2024年4月14日日曜日

Weather Report / Procession

 
 
 行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」では、フュージョン系を聴かず嫌いの人が多いようなので少しづつ洗脳しようとしているのだが中々うまくいきません。私の青春時代の象徴である Weather Report は特にダメなんですね。私はジャコ中毒のような人なんですが、あそこの住人はジャコが入っているだけで拒否反応を起こしてしまうようです。ベースで自己主張しすぎるなどと言われていますが、ジャズ・ミュージシャンなんて自己主張の塊りみたいなもんですから嫌いな理由の後付けですね。このアルバムはジャコが入っていないので拒否反応は無かったのですが、途中で飽きたそうで店で完走はできませんでした。
 さて、このアルバムは Weather Report のJaco Pastorius ➡ Victor Bailey, Peter Erskine ➡ Omar Hakim 第4期の最初のアルバム。ドラムの手数は増えている感じで、隙間が好きな人にはどうかと思いますが、私的には聴きごたえあり。ベースの Victor Bailey でジャコとは違いますが、フレットレスでもありジャコ的フレーズは結構見受けられるかと思います。またThe Manhattan Transfer(マントラ)も Where the Moon Goes に参加しているのも嬉しい要素であります。ウェザーのコンサートに予告なくマントラが登場することも度々あったらしいですが、アルバムで聴けるのは、これだけのようです。ちなみにジャズの器楽曲のアドリブ・フレーズに歌詞をつけて歌うというジャズ・ヴォーカルの手法をヴォーカリーズというらしい(初めて知りました)


 それではレビューです。始まりはタイトル曲からで. Procession  は Josef Zawinul 作)。シンセの効果音で始まります。タイトルの直訳は「行進」「行列」です。ライナーノーツの成田正氏の解説では、ジャケのイラストのトラックに乗っている新生WRの面々が、この世界を行進しながら、平和を祈願するといったコンセプトのようです。曲調としては像の爆走みたいな感じで平和の祈願は感じられないですが、R&R、シャッフル、4ビートが混在するサウンドはザビヌルが「いわば、ブギウギマーチだよ」と語っていたとか。 Plaza Real はWayne Shorter 作は、彼らの狙いは「モダン・タンゴ」とのこと。シンセの音がアコーディオンっぽいと思ったら本物の楽器を使用していました。私にはタンゴに聞こえませんが雰囲気はあるかもしれません。ザビヌルはオーストラリア時代バンドでアコーディオンをプレイしていた経歴もあるそうです。Two Lines  は Zawinul作の軽快なフュージョン。Victor Bailey のベースは明らかにジャコの影響を受けているのを感じますが、小技はジャコと一線を画すつくりの好演です。Omar Hakim の隙間の無いドラムも良いですが、行きつけの「おでんバー」の方達はここらへんで飽きてきた模様。Where the Moon Goes は Zawinul 作曲, l歌詞は Nan O'Byrne and Zawinul) となっていて、ここでマントラの登場です。マントラのコーラスには後半ボコーダー処理がされていてトロピカルな第3世界的なサウンドです。ショーターのソプラノが世界観を広げています。最後にバードランド的なアレンジの大団円で満足。The Well は Shorter, Zawinul の共作。1980年の名古屋公演の心象を書きだしたシンフォニックな作品です。かなり大真面目に取り組んでいると思われる大作。最後のMolasses Run は Omar Hakim 作品で、結構トリッキーです。ギターとボイスも Omar Hakim が担当しているとのことで、かなり気合の入った作風でした。
 WR作品は、どれもきっちりと作りこまれた作品ですので、この作品にも大変満足で聴きやすく入りやすいところも中々捨てがたい良作でした🎵

keyboards : Josef Zawinul
bass : Victor Bailey
tenor and soprano saxophones : Wayne Shorter
drums, guitar, vocals : Omar Hakim
percussion, concertina : José Rossy

additional musician
vocals : The Manhattan Transfer (4)

producer : Zawinul

cover artwork : John Lykes

Studios: The Power Station, New York, N.Y.
Universal Recording, Chicago, Ill.
The Music Room, Pasadena, CA.
Fantasy Studios, Berkeley, CA.
and The Sound Castle, Los Angeles, CA.
recorded 1983

1. Procession  (Josef Zawinul) 
2. Plaza Real  (Wayne Shorter)
3. Two Lines  (Zawinul) 
4. Where the Moon Goes (Zawinul, lyrics by Nan O'Byrne and Zawinul) 
5. The Well (Shorter, Zawinul)
6. Molasses Run  (Omar Hakim) 





  

