2024年5月12日日曜日

John Mellencamp / Human Wheels


 デビュー当時は、John Cougar(ジョンクーガー)でしたが、1983年に John Cougar Mellencamp(ジョン・クーガー・メレンキャンプ)と改名。そして1991年にJohn Mellencamp(ジョン・メレンキャンプ)になったのですが、この最後の名前が本名とのこと。Wikiを見てたら2018年、女優のメグ・ライアンとの婚約と書いてありますが結婚とは書いてありません。
 John Cougar Mellencamp の頃は、80年代のアメリカン・ロックの代表のイメージで、ブライアン・アダムスの兄貴分のような少しガサガサしたストレートなロックをやっている印象でした。しかしこのアルバムでは全く変わってしまってライトでリズムがデジタルっぽい。悪くはないけど昔のアメリカンロック的なイメージでいてほしかったでは無かったのが残念。

 アルバムの中身としても、これは何やらカラッとはしていない、重めのア曲が多くタイトル トラック Human Wheels は、メレンキャンプの友人であるジョージ グリーンの祖父の死に際し、メレンキャンプが墓の場所で贈った詩から作った曲。また When Jesus Left Birmingham 「イエスがバーミンガムを去ったとき」なんて曲名が1曲目からかなり重めです。また、アコーディオンなどの担当の John Cascella は、このアルバムのレコーディングの途中で亡くなってしまったので、アルバムは彼に捧げられてもいるとのことで、それも重めな原因でもあるのでしょうか。
 しかし、この John Mellencamp の12枚目となるこのアルバム。ビルボードで最高7位のヒット。シングル What If I Came Knocking は ヒットチャートで2週間トップにはなったとのことで結構売れていたようです🎵

vocals : John Mellencamp
accordion, organ, backing vocals, whistle (Penny), melodica : John Cascella
violin, mandolin, whistle (Penny), zither, backing vocals : Lisa Germano
backing vocals, accordion, maracas : Pat Peterson
organ, guitar, harmonica, synthesizer : Malcolm Burn
guitar(6), keyboards, bass(1 to 7, 9, 10), backing vocals: Toby Myers
electric guitar, acoustic guitar, baritone guitar, mandolin, bass : David Grissom
electric guitar, acoustic guitar, dobro, dulcimer, backing vocals : Mike Wanchic
drums, bongos, djembe, congas, maracas, claves, shaker, tambourine, rainstick, guiro, percussion (Metal) : Kenny Aronoff

producer : David Leonard, John Mellencamp, Malcolm Burn, Michael Wanchic
recorded and mixed at: Belmont Mall, Belmont, Indiana

John Cascella played on about half of this record before his death.
This record is dedicated to John Cascella. April 29, 1947 - November 14, 1992

1. When Jesus Left Birmingham
2.  Junior
3.  Human Wheels
4.  Beige To Beige
5.  Case 795 (The Family)
6.  Suzanne And The Jewels
7.  Sweet Evening Breeze
8.  What If I Came Knocking
9.  French Shoes
10. To The River





  

2024年5月11日土曜日

Hank Jones / 'Bop Redux

 


 ドアップの顔写真が指名手配犯のポスターのように見えてしまうジャケットで、あまり芸術的センスは意識していない感じですが、Charlie Parker、Thelonious Monk の人気曲を収録した「Bop」なアルバム。Redux は日本語で戻ってきたって意味なので「帰ってきたバップ野郎」みたいなネーミングでしょうか。
 Hank、Thad 、Elvin の Jones3兄弟の長男である Hank Jones は落ち着いたピアニストの印象です。3兄弟の演奏は聴きているものの、リーダーアルバムの購入はしていないのでこれが初です。ちなみに所有のものの中で参加アルバムは Zoot Sims and Bob Brookmeyer / Tonite's Music Today + WhooeeeWes Mongomery / Road SongBillie Holiday / Last RecordingCannonball Adderley / Somethin' ElsePaul Chambers / Bass On Top など
 

