2026年7月26日日曜日

Gregory Porter / Take Me To The Alley


 Motéma Music から、Water (2010), Be Good (2012)、 Blue Note に移籍して Liquid Spirit (2014) そして今作通算4枚目のアルバムです。ジャズボーカルは、コーラスグループとか、女性ボーカルは好んで聴くものの、あまり男性ボーカルには魅かれないのですがこの人は別格です。聴き始めは Liquid Spirit からで、No Love Dying にガツンと心を奪われてから、アルバムを集めさせていただいています。どのアルバムも、浸みわたるバリトン・ボイスが素敵なのですが、私の中では Liquid Spirit が頭一つ抜けた名作に感じ、そのうち、また名作が誕生するものと期待しながらレコード店で定期的にチェックしております。
 週末には、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」に音源持ち込みで、周囲に私好みの音楽を洗脳しているのですが、音楽が趣味ではないご年配女性にも Gregory Porter は「あら素敵な歌ね」と好評をいただいており、自分のセレクトが褒められると何かうれしくなってきてしまいます。特に技巧に優れているように感じさせないのですが、奥のほうからこみあげてくる心に浸みるボイスはやはり素晴らしい。


Holding On Gregory Porter が楽曲提供したイギリスのエレクトロニック・デュオ Disclosure が、このアルバムと同年の2015年に発表した曲で、ダンス・トラックだった原曲をスロウでソウルフルなジャズにしています。アルバムテーマの「人間の弱さと、それでも前向きに生きようとする強さ」つなげる役割。
Don't Lose Your Steam ブルージーでアップテンポ。当時3歳だった息子デミヤンに向けて書いた曲で、「Your engine rolls hot, If the bridges fall down, don't lose your head of steamどんな困難があっても自分の目標や情熱を失うな」というメッセージを込めた応援歌
Take Me To The Alley 柔らかなピアノとコーラスにのせて静かに語りかけるように祈りに近いトーンの曲。協会の牧師であった母親がホームレスや困窮した人たちに食事や寝る場所を提供していたこと、母親から学んだ“弱い立場の人にこそ目を向ける”という教えのが描かれています。「Alley=路地裏)」は、母親が足を運んでいた街の外れや“スラムに近い一角”のイメージ。
Daydream 軽やかなピアノとテナーサックスで、息子がほうきを車や剣に見立てながら、想像の世界で遊んでいる様子を見つめた歌で、これも彼の息子のために書かれた曲。
Consequence Of Love ジャズとソウルを滑らかにブレンドしたアレンジの静かなミディアムテンポ曲。愛によって自分がどれだけ振り回されても、その人を愛する権利のために戦うラブソング。
In Fashion ちょっと毒のある恋愛ソングで、ファッションにこだわり、自分に酔っている恋人とそれに振り回され、なお惹かれてしまう自分がテーマで、独特のリズム感とピアノのリフがレトロでポップな雰囲気を出して、ファッションショーのような浮ついたムード。
More Than A Woman 亡き母ルース・ポーターの、信じがたいほどの愛情と導きに捧げた、晴れやかなバラードで、母として信仰の手本として人生の導き手としてどれほど大きな存在だったかをたたえる歌
In Heaven 作曲者はいとこの Darlene Andrews で、もともとポーター家が、身近な人を見送るときに歌ってきた“家族の歌”とのこと。
Insanity 愛ゆえに理性を失いかけるような心情を描いた、かなりディープなラブソングで、まだ好きなのにうまくいかず、離れた方がいいと頭では分かっていると歌われています。
Don't Be A Fool 直訳すれば「愚か者になるな」ですが、恋に溺れて自分を見失うな、傷つくと分かっている相手に、何度も同じように向かっていくのはやめようといったメッセージ。落ち着いたテンポながら、内側に感情の熱を抱えたアレンジ。
Fan The Flames 「社会的怒り」を表現したハード・バップ寄りのナンバー。Fan the flames  は「炎をあおる」「感情や状況をさらに激しくする」というイディオムで、理不尽な暴力や差別に対する怒りの炎を、あえて消さずに、しかし暴力ではなく強い抗議へと向けよ のニュアンス。2014年のアメリカ・ミズーリ州ファーガソンで起きた黒人青年マイケル・ブラウン射殺事件が背景にあるとのこと。
French African Queen フランス在住のアフリカ系女性に恋する語り手が、彼女に自分の音楽と贈り物を届けたいと願うと同時に、「自分たちは同じ木から生まれた枝だ」と語りかけます。少しおどけたフラーティーな曲調。
Holding On  1曲目の別バージョン
Insanity  Danny Hathaway の娘 Lalah Hathaway を迎えた9曲目の別バージョン

 ラブソング、家族への思い、社会へのメッセージなどさまざまな愛が今作のテーマで、改めて真剣に聴くと濃かったです🎶

voice : Alicia Olatuja, Gregory Porter
organ : Ondrej Pivec
piano : Chip Crawford
bass : Aaron James
drums : Emanuel Harrold
alto sax : Yosuke Sato
tenor sax : Tivon Pennicott
trumpet : Keyon Harrold

producer : Gregory Porter, Kamau Kenyatta
recorded at Sear Sound, New York, NY, September 28 - October 1, 2015.
recorded at Capitol Studio B, Hollywood, CA, October 26 & 27, 2015.
recorded at Wyman Studios, Burbank, CA (13, 14).
recorded at Studio A, Dearborn Heights, CA (13).
recorded at Unit 2 Studio, N. Hollywood, CA.

1. Holding On / Gregory Porter, James John Napier
2. Don't Lose Your Steam / Gregory Porter
3. Take Me To The Alley / Gregory Porter
4. Daydream / Craig Dawson, Gregory Porter
5. Consequence Of Love / Gregory Porter
6. In Fashion / Gregory Porter
7. More Than A Woman / Gregory Porter
8. In Heaven / Darlene Andrews
9. Insanity / Gregory Porter
10. Don't Be A Fool / Gregory Porter
11. Fan The Flames / Gregory Porter
12. French African Queen / Gregory Porter
13. Holding On  Featuring – Kem  / Gregory Porter, Guy Williams Lawrence*, Howard John Lawrence, James John Napier
14. Insanity  Featuring – Lalah Hathaway / Gregory Porter

▶ Holding On





定年退職して延長をしないことにしたので、音楽以外のことをしばらく「ノージョブ定年 NoJobTeinen」と言う別ブログに書いてみることにしました。


  

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