2024年4月13日土曜日

Miles Davis Live '58 Sessions Featuring Stella by Starlight


 どうやらマイルスの収集家からは評判がよろしくなく、マイルスを聴き始めた方からは素晴らしいとの評価が2分されているようです。
 理由としては、日本で編集され好評だった「1958 Miles」と、音質が余りよろしくないが名盤ではある「Jazz at the Plaza Vol.1」の合体版であることのようです。おそらく新しい盤が出たので購入したものの、もう既に持ってると憤慨した方からは騙された感が強いのではないでしょうか。発売する国によってボーナストラックやジャケットが違うなんてこともあります。私は中身は余り吟味せずにジャケ違いをしますので、どこかで聞いたことあると思ったら内容は一緒でジャケットだけ違うなんてことはよくあります。
 このアルバムに関しては、別のアルバムとして成立するかと言えばそうではなく、アルバムを2枚足して2曲差し引いただけのようなので購入をじっくり検討される方はそこら辺を覚えておいていただければ役に立つことかと思います。


     そんなマイルスのオムニバス、既に所持している音源が多数ですがレビューしていきます。 On Green Dolphin Street これは1958年のマイルスの代表的録音です。既に Miles Davis & Bill Evans / Complete Studio & Live MastersMiles Davis / This is Miles! Vol 1 Acoustic Side にも収録。わかりやすくいかにもジャズでカッコ良い録音です。Bill Evansビル・エバンスのイントロから始まり、直ぐにマイルスがテーマを吹きソロに突入。ドラムの音量が極端に低いですね。Fran-Dance これも Miles Davis & Bill Evans / Complete Studio & Live Masters に収録。1958Miles は持っていないですが購入の必要は無さそうです。これは当時の妻フランシスへのオリ時なる曲で、軽やかに楽器が歌うようなメロディーで控えめなエバンスのピアノと思想はマイルスにうってつけなのかもしれない。「星影のステラ」ではマイルスのメロウな表現技法がこれでもかとみせつけられる。ランデブするエバンスと控えめながら自己主張しそうなコルトレーンの演奏も面白い。Stella by Starlight は、日本人の好きな曲ですね。私も大好きです。これも Miles Davis & Bill Evans / Complete Studio & Live Masters に収録。やはり58年のマイルスの演奏は品格と味があります。Love For Sale これも Miles Davis & Bill Evans / Complete Studio & Live Masters に収録。コンプリートですからね。当たり前です。マイルスが適度に崩しながら演奏して、サックス陣が切り込んでくるところに醍醐味を感じます。王道の曲の展開ですがやはり非凡。 Straight, No Chaser ここから Jazz at the Plaza Vol.1 ですね。このアルバムは聴きこんでます。音質が悪いと思ったことはあまりなかったように思いますが、そう思って聴くと確かにホールの残響が強すぎて敢えて録音を意識しなかったことがわかりますが、この Straight, No Chaser はやはり印象的です。派手にぶちかまして客を煽る心意気に乾杯の気持ち良い演奏です。My Funny Valentine これも名演の多い曲ですがJazz at the Plaza Vol.1 の演奏も名演です。厳かな雰囲気から始まり録音が悪いことから更に曇った音のマイルスのトランペットが、音量がマックスになると華が開いたかのように聞こえるのがたまりません。Oleo 久しぶりに聴きましたが、これも完全に観客を意識した演奏で良いんですよね。これでもかとぶち込んでくるソロ合戦が最高です。
 確かに新たに購入する必要はなく特別な特典も無い曲順に工夫も無いアルバムではありました。しかし改めて58年のマイルスの名演を確認できたので良かったです。でも中古で購入でなかったら後悔してたかも🎵

trumpet : Miles Davis
alto sax : Cannonball Adderley
tenor sax : John Coltrane
piano : Bill Evans
bass : Paul Chambers (3)
drums : Jimmy Cobb

1. On Green Dolphin Street
2. Fran-Dance
3. Stella by Starlight
4. Love For Sale
5. Straight, No Chaser
6. My Funny Valentine
7. Oleo



▶ Oleo


  

2024年4月12日金曜日

Mad Finger / Another Chapter


 チェコのアシッド&ポップ・ジャズバンド。2001 年にチェコで結成、Easy(2005)、Secret Message(2008)をリリースし3rdとなるのがこのアルバムで、往年のアシッド・ジャズ・サウンドを彷彿とさせてくれます。スティービー・ワンダー(SW)の影響を受けたことが丸わかりなボーカルが、ここまで上手ければ、節回しとか少しアレンジすればオリジナルな本物になれるレベルなのに若干残念。と思ってしまいますが、Liveでは、それほど似ていない。(動画みてください)
 また、このアルバムメンバーの気合いの半端ない入り方を感じ、ハイクオリティな演奏力、完成度の高い楽曲ですが、何かが足りないような気もするのは、やはり上手すぎるボーカルが原因なのだろうか。


