2024年6月22日土曜日

Nia Andrews / No Place Is Safe

 

 女性ジャズボーカルを発掘しようと DiskUnion をフラフラとして手に取った一枚。これも縁かと購入してみました。あまり私が聴いてこなかった現代音楽の不思議タイプですね。購入して最初の試聴時より印象は良くなってきています。DiskUnion の棚では、ジャンルはジャズ・ボーカルですが、Funk/Soul に分類される向きもあるようですが分類は非常に難しいので後でレビューします。
 さて Nia Andrews とはどんな方なのか?父は有名な作曲家で、Donald Byrd / Black Byrd でMusic Consultant としても参加されていたミュージシャンでもあり、LAでも有名な公立高校の Locke High School で音楽教師として在籍し、多くのミュージシャンを送り出した Reggie Andrews の娘です。さぞかし英才教育を受けたのだろうと思いきや、娘の音楽活動へのサポートは無しで、彼女は楽器や理論は自分で学んだそうです。しかしUCLAの学生時代は音楽ではなく映画関係の勉強をしていたが、途中で音楽を捨てきれずにツアーのローディをやりながら音楽の世界に戻ってきて、楽器からボーカルを執るようになり、バックシンガーを経て自分の音楽制作もするようになったとのことで、親の助けは無く自分の道を進んでこられたようです。
 また、ライナーノーツには、このアルバムはコンセプトを描いて作ったわけではなく、日々の作曲の積み重ねをまとめて完成した作品であることが書かれています。ただ曲の多くは「悲しみ」「安全」が多く、曲の作成中には、黒人が警官に職務中に殺されるが警察の処分は無かった事件なども書かれています。
 改めて日本でも報道のあった事件ですが調べて見ると「ニューヨーク・スタテンアイランドで2014年7月、アフリカ系アメリカ人男性エリック・ガーナー氏が逮捕される際、警察官から腕で首を絞められ死亡した事件」「ミネソタ州ミネアポリスで、たジョージ・フロイドさんが警察に拘束された際に首を膝で押さえ付けられ死亡する事件」は2020年に起きています。


 それではレビューしていきます。The Road (Intro)  ボーカルとキーボードのみの楽曲でスピリチュアルな雰囲気の楽曲。自分の中にある愛から離れてしまったことを歌っているとのことです。Linger 報われないラブソングで、誰かとの恋愛が終わっても消えない思いがあることを歌われているとのこと。内面に語りかけてくるような不思議な響きです。Might Be Eternity フォーキーなギターに独特のアフリカンを感じる音階を混ぜてくるボーカルでの弾き語り。人類のこの状態は永遠に続くかはわからない。自分の気に入らない状況でも心の平和を見つけることは大事と歌っています。Call Your Name とても作るのに時間がかかった曲とのこと。歌のテーマ自体はシンプルな繰り返しですが様々なアプローチで4人のキャラクターが歌っている仕様。音が掠れてくる演出は、とてもサイキックな感じがします。Be a Smart Girl 普通のアプローチで歌われる楽曲で普通に聴きやすい。だからか?1分43秒と短い。Cleo and the King 人間関係の中での自信喪失、操作、傷つけることについて歌っているとのこと。ここまで来て気づくのですが、ほぼこの人の曲は楽器のソロなどは無い。ひたすら歌で、メッセージを大切にしている感じです。Ho’oponopono (Interlude) 宇宙的なサウンドの中でI Love You, I'm sorry, Please forgive me, Thank you が繰り返される。ハワイの伝統的な和解と許しの儀式がモチーフとのこと。The Ceiling バンドサウンドとしては、かなり凝っているように聞こえるが、実は3人のみで作成しています。酔っ払いの大柄な友人が自分の悪行に気づいて、自分から離れないでと懇願してくるストーリーで、フィクションであるとのこと。と言うことは、他の曲はフィクションではないのか。Seems So これも聴きやすい楽曲です。Little Girl ピアノでの弾き語りです。とてもまとまった曲ですが、断片的な寄せ集めだそうです。まあ歌詞の中身が断片的と言う意味ですね。Old Man 鬱病について、その時の気持ちをそのまま表現しているとのこと。彼女は鬱を経験しているとのことですね。なるほど内省的なことが多いのは、そのような理由からですか。
 ライナーノーツなども見ながら、じっくり聴くと、なるほど1曲を大切に作ったことが良くわかりますので、聴こえ方もまた変わります。深いですね。再度じっくり聴いてみようと思います🎵