 それではレビューです。最初は Charlie Parker の Yardbird Suite で、分かりやすいフレーズで正調、品行方正な仕上がり。この曲を聴いていると、裏にA列車 の進行を感じてしまいます。一度思い始めると止まりません。次も Parker の人気ナンバー。Confirmation こちらについても非常に正調でアドリブの起承転結をしっかり構成しながら全体を組み立てていることが良くわかる模範的な演奏かと思います。3曲目は Monk です。Ruby, My Dear。モンクっぽいフレージングなんか全くしないところが、いかにも頑固オヤジな演奏です。Relaxin' with Lee は再び Parker。景気よく機嫌よく演奏されているのかと思われる基本に忠実な進行でベースソロや、4バースは定番のパターン。次いでは Bloomdido B♭のブルースでこれも Parker。Relaxin' with Lee と、この曲は Monk、Jones の両人が参加した Bird and Days で演奏されていた曲とのこと。購入リストに入れておく必要ありますね。そして Round Midnight は、言わずもがなの Monk です。私も大好きなスタンダードでメロディ0が、とてもロマンティックなところが大好きです。Jones は、ここも淡々と弾くのでクラシックみたいな感じさえします。Moose the Mooche は、Parker に戻ります。Parker の曲は盛り上げ役的に使っているのか。ここでは上げてきます。このアルバムで一番スリリングな演奏になるような感じがします。最後は Monk の Monk's Mood となります。原曲とは違った趣の曲にしています。モンクらしさは全く入れていないのが頑固とも思えますが、モンクの中で描いた元曲は本来はこういった感じで Monk が演奏するときに頭の中で変換して、あの演奏にしていたのかと思える美しい曲になっています。
 古臭さは感じるものの、その中に古き良き美しさもあるかと思う一枚でした。正調ピアノ・トリオを聴きたければ、これはお勧め🎵

piano : Hank Jones
bass : George Duvivier
drums : Ben Riley

producer : Fred Seibert

recorded at CI Recording, NYC January 18 & 19, 1977

1. Yardbird Suite
2. Confirmation
3. Ruby, My Dear
4. Relaxin' With Lee
5. Bloomdido
6. 'Round Midnight
7. Moose The Mooche
8. Monk's Mood





  

2024年5月10日金曜日

The Dave Brubeck Quartet / Time Out

 

 Take Five は、大学でジャズ研に入った初期段階で知ったジャズの入門曲。Dave Brubeck を深く聴いたことは無いけれど、その存在はあまりに有名です。中古CD屋で見つけた時には、これがあの Take Five の収録アルバムなら、そりゃあ聴いとかないといかんなと購入したはずです。購入したまま、しばらく寝かせておいて最近聴いたアルバムとなります。
 いきつけの音が好きの集う「おでんバー」に持って行くと、懐かしいの声が上がりますが、中身を皆さん覚えているかと言うと、やはり Take Five しか記憶にないようで「あれ、こんなアルバムだったっけ」と新鮮だったようです。メンバーもベースの Eugene Wright は初耳ですが、ドラムは Joe Morrello、サックスは Paul Desmond と私にとっても新鮮です。


 と言うことで、レビューです。Blue Rondo A La Turk 邦題でトルコ風ロンドです。ロンドって何か小学生の音楽の時間とかで聞いたことあるような気がしますが、覚えていませんので調べてみると「異なる旋律を挟みながら、同じ旋律(ロンド主題)を何度も繰り返す形式」とのこと、なるほど出だしは9/8拍子のクラシック風のテーマがトルコ風、アドリブは4拍子のロンド形式なのでトルコ風ロンド。これを書くために改めて気づきました。仕掛けてきてます。Strange Meadow Lark まるでピアノソロ曲だなと思っているとイントロが長かっただけでした。ここでも仕掛けてきてますね。Take Five 作曲は Paul Desmond なんですね。Dave Brubeck かと思っていました。4/5拍子を使っているので Take Five です。何故この曲が出来たのか調べてみると「ブルーベックが、米国務省主催のユーラシア大陸ツアー中に、トルコでブルガリア音楽の影響を受けたストリートミュージシャングループが演奏するトルコの伝統的な民謡が、西洋の音楽には珍しい9/8拍子で演奏されるのを見たときである。地元のオーケストラの音楽家からこの形式を学んだ後、ブルーベックはジャズの4/4の通常のリズムから外れて、海外で経験した、よりエキゾチックなスタイルで実験的アルバムを作成することとなった」なるほど Blue Rondo A La Turk も含めて、トルコ音楽の影響を受けて作成されたわけですか。Three To Get Ready 軽やかなワルツ・ナンバーです。ジャズですが Dave Brubeck はクラシックに造詣が深いような感じがしますね。Kathy's Waltz Dave Brubeck の娘の名前が由来の曲で難しいところは無い。可愛らしい曲になっています。Everybody's Jumpin' ジャンプするようなコードの左手連打が曲の由来なのでしょう。連打ですが上品です。Pick Up Sticks 6/4拍子の曲となっています。アルバムの中で最もグルービーでジャズ・コンボらしく聞こえる曲ですが、さりげなく、これも仕掛けていますね。
 アルバムを真剣に聴き直すまでは、Take Five だけが突出しているのかと思っていましたが、実は様々なリズム的な仕掛けが施されているアルバムでした🎵