 それでは、褒めながらも、ちと厳しいことも書いてしまったアルバムのレビューです。最後の As を除いて全曲 ボーカルの Martin Svátek 及び Mad Finger の自作曲となっています。Still インコグ的な完成度の高い楽曲で文句なくカッコ良い。アルバムの掴みとしての役割は充分果たしています。ギターソロに入ったと思ったらきれいに終わるところも斬新。Another Chapter タイトル曲で、ボーカルのSW っぽさが顕著に出ているところばかりが気になってしまいます。グルーブよく売れ線と言えば売れ線ですかね。Are You Ready しっとりめの聴かせる曲です。ベースラインの力強さが曲をタイトに締めています。I´m Wondering ボーカルと言うより曲のアレンジ自体が笑えるくらい SW が入ってます。演奏は申し分ない。Try エレピのイントロがまたSW、そしてボーカルが入ってくるとまたまた。 Stop It ボーカルから入ってくるイントロとザグッ、ザグッと歪んだギターがアクセントを入れるところが面白い。曲自体はヒップホップ要素を入れながら、ゴスペル的なコーラスを入れるなど、アルバムの中では曲の完成度は低い感じはするけど、こういった実験的なところがオジサンは好感です。Bittersweet オールドな感じでアコースティックな響きの曲です。実力派ロックバンドがバラードをやるとこんな感じって感じがします。You Remind Me また SW です。少し変えると凄くオリジナルで良い曲に変わるかと思います。This Goes Out 落ち着いた感じで聴いていると、少しづつ心に響いてくる曲です。The Last Song アコースティックギターから始まる爽快感のある楽曲でテイストを変えてきました。ストリングスも入ってますね。聴いたことも無い曲なんだけど懐かしさがあります。と思って聞いていると、ストリングスの入ったブレイクが日本の歌謡曲っぽいのか。Summerjam Party ラテンっぽいノリもありインコグっぽいですが、単純にこのノリは大好きです。I´m Movin´ On は、マービンゲイなのかと思っていたら違いますね。関係ないようです。サウンドはブラコンですが、昔のブラコンのようなドラマチックな感じには仕上げていません。昔のソウル寄りかな。As は、本家 SW の曲です。心置きなく SW をやってください。って感じで楽しそうですね。これは日本版のボーナストラックのようです。
 聴き直すと、もっと評価が変わってくるかと思いましたが、そのまま SW を感じるということばかりが印象に残ってしまうのが残念なんですが、このサウンドは大好きなんだよなあと言う複雑な心境になってしまうアルバムです🎵

lead vocals : Martin Svátek
keyboards : David Walter
guitar : Viktor Jerman
bass : Radim Genčev
drums : Ondřej Pomajsl
sax : Matouš Kobylka, Radek Kašpar (13)

produced by Radim Genčev and Madfinger (2009-2011)
recorded at Studio Svárov, MHS Jan Tulenko, Studio Dema, RG Home studio

1. Still
2. Another Chapter
3. Are You Ready
4. I´m Wondering
5. Try
6. Stop It
7. Bittersweet
8. You Remind Me
9. This Goes Out
10. The Last Song
11. Summerjam Party
12. I´m Movin´ On
13. As

▶ Still




  

2024年4月7日日曜日

Tommy Flanagan Trio featuring Kenny Burrell / Beyond The Bluebird

 

 2001年11月16日に他界した Tommy Flanagan の Kenny Burrell をフューチャーした作品で、録音は1990年オランダで、レーベルはTimeless。タイトルの Bluebird は、二人の出身であるデトロイトで、多くの仲間とセッション繰り広げていたジャズ・クラブの名前で、二人の若き日の思い出と明日への情熱を伝えるいがこもっているのでしょうか、リラックスし肩の力が抜けた円熟味溢れる内容となっています。
 支えるメンバーのベーシスト George Mraz は、77年の Eclypso からのパートナー。ドラムは録音当時32歳の若き名手 Lewis Nash で、ベテランならではの演奏ではありますが古臭くはない充実の仕上がりです。
 プロデューサーはトミフラの奥様の Diana Flanagan ですね。仲の良いご夫婦です。


