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2025年4月22日火曜日

Lee Morgan / Candy


 1958年録音の作品でワンホーン・カルテットでの録音はこれだけ。なんといっても芸術的にどうだとか、あのソロが良いとかいうのとは別の次元の、実にイキな演奏はやっぱり良い。これは他のも聞かなければいかんと思い、この作品を皮切りにその後色々な作品を聴いてきました。Candy 1957、Leeway 1960The Sidewinder 1964Sonic Boom 1967
 とにかくトランペットの発音が品行方正でメロディも含めてダンディな響きで、この録音時はまだ19歳だったということにもかなりの驚きです。ティーンにして、このダンディズムにはおそれいります。全体の構成は軽く軽快であり聞きやすくて平坦でありながらクオリティが平均的に高いので、落ち着いた気分で本を片手に珈琲を飲みながらといったシチュエーションが似合うアルバムではないでしょうか。


 それでは、作品全体をレビューしていきましょう。Candy 甘いメロディーで明るいラブソングです。色々な人に演奏されている曲ですが、1956年の Nat King Cole が、有名なところです。ボーカルものと比較にはならないですが、Lee Morgan のこのバージョンは、後にも愛される名演と言える出来だと思います。2分49秒のトランペット・ソロの出だし4分17秒の違和感も、誰もマネできない天才的なアイデアと感心します。Since I Fell For You 先輩たち Sonny Clark トリオの素晴らしい後押しで、この胴の入った演奏ができるのか、先輩たちに負けてられるかとの演奏なのか、端正な音使いでのトランペット・ソロです。目立ち過ぎずに、これまた、いぶし銀のピアノが実に心地よいです。 C.T.A. は、テナー奏者 Jimmy Heath の作曲した曲です。こういった早いバップは聴いてい楽しい。All The Way は、1957年の映画 The Joker Is Wild (最近のホラーのヤツではありません)の主題歌で、ここら辺は当時の流行りを意識の曲ですが、A&M の誰かの作品群のように商業的で軽くはなく、抒情的に丁寧に作られています。ありです。Who Do You Love I Hope これも映画アニーよ銃をとれの主題歌ですが、実に明るいトランペットのソロが映える良い曲。Personality は、1940年代のポピュラー・ソングで、丁寧なトランペットがテーマ部分でバンドを牽引し、ソロからガラッと表情を変えて雄弁になる対比も素晴らしい。決して若造の吹くトランペットでは無いものが感じられます。All At Once You Love Her リイシュー盤につくボーナストラックです。スリリングな名演が付け加えられています。
 多作な人なのでこの後も多くの作品を残していますが、この頃のLee Morganの状況を見ていたら、前年の18歳でDizzy Gillespie のビッグバンドに参加していました。しかし直ぐに解散、またコルトレーンのBlue Train への参加、Art Blakey のメッセンジャーズへの参加し Moanin ' のレコーディングなどがあります。1957年’58年はミュージシャンの起点となる大事な年であったようです。じっくりと聞きながら「ああジャズっていいな」ってストレートに誰もが感じられるおススメです🎶

trumpet : Lee Morgan
piano : Sonny Clark
bass : Doug Watkins
drums : Art Taylor

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey on November 18, 1957 (#2, 6 & 7) and February 2, 1958 (#1, 3 to 5)
tracks 1-6 originally issued in 1958 as Blue Note BLP 1590.
#7 is a bonus track (not part of original LP) originally issued in 1987 on the first CD issue of this album

1. Candy / Alex Kramer, Joan Whitney, Mack David
2. Since I Fell For You / Buddy Johnson
3. C.T.A. / Jimmy Heath
4. All The Way / Sammy Cahn & Jimmy Van Heusen
5. Who Do You Love I Hope / Irving Berlin
6. Personality / Jimmy Van Heusen And Johnny Burke
7. All At Once You Love Her / Rodgers & Hammerstein

Candy

C.T.A.