producer : Nia Andrews

1.The Road (Intro)
vocals : Nia Andrews
rhodes : Mark de Clive-Lowe
2.Linger
vocals, electric bass, piano, snaps : Nia Andrews
percussion and programming : Paul Taylor
additional programming : Nia Andrews
3.Might Be Eternity
vocals, acoustic guitar, piano, snaps : Nia Andrews
4.Call Your Name
vocals, piano, electric guitar : Nia Andrews
electric bass : Brandon Eugene Owens
5.Be a Smart Girl
vocals, piano, synth bass, drum programming, tambourine : Nia Andrews
additinal keyboads and additional programming : Mark de Clive-Lowe
6.Cleo and the King
vocals, piano, electric guitar, synth bass : Nia Andrews
rhodes, programming : Mark de Clive-Lowe
violin : Molly Rogers
7.Ho’oponopono (Interlude)
vocals, piano : Nia Andrews
programming : Mark de Clive-Lowe
8.The Ceiling
vocals, piano, keyboads : Nia Andrews
bass : Brandon Coleman
percussion : Allakoi Peete
drums : Guillermo Brown
violin, viola, additional percussion : Molly Rogers
habdclaps : Nia Andrews, Guillermo Brown, Allakoi Peete, Mark de Clive-Lowe
9.Seems So
vocals : Nia Andrews
piano : Joey Dosik
moog : Brandon Coleman
percussion  : Guillermo Brown
acoustic bass : Brandon Eugene Owens
additional vocals : Muhsinah and Nia Andrews
additional keyboads : Nia Andrews
handclaps : Coco O., Guillermo Brown, Mocky, Molly Rogers, Nia Andrews, Paul Taylor
10.Little Girl
vocals, piano : Nia Andrews
11.Old Man
vocals, piano, electric bass and electric guitar : Nia Andrews
violin : Molly Rogers
percussion, additional vocals : Allakoi Peete

▶ Linger


▶ Old Man


  

2024年6月21日金曜日

Deep Purple / Come Hell or High Water


 中古CD屋の安売りワゴンで見た時に思わず懐かしいと手にしたままレジに行ってしまった Deep Purple (ディープ・パープル)です。何しろ私が最初にロック・ギターの練習をしたのは、やはり Smoke on the Water ですし、初めて買ったエレキ・ギター教則本の課題曲は、タブ譜なしの Black Night と Speed King がスコア譜で掲載されていましたので、全く歯が立ちませんでしたのも良き思い出の、まさに青春の思い出のバンドです。最も最初にギターで弾けるようになった曲は、アコギでさだまさし の「雨宿り」です。これは当時のコード譜が乗っている「明星」という雑誌のコード譜が最初でしたか、いや懐かしい。


 特にこのアルバムが欲しかった訳では無く、見つけたので購入です。懐かしかったのは「Deep Purple」であり、私が聴いていたのは、ちょうどこの頃のメンバーの 第2期 (1969年 - 1973年) でした。この後にベースが Glenn Hughes、ボーカルが David Coverdale の頃までは良かったんですが、Tommy Bolin がギターになった頃にはすっかり興味が無くなり、David Coverdale を追って、White Snake にハマって Gary Moore に  Motörhead なんかも聴きだして、気が付いたら パンクなんかも聴きだしたんですね。
 はじめてライブ・ハウスのステージ・レンタルして演奏した時は、やっぱり Smoke on the Water はレパートリーに入ってました。Michael Schenker なんかも同じステージで演奏したんですから、節操がないハード・ロック・コピー・バンドでした。
 そしてはじめて生リッチーを見たのは、既に Rainbow 時代。いや懐かしい。アルバムレビューは、これはしなくても良いかな🎵

vocals : Ian Gillan
guitar : Ritchie Blackmore
organ, keyboards : Jon Lord
bass : Roger Glover
drums : Ian Paice

1. Highway Star
2. Black Night
3. A Twist in the Tale
4. Perfect Strangers
5. Anyone's Daughter
6. Child in Time
7. Anya
8. Lazy
9. Space Truckin'
10. Woman from Tokyo
11. Speed King
12. Smoke on the Water


Lazy 



  

