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)」聴き始めると、まず最初に思うのは音質の良さ。ピアノの打鍵の力の入れ具合も想像できるかのようなクリアな音質に、各楽器のバランスも非常に良く編集されています。 Antonio Carlos Jobim 作のボサノバ。
「The Days Of Wine & Roses」Henry Mancini, Johnny Mercer 作の1962年の映画 ”The days of wine and roses”の主題歌で、映画はアル中夫婦の堕ちて行く悲しい物語ですが、この曲は逆に「お酒とバラに囲まれた夢のような日々を」思い返す、陽気でお気楽な歌で Oscar Peterson は、その魅力をわかりやすく表現していてくれる名演。難解な演奏が名プレイな訳ではないことがよくわかります。お酒はほどほどに。
「My One And Only Love」ベタなスタンダードが続きます。スリリングな展開の難解なジャズも楽しいですが、こういった耳慣れた曲が楽しめるアルバムも良いです。特に特別なアート感はありませんが、丁寧でわかりやすく美しい。心の糧になる様な演奏は素晴らしいの一言。スタンダードを覚えようと思って色々な演奏を聴いても、アートすぎる演奏だとテーマも覚えられないようなことにはこのアルバム絶対なりませんね。
「People」バーブラ・ストライサンド主演の1964年のミュージカル Funny Girl のために書かれた曲です。このアルバムも発売は1964年ですから当時の最新の曲で、感情をこめてではなく、さらっと流した演奏のように感じます。
「Have You Met Miss Jones? 」1937年のミュージカル I'd Rather Be Right の曲で、Miss Jones は劇中の登場人物です。もう少しテンポは速めで軽やかに演奏するものが多いように感じますが、テンポは遅めにしていて甘いバラードのように仕上げています。コードの響きが気持ち良いです。私ももう少しピアノが上達したら弾いてみたい感じの、初心者も頑張れば弾けそうな感じもする絶妙なところ。リスナー・オンリーばかりではないでしょうから、こういったところも大事なんだろうなと思います。
「You Look Good To Me」おそらく初演がこのアルバム?でしょうか。だとすれば書き下ろしなのかと思われますが、それほど詳しくは調べてはいません。ソロを除けばテーマは難しくないメロディーで初心者の為のピアノ伴奏のような曲です。前の曲の「Have You Met Miss Jones?」もコンセプトは似ているような感じなので、- 初心者も頑張れば弾けそうな感じもする絶妙なところ - をもしかしたら狙っているのかも。
「The Girl From Ipanema」現代では一般的なスタンダードなボサノバの、この曲も1962年につくられたヒットナンバー。このアルバムの2年前なので、やはり当時のヒット曲も入れました的な選曲ですね。軽やかでポップに中高音のコロコロしたシングルノートでのピアノの音色でのソロ部分は聴きやすくて一層ポップで良いです。
「D. & E.」 ピアニスト John Lewis が書いたブルースナンバーで、1958年の本人のアルバム The John Lewis Piano に収録されているブルースナンバー。ヒットナンバーでは無いと思われるので、Oscar Peterson の何かの思い入れがある曲なのでしょう。
「Time And Again」 ヴァイオリン奏者 Stuff Smith の作品で、1945年に Stuff Smith は Sarah Vaughan を招き録音し、彼女はこの録音がきっかけで Musicraft と契約となった曲です。原曲 Time and Again (Sarah Vaughan) よりも、しっとりと聴かせる乙女チックなピアノに惚れ惚れします。
「Goodbye J.D.」 Oscar Peterson がプロデューサー Jim Davis の為に書き下ろした、なんとも勇ましくアルバムで一番のアグレッシブな曲です。このアルバムで Verve Records を離れるお別れ曲で感謝を締めくくっています。

 ライナーノーツの中で 原田 和典氏は、原盤のライナーノーツに“ピーターソンはナイト・クラブで演奏するとき、よく観客からリクエストを受ける”と書いてあるが、ラスト2曲「D. & E.」「Time And Again」こんなマニアな曲をリクエストするファンはそういない、と鼻息荒く書かれていますが、「Time And Again」は Sarah Vaughan の出世作でもあるので、そんなことも無さそうな気もしますが。原田 和典さま、まあまあ興奮しないで・・
 もう一個気になるのが、アルバム名が邦題では「プリーズ・リクエスト」になっています。”WE Get” を ”Please”にしたか。まあカタカナで「ウイ・ゲット・リクエスト」は無いとは思います。わざわざ邦題つけないでもいいんじゃない?と、このアルバムでも思っちゃいました。どーでもいいことですが・・
 聴きながら、これを書いてて、このアルバムの深みが増しました🎶

piano : Oscar Peterson
bass : Ray Brown
drums : Ed Thigpen

producer : Jim Davis
recorded by : Bob Simpson

1. Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado) / Antonio Carlos Jobim)
2. The Days Of Wine & Roses / Henry Mancini, Johnny Mercer)
3. My One And Only Love / Robert Mellin, Guy Wood
4. People / Bob Merrill, Jule Styne
5. Have You Met Miss Jones? / Lorenz Hart, Richard Rodgers
6. You Look Good To Me / Seymour Lefco, Clement Wells
7. The Girl From Ipanema / Jobim, Vinicius de Moraes, Norman Gimbel)
8. D. & E. / John Lewis
9. Time And Again / Stuff Smith
10. Goodbye J.D. / Oscar Peterson




定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。



  

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