2023年11月12日日曜日

Lee Morgan / Sonic Boom

 

 1967年4月の録音ですが、発売は1979年と10年以上もお蔵入りしていた作品です。同年のモーガンのリーダー作は The Sixth Sense だけであるが、God Bless The Child、The procrastinator なども Blue Note でお蔵入りになっています。かなり状態も良く内容も録音ですが、同年に7月には John Coltrane が亡くなり、ソウル・ジャズ、フリー・ジャズが混沌としていた時代故に、正統派ハード・バップは売れないと思ってお蔵入りになったのでしょうか?
 この録音で29歳ですが、18歳でリーダー作を吹き込み、33歳の若さで愛人に撃たれて亡くなってしまう Lee Morgan にとっては後期のアルバムとなります。Lee Morgan と言えば ジャズ・ロックThe Sidewinder というヒット作が代表作のように思っていたのが、他のアルバムを聴くにつれ変わってきくる、これも魅力的な作品です。
 ちなみに私の購入したCDは、BLNT999という廉価版のシリーズでジャケットは非常に安っぽい写真が張り付けてあるだけですが、色々なジャケットでリリースされているようなので、これに気を付けて今後の Lee Morgan シリーズの購入が必要ですね。

 

 素晴らしいい録音の立役者としては、テナー・サックスの David Fathead Newman の存在が大きい。テキサス出身のジャズとリズム&ブルースを中心としていて、図太い音はテキサス・テナーとも言われる大御所。Ray Charles が参加していた Lowell Fulson band に1954年からバリトン・サックスのプレイヤーとして参加し、Ray Charles band に1964年まで在籍していたとのこと。ベースは言わずもがなの Ron Carter、ドラムの Billy Higgins はノリ感抜群、Cedar Walton は、音の美しさ抜群のピアノと布陣も申し分ない。何故発売されなかったのか?疑問は深まるばかりです。
 さてレビューです。5曲目の I'll Never Be The Same を除いて全て、Lee Morgan の作曲です。Sneaky Pete のモチーフは聴いたことがありますが直ぐに出てきません。あー悔しい。イントロとテーマは変えてますが、よくあるパターンではあります。なんて悩みながら聴きながら1曲目から Lee Morgan の節回しって、やっぱりカッコ良い。The Mercenary 少し長めの7分11秒。途中のカリプソ・タイプのリズムに変わるテーマが好きです。これを繰り返すのかと思いきや、ソロパートはハードバップ。いぶし銀のテナーソロも良いし各自の仕事はきっちりです。ロン・カーターのベースソロだけ妙に静かな感じで聴きいってしまいました。Sonic Boom 本アルバムのテーマであります。ソニック・ブームとは超音速による衝撃波のことでカッコ良い響きです。曲自体は超音速ではありませんがスピード感がありますが、衝撃波のレベルではないような気もしますが後半になるに連れて熱気を帯びる演奏が良いですね。Cedar Walton が背中をかがめて高速で鍵盤を叩く姿が思い浮かぶようなソロ、つんざく高音のトランペットも良いです。熱量からしても、やはりタイトル曲。Fathead は、ダンスナンバーのような楽しい曲です。昔のテレビドラマのオープニングのような感じでリラックスの曲です。I'll Never Be The Same で、このアルバム唯一のバラード。心温まる演奏でした。Mumbo Jumbo は、トランぺッターが好きなパターンのマンボ。このリズムには、やはり金管楽器ですね。どなたかがウッと言うマンボの掛け声を一回だけやっているのですが、その後出てこないのはご愛敬。最後のテーマぐらいで出して欲しかったな。うん楽しい。
 何故、お蔵入りになったのか、ホント理由が知りたいですね🎵

trumpet : Lee Morgan
bass : Ron Carter
drums : Billy Higgins
piano : Cedar Walton
tenor sax : David Fathead Newman

producer : Alfred Lion

recorded on April 14, 1967. All other tunes recorded on April 28, 1967

1. Sneaky Pete
2. The Mercenary
3. Sonic Boom
4. Fathead
5. I'll Never Be The Same
6. Mumbo Jumbo





  

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