piano : Dave Brubeck
bass : Eugene Wright
drums : Joe Morrello
alto sax : Paul Desmond

producer : Teo Macero
written by  D. Brubeck (1, 2, 4 to 7), P. Desmond (3)

artwork : Sheil Fujita

1. Blue Rondo A La Turk
2. Strange Meadow Lark
3. Take Five
4. Three To Get Ready
5. Kathy's Waltz
6. Everybody's Jumpin'
7. Pick Up Sticks





  

2024年5月5日日曜日

Alice Clark

 

 株式会社ウルトラ・ヴァイブの販売している「Solid Jazz Giants」シリーズは、まだ聞いていない往年の名盤が安く販売されているので結構愛用足ています。その値段(980円+税)の価格破壊は大歓迎です。そんなシリーズを見ていたら帯に「最強のフリーソウル名盤」の文字を発見で購入してみました。
 直球の感想は、聴いてビックリ、なんで今まで知らなかったのか?と思うほどの名盤でした。何回か聞き直しながらこれを書いていますが、まず最初に感じるのは「素直で澄んだ歌声」「聞く人に訴えかけてくるボーカル」でしたが何回か聴いているうちに「若くて瑞々しい歌声」と感じ、鍛えられて技巧に発達する手前の原石を感じます。当然いきなり上手くなってのレコーディングはあり得ないので、下積みの経験があってそこで鍛えられていることは間違いないのですが若々しくてストレートな歌に色々なことを思わせてくれます。
 ファースト・インプレッションが強烈すぎたのですが、発売された年を見てみると1972年とあります。レーベルは Mainstream Records でジャズやジャズ・ファンク、クロスオーバー作品を多く輩出しているレーベルとのこと。このボーカルを聴いていると比較したくなるのはアレサ・フランクリンで、アレサのデビューは1967年で1972年には既にスーパーが付くスターになっています。男性ボーカルで Donny Hathaway を見てみると、こちらは1970年がデビューアルバム、1972年にはロバータ・フラッグとのアルバムを発売しています。やはりソウルの全盛期であり、この時期には次の才能を発掘しようと多くの録音が行われた時期。アメリカのソウル界の層の厚さがうかがえるとともに、アレサもデビューはコロンビアでしたが売れなくてアトランティックに移籍してから売れたことを思うと、第2のアレサえを狙いにいってその才能は申し分なかったのにレーベルのプロモーション次第で売れる売れないが分かれるところだったとも思えます。
 これだけ現代で評判が良くて、演奏も素晴らしいアルバムにも関わらず演奏メンバーについては詳細なクレジットが無いのも有名。私の今聴いているCDはジャケット裏面しかないので、 Orchstra arranged and Conducted BY Ernie Wilkins , Produced By Bob Shad しか書いてあるのが確認できませんが、ライナー・ノーツでは、ギターは Ted Dunbar(トニーウィリアムスのライフタイムでも活躍したギタリスト)インタビューにより、ソウル系のセッション・ドラマーの Bernard Purdie、ベースは Bob Bushnell  (ルイ・アームストロングなどの作品に参加)、Cornell Dupuree , Gordon Edwards のスタッフメンバー参加していたとか、このベースは Chuck Rainey だろう(聴いてわからんのか)的な論争まで巻き起こっている模様で、どれがホントかは全くわかりません。Cornell Dupuree はそれっぽくもあるような気もしますが・・