 それではレビューしていきましょう。Bluebird とりあえずブルース・セッションして曲名をつけるのに何にしようかと思ったら、原点の Bluebird がいいじゃね的なのりなのでしょうか。ベテランの二人が凄腕の若手とセッションすれば素晴らしいものが出来上がる典型です。楽しそうです。Yesterdays フラナガンのピアノソロから始まります。イントロが終わり太めのバレルのギターが入るとゾクッとします。噛みしめるように弾くバレルのギターにフラナガンが手を止めて聴き入り、また今度はフラナガンの独奏となり中盤からドラム・ベース参加です。これもカッコ良いなあ。50-21 ミドルテンポの4ビートで、ザ・ジャズって感じです。フラナガンが、弾きまくってからホイっとバレルにソロを譲る間が良きかな。バレルもホイっと受け止めます。ベースソロもこいつは良かった。Blues In My Heart バラードになります。これも外せないですね。ギターの音も、箱なり感が強めだけどそれも良い。 Barbados イントロはラテン系でギターとピアノのユニゾンが決まってます。決まったら楽しそうです。そして直ぐにブルースで切り替え。これやりたいですね。Beyond The Bluebird 再度 Bluebird の冠の曲が登場と思ったら、これが本命。モンクっぽい出だしだが、出だしだけでした。メロディーと展開はノスタルジックですね。少し暗めですが曲のつくりは確かに凝っているような気もするが、テーマ曲って感じでもないような気もする。Nascimento 跳ねるように明るい曲です。フラナガンが珍しく音を強引に詰め込んでリズムをとってるような弾き方が印象的で、珍しく力が入っているような気がします。The Con Man 昔風高速バップです。勢いがあって大好きです。Something Borrowed Something Blue 何か借りたもの、なんかブルーってタイトルですかね。何を意味してるんだろう?フラナガンの曲となっています。とてもな馴染み深いようなメロディーが素晴らしい良い曲です。Bluebird After Dark またもや Bluebird が曲名になってます。これはケニー・バレルの作曲となっています。とても若々しい曲でテーマはギターならではの音階のものですね。ピアノでは弾きづらそうです。
 イメージ通りにレジェンド二人の共演が心底楽しめる内容となっています。刺激は少ないかもしれませんが良いアルバムに間違いない🎵

piano : Tommy Flanagan
guitar : Kenny Burrell
bass : George Mraz
drums : Lewis Nash

producer : Diana Flanagan

recorded April 29 and 30, 1990, at Studio 44, Monster, Holland.
 
1. Bluebird
2. Yesterdays
3. 50-21
4. Blues In My Heart
5. Barbados
6. Beyond The Bluebird
7. Nascimento
8. The Con Man
9. Something Borrowed Something Blue
10. Bluebird After Dark





  

2024年4月6日土曜日

Bluey / Leap of Face


 現代アシッドジャズの大御所 Incognite(インコグ)の総帥の Bluey。本名 Jean-Paul"Bluey"Maunick(ブルーイ)の初ソロアルバムです。ビッグ・ネームな人だけにながらソロは出していなかったことは少しビックリです。
 いつものインコグのサウンドではなく、ソウル、ダンスクラシックス、クラブ、ブラジリアンなどインコグに食傷気味になっていたらこれも良いかもしれません。そして全面にブルーイがボーカルをとっているのは珍しく、都会的な音楽性に変わりはないですが、いつもの売れるであろう商業的音作りではなく温もりや素朴さのようなものも感じます。


それではレビューです。Stronger タイトに弾かれるベース・ラインに合わせて淡々と進行するメローなサウンドとムーディなコーラス。スティーリーダンとマービンゲイが出会ったような音楽とはまさにその通りのライナーノーツ解説。Got To Let My Feelings Show は爽やか路線の曲ですがインコグ路線ではあります。若々しいポップス歌手のような歌声にはニヤけます。Ain’t Nobody’s Business But My Own は、ハウス手法での音作りですが、そこはブルーイのこと仕掛けは満載だろうと思いながら聴いていても結構、普通に終わります。 Take A Chance On Me そうです。これがインコグっぽい感じです。安心してしまいます。ボーカルも良い感じ。If You Really Wanna アコースティックに軽ーく作った感じがします。これをベースにホーンを入れて豪華に作りこむとアーなるのかと想像を掻き立てられる曲です。Live Like A Millionaire なんとモータウンっぽい感じ。これは新しい感じですね。 Keep Myself Together me メローでミディアム・スローのカーティス・メイ・フィールド風ボーカル。Sky インコグでも聞いたことのあるような気はするが気のせい?のボサノバ。 Why Did I Let You Go これはインコグのパターンですね。安心安心。Leap Of Faith はコンガにのせてインコグ風ですが少し怪しい感じが素敵な曲です。朗読系ボーカルですか。なるほど。Elevate The Feelin’ 最後はひねりも無く、優しくミディアムテンポのアーバンソウルで締めですね。
 音楽とは関係ありませんが、濃いなあ 濃い顔のジャケだなあと思っていたら、得意先に、そっくりな人がいたので、飲みに行った時に写真見せたら本人にもバカ受けでした(もちろん日本人)🎵

guitar, instruments : Jean-Paul "Bluey" Maunick
acoustic guitar, instruments : Richard Bull
Dominic "Ski" Oakenfull (3)

recorded at Livingston Studios, Primaudial Studios, The House Of Love, Higher Ground Studio