2024年6月16日日曜日

Donald Byrd Quintet / Byrd In Paris

 


 名トランペット奏者ではあると思うのですが、録音数が非常に多くてムラがあると思っているドナルド・バード(Donald Byrd)が、1958年11月22日、フランスはパリにあるオリンピア劇場(L'Olympia)で行ったライブ演奏のうち、5曲を収録したアルバムです。原盤は「Byrd In Paris Vol. 1 (Brunswick 87 903)」で入手困難とのこと。率直に言って、これは良い方のムラに転んだ録音で、メンバー全員の調子の良さが伺えるライブです。
 あちこちの解説を読んでいたら、「バードは自分名義のアルバムでは自分のオリジナル画中だが、これは一曲も彼のオリジナルがない。しかもFlute BluesとRay's Ideaでは吹いてない。ライブとしては一過性のセッションであるが、ダグ.ワトキンスの堅実な仕事がよく見える感じが良い」のようなことが書いてあります。でも「Byrd のリーダーっぽさが無いから聴きやすい」なんて人もいたり、ひどいなあと思いつつ、なるほどとも思いながら何回か聴き直しております。


 音楽好きの集う「おでんバー」の住人には「またByrdはハズレ引いてるのにまた持ってきた?」的な反応でしたが「これは良い」との評判には安心したアルバムを再度聴きながらレビューです。Dear Old Stockholm は、Miles Davis、Stan Getz による演奏が有名なスタンダード。秘かに Kenny Burrell がギターの Paul Chambers Quartet / Bass On Top のバージョンなんかも好きです。ここではベースの Doug Watkins の長尺ソロが中間にある12分24秒の熱演です。イントロの Byrd の音がかなり小さいのが録音としては気になるところではあります。Paul's Pal は Sonny Rollins 作曲の Paul Chambers に捧げた曲。これもミドルテンポの12分22秒の長尺の演奏です。テーマ部分で途中音が割れているところはありますが、気にしてはいけません。Bobby Jaspar のサックス・ソロは最初がフレーズが細切れで調子悪いのかと思いました後半持ち直します。リーダー Byrd のソロはリズム感があり、歯切れが良い感じでテクニックよりもファンキーなノリ中心のソロが心地よく感じます。Flute Blues は、Bobby Jaspar のブルースで、Byrd はお休み。イントロはフルートとベースのテーマのユニゾンで、怪しい感じでお手軽な感じが良い印象デュオ部分からすでに、ファンキーな香りが漂ってきます。The J.J. Johnson Quintet / Dial J.J. 5でもサックスとフルートで参加していました。拍手大きいです。Ray's Idea は、Ray Brown 作品。ここではピアノの Walter Davis Jr. が中心となったピアノ・トリオです。ここも Byrd はお休みですが最初のメンバー紹介は彼でしょうか。リーダー不在ですが非常にスリリングで荒々しいバップはとても私好みです。感極まると同じフレーズを連続させるのはハードロックのギタリストみたいです。最後の The Blues Walk は Sonny Stitt の作曲とアナウンスが前曲の最後でアナウンスありますが Clifford Brown 名義と他でも指摘有り私もその認識。メンバーの演奏はかなりノッていて、聴きごたえは充分。ビッグバンドのようなキメが、このような少人数編成のコンボでやるのも珍しいかなとも思いますし、最後のソロ回しが、またよろしい。
 録音状態はよろしくないですが、興奮できる聴きどころがあり何よりわかりやすい。ヘビロテの棚に保管しときます🎵

trumpet : Donald Byrd
bass : Doug Watkins
drums : Art Taylor
piano : Walter Davis Jr.
tenor sax, Flute : Bobby Jaspar

recorded October 22, 1958 at the Olympia in Paris.