 いつもの音楽好きの集う「おでんバー」でも評判が良かったこのアルバムのレビューです。1曲目の I Keep It Hid は Supremes, Linda Ronstadt もカバーの名曲。ソウルなシンプルなイントロから、歌い始める歌声にドキッとします。若い声でありながら丁寧な歌いっぷりです。Looking At Life は、John Kander, Fred Ebb の作曲で、イギリスのボーカリスト Petula Clar のカバーのスロー目のソウル・ナンバー。曲も良いが一生懸命に歌い上げる少女っぽい声に迫力のシャウトが魅力。Don't Wonder Why は、Stevie Wonder の 1970年のNo.1 R&Bヒット Signed, Sealed, Delivered I’m Yours への収録曲。いかにもモータウンの曲ですが、これも歌声に非常にマッチしています。と同時にバックの演奏の厚みも心地よい。カバーで、ここまでボーカリストの印象をクッキリつけてくるのは選曲の良さも感じます。Maybe This Time (From The Motion Picture "Cabaret") は John Kander, Fred Ebb の作曲で、Liza Minnelliの持ち歌で、映画「Cabaret" キャバレー」でも有名な曲です。歌いこんでいますね。少し哀愁のあるメロディーを繰り返しながら少しづつ畳みかけてくる名曲。Never Did I Stop Loving You は Juanita Fleming によるオリジナルと書いてありますが、Charms Of The Arms Of Love、3曲目の Don't Wonder Why の3曲が Sunny のヒットで知られる Bobby Hebb の作曲でもあるらしい。なんかごちゃごちゃしてます。It Takes Too Long To Learn To Live Alone は、Eydie Gormé、Peggy Lee などにも歌われている。Hard Hard Promises は、Bobby Hebb の作曲であるが本人の録音は無いとのことでこのアルバムが初録音。Hey Girl は言わずもがなの選曲( これも含めてDonny Hathaway バージョンが私は一番好きは変わりませんが )
 いやいや改めて楽しすぎる。すっかり愛聴盤になってしまいました。改めて、このアルバムだけしか録音が無いのはもったいない🎵

1. I Keep It Hid
2. Looking At Life
3. Don't Wonder Why
4. Maybe This Time (From The Motion Picture "Cabaret")
5. Never Did I Stop Loving You
6. Charms Of The Arms Of Love
7. Don't You Care
8. It Takes Too Long To Learn To Live Alone
9. Hard Hard Promises
10. Hey Girl


  

2024年5月4日土曜日

Eric Johnson & Mike Stern / Eclectic


 Eric Johnson (エリック・ジョンソン)はビッグネームということだけ知っていて、ほぼ聞いたことが無いのでビッグネームを私が語るのもおかしいですが、ロック界とフュージョン界のビッグネームの二人が共演するとこんな感じになる。
 新譜で購入したものでMike Stern (マイク・スターン)も私の好きなギタリストの一人。手癖の塊りのような人なので、何をやっても、ああスターンが弾いてると素人が聞いてもわかるぐらいの同一のチョーキング・フレーズと必殺のクロマチック・フレーズは頑固オヤジみたいな感じで好きです。
 今回の共演のきっかけは、2009年のスターンのアルバムの Big Neighborhood にエリックが参加したことにより意気投合してアルバム録音に発展したとのことで、プロデュースはエリックでオースチンにある彼の Saucer Sound Recording Studio でレコーディングされています。楽曲は 1,2,4,7,9,11 がスターン、3,6,10 がエリックの曲です。Red House は Jimi Hendrix のカバーとなっています。ゲストにはChristopher Cross (クリスト・ファークロス)が Wishing Well に、スターンの嫁さん Leni Stern (レニ・スターン)なんかも参加してます。Leni Stern はドイツ出身のギタリストですがポール・モチアン、ビル・フリゼルとバンドを組むほどの方で ngoni ンゴニというアフリカのマリの伝統弦楽器とボーカルで Big Foot、Wherever You Go の2曲に参加。
 発売にあたってマイク・スターンのインタビューが、タワーレコードのミュージック・レビュー・サイト「Mikiki」に掲載されています。スターンはジャズ系のギタリストですが、ロック、ブルース、モータウン系などがもともとのルーツ、ジョンソンはジャズがルーツではないけれど Wes Montgomery が一番好きなギタリストとのことでお互いの共通点も多かったとのことです。