1. Stronger
2. Got To Let My Feelings Show
3. Ain’t Nobody’s Business But My Own
4. Take A Chance On Me
5. If You Really Wanna
6. Live Like A Millionaire
7. Keep Myself Together
8. Sky
9. Why Did I Let You Go
10. Leap Of Faith
11.  Elevate The Feelin’





  

2024年4月5日金曜日

Earth Wind & Fire / I am


 オープニング・ナンバー「In the Stone(石の刻印)」がヨハネの黙示録の基にした楽曲なので邦題は「黙示録」となっています。
 もちろんかなり売れたアルバムで、収録されている楽曲も素晴らしくのですがベスト盤には入らないマイナーな曲も秀悦な曲が多いのが特徴です。ディスコティックでスペーシーな印象があるアースですがブギ・ベースの曲をとりれたことにより、ポップなサウンドにもなっていることかと思います。シングルカットは3曲で、In the Stone、After the Love Has Gone、Boogie Wonderland で、 AORで著名な David Foster 作曲の After the love has gone は、リズムよりも曲を聴かせる楽曲で、このアルバムのアクセントとなっています。セッションメンバーには、TOTOからスティーヴ・ルカサーとスティーヴ・ポーカロが参加しているのも聞きどころ。


 それでは久しぶりに聴くアルバムとなりますが、過去擦り切れるほど(CDは擦り切れませんが)聴いたアルバムを再度聴きながらレビューしていきます。In The Stone 出だしのホーンアレンジが懐かしいです。バンドでコピーしたことありますね。インストでしたけど。これぞアースのアレンジとポップでファンクな楽曲でギターのカッティングの勉強になりました。Can't Let Go これもテンポ上げ気味のクールな楽曲。イントロのアレンジも凝ってます。楽曲に入ると安定の踊れるテンポとディスコ・サウンド。ファルセットのコーラスは今聴いても素晴らしい。After The Love Has Gone は、前述のAORで著名な David Foster 作曲。ゴージャスで憂いのあるメロディーがとにかく秀悦な作品です。Let Your Feelings Show 邦題は「天空に捧ぐ」で何か大袈裟な感じますが、いつものアース・アレンジのファンクで、ホーンアレンジとコーラスの絡み方が聴き手を高揚させてくれます。Boogie Wonderland これは流行りましたね。当時の踊りに言っていたら1日に数回かかるヘビロテだったことでしょう。ズンズンと突き上げるリズムパターンは、誰もが足でリズムをとってしまいます。コーラスは女性グループの The Emotions(エモーションズ)で、パーツは単純なのですが、盛り上げる組み合わせと展開です。Star ミディアムなテンポとモータウン風の楽曲で爽快。Aメロ、Bメロはよくあるパターンですが、サビのメロディで豪華な感じになり、終盤の昔風ファンクのソロ大会は更に盛り上がります。Wait バラードです。改めて聴いても、楽曲の配置も絶妙です、上げて上げて聴かせて落ち着かせて上げてよく考えられています。Rock That! インストのファンクですね。完全に私の大好きなスペクトラムの元ネタ、そのままですね。ギターにはこの曲は Steven Lukather が参加しているはずなので注意して聴いていましたが、ギターソロは1発目はおそらく違いますよね。後半のバッキングとオブリガードを混ぜた部分だけの控えめな参加でしょうか。You And I 綺麗にアルバムをまとめる楽曲を作ったって感じです。
 私の大好きなスペクトラムのメンバーも、このアルバムを聴きこんでいたことは必至の名アルバムで、これは何時までも色あせないサウンドで楽しめます🎵

vocals, congas, percussion : Philip Bailey
keyboards : Billy Myers, David Foster, Eddie Del Barrio
piano, synthesizer : Larry Dunn
synthesizer : Steven Porcaro
guitar : Al McKay, Johnny Graham, Marlo Henderson, Steven Lukather(8)
bass : Verdine White
drums : Fred White
vocals, drums, kalimba : Maurice White
percussion : Paulinho Da Costa, Ralph Johnson

alto sax, tenor sax, baritone sax : Don Myrick
sax : Fred Jackson Jr. , Herman Riley, Jerome Richardson
tenor sax : Andrew Woolfolk
trombone : Benjamin Powell, William Reichenbach, Garnett Brown, George Bohanon, Louis Satterfield, Maurice Spears
trumpet : Bobby Bryant, Jerry Hey, Michael Harris, Oscar Brashear, Rahmlee Michael Davis, Steve Madaio
french horn : Barbara Korn, Marilyn Robinson, Richard Perissi, Sidney Muldrow
harp : Dorothy Jeanne Ashby
timpani : Richard Lepore