  

2025年4月17日木曜日

GRP All-Star Big Band

 

 GRP Records は創立は1972年で元々は音楽プロダクション。オーナーの Dave Grusin、Larry Rosenの頭文字からとった "Grusin-Rosen Productions "の略。知りませんでした。へえですね。設立当初はアルバムのプロデュース業だったのが、1978年にGRPレコード を設立して、1986年に大手のMCAに買収されてからトップ・レーベルの地位を確立。現在は、Universal Music Group (UMG) の Verve Label Group の傘下にあります。


 もともとこのバンドはレーベル設立10周年の創立記念企画で生まれたビッグ・バンドだったようですが、その後も継続し、1992年、1993年で2枚のアルバムをリリースしています。このアルバムの購入動機は1995年発売のビッグ・バンドによるブルースメインの企画盤でGrp All-Star Big Band / All Blues を久しぶりに聴いたら、かなり良かったので、中古CD屋に1992年を発見したので購入しました。1995年以降の発売していません。


 それではレビューしていきます。Airegin は、Sonny Rollins作の Miles Davis / Bags Groove (1957) で有名なスタンダード。リズム隊無しのブラス・アンサンブルがイントロでこれがコンボでは楽しめない良さ。そこからベース・ピアノが曲を形作ってからブラスが入ったテーマに入ります。いきなりテーマに行かないアレンジはカッコ良い。非常に切れの良い演奏はオールスターならではの一流を感じます。Blue Train コルトレーンのブルースでJohn Coltrane / Blue Train (1957) で有名なヤツです。超スタンダードですから耳慣れたテーマで直球ビッグ・バンドのアレンジですが、でっかい音の塊りと塊りがドーン、ドーンとぶつかってくるのが気持ち良い。Donna Lee 大好きな曲です。それほど早くもない演奏かと思いましたが一流ミュージシャンが難なく演奏しているだけで結構早くてスリリングですね。そして、Gary Burton のビブラホン・ソロがいいなあ。Eddie Daniels のクラリネット・ソロが入ると時代が逆戻りするなあ。と思っているとアッと言う間に終わります。続いて Maiden Voyage はまたハンコックの名曲です。このセッションにいてくれたら、また豪華だったとは思いますが、レーベルが違うんですかね。ALL-Star には無理か。Sister Sadie これも原曲もイナセなカッコ良い曲ですね。Horace Silver / Blowin' The Blues Away(1959)ですね。The Sidewinder これも Lee Morgan / The Sidewinder (1964)  の8ビートを取り入れメジャーコードからマイナー・コードの変換が小節の途中で起きる歴史的名曲。トランペット・ソロは Randy Brecker が美味しいとこ持ってって、Tom Scott のサックス・ソロも、かなりのインパクトで足跡残してますし、ここ一発の Alex Acuña のパーカッション・ソロもパンチが効いてます。出演者が、かなり楽しんでます。Seven Steps To Heaven マイルスナンバーで Miles Davis / Seven Steps To Heaven (1963) が元曲になります。元曲はもう少しワイルドな感じですが、こちらはアカデミックな感じの響きになってます。こちらのトランペットソロは、Sal Marquez 私の所有音源ではフュージョンの Murcus Miller / The Sun Don't Lie (1993) にしか登場しない方ですが、さすが All-Star のソリストで、腕は抜群の流暢な爽やかに流れる感じのテクニックを感じる存在感で、かなり長めに出番もらってます。I Remember Clifford 25歳で亡くなった翌年 Clifford Brown ライオネル・ハンプトン楽団で一緒だった Benny Golson が作曲し Lee Morgan のアルバムで発表した楽曲で、トランぺッターのカバーが多い正統派バップ。トランぺッターは Arturo Sandoval この人も私の所有音源では録音少なく、Rod Stewart / As Times Goes By..The Great American Song Ⅱ でアルバイトしてるぐらいですが、ここではまた全般吹きまくりで、高音のキュイーンが好きなヤツで後半多発。良い仕事してます。GRP の層は分厚いです。Footprints これはオリジナル持ってませんでした。Miles Smiles の収録曲です。やっと Lee Ritenour の出番で、ビッグ・バンドの演奏も Lee Ritenour が入る前は普通にビッグ・バンドですが、ギターが入ったとたんに透明感が出てきてフュージョンぽく聞こえます。中盤の Sal Marquez のソロ以降は少し泥臭くなります。中盤過ぎのラテン・リズムのアレンジにして Lee Ritenour の単音バッキングは、ああこれだ、リトナーだと懐かしさ感じます。Manteca ガレスピナンバーで、お祭りになります。選曲も良いですね。全体的にトランぺッター贔屓のような気もしますが。'Round Midnight ベタにモンク作品を入れてくるのが、潔くて良いです。が曲のアレンジは一般的なものと、かなり変えています。アレンジャーは Vince Mendoza という方で、編曲で著名な方のようです。Spain さらに最後はベタなスタンダードで、これも嬉しい選曲。Chick Corea は演奏に参加しないもののアレンジャーとして参加しています。この曲を知り尽くしている方だけあって、本人がいじり倒しています。
 文句なしでビッグ・バンドを楽しめました。上手すぎる演奏とベタな選曲はリスナーを楽しませることに徹しており、大満足です。