 
 
 それではレビューです。Roll With It は、Mike Stern のいつものフレーズがイントロ、ボーカルは、ブルース、ゴスペル系のシンガー・ソング・ライターの Malford Milligan です。ロックですが楽曲は Mike Stern の提供。Remember は、フュージョン系の楽曲でボーカル無し。もちろん楽曲は Mike Stern によるものですが、曲のベースはコルトレーンのImpressions で、Mike Stern は弾きまくりが目立ち Eric Johnson がどこで参加しているのかはよくわかりませんでした。Benny Man's Blues は、楽曲が Eric Johnson となっているので、このギターは最初は Eric Johnson から始まります。ジャズっぽいフレーズですがアクは少な目で後半からクロマッチックなフレーズで Mike Stern が参加してきます。「アップテンポのブルースを必要としている時に古き良きベニーグッドマンの雰囲気を持っていこの作風を思いついた。そんなこともあってこのタイトルになった」そうです。Wishing Well は、ライナーノーツを見なくても Mike Stern の楽曲とわかります。テーマのフレーズは確実に Mike Stern のアルバムで聴いたことがあるヤツですが、同じ曲名では見つけられなかったのでどの曲が元かは今回は探しません。曲の進行は似ていますが、アレンジは変わっています。Big Foot (With Intro) の ngoni, vocals は Leni Stern でシタールは Eric Johnson のイントロ、そこからベースの Chris Maresh の楽曲の Big Foot へ移行していきます。楽曲は ひとつのフレーズを繰り返しながら発展させていく、Bitches Brew的手法です。Tidal はジャズの流儀に従った Eric Johnson の楽曲でスローなジャズロック。3分半過ぎたあたりから、Eric Johnson のモンゴメリー的なフレーズがあり少しサービス感を感じますが、Mike Stern に、そんなサービスは微塵も感じません。You Never Know は、またしてもMike Stern の楽曲で、この曲のリフモどこかで聴いたことあります。探しません。Dry Ice は、Bill Maddox の作曲となっています。元曲は探しきれませんでしたがBill Maddox は2010年に亡くなっているドラマーでした。ここらへんで、他人の曲を入れるのは良い感じです。楽曲も激しめのフュージョンなので雰囲気変わりますしメンバーも暴れまっくて楽しそうです。Sometimes では Mike Stern の楽曲に戻りますが、やっとどこかで聴いた風ではなくなったのにホッとします。Hullabaloo はロック・フュージョンでギターのギラギラする音が快い楽曲、作は勿論 Eric Johnson でライブで絶対盛り上がるタイプですね。Wherever You Go (With Intro)  またもや ngoni, vocals は Leni Stern でシタールは Eric Johnson のイントロ、曲に入ると安定の Mike Stern のフレーズ。最後まで頑固おやじのようなギターですね。最後は Red House でJiimi Hendrix のギタリストであれば共通言語のブルースで締めくくりです。両人がボーカルをとっています

guitar, synthesizer, piano, vocals : Eric Johnson
guitar, vocals : Mike Stern
electric bass, acoustic Bass : Chris Maresh
drums, percussion : Anton Fig

produced by : Eric Johnson

recorded at Saucer Sound Recording Studio, Austin, Texas

1. Roll With It
vocals : Malford Milligan
2. Remember
percussion : Wayne Salzmann II
3. Benny Man's Blues
4. Wishing Well
percussion : James Fenner
vocal bridge : Christopher Cross
vocal verse : Mike Stern
5. Big Foot (With Intro)
ngoni, vocals : Leni Stern
6. Tidal
7. You Never Know
8. Dry Ice
9. Sometimes
10. Hullabaloo
sax : John Mills
trombone : Mike Mordecai
trumpet : Andrew Johnson
11. Wherever You Go (With Intro)
ngoni, vocals : Leni Stern
12. Red House
harmonica : Guy Forsyth
vocals : Eric Johnson, Mike Stern


▶ Dry Ice



  