cello : Daniel Smith (4), Delores Bing, Jacqueline Lustgarten, Jan Kelley, John Walz, Kevan Torfeh, Larry Corbett, Miguel Martinez (2)
viola : James Ross, Laurie Woods, Linda Lipsett, Marilyn Baker, Rollice Dale, Virginia Majewski
violin : Anton Sen, Sherman Bryana, Carl LaMagna, Cynthia Kovaks, Gina Kronstadt, Haim Shtrum, Harris Goldman, Henry Ferber, Henry Roth, Ilkka Talvi, Jack Gootkin, Jerome Reisler, Jerome Webster, Joseph Goodman, Joseph Livoti, Judith Talvi, Leeana Sherman, Marcy Dicterow, Pamela Gates, Pavel Farkas, Ronald Clarck, Rosmen Torfeh, Sheldon Sanov, William Henderson (2)

producer : Maurice White

recorded at Hollywood Sound Recorders, Sunset Sound Studio and Davlen Studio, Los Angeles, CA.

1. In The Stone
2. Can't Let Go
3. After The Love Is Gone sax : Don Myrick
4. Let Your Feelings Show
5. Boogie Wonderland vocals : The Emotions
6. Star trumpet : Rahmlee Michael Davis
7. Wait
8. Rock That
9. You And I





  

2024年3月31日日曜日

The Profile / Sands Of Time

 

 CDレーベル P-Vine の発売する Return Of Jazz Funk の「エンカウンター バーナード・バーディのお仕事場編」の一枚。Return Of Jazz Funk はオムニバスのシリーズだけかと思っていたら単体でも販売しているようです。改めて見返してみればオムニバスには、Return Of Jazz Funk Special とスペシャルの文字ですから、本流は単体の発売のようです。
 ちなみにエンカウンターは、Gatefold / Bernard Purdie の短命レーベルEncounterのことで、発売したレコードの年を見ていると、おそらく1973年の一年だけ活動の模様。
 ドラマーの Bernard Purdie は、あまり着目してこなかったので名前を知らなかったドラマーですが bernardpurdie.com を見てみると、芸名は Bernard Pretty Purdie 世界で最もレコーディングをしたドラマーで、Aretha Franklin, James Brown, B.B. King, Oates, Steely Dan などの作品に出演しているとのこと。私の所持音源を調べてみると驚くほどの参加率でなるほど世界で最もレコーディングをしたドラマーの別名は伊達ではありません。Roberta Flack & Donny HathawaySteely Dan / AjaHerbie Hancock / Fat Albert RotundaCornell Dupree / Teasin'Aretha Franklin / Young, Gifted And BlackAlice ClarkAretha Franklin / Live At Fillmore WestAretha Franklin / Amazing Grace The Complete RecordingsRichard Groove Holmes / Night GliderNina Simone / Silk & Soul


 さて、全部聴いてきましょう。99Baseball バロンズの「99ベースボール」からの記述を見かけたので調べてみました。おそらくアメリカのアラバマ州のバーミンガムのマイナーリーフ Birmingham Barons のことでしょうか。99が誰かの背番号かとも思いましたが、よくわかりませんでした。曲は簡単にノリの良いファンクで、とてもキャッチー。Let's Stay Together は、ソウルシンガー、Al Green の楽曲のカバー。原曲が良いのでアレンジしやすい感じです。Here's That Rainy Day は、Jimmy Van Heusen のスタンダードで、今までのファンク路線からグッと変えて、スローなオルガン・ジャズ。53年のミュージカル用に作られたものであるとのこと。Shaft は再びファンク路線で、Isaac Hayes の楽曲で、スタジオ・ミュージシャンとしては数多くの作品を残したがソロではあまり売れなかった人らしい。People Make The World Go Round は、The Stylistics ですね。せつないメロディーの曲の展開が素晴らしい。元曲の良さもありますが、かなり好きです。 Had A Dream 作曲者は Robert Bushnell となっていて、ジャズ・ソウル・ジャズ系に名を見る方らしい。残念ながら私の所有音源ではヒットせず。短めのソウルをインストアレンジした作品にしています。By The Time I Get To Phoenix 白人シンガー・ソングライターのJim Webb 作品で、King Curtis、Stevie Wonder にも取り上げられている曲のようですが私は今回初でした。
 ポピュラー・スタンダードなソウルを、きっちりアレンジしたインスト・アルバムで音源としては良質な音源でした。惜しむらくはインパクトは、あるようでない🎵

organ : Don Sands
guitar : Dave Barron
bass : Paul Martinez
drums : Bernard Purdie, Butchman Bateman
percussion : Norman Pride
tenor sax : Seldon Powell
trombone : Garnett Brown
trumpet : Jimmy Owens

executive producer : Lloyd Price
producer : Bernard Purdie

recorded in NY, 1973

1. 99 Baseball
2. Let's Stay Together
3. Here's That Rainy Day
4. Shaft
5. People Make The World Go Round
6. Had A Dream
7. By The Time I Get To Phoenix





  