piano : 
  Russell Ferrante (1, 2) , acoustic piano solo (1, 2)
  Dave Grusin (3, 4, 11), acoustic piano solo (4, 11)
  Kenny Kirkland (5, 7, 10, 12), acoustic piano solo (5, 10)
  David Benoit (6, 8, 9), acoustic piano solo (8, 9)
guitar : Lee Ritenour (9, 12), electric guitar solo (9, 12)
bass : John Patitucci, bass solo (5)
drums : Dave Weckl, drums solo (6, 7, 10)
percussion : Alex Acuña (4, 6, 9, 10, 12), percussion solo (6, 10)

alto sax, tenor sax, soprano sax, flute : Eric Marienthal, alto saxophone solo (4)
alto sax, tenor sax, soprano sax, flute, piccolo flute : Nelson Rangell, alto saxophone solo (2), piccolo flute solo (3)
tenor sax, alto sax, soprano sax, flute : Ernie Watts, tenor saxophone solo (1, 11)
tenor sax, soprano sax, bass clarinet, flute : Bob Mintzer, tenor saxophone solo (2), baritone clarinet (4)
baritone sax, alto sax, tenor sax, soprano sax : Tom Scott, alto saxophone solo (1), tenor saxophone solo (6)
trombone : George Bohanon, trombone solo (2, 5)
trumpet, flugelhorn : 
  Arturo Sandoval, trumpet solo (8, 10)
  Randy Brecker, trumpet solo (6, 10)
  Sal Marquez,  trumpet solo (7, 9)
clarinet : Eddie Daniels (3, 4),  clarinet solo (3, 4)
flute : Dave Valentin (10, 12), flute solo (10, 12)
vibraphone : Gary Burton (3, 11), vibraphone solo (3, 11)

executive-producer : Dave Grusin, Larry Rosen
producer : Michael Abene
recorded by : Don Murray
recorded January 12, 1992 at Oceanway Studios, Hollywood, CA.

1. Airegin / Sonny Rollins
arranged by Michael Abene
2. Blue Train / John Coltrane
arranged by Tom Scott
3. Donna Lee / Charlie Parker
arranged by Tom Scott
4. Maiden Voyage / Herbie Hancock
arranged by Dave Grusin
5. Sister Sadie / Horace Silver
arranged by Michael Abene
6. The Sidewinder / Lee Morgan
arranged By David Benoit
7. Seven Steps To Heaven / Miles Davis, Victor Feldman
arranged by Russell Ferrante
8. I Remember Clifford / Benny Golson
arranged by David Benoit
9. Footprints / Wayne Shorter
arranged by Bob Mintzer
10. Manteca / Dizzy Gillespie, Walter Fuller, Luciano Pozo
arranged by Bob Mintzer
11. 'Round Midnight / Bernie Hanighen, Cootie Williams, Thelonious Monk
arranged by Vince Mendoza
12. Spain / Chick Corea
arranged By Chick Corea
orchestrated by Peter Sprague



▶ Spain


  