2024年5月3日金曜日

Mountain Mocha Kilimanjaro / 壱弐参四伍録


 「黒光りした激太ファンク」の形容がされていますが、私にとって黒いファンクとは、Sly & The Family Stone, James Brown, George Clinton, Ohio Players, Graham Central Station なんかががイメージなので、UKファンクに近いような気がします。まあ、どちらも好きだし、ホーン・アンサンブルもカッコ良いし、骨太ベースがブルンとしてて、とても好物なサウンドですので、黒さの表現は問題なし。
 リリースは2014年で札幌に転勤したてぐらいなので、ほぼ札幌のタワレコの試聴で聴いての購入で間違いなしでしょう。最近は新宿のタワレコも面積が縮小し試聴の機会も薄れていることもあるのか、私も中古ばかり購入で新譜は少な目になっています。オジサンは現物主義者で、ジャケット、ライナーノーツも含めて楽しむタイプなので、リアル店舗縮小は悲しい限り。まあ周りの若い人たちはダウンロードが現代の主流のようなのでしょうがない。
 さて、そんな激太ファンクのバンド名は、「Mountain Mocha Kilimanjaro マウンテン・モカ・キリマンジャロ」の和製インスト・ファンク・バンドです。メンバーは6人で、埼玉県で結成され、活動初期は「埼玉の粗大ゴミ」を自称していたらしい。

 

 

 

 さて、そんなアルバムを久しぶりにレビューです。「用心棒にピストル」 昭和初期の刑事ものドラマに使われそうな日本語が嬉しいタイトルで、サウンドはタイトにワウを聴かせたギターにトランペット、サックスのホーンが楽しい。ドラマに使うにはサウンドが新しいので無理があるかも。「タイム・イズ・デッド」 そしてカタカナ英語がまた嬉しいですね。 LUNA SEA に英語表記の同名の曲があるようですが全く関係ないようです。乾いた音のドラムのスネアから始まるひたすら疾走感にこだわったような曲です。『壱弐参四伍録』ティーザーその①で使われています。「「パレード」 王道ファンクのリズムとリフ。Bメロでポップに変えてきています。跳ね方が独特でオリジナルな感じが良いです。うるさいばかやろう こちらに関しては、しっかりUKファンクっぽいサウンドのジャムですね。「太いタイヤで 」 少し抑えめのタイトなファンク・リフですね。少し単調な流れになっているような気はしますが、ライブだと、もっと迫力ありそうです。「螺旋階段」 漢字が弱い人のために螺旋は「らせん」と読みます。テーマは割と単純なホーンのリフにして他の楽器で味付けしていく手法が続きます。「種」ここにきて、ゆっくり目ソウル風+昔風アシッドな曲ですね。Donald Byrd とかにありそうなヤツで嫌いじゃないですよ。「鉄蓋を設置するんだ」 今検索して知りました。そうかと予想はできましたが、鉄蓋=マンホールですね。ドラム主体の曲のようでスネアの強烈な音が強調されています。マンホールの蓋をそんなに力いっぱい叩いたら手首痛めそうですね。点滅中」工事現場で使われる用語が続きます。メンバーがバイトでもしてたのか?曲を作ってたら工事現場がスタジオの前にあったのか?ジャキジャキのギターリフが疲れそうなヤツです。後半からジャズ風にしてお洒落な流れにしてます。「ありがとうございました。」ライブの最後はこれで締めるのでしょう。ライブ主体のバンドって感じがします。アルバムの最後にこの曲を持ってくる、この流れは好きです。
 もう活動はしていないようで惜しい限り。「黒光り」はしていなかったような気がしますが、とても良かったにに🎵

trumpet : 四方田直人
sax : 栗原健
guitar : 小林直一
funky organ : 溝口祐毅
bass : 二本木潤
drums : 岡野諭(drums)

released 2014 
manufactured by  P-Vine, Inc.