1. Dear Old Stockholm (Ack Värmeland, du sköna)
2. Paul's Pal (Sonny Rollins)
3. Flute Blues (Bobby Jaspar)
4. Ray's Idea (Ray Brown)
5. The Blues Walk (Clifford Brown)





  

2024年6月15日土曜日

The Red Garland Trio / A Garland Of Red

 

 マイルスやコルトレーンのアルバムでよく聞いているものの、Red Garland はリーダー作は聴き始めたのは割と最近です。1923年5月13日 生まれ 1984年4月23日 で亡くなったピアニストで、ピアノを始めたのは兵役中の18歳の時、デビュー前にはプロ・ボクサーで35試合を戦っているとのことで、なかなか個性的な遍歴です。
 1946年にニューヨークに移りビリー・エクスタインのビッグ・バンドに参加し、チャーリー・パーカー、マイルス・デイビス、ファッツ・ナヴァロと共演する経験を積んでいます。1955年から1958年にかけてはマイル・デイビス・クインテットに参加しますが、デイビスはステージを離れて、トリオの形でガーランドを主役にするのが定番だったらしい。
 このアルバムはリーダー作としてデビュー作の1956年の録音。スタンダード集ですが洒落たタッチで、ブルージー。人気が出始めた頃の快作。この後の12月にドラムが Art Taylor に変わり、2枚目の Groovy を録音しています。売れっ子は録音を量産します。


 基本的にシンプルで曲自体をアドリブ部分などもすぐに口ずさめるアルバムですね。レビューしていきます。 A Foggy Day スタンダードで Gershwin 作品です。ころころと軽快にメロディーをわかりやすく解説してくれるような演奏です。Paul Chambers のソロも触発されるように早口でしゃべりかけてくるような感じで余裕も感じます。My Romance は、Lorenz Hart, Richard Rodgers のスタンダード。これも曲を演奏しながら、きっちりと解説してくれるのはガーランド。テーマが良いので飽きがこないですね。ピアノに聞きほれてたら曲の最後でベースは弓弾きであったことを確認。What Is This Thing Called Love?  は Cole Porter の作曲です。メンバー三人の呼吸があっていて良いです。アルコ弾きのベースソロは、好きでは無いものも多いですが、この曲の Paul Chambers のメロディーの作り方は冴えていると思います。またドラムの Art Taylor のソロもメリハリ良く全体的にさりげない自己主張がまた良いバランス。Makin' Whoopee  は Walter Donaldson, Gus Kahn のスタンダード。ブルージーでガーランドのピアノも今までよりかしこまっていないところが、この曲の魅力でしょうか。September in the Rain は Al Dubin, Harry Warren のスタンダード。この曲も悪くはないが Paul Chambers のアルコ弾きソロはあんまり趣味ではないかな。 Little Girl Blue は Hart, Rodgers のバラードです。ブロック・コード弾きで演奏される序盤は単音メロディのコロコロとは違って曲のイメージが、しっかり浮かび上がり、ソロとの対比が良いです。Constellation  は Charlie Parker の曲で、I Got Rhythm コード進行に基づいた曲です。おそらくライブでも最も受ける曲の一つでしょうから気合十分の高速進行です。アルバムに1曲あっても良い変化かなって感じですが、このバンドではこれぐらいでちょうど良いかなって感じです。Blue Red は Red Garland のオリジナル。ベースソロからの幕開け。そしてドラムのシンバルが加わり最後にリーダー登場です。最初の曲とピアノのタッチがだいぶ違うのも聴き比べて良い感じです。
 軽やかなシングル・トーンとブロックコードと独特のスタイルです。何よりもわかりやすピアノで曲を間接してくれるような演奏が好印象です🎵

piano : Red Garland
bass : Paul Chambers
drums : Art Taylor

Recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey, August 17, 1956

1. A Foggy Day (George Gershwin, Ira Gershwin)
2. My Romance (Lorenz Hart, Richard Rodgers)
3. What Is This Thing Called Love? (Cole Porter)
4. Makin' Whoopee (Walter Donaldson, Gus Kahn)
5. September in the Rain (Al Dubin, Harry Warren)
6. Little Girl Blue (Hart, Rodgers)
7. Constellation (Charlie Parker)
8. Blue Red (Red Garland) 





  

2024年6月14日金曜日

The Beatles / Magical Mystery Tour


 私のアマチュア音楽生活もギターを始めてから40年以上。ビートルズの初来日は1966年6月、私生まれてはいましたが赤ちゃんでしたので全く記憶になく、残念ながら熱狂的なビートルズの日本の歓迎は記憶にはありません。テレビの記録映像を見ただけです。中学生になり、洋楽に興味を持ち始めた頃にはハードロック系に行ってしまったんで、ビートルズを聴くことがなく聴いていても懐かしむ気持ちが起きないのです。しかし普通に生活していても未だに聴くことも多いし、ジャズ含め様々なアーチストもカバーしていますので耳にすることは多いですし、影響を受けたと言っているアーチストはゴロゴロいるし、これは聴いていたほうが良いかな、音楽生活も広がるもんかな?音楽仲間と話しているときにこの曲知らんではカッコ悪いしな、と何枚かオジサンになってから購入しています。しかし余り心に響かないのはしょうがない。