2024年8月4日日曜日

Lou Donaldson / Gravy Train


 Lou Donaldson は Blue Note時代、1952-1963年で17枚、1967-1974念で11枚と数多くのリーダー作を録音しています。現在の私所有音源では、バップ作品は Quartet Quintet Sextet plus five (1954)、Blues Walk(1958) 、Thelonious Monk 作品では Genius Of Modern Music Vol2、Art Blakey 作品では A Night At Birdland Vol1A Night At Birdland Vol2 など、ファンク路線は Hot Dog(1969) です。
 この作品は、1961年の Blue Note 録音、コンガ入りのワン・ホーン・クインテットのバップ作品です。メンバーは1957-1958年に Lou のコンボのレギュラー・ピアニストを務めた Herman Foster、 Art Pepper, Billy Taylor, Quincy Jones, Grant Green, Dexter Gordon, Hank Crawford, Junior Mance, Herbie Mann などサイドマンとして活躍する Ben Tuckerです。ドラムの Dave Bailey は、Blues Walk(1958) でもドラマーを努めていますが、私の所有音源では Grant Green / Green Street(1961)、Curtis Fuller / South American Cookin'(1961)などに参加のドラマー。コンガの Alec Dorsey は私の所有音源に参加はありませんでした。
 このアルバムは淡々とリーダーが気分良くアルトを吹くために、メンバーも特に難しいことはせずに気持ちよく演奏しているアルバムで、特に特徴があるわけではないのが特徴のようです。Gravy Train とは「あぶく銭をもらえる仕事のこと」


 それでは、レビューしていきましょう。Gravy Train は、Lou のオリジナルで、よくあるブルースです。あぶく銭という割には、明るく生真面目な感じで冒険はありません。ピアノソロの和音のみの部分はセンスが良いとは言えないと思います。そんなに固執する必要性はないと思います。ベースソロも無難なところで、盛り上がらずのフェイドアウト。うーん。こんなんだったか? South Of the Border 1曲目で不安になりましたが、この曲で不安は解消です。明るいピアノのリズムと明るいアルトで国境の南はメキシコを意味するのでしょうか、ラテンのリズムとコンガがトロピカルです。Polka Dots and Moonbeamsは、ムーディナナンバーで1曲目のピアノが嘘のように Herman Foster の繊細なタッチのピアノが印象的です。エンディングのアルトのロングトーンが劇場風ですね。Avalon でやっとコンガが存在を示し始めます。無難に卒なくは相変わらずで、ピアノの Herman Foster は、またソロでコード弾きをやっています。乗ってくるとこれなんでしょうね。1曲目よりは全然良いです。Candy は、あの Lee Morgan で有名なヤツです。テンポは若干晩めで、これも朗々とした印象ですが、ピアノの Herman Foster は今回も似たような弾き方ですがファンキーで良いです。 Lou の後半のソロは乗ってきているのが伝わります。Twist time はモロにブルースで、ブルースの演奏だとタイトル曲と同様のアレンジとソロに戻ってしまいます。息抜きタイムのような感じが良い人もいるんでしょうか。Glory Of Love は、どこで聴いたのか耳覚えありますが、同名の曲は持っていませんでしたので何回か聴き直していると、もしかしたら、モンキーズの Daydream Believer にイメージ重ねているのかも
 アルバム全体は可も無く不可もなくですが、敢えて言えばタイトル曲の Gravy Train が今いちかもしれません🎶

alto sax : Lou Donaldson
piano : Herman Foster
bass : Ben Tucker
drums : Dave Bailey
congas : Alec Dorsey

producer : Alfred Lion
recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey, April 27, 1961.

1. Gravy Train (Donaldson)
2. South Of the Border (Kennedy, Carr)
3. Polka Dots And Moonbeams (Burke-Van Heusen)
4. Avalon (Jolson, Rose)
5. Candy (Kramer, Whitney, David)
6. Twist Time (Donaldson)
7. Glory Of Love (Hill)
8. Gravy Train (Alt Take)
9. Glory Of Love (Alt Take)


▶ Candy



  

2024年2月16日金曜日

Yuji Hamaguchi / Going Home


 札幌時代にソロ・ブルース・ギターにのめり込むきっかけとなった濱口祐自。このアルバムはタワレコで初ネット購入したものです。当時、一緒に頼んでいた Blind Blak(ブラインド・ブレイク)が入荷する気配がなく中々届かず、しびれを切らし単独配送に変更して届いたと記録してます。ネット購入より探して買う方が確実で早いパターンもありますが、販売店舗は、閉店、規模縮小されていますので、CD購入の少数派としては寂しい現象です。
 さてこのアルバム、濱口祐自氏のセカンド・アルバムで久保田麻琴が録音/ミックス/プロデュース、細野晴臣、伊藤大地も参加しています。前回のアルバム 濱口祐自 フロム・カツウラ よりライブ感があって、より私の好きな録音です。繊細なフィンガーピッキングと、ここぞという時の粋なフレージングは強烈です。
 当時アコースティック・ギターマガジンでスコアが掲載されていた Mississippi Blues も、録音されていて運命も感じます。私の演奏動画はこちら ➡ Mississippi Blues (muu)
 