2024年3月30日土曜日

David Sanborn / Here & Gone


 ギラギラしたフュージョンではなくムーディなサウンド、ジャズというよりはブルース系4ビートやビッグ・バンド風のサウンドを基調としたアルバムです。注目は、参加ミュージシャンで、ギターは Russell Malone、Derek Trucks、ボーカル、ギターで Eric Clapton、ドラムは全面 Steve Gadd の人気アーチストが華を添えています。そっちに注目しがちですが、もちろんサンボーン節のサックスは健在で、フュージョン時代のように尖らず、わかりやすい R&B 色が強いので、とても聴きやすいアルバムとなっています。
 プロデュースは30年ぶりの David Sanborn(メロウ・サンボーン 巨匠 Phil Ramone で、1959年、レコーディング・スタジオ「A&Rレコーディング」を立ち上げ、革新的な技術を積極的に用いるレコーディング・エンジニア、音楽プロデューサー。4トラックレコーダー、映画の光学式サラウンド音声、デジタル録音技術などがあり、A&Rスタジオでは初の一般販売用コンパクトディスク(CD)が製作されたそうです。
 

 それでは、ご機嫌なアルバムを再試聴しながらレビューをしていきます。St. Louis Blues は、W C Handy による名曲で、ムーディにググっと渋い演奏です。リラックスしたビッグバンドの演奏をバックに、自然体のいつものサンボーン節がたっぷりで素晴らしい。次はBrother Ray で、ギターの Derek Trucks が前面に押し出された作品で、もう既にギターと言う楽器の音を飛び越えた演奏で控えめではあるのに注目して聴いてしまいます。ある音域ではサックスの音色と寄り添うかのように、むせび泣くギターは極上です。次いではクラプトンの登場で I'm Gonna Move To The Outskirts Of Town。ジャジーなブルース演奏にボーカルは聴きなれた、あの声です。ギターはプリンとしながらギラっとしたノーマルなストラトの音でオブリガード主体でボソボソ弾いているのがまた渋い。バックの演奏でギターでひたすら4ツを刻んでいるのが Russell Malone かと思うとこれはまたゴージャス。Basin Street Blues ここからはサンボーンが主役となります。前の2曲はどうしてもギターとボーカルに注目してしまいますので、ナチュラルにサックスの音が楽しめるのですがバックの演奏も途中で拍をずらして前にのせたビートにしたり聴き飽きない仕掛けがにくい。Stoney Lonesome も、普通にビッグバンドなのですがソリスト・サンボーンが、するっと吹いている感じが凄く自然です。Russell Malone のギターソロも短いですが、いぶし銀です。 I Believe It To My Soul は、Ray Charles の楽曲で Joss Stone のボーカルが迫力あります。どんな貫録のある黒人のオバちゃんかと思って検索してみたら白人の綺麗な女性でしたので若干驚き。What Will I Tell My Heart は Irving Gordon, Jack Lawrence, Peter Tinturin によるスタンダード。R&B が濃くなってきたのでジャズ方向に修正です。Ella Fitzgerald が歌ってたバージョンも好きです。Please Send Me Someone To Love は Percy Mayfield のブルースナンバーです。ここらへんはサンボーンのサックスとしっくりときますね。しかしなんてことない曲でもサックスを聴いてこの人とわかるサンボーン節は凄い。I've Got News For You はボーカルに Sam Moore で大団円の楽曲。
 いや、ゴージャスでエンターテイメント性に優れるアルバムで楽しいアルバムです。たまに聴くよりは、もう少しヘビロテにしたいと改めて思い、保管は良く聴く棚に移動します🎵

alto sax : David Sanborn
electric piano , organ : Gil Goldstein (1 to 4, 6, 8)
organ : Ricky Peterson (2, 6, 8, 9)
guitar : Russell Malone、Derek Trucks(2), Eric Clapton(3)
bass : Christian McBride
drums : Steve Gadd
baritone sax : Howard Johnson (3)
tenor sax : Lou Marini
trombone : Mike Davis
trumpet : Keyon Harrold, Lew Soloff (1, 4, 6, 9), Wallace Roney (1)
bass clarinet : Charles Pillow (1 to 4, 6, 9), John Moses (5, 7, 8)
pro-tools programming : Dean Sharenow
vocals : Eric Clapton(3), Joss Stone(6), Sam Moore(8)

producer : Phil Ramone

recorded at Legacy Recording Studios and Hiatus Studios (New York City, New York); Studio 835 (Los Angeles, California)

1. St. Louis Blues
2. Brother Ray featuring : Derek Trucks
3. I'm Gonna Move To The Outskirts Of Town featuring : Eric Clapton
4. Basin Street Blues
5. Stoney Lonesome
6. I Believe It To My Soul  featuring : Joss Stone
7. What Will I Tell My Heart
8. Please Send Me Someone To Love
9. I've Got News For You featuring : Sam Moore