 このアルバム有名ですが、イギリスで作ったテレビ映画用サウンドトラック。ポール発案で制作されたこの映画自体のコンセプトは様々な「普通の」人々(ジョン・レノンの叔父、チャーリーを含む)が観光バスに乗り込んで旅行し、予測できない「マジカル」な冒険をするというものであります。脚本とプロの映画監督無しという状況で撮影は行われ、結果無秩序な映画なってしまい映画自体はあまり評判が良くなくて、イギリスでは最初 BBC One にて1967年のクリスマス休日をまたいで2回放送されたのですがその放送でに非難が集まるという惨敗だったそうです。その結果アメリカではABCで放送するという予定がキャンセルされ、公には1976年まで見ることが出来なかったアンダーグラウンド映画扱いでビートルズがコケた初めての瞬間だったようです。
 ただ、そこはビートルズ。アルバムのレコードセールスは好調でサウンドトラックに加えて Strawberry Fields Forever、All You Need Is Love などの私でも十分に知っている強力なシングルとなり、アルバムも全米チャートは8週連続第1位の好成績だったようです。いくら駄作でもこれだけのヒット曲を使っている映画ですから、普通はたまにTVでOAがあっても良さそうなもんですが、見たことがないと言うことは、よほどの駄作だったんでしょう(かえって見てみたいもんです)
 知っている曲が多いだけに私でも楽しめるアルバムではあります。久しぶりに聞いた中で個人的には Your Mother Should Know の作風、I Am the Walrus なんかが好きかなあと思ったりして、今更恥ずかしい感じがします🎵

1. Magical Mystery Tour
2. Fool on the Hill
3. Flying
4. Blue Jay Way
5. Your Mother Should Know
6. I Am the Walrus
7. Hello Goodbye
8. Strawberry Fields Forever 
9. Penny Lane
10. Baby You're a Rich Man
11. All You Need Is Love








  

2024年6月9日日曜日

Brecker Brothers / Out Of The Loop

 

 1994年GRP移籍の2作目で通算8作目。このアルバムを発表後に活動を休止し Brecker Brothers としては最後のスタジオ・アルバム作品となります。Michael Brecker は、これ以降は2001年に Jack Wilkins のReunion と言う作品に参加し、2005年にマイケルは骨髄異形成症候群(前白血病状態)を患っていることを明らかにし、ライブ等の活動を一時停止し、2007年にマイケルが骨髄異形性症候群から進行した白血病によって死去しています。
 アルバムとしては、ファンク・サウンドがマーカスっぽいと思いましたが、クレジットは無し。ヒップ・ホップやプログラミング等の当時のトレンドを取り入れつつ生のバンド・サウンドにもこだわりを見せたサウンドづくりや、当時の流行りなのかテーマのメロのハモリ方とベースのかぶせ方がマーカスの得意パターンと酷似していると感じます。

 

 まず最初の Slang はランディのミュート・トランペットがとてもクールで、マイケルのソロが対比的に変態フレーズ少な目の王道のソロで、ファンク的なアプローチにつなげていくとが素晴らしい。サンプリングやヒップホップ要素を取り入れた Scrunch、When It Was
あたりは、アシッド・ジャズ系の曲でアーチストに影響を多大に与える名作子のリフがマンマ使われているのを聴いたことがあります(どの楽曲か思い出せませんし、楽曲検索では出てこないのが悔しいですが) Secret Heart は王道にフュージョン路線。African Skies は曲名通りの、アフリカン・リズムをダイレクトに取り入れたメセニーっぽい曲で、実際、後年マイケルはメセニーとやっているようです。暴れん坊な曲が多いアルバムですが、締めは、And Then She Wept で美しくメローに終わります。
 ということで、様々な曲がちりばめられているブレッカー・ブラザーズらしい作品ですが、全体的にはトリッキーさを抑えて、ポップに仕上げてきている印象です。バップも良いですがこのようなフュージョン作品もたまらないものがあります🎵