 それでは、レビューしていきましょう。Happy Birthday,Mr. Cameraman 氏のフォーク・ブルースっぽい1分10秒のオリジナルです。このアルバムの収録時の撮影カメラマンへのお祝いなのでしょうか。スピードのあるフィンガー・ピッキングが良いですね。Welcome Pickin’~Caravan 氏の定番であるキャラバンは、youtubeに様々なバージョンが公開されています。それと練習パターンをつなげた構成になっているようです。Spring Power これも氏による楽曲で、田舎の春の風景を描いているようなメロディー。Wakinotani 曲名は那智勝浦の地名ですので、この地で弾き続けてきたブルースに地名を付けたものと思われます。この曲も様々なテンポやアレンジのバージョンが youtube に公開されていますのでアルバムで聴く前にチェックしていました。Lucky Train~Freight Train~My Grandfather’s Clock フォークブルースの古典をイントロにして大きな古時計につなげています。おそらくライブではこんな楽しいアレンジがいっぱいなのでしょう。Amaging Grace Slide トラディショナル・ソングのアメグレです。きっと何千回も弾いてきているんでしょうね。いわずもがなの説得感のある演奏。Hangover Shuffle シャッフルのブルースです。ノリ良く弾いているのでボトルネックがバキバキと効果音になっています。The Entertainer フィンガーピッキングで教則本に掲載され、ギタリストの皆さんが通る名曲です。これも名曲です。Thank You,Mississippi は、John Hurt の曲ですね。お手本になります。このような曲を弾かせたら氏は天下一品の世界に通用するギタリストでしょう。Shibinawa Blues この曲名も地名だろうかと検索したけど出てきませんでした。典型的なブルースですが日本的なメロディーラインです。内田勘太郎の即興ブルースもこんな曲調がありますね。Tokyo Summit もはや曲名は何でも良いのでしょう。東京サミットの時にやっていたブルースですね。わかりやすくて、定番のブルース・パターンならではの魅力です。Short Time Minor これも2分9秒の小曲です。マイナーのブルースの練習曲なのですかね。氏の教則ビデオにもカッコ良いと思ったパターンをドンドン複雑に発展させる練習法が掲載されていました。Great Dream From Heaven バハマのギタリスト、ジョセフ・スペンス Joseph Spence の曲でライが・クーダーでも有名な曲です。Gymnopedies No.1 エリック・サティですね。これもライブで良く演奏されているみたいです。氏はブルースマンでありますが、ギターの響きを引き出すギタリストなので様々な引き出しがあります。同一アルバムにあると雑多な感じもしますが、これもまた魅力。Mississippi Blues 大好きな古典ブルースで、低音減とアルペジオの組み合わせが少しばかり変則的なのが面白いブルースです。氏は様々なパターンに変えて弾いているのがまた非凡です。Arigato,Tokie Robinson 誰なんだろうTokie Robinson?曲は「遠きなんとかに日は落ちて~」の下校の時にかかっていた曲ですね4.しあわせ 氏が歌っています。朝が来て昼が来て、潮が引きといった歌詞で、ほのぼのと歌われています。あちらのブルースの歌詞はこんな感じのたわいもない歌詞が多いですよね。自然体です。
 57歳からメジャーになった和のブルース・マン。いや音楽も生き方も、カッコ良い方です。好きなギターを片手に生きている。味のあるこのアルバム愛聴してます🎵

guitar, vocals : 濱口祐自
drums : 伊藤大地 (2,4,5,7,11)
bass : 細野晴臣 (4,7)
bass : 久保田麻琴 (11)

recorded by Makoto kubota and Yoshiaki Kondo at GOK sound

1. Happy Birthday,Mr. Cameraman(Hamaguchi)
2. Welcome Pickin’~Caravan(Hamaguchi~Ellington/Tizol)
3. Spring Power(Hamaguchi)
4. Wakinotani(Hamaguchi)
5. Lucky Train~Freight Train~My Grandfather’s Clock(Hamaguchi~Cotten~Work)
6. Amaging Grace Slide(Trad.)
7. Hangover Shuffle(Hamaguchi)
8. The Entertainer(Joplin)
9. Thank You,Mississippi John Hurt(Hamaguchi)
10. Shibinawa Blues(Hamaguchi)
11. Tokyo Summit(Hamaguchi)
12. Short Time Minor(Hamaguchi)
13. Great Dream From Heaven(Spence)
14. Gymnopedies No.1(Satie)
15. Mississippi Blues(Brown)
16.  Arigato,Tokie Robinson(Hamaguchi)
17. しあわせ(Hamaguchi)