  

2024年3月29日金曜日

Incognito / 100°and rising


 アシッド・ジャズとジャズ・ファンクとUK・ソウルの明確な違いは未だによくわからず雰囲気で使っておりますが、この分野に私が傾倒したキッカケはこのアルバム。リーダーのギタリストのブルーイはジャケットの真ん中の美女を従える王様のようで、いかついですが、計算されつくしたインコグのサウンドの核を作っているのはこの王様。
 おそらく、これなら売れる!という方程式がブルーイの中では確立されていて、彼の頭の中には楽器やリズム、ボーカルまでもがひとつひとつのパーツとして組み込まれているに違いありません。しかもセンスが良いことから音楽的知能指数は世界のトップレベルと推測されます。そんな方程式があるからこそ、インコグは金も集まれば人も集まるので、贅沢に人を起用して最高のものを作って、更に儲かっていくという資本主義の象徴のようなものも感じます。ブルーイはある意味インコグというコミュニティのカリスマなんだと改めて実感。
 このアルバムは今までのファンクサウンドを受け継ぎながら、ストリングスを効果的に入れて包みこむように、楽曲を流れるような感覚にして聴きやすくしているのが特徴で、最初の1曲目〜5曲目までは1つのコンセプトで形成されているように感じます。そしてToo Far Gone では、ジャジーなアレンジでリズム楽器なしで分断し、After The Fall でのセンスあふれるインストで流れを変えるなど、計算されたアルバムつくりにはノックアウトです。そしてToo Far Gone での、ジャジーなアレンジのインストも最高。インコグはボーカルがドンドン入れ替わるバンドですが、このアルバムの Joy Malcolm、Pamela Anderson の双頭ボーカルは、このサウンドにとてもよく合っていると感じます。



lead Vocals : Barry Stewart (6) , Bluey (3), Joy Malcolm (1,3,6,8,9,12), Pamela Anderson (2, 4 to 6, 8)
backing vocals : Barry Stewart (2, 4, 6, 8), Elizabeth Troy (5), Bluey (3, 9), Joy Malcolm (1 to 6, 8, 9, 12), Pamela Anderson (4 to 6, 9)
electric piano : Graham Harvey (1, 3, 6 to 9, 13), Maxton Gig Beesley Jnr (11), Peter Hinds (2, 4, 5)
clavinet : Gary Sanctuary (4)
Mellotron : Gary Sanctuary (7)
guitar : Bluey (1 to 8, 10 to 13)
acoustic guitar : Richard Bull (1)
synth : Gary Sanctuary (7), Graham Harvey (5, 7, 8), Peter Hinds (5, 8, 13)
synthesizer programming : Richard Bull (12)
piano : Graham Harvey (1, 8 to 11), Peter Hinds (5)
electric Piano : Graham Harvey, Maxton Gig Beesley Jnr, Peter Hinds 
bass : Julian Crampton (2, 3, 5, 7, 9, 11 to 13), Randy Hope-Taylor (1, 4, 8)
bass programming : Bluey (10)
moog bass : Graham Harvey (6)
drums: Maxton Gig Beesley Jnr (2 to 4, 8), Richard Bailey (10, 13), Richard Bull (5, 12)
drum programming : Bluey (5, 8), Richard Bull (1, 2, 5, 7, 9)
percussion : Maxton Gig Beesley Jnr (1, 2, 4, 5, 7, 8, 10, 11, 13), Richard Bull (12), Snowboy (9)
handclaps : Bluey (8), Maxton Gig Beesley Jnr (8), Simon Cotsworth (8)
Voice : Claudia Rey (10), Carlos "Soul Slinger" (10), Bluey (7), Maxton Gig Beesley Jnr (7)

alto sax : Bud Beadle (2, 3, 4)
soprano Sax : Ed Jones (2), Jason Yarde (10)
tenor sax : Adrian Ravell (5, 9, 12), Denys Baptiste (10), Ed Jones (2)
baritone sax : Bud Beadle (2, 4)
trumpet : Gerard Presencer (5, 7, 9, 12, 13), Kevin Robinson (2 to 4, 11)
trombone : Fayyaz Virji (2 to 4, 11), Mark Nightingale (5), Richard Edwards (9, 12, 13)
flugelhorn : Gerard Presencer (5, 7, 13), Kevin Robinson (3, 11)
flute : Adrian Ravell (5), Bud Beadle (3)
bass flute : Rowland Sutherland (10)

1. Where Did We Go Wrong
2. Good Love
3. One Hundred And Rising
4. Roots (Back To A Way Of Life)
5. Everyday
6. Too Far Gone
7. After The Fall
8. Spellbound And Speechless
9. I Hear Your Name
10. Barumba
11. Millenium
12. Time Has Come
13. Jacob's Ladder