 そして時代を感じるのが上記ウインド・シンセ EWI の宣伝がライナーノーツに含まれていること。ブレッカーファンは楽器奏者が多いからなのでしょうが値段まで記載してあるのが本気を感じます。1994年で本体60,000円、モジュール68,000円。現在価格を見てみると本体は同じようなもの。今はモジュールは不要なんですかね。検索ででてきませんでした。

soprano tenor sax, EWI : Michael Brecker
trumpet : Randy Brecker 
programmed by (keyboards and rhythm) : Maz Kessler (3, 6), Robbie Kilgore (3, 6)
guitar : Dean Brown, Larry Saltzman ( 2), Robbie Kilgore (6)
bass, acoustic bass : James Genus (1, 3, 4, 7 to 9)
bass, acoustic bass (Piccolo Bass), vocals : Armand Sabal-Lecco
drum programming, programmed By (bass & keyboard programming): Andy Snitzer (2), Chris Botti (2)
drums : Rodney Holmes (4, 5), Steve Jordan (1, 7 to 9)
percussion : Steve Thornton (1, 2, 5, 7 to 9)
backing vocals : Mark Ledford (4)

executive producer : Dave Grusin, Larry Rosen

1. Slang
2. Evocations
3. Scrunch
4. Secret Heart
5. African Skies
6. When It Was
7. Harpoon
8. The Nightwalker
9. And Then She Wept

▶ Slang




  

2024年6月8日土曜日

Steve Lacy / The Straight horn of Steve Lacy

 

 Solid Jazz Giants という復刻版の名盤シリーズで見かけて、試聴せずに購入の一枚です。ソプラノ・サックス片手のジャケも気になりどんなもんかの試し買いでした。後で知りますが、Steve Lacy はソプラノ・サックス奏者で、フリージャズで有名な方。Monk の愛好家でもあり、Cecil Taylor と出会ってからフリー派となったらしい。このアルバムでもアルバム6曲中、Monkを3曲、Cecil Taylorを2曲、Parkerを1曲 となっています。がフリーの片鱗ぐらいの音使いなのでフリーに変化する過程の貴重な録音と言うことでしょうか。フリー好きの「おでんバー」のマスターはフリーの時代のこの人の演奏を知っていたのですが普通の演奏を聴くことはなかったらしく、一緒に聴きながら普通のジャズに感慨深いとのことでした。
 しかしながら再度、そう思って聴くと饒舌で吹き出すと止まらないソロや、吹きながらドンドン展開していくインプロにその片鱗は見えるような気がします。ジャズはアドリブにこそ面白さがあるということが世に言われておりますが、まさにこのアルバムは上手く楽曲を構成させる技術ではなく、感じることを音にして出していくジャズの面白さがこのアルバムでは伝わってきます。バリトンとソプラノ・サックスの組み合わせでピアノレスのカルテット編成は斬新で、低音と高音の対決なのか?と思いきや、バリトンもソプラノもテナー寄りの音域に近づけた演奏になってます。フリーになりそうではありますが音程と秩序は保たれています。


  私の中でグッと興味ある人になった Steve Lacy、ピアノレスのこの編成でこの盛り上げ方をした共演者にも注目すしてみましょう。バリトンの Charles Davis は Sun Ra とも一時共演する人物で斬新な感覚と才能で、Taylorの曲 Air でのアドリブは明らかにレイシーを触発していますね。そしてベーシスト John Ore は、このアルバムで3曲とりあげられているMonkのカルテットに参加していたベーシストで、共演者がどんなところに飛んで行っても堅実なリズムキープを続けます。自分は決して熱くはならず共演者に火をつけてしまうベーシストで、堅実な演奏です。がこちらも後に Sun Ra に参加していますね。ピッタリと寄り添 いながら弾くベース徹しているように思えます。ドラムの Roy Haynes はコルトレーン Impressions 、モンクとコルトレーンの共演ライブ Live at the Five Spot Discovery! なんかに参加していて、やはり後にフリージャズにも突入する人です。
 モダン・ジャズから前衛的ジャズへ切り込んでいく境界線のアルバムは非常に興味深い🎵

soprano sax : Steve Lacy
baritone sax : Charles Davis
bass : John Ore
drums : Roy Haynes

recorded at Nola Penthouse Sound Studios, New York on November 19, 1960.