1. 用心棒にピストル
2. タイム・イズ・デッド
3. パレード
4. うるさいばかやろう
5. 太いタイヤで
6. 螺旋階段
7. 種
8. 鉄蓋を設置するんだ
9. 点滅中
10. ありがとうございました。






  

2024年4月28日日曜日

Mal Waldron / No More Tears (For Lady Day)

 

 最近聴き始めた Mal Waldron の1988年の録音です。Mal Waldronは、32歳の1957年から Billie Holiday(ビリー・ホリデイ)の伴奏者となり、1959年7月に彼女が他界するまでその役を務め、その Billie Holiday の死去の5か月前に制作した Left Alone は、ビリーが作詞し、マルが作曲しています。(ボーカル曲ですがビリー自身の歌は残っていません)Mal Waldron 自身は彼女への追悼として Left Alone を1959年に録音しています。そんなLeft  Alone のイメージからの脱却を図ろうという意図も見られる88年の作品と解説されています。タイトルの “Lady Day” とはホリデイのこと。


 この録音は1988年マルが62歳の録音で、この時、西ドイツのミュンヘン在住、世界中でイベントやフェスへの出演依頼が舞い込み多忙の時期であったとのこと。レビューしていきます。Yesterdays 作曲はJerome Kern のスタンダード。イントロは Paulo Cardoso のベースに、ドラムの John Betsch が加わって1コーラスしてから Mal Waldron が加わってきますが、こんな弾き方だっけの、思いっきり叩きつけるようなピアノにビックリの出だしです。この曲もこんなドラマチックっだったけ?の迫力の演奏。No More Tears マルの今は無きビリーに捧げるオリジナル。哀愁を帯びたメロディーのワルツです。ここでも強弱の中では強が多く感じます。ボタっとしたベースラインも、このアクが強いピアノに負けじと低音で支えます。Melancholy Waltz これもマルの新しい書き下ろし作品。ワルツが2曲続きます。哀愁のある音をはっきりと発音しながらの男っぽい演奏です。Solitude は1934年エリントンの作品です。やはり曲調は変わって少しポップさが加わります。Love Me or Leave Me は、1928年のポピュラーミュージックの作曲家 Walter Donaldson 作品。やや早めの4ビートです。低音で半音が行ったり来たりする進行が面白い曲です。愛するか別れてくれのタイトルの曲で、非常に情熱的ですが、弾く人によって、もっとエレガントになる曲だとは予想できます。All Night Through は、バラードで、これもマルによる新曲です。ビリーの死に接して夜を明かした曲とのことで虚無感に駆られながら思い出に浸っている心境が表現されているのでしょう。As Time Goes By 1931年 Herman Hupfeld 作曲のブロードウェイ・ミュージカル「Everybody's Welcome」のために作詞・作曲した曲ですが、映画「カサブランカ」のテーマ曲で取り上げられ有名になった曲です。マルにかかればこれも重厚なバラードになります。Smoke Gets in Your Eyes 後半はスタンダード目白押しです。マル独特のピアノタッチと原曲と変えた和声の響きが新しいです。シンプルでありながら情熱がこもった作品になっています。Alone Together これもジャズ・メンが好んで取り上げるスタンダード。重厚な感じの出だしですが、これも後半になると和声の響きが曲に重要な意味を持たせてきているような気がします。
 非常に力強くて、わかりやすいのが魅力的な作品です🎵

piano : Mal Waldron
bass : Paulo Cardoso
drums : John Betsch

producer : Makoto Kimata
recorded in München, West Germany on November 1, 2 & 3, 1988.

1. Yesterdays
2. No More Tears
3. Melancholy Waltz
4. Solitude
5. Love Me or Leave Me
6. All Night Through
7. As Time Goes By
8. Smoke Gets in Your Eyes
9. Alone Together





  

