2026年5月13日水曜日

Thelonious Monk / Himself


 1957年に Riverside からリリースされたソロ・ピアノ・アルバムで最終曲のみ John Coltrane, Wilbur Waret とのトリオ演奏が収録されています。全体的には内省的であり、まるで夜更けに一人でピアノに向かっている Monk の音が隣の部屋から聞こえてくるような濃密な空気感と静かな雰囲気がいい。ふと立ち止まる「タメ」、フレーズを分解して再構築したようなカクッとくるようなタイム感、フレーズ、不協和音がソロでピアノ一台になることで、いつもより増強され聴いているうちに呼吸しているような自然な間合いに感じてきます。
 ちなみにソロ作品と言えば、Piano Solo On Vogue (1954)、 Himself (1957)、Alone In San Francisco (1957)、 Solo Monk (1965) があります。


「April In Paris」イントロがまるでベートーベンの運命だと感じるのは私だけだろうか。Count Basie とかが演奏すると華やいだ雰囲気で軽やかになるが、Monk流の調理法では緊張感があります。インパクト大。
「Ghost Of A Chance」 これもスタンダードで優雅に演奏されることが多い曲で、この演奏でも優雅ではありますが、優雅さのあるフレーズを少しづつ断ち切るような独特の緊張感を聞き入ってしまいます。
「Functional」9分を超える Monk のブルース解釈で、この曲では、比較的安定した左手のリズムを刻み、右手の音の選択にはタメが少ないですが、和音の重ね方に重きを置いているように感じ、重みがあります。また、このアルバムと別テイクのソロが Thelonious Monk With John Coltrane  にも収められていて聴き比べると、こっちの方が少し重めのような気がします。
「I'm Getting Sentimental Over Youb」この作品は Bill Evans の Jim Hall との作品 Undercurrent に収録されている軽やかなバージョンが結構好きなのですが、Monk は、格式を持たせてクラシック的にしたり、ラグタイムのようなリズムを入れたりと全く異なる解釈でなるほどです。
「 I Should Care」 1944年に Axel Stordahl, Paul Weston, Sammy Cahn によって書かれたポピュラーソングで3分13秒と短くまとめられていますが、やや誇張の強い表情のつけかたで弾いていて、急ストップと急発進が頻繁に繰り返されますがスイングしているのが素晴らしい。
「'Round Midnight」 誰もが知っている代表曲です。イントロはかなり長めにとってあり、テーマ部分の表情のつけかたにも気持ちがこもっていて、完成度がすごく高い気がします。
「All Alone」1924年に作曲された Irving Berlin によって作曲されたワルツバラードで、Monk にしては、繊細でこじんまりとした曲に解釈しての演奏で、このアルバムのなかでは、最も可愛らしい演奏となっています。
「Monk's Mood」前半は Monk の独奏で2分36秒から、ベースの Wilbur Ware、テナーの John Coltrane の参加です。Monk のタイミングに合わせた Coltrane のサックスはアドリブなので全てが合っている必要性はないんですが、ここは合ってるけど、ここは微妙なズレがなんてことが気になってしまいますが、何回か聴いているうちにどうでも良くなります。ベースは入れなくても成立しているだけに違和感があります。
「'Round Midnight (In Progress)」 CD再発盤のボーナストラックで、「'Round Midnight」を完成させるまでの21分35秒に及ぶ試行錯誤(テイクの重ね、独り言、弾き直し)が収められています。全てが即興ではなく音を探りながら考えている部分もあることがわかり、天才が音を紡ぎ出す苦悩のプロセスを覗き見ることができます。


 Monk のアルバムは陽と陰が割とハッキリ見えると思うんですが、これは陰のアルバムで割と重かったです🎶

piano : Thelonious Monk

producer : Orrin Keepnews
recorded in New York, April 12 and 16, 1957.
 
1. April In Paris / E.Y. Harburg, Vernon Duke
2. Ghost Of A Chance  / Bing Crosby, Ned Washington, Victor Young)
3. Functional / Thelonious Monk
4. I'm Getting Sentimental Over Youb / George Bassman, Ned Washington
5. I Should Care / Axel Stordahl, Paul Weston, Sammy Cahn
6. 'Round Midnight  / Cootie Williams, Thelonious Monk
7. All Alone  / Irving Berlin
8. Monk's Mood / Thelonious Monk
bass : Wilbur Ware
tenor sax : John Coltrane
9. 'Round Midnight (In Progress)  / Cootie Williams, Thelonious Monk

▶ Functional

▶ 'Round Midnight


▶ Monk's Mood

定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。



  

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