1. Louise / written by Cecil Taylor
2. Introspection / written by Thelonious Monk
3. Donna Lee / written by Charlie Parker
4. Played Twice / written by Thelonious Monk
5. Air / written by Cecil Taylor
6. Criss Cross / written by Thelonious Monk

Louise




  

2024年6月7日金曜日

The Brand New Heavies / Heavy Rhyme Experience vol 1


 以前はDJ・ラッパーがどうも苦手で、正直、最初は苦手なアルバムでしたが今ではお気に入りになっています。ラップを好んで聴くようになったわけではありませんが、ジャズ・フュージョン系にラップを取り入れたもの等が普通にありますし、どうやら耳慣れしてきたようです。耳馴れとは面白いものでフリー・ジャズなんかも同じように、以前は聴かなかったのですが、いつもの音楽好きの集う「おでんバー」でかかっているのを聴いているうちに普通に聴けるようになってきました。環境と経時変化で好みの音楽が変わってきているのに気づくと自分でも時々ビックリします。
 このアルバムも最初は違和感があった一枚ですが、いつの間にか普通に聴くようになっていた一枚です。そして今回気づいたのがアルバム名ずっと Rhythme と思っていたのが、実は Rhyme であったこと。rhythm(リズム)は最後にeが付かないので気づけよと自分でも思いますが 韻(イン)でした。つまりラップの韻のことを指していたんですね。なるほど。
 いつもお馴染みの華やかなグルーブではない。HIP HOPであるけど、ファンクに音を寄せた生の演奏。打ち込みではないバックトラックが素晴らしい。


 それではレビューです。Bonafied Funk ファンクにのせたラップは Main Source (Large Professor、Sir Scratch、K-Cut) で、Andrew Levy のベースはいつもより単純ではあるけど、やはりツボを押さえています。ベースラインが印象的でありますがギターの単音リフもツボです。It's Gettin' Hectic は、ユニットGang Starr をフューチャー。このユニットは Guru、DJ Premier のお二人。これも単純なファンク・リフにのせたラップで、ラップをのせやすいように楽曲的に細かい仕掛けは無し。Who Makes the Loot? は、このアルバムで一番耳に残るベースラインで印象的で、BNH的なサウンドかも知れません。ラッパーは Grand Pubaで緩い感じで余裕があります。Wake Me When I'm Dead 更に曲的には凝った演奏となります。Masta Ace がフィーチャーで雄叫び系ラップ。Jump N' Move レゲエ系MCの Jamalski で、早口言葉のようなラップは楽しい。タイトルがジャマイカンに訛っているのも面白い。Death Threat はBNHの音が後ろにあるファンクサンドに Kool G Rap がフィーチャー。Simon Bartholomew のワウが聞いたギターがとても相性がよろしいようでこの曲も捨てがたい。State of Yo は、Black Sheep がフィーチャー。ややジャジーな感じのするリフに Hip-Hop で相性はかなりよろしいようで。力の抜けた感じが好感。Do Whatta I Gotta Do 凄くラップ感がありますが、曲に動きがあります。Ed O.G がフィーチャー。演奏にもスリリングさが加わっています。Whatgabouthat 南夫と読むのか、レゲエMCの Tiger がフィーチャー。言葉に勢いがあります。こんな言葉で普通にまくしたてられたら迫力で怖いと思います。Soul Flower ラップではありますが、非常にダンサブルでこれも良い。ラストは The Pharcyde がフィーチャー。やはり最後は渾身の一撃って感じですね。
 私自身相変わらずラップに興味は無いのですが、このアルバムはBNHらしさとラップの共存が素晴らしく別格の一枚🎵

bass : Andrew Levy
drums : Jan Kincaid
guitar : Simon Bartholomew
percussion : Paul Daley
sax : Mike Smith
trumpet : Martin Shaw

producer : The Brand New Heavies

1. Bonafied Funk  featuring : Main Source
2. It's Gettin Hectic  featuring : Gang Starr
3. Who Makes The Loot?  featuring : Grand Puba
4. Wake Me When I'm Dead  featuring : Masta Ace
5. Jump N' Move  featuring : Jamalski
6. Death Threat  featuring : Kool G Rap
7. State Of Yo  featuring : Black Sheep
8. Do Whatta Gotta Do  featuring : Ed O.G
9. Whatgabouthat  featuring : Tiger
10. Soul Flower  featuring : The Pharcyde