2024年4月27日土曜日

Bill Evans Jim Hall / Undercurrent


 私の Bill Evans(ビル・エバンス)入門は、このアルバムでした。オリジナルは United Artists と言うレーベルから発売の、リマスター版で2曲 (Alternate Take)が入っています。若い頃はギター・アルバムしか聴かないような偏食なリスナーだったのですが、音楽好きの集う「おでんバー」に Bill Evans 贔屓の方が良くいらっしゃっていた時にお店でかなり聴いたのでソロソロ、ピアニストのアルバムも購入して聴 いてみようか?とCD屋の Bill Evans の棚の前に行って迷っていたら水死体が浮いているようなインパクトのあるジャケット、Jim Hall がギターのデュオとのことで手にした記憶があります。おそらく「おでんバー」でも聴いていたのでしょうが、記憶にはありませんでした。後に知ったのは「おでんバー」の住人には相対的に Bill Evans の評判が悪いこと。私は、それほど選り好みをする人でもないので、鞄に Bill Evans作品を忍ばせておいて客が少なければ、マスターにたまにはいいんじゃないかと言いながらかけています。
 ちなみに水死体のように見えるジャケ写ですが、水中ダンスの写真で、女流写真家のトニー・フリッセル(1907〜1988)。1947年の『Weeki Wachee Springs, Florida』という作品です。この Undercurrent の為の撮りおろしではなく、写真作品をジャケットに使ったものとのことで、実はロック、クラシック、アンビエントなどの他の音楽アルバムにも使われているとのことです。オリジナル作品そのままではなく、 Undercurrent では、腕輪が消されているなどの情報もあり、詳しくは 小学館のサライ.JP


 最初に聴い頃から結構立っていますので、この Jim Hall と Bill Evans の両人名義の傑作をじっくりと聴きながらのレビューです。My Funny Valentine 名演は数多くあるスタンダードですが、この作品では両巨頭のコラボレートによるに美しい演奏となっています。Bill Evans の 前置きから Jim Hall がじっくり音を選ぶようにギターを弾きます。デュオ演奏なので静かな演奏のイメージありましたが曲が進むにつれて煽るような展開となっていてじっくりと聴き直せば結構熱い演奏でした。I Hear a Rhapsody は、Jim Hall の主導によるイントロ。一音々に重みがあります。ギターとピアノの静かな対話のようで、これがこのアルバムの印象だったかなと思いだします。Dream Gypsy も聴けば思い出しました。こちらは Bill Evans 主導によるクラシックのようなイントロです。いかにも「らしい」演奏ですね。静かにダンスの伴奏をするような Bill Evans のピアノにフワフワとした Jim Hall のギターが印象的です。Romain は、また Bill Evans らしい静寂の演奏。Jim Hall が、しっかりと曲に表情をつけていき、複雑に絡み合う深い音に惹きつけられ途中からは曲に合わせた軽いアドリブ、後半の Jim Hall のストローク、最後に力強い強いピッキングでの締め。これも良いですね。Skating In Central Park 軽い出だしで何か可愛らしい曲です。曲名もセントラルパークでのスケートですから、イメージとしては子供を連れて冬のスケートを滑りながらの家族の団欒のような感じですかね。落ち着いた温かみのある楽曲は、これもまた味わいがあります。Darn That Dream そしてまた静の世界に戻ります。両者のソロによるイントロから、お互いの音を確かめながらソロリソロリとデュオに入っていくところに少し緊張感あり、お互いの音を確かめたら後はじっくりと絡み合う。実に気持ちが良い。Stairway To The Stars 曲名のごとく、ゆっくりと手を取りながら階段を上がっていくイメージ。手を取っているのは大事な彼女でしょうか?年老いた両親でしょうか?いずれにしろ、ゆっくりと手を取りながら急がずにゆっくりと動いているような優雅な曲でした。I'm Getting Sentimental Over You ここで、少しテンポ・アップです。それほど早い訳ではありませんが、これだけ静かな曲が続くと少しリズミカルな動きのある曲になると、とてもリズミカルに聴こえてしまうのが不思議です。途中でドラムのブラッシングの音がしているような気もしたぐらいの感覚になりました。そして最後2曲は My Funny Valentine, Romain のalternate Take となります。丁寧なリハーサルがあったと、どこかで見ましたが、確かに採用となったテイクとのテンポなどの違いが分かりやすく明らかに違いました。この2曲の追加は、お得感がありますね🎵

piano : Bill Evans
guitar : Jim Hall

producer : Alan Douglas

recorded at Sound Makers, NYC, May 14, 1962.

1.My Funny Valentine
2.I Hear a Rhapsody
3.Dream Gypsy
4.Romain
5.Skating In Central Park
6.Darn That Dream
7.Stairway To The Stars
8.I'm Getting Sentimental Over You
9.My Funny Valentine - (Alternate Take)
10.Romain - (Alternate Take)


▶ Romain