▶ Caravan





  

2024年1月1日月曜日

Bobby Hutcherson / Happenings

 

  まずは、この中身がジャズであるとは想像できない斬新なジャケットに惹かれます。ジャケットを手掛けたのは Reid Miles なるグラフィック・デザイナーで、1956~1967年のBlue Note で400枚余りのアルバムを手掛けていたとのこと。これほどの仕事をしているのに、好きな音楽はクラシックであったとのことで仕事と趣味は別物であったようです。少し調べてみただけで、Reid Miles のお仕事は Cookin' Bags GrooveSomethin' ElseThe SidewinderBlue TrainSoul StationMidnight BlueSearch For The New LandGreen Street・・・・色付け写真、文字のみジャケなど、様々なパターンがありますが一定の法則はありそうな感じです。


 得てしてジャケットに反してイモな音であることも良くあるかと思いますが内容がまた良かった。ボヤボヤしていない輪郭がはっきりした vibraphone のサウンド。これにセンスの良いピアノ・サウンドは Herbie Hancock でした。なので、Maiden Voyage も収録されています。vibraphone と言えば、スイングの Lionel Hampton、モダン化の Milt Jackson ですが、そういった先陣のサウンドを進化させたのが Bobby Hutcherson と言えるのではないかと、このアルバムを聴いていて思います。演奏は脂がのっていますが、サウンドはクールです。
 さてレビューです。 Aquarian Moon は、イントロが始まったと思ったら直ぐに疾走感がありながらも透明感のあるプレイに魅了されます。ハンコックのピアノも絶好調でメロディー楽器で有りながら打楽器でもある両楽器の相性の良さを感じながらもスリリングなプレイは爽快。Bouquet は、どこか抽象的で前衛的な神秘的な楽曲で心に安定感をもたらしてくれます。Rojo はボサノバですが、音使いが不思議な曲です。正しい音使いがあるとすれば、そこから0.5ぐらいズレた音の選択をし続けることによって不思議な感覚が生まれます。Maiden Voyage は言わずもがなのハンコックの持ち込み曲です。1965年にハンコックは発表で、この録音はその翌年です。ハッチャーソンよりも、やはりハンコックの世界観で進行していると感じるので、オリジナルの方が印象としては好いかもしれません。Head Start ここで高速バップで主役はハッチャーソンに戻ります。どこかで聞いたことのあるテーマですが、そこは気にしない。When You Are Near は、ゆったりめのバラードで、vibraphone の、ゆらぎを聴かせるプレイです。The Omen は、怪しいフリーな曲です。Omen は日本語では「前兆」ですが何の前兆なのかを知りたいところ。嵐ではなく何か不思議なことの起こる前兆のようなホラーな雰囲気でした。アルバムの締めをこの曲にするところに芸術性を感じます。
 とりわけ好きな音って訳では無いですが、何か心に引っかかるものを遺してくれる作品でした🎵
 
vibraphone, marimba : Bobby Hutcherson
piano : Herbie Hancock
bass : Bob Cranshaw
drums : Joe Chambers

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder
photography, design : Reid Miles
recorded on February 8, 1966.

1. Aquarian Moon
2. Bouquet
3. Rojo
4. Maiden Voyage
5. Head Start
6. When You Are Near
7. The Omen


▶ Rojo



  

2023年6月17日土曜日

Billy Sheehan / Niacin


 Niacin(ナイアシン)は、Mr Big に在籍のロックベース界の重鎮 Billy Sheehan のプロジェクトで、メンバーはフュージョン、ジャズ、ファンクを中心とした数々のドラム名演を残す Dennis Chambers 、そして私にとっては若干正体不明のキーボード奏者 John Novello で構成されるインスト・バンド。(John Novello は、このNiacinに参加で名が売れたらしいのでそれほど失礼でもない事実かと思われます)フュージョンというよりはほぼインスト・ロックなのでこれはプログレですね。


 これはキーボード奏者の方からの頂きものなのですが、いただいた時は実は「良さがわからず」あまり聴かなかったアルバムでした。しかしながら時間が経てば、趣味趣向は変化するもので違和感のようなものは無くなり「好みである」とは言えないけど「良さがわからない」では無く聴けるようになってきました。
 このアルバムは、トリオ演奏で、キーボード奏者 John Novello がメロディーのメインになっているため、全編にわたりロック・オルガンが延々と続けられています。ここら辺が以前はしんどいかったのが、ジャズ・オルガンも最近は結構聴くようになったせいか今聴いても全くしんどいことはありません。ただロックとして楽しめるかと言えば、派手なこれ見よがしのテクニックオンパレードが良いとは思わないですが、期待としては派手なベースが聞ける方が、この手のアルバムでは楽しいことは間違いと思います。
 アルバムとしての感想はこのようなことになりますが、YouTube動画を検索していたら Blue Note Tokyo でのライブ画像があり、これを見たらぶっ飛びました。スタジオ版とは明らかに違うグルーブ感とテンションです。素晴らしい。これみよがしなテクニックでは Pat Torpey (MR.BIG) jamming with Billy Sheehan の動画もまたこれ素晴らしい🎵

bass : Billy Sheehan
keyboads, organ : John Novello
drums : Dennis Chambers

producer : Billy Sheehan

1. No Man's Land
2. Do a Little Dirty Work
3. I Miss You (Like I Miss the Sun)
4. One Less Worry
5. Three Feet Back
6. Bullet Train Blues
7. Hell to Pay
8. Alone on My Own Little Island
9. For Crying Out Loud
10. Klaghorn
11. Spring Rounds
12. Spring Rounds Squared
13. Pay Dirt
【Bonus Track】
14. Last Ditch Rag





  

2021年8月14日土曜日

本日のCD Little Walter ♪ The Best Of Little Walter


 これぞブルース100%の15曲入りのベストです。ベストと言っても1958年発売ですのでなんと60年以上も前に発売のベストセレクション。
 リトル・ウォルターは、シカゴ・ブルースでハーモニカをアンプリファイドさせた奏法を定着させた人です。ギターのアンプを歪ませたオーバー・ドライブ・サウンドをブルース・ハープに応用して、そのサウンドを武器に Chicago Blues 界に激しくてアーバンなノリの良い Blues を持ち込みました。発表した自身のリーダーアルバムは1964年~1970年で5枚、存命中は3枚と少ないですが数々のセッションでその音は記録されています。
 音楽的に攻め続けたブルース・マンのリトル・ウォルターですが、私生活は酒と喧嘩に明け暮れた38年間という短い人生でした。メチャクチャ短気で喧嘩っぱやかったらしいです。1950年代後半には、暴力的な口論や喧嘩が原因で訴訟により金を払う羽目になったりしていたようですが、1968年2 回目のヨーロッパ ツアーから戻って数か月後、リトル ウォルターはシカゴのサウス サイドにあるナイトクラブでの公演の休憩中に喧嘩に巻き込まれ、彼は口論で軽傷を負っただけとWikiに書いてありましたが口論だけで軽傷は負いません。この喧嘩で受けたダメージが間接的な要因で、シカゴのイースト 54 番街 209 番地にあるガールフレンドのアパートで寝ている間に死亡となりました。死亡診断書に記載された公式の死因は、冠動脈血栓症 (心臓の血栓) と書いてあったらしいです。(ここら辺はもしかしたら捜査がめんどうだという人種差別的な要素があったのか?とも思わせる書き方です)
 最近わかったんですが、ベースのWillie Dixon はこの時代に派閥を形成しているようで数々のアルバムに顔を出しています。このアルバムでもベースが参加する曲は全て Willie Dixon がベースを弾いています。リズム隊としては ギターの Dave Myers と Louis Myers の兄弟ギターはお手本のようなブルースギターで  ドラムのFred Below との息もあっていて素晴らしく、基本的にタイトな演奏は彼らに任せてギタリストがディストーション・ギターであばれる役目を Little  Walter が定番パターンのようです。
 米国に古くから伝わるTraditional Gospel Song「This Train」をWillie Dixonが改作した「My Babe」は最高にかっこよく、これが始まると心躍ります。そしてトラディショナルなロック・ブルース「You're So Fine」デビュー・シングルのヒット・ナンバー「Juke」はテーマ部分のトリッキーなところが気分良い名曲。スイングするインスト「Off The Wall」定番「Tell Me Mamma」はロカ風2ビートのドラムのカツンカツンに乗せて軽いとこが良い
 なにしろベスト盤ですからおいしいとこが揃ってますね。

1. My Babe
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : Leonard Caston, Robert Junior Lockwood
bass : Willie Dixon
Drums : Fred Below
2. Sad Hours
harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below
3. You're So Fine
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below
4. Last Night
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Robert Junior Lockwood
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
5. Blues With A Feeling
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below
6. Can't Hold Out Much Longer
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : Jimmy Rogers, Muddy Waters
drums : Elgin Evans
7. Juke
harmonica : Little Walter
guitar : Jimmy Rogers, Muddy Waters
drums : Elgin Evans
8. Mean Old World
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below
9. Off The Wall
harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below
10. You Better Watch Yourself
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Robert Junior Lockwood
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
11. Blue Light
harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Robert Junior Lockwood
bass : Willie Dixon
drums : Fred Below
12. Tell Me Mama
vocals, harmonica : Little Walter
guitar : David Myers, Louis Myers
drums : Fred Below

▶ My Babe

▶ Juke



muu music webzine

  

2021年6月21日月曜日

本日のCD Kenny Burrell& John Coltrane


 1958年3月7日にニュージャージー州ハッケンサックのヴァンゲルダースタジオで録音されたアルバム。時代的にはケニー・バレルはリーダーアルバムを2枚発売し、第1人者として認知されつつあり、コルトレーンは1957年に、一旦マイルス・バンドを退団しモンクのバンドに加入、9月には初期の代表作 Blue Train を録音、1958年にコルトレーンはモンクの元を離れ、マイルスのバンドに再加入という目まぐるしく色々なセッションを繰り広げている時代です。
 メンバーはバレル (g)、フラナガン (p)、コルトレーン (ts)、さらにチェンバース (b)とジミー・コブ (d) と凄腕メンバーですが、まだ知名度が上がっていく過渡期だったのかすぐに発売せずに4年寝かせた1962年のリリース。4年経って発売した頃にはもはや同じ顔ぶれで新作を制作するのは不可能なほど全員が大物ジャズマンとなっていたので、この顔ぶれは、かなりレア。
 コルトレーンとギタリストの共演はおそらく他にない貴重な録音でこの組み合わせだと、とんでもない化学変化を期待してしまいます。しかし変化というよりは、とてもリラックスした、わかりやすくシンプルなハードバップ・セッションと言えるかと思います。
 本作のバレルとコルトレーンは両者とも良い演奏ですがどこか軽く思える。思うにバレルは安定感のあるキレのある演奏ですがゴリっと弾くような場面は少なく抑え気味。これはフラナガン (p)との相性のような気もします。全体的に平坦になってしまっている印象で、このメンバーならもっと理解できない世界ぐらいまで飛んでいって欲しかったとは思います。
 さて演奏ではなくて、少し気になるのはコルトレーンの「Blue Train」は1957年9月録音で 「Soultrane」は1958年2月録音。本作は1958年3月、録音の最初は 「Freight Trane」で作曲は Tommy Flanagan。train には電車という意味と「ドレスの後ろの長い裾」という意味がある。一方 trane はドイツ語で「涙」の意味ではあるがアルバム名は「Coltrane」とひっかけてあるような気もする。freight train はなら貨物列車だが、なにせ曲名は「Freight Trane」である。ここらへんに言葉遊びみたいな関係があるんだろうか?Blue Train はコルトレーン作曲で曲がありますが、Soultrane はアルバム名で曲はありません。実際に英語を使いう人にとっては train、 trane は実は同義?だとかもありそうだし・・・・
 偶然並んだだけかもしれませんが、なんだか不思議な世界にはまり込んだような感じで、結論は全く出そうにないですね。誰か助けて!!

guitar : Kenny Burrell
tenor sax : John Coltrane
piano : Tommy Flanagan
bass : Paul Chambers
drums : Jimmy Cobb

recorded in Hackensack, NJ on March 7, 1958.

1. Freight Trane
2. I Never Knew
3. Lyresto
4. Why Was I Born
5. Big Paul





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