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2022年3月20日日曜日

Herbie Hancock / Takin' Off

 

 Herbie Hancock(ハービー・ハンコック)の初のリーダーアルバムでBlue Note から1962年のリリース。収録曲に Takin' Off という曲は無いのだからまさにここから「離陸」することを確信してのアルバム名なのでしょう。22歳のデビュー作のはじまりは、ハンコックが幼少期に耳にしたスイカ売りの声をモチーフにして書かれた Watermelon Man です。既にこのアルバムを聴く前に様々な人のカバーを私も耳にしています。一番印象に残っているのはブルース・マンの Little Walterのバージョンで、8ビートなのでR&Bの曲で演奏されても全く違和感なく聴けました。このモチーフは相当な印象を与えるようでDonald Byrd の Blackjack に収録されている Beale Street という曲は曲名は違うがほぼ Watermelon Man というものもあります。しかし何といっても、本人が Head Hunters で演奏しているファンク・バージョンが一番印象的でカッコ良いもののような気がします。8ビートの曲をデビュー作の最初に持ってくると言うのも中々斬新なソロ・デビューで、今思えば、以降、ジャズ、フュージョン、ヒップホップ等に進出してしまうハンコックの多彩さな音楽性は既にここにあったようです。


 とこのアルバムの顔となってしまう Watermelon Man ではありますが、収録されているほかの曲の印象が薄れてしまいますが、ハードバップな中に新しいサウンドが聞こえる2曲目の Three Bags Full、ご機嫌なファンキーピアノのブルース Empty Pockets、Freddie Hubbard のトランペットが冴え、朗々としたDexter Gordon のテナーが聴ける The Maze も実に心地よい。Driftin' では、またルーズなブルースに戻るが息の合ったリラックスした演奏で聴いている側も心地よく聞き流せるスムーズさが良い。締めはバラードの Alone And I ですが最後にピアノをしっとりと聴かせるこの演出も素晴らしい。全曲ハンコックのオリジナルで固められたデビュー作はやはり必聴盤でした🎵

piano : Herbie Hancock
bass : Butch Warren
drums : Billy Higgins
tenor sax : Dexter Gordon
trumpet : Freddie Hubbard

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

1. Watermelon Man
2. Three Bags Full
3. Empty Pockets
4. The Maze
5. Driftin'
6. Alone And I




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2022年9月25日日曜日

Herbie Hancock / My Point Of View

 

 1960年にドナルド・バードのクインテットでプロとしてのスタート。21歳になった1962年に21歳でデクスター・ゴードンを迎え、収録曲に Takin' Off という曲は無く代わりに顔として Watermelon Man を収録した Takin' Off で離陸した。その後 Maiden Voyage(1965年に、Speak Like a Child(1968年)を発表していて、その狭間の1963年録音の2枚目のアルバムが本作の My Point Of View となります。


 トランペットに Donald Byrd、テナーサックスは Hank Mobley は鉄板の布陣。トロンボーンの Grachan Moncur III は、私あまり注目したことが無い人ですこのアルバムの録音でも少し地味目の演奏。リズム隊が、また最強でギターのGrant Green、ベースのChuck Israelsb。ドラムは Anthony Williams でクレジットされていますが Tony Williams(トニー・ウィリアムス)で当時17歳です。本名は Anthony Tillmon Williams だそうです。
 曲はと言えば聴いたことが無いのに、出だしから耳にしたことのあるリフです。Blind Man, Blind Man は、1作目のWatermelon Manをベースにしているのです。名曲ではありますが、洗練されたジャズとは言い難い曲と思っているこの曲がベースとなっているのは たしか Donald Byrd でもありました。またこの曲は、後にハンコックがプロデュースする Head Hunters でもアレンジを変えて強力な曲となっています。ミュージシャンにとっては印象的なつくりの曲になるようです。
 とはいえ、このアルバム、他の作品に較べるとあまり話題にならないとなっています。前作が強力であり次のアルバムに同様のモチーフで Blind Man, Blind Man を持ってきたことで2匹目のドジョウ狙いのような扱いになっているからでしょうか。ぶち抜けた良さはありませんが、シンプルに演奏曲目とも実に良い作品ではあります。
 ファンク基調のジャズも良いですが、3曲目の King Cobra は、コードとリズムが印象的で気に入りました。これがハンコックのコブラのイメージなのかと思ったら、ハンコックが当時乗っていたスポーツカー、Shelby King Cobra の曲だそうです。重たいエンジン音がブルンブルンとして、朝靄の中へぶっ飛ばすようないめーじなのでしょうか?そう思って聴くとすっきりします。

piano : Herbie Hancock
guitar : Grant Green
bass : Chuck Israelsb
drums : Anthony Williams
tenor sax : Hank Mobley
trombone : Grachan Moncur III
trumpet : Donald Byrd

Producer : Alfred Lion

Recorded on March 19, 1963.

1. Blind Man, Blind Man
2. A Tribute To Someone
3. King Cobra
4. The Pleasure Is Mine
5. And What If I Don't





  

2022年3月15日火曜日

Herbie Hancock / Head Hunters

 

 ジャズ・ピアニストとしてのハンコックよりも、この時期のファンキー・フュージョン路線が私の学生時代のハンコックのイメージです。最近になってハンコックのアコースティック時代の作品を聴いていてこのアルバムを聴いて「そうそう、これなんだよね」って感じですね。
 未だ聴いていないんですが、エレクトリック路線としては、この前の作品の Fat Albert Rotunda で取り入れてはいたようで、この Head Hunters は、音楽的にも一歩踏み出した契機の作品とのことです。購入のきっかけとしては、このアルバムに学生時代の思い入れがあったわけではなく、この録音から派生したバンドの The Headhunters / Survival Of The Fittest を先日聴いて中々のものだったことからこれはマストで聴いとかなければならないアルバムと思ってのことです。


   元祖のこのアルバムの方がファンク・R&Bの取り入れ方としては直接的に響く感じがして、良い意味で都会的な古臭さがあって楽しいですね。Wikiでは「ジャズ・ファンの枠を超えて反響を呼び記録的に売上げるとともに大きな名声を獲得したが、当時のジャズ・ファンからは、ハービーも堕落したなど非難を受けることもあった」などの記述もありました。ゆるく路線変更を試みていく人が多い中、おそらくがらりと作風を変えたあまりの路線変更に拒絶反応が起こった人も多くいたようですね。ストレートなジャズを期待して購入したらなんだこれは?ってとこでしょうか。いやジャケを見たら方針変更は明確なんですから、小難しいことを言いたがるジャズ・リスナーがファンクを下に見ていたことによるハンコック離脱への批判と言ったところなんですかね。まあ今ハンコックを何枚か聴いていてアコースティック時代を聴いていた人たちががっかりする気持ちもわからんでもないです。
 収録曲の冒頭 Chameleon は、気持ちの良い16ビートのベースに乗せてハービーのシンセがシンセサウンドで宇宙的な広がりを見せる気持ち良いジャズ・ファンクを聴かせてくれる。Watermelon Man は、ハービーが初のリーダー・アルバム Takin' Off (1962年)で発表した楽曲で、これをジャズ・ファンクのアレンジで再演したもの。この名曲をここまでファンクへの進化を見せたカバーは類を見ないのではないでしょうか。イントロのパーカッションソロから、あの Watermelon Man にさりげなく発展させるとは、このメンバーならではの名演です。3曲目 Sly は、当然ファンクのヒーローである Sly Stone を意味する楽曲の、ブラック・ファンク でこのタイプのフュージョン・ファンクはハマるものがあります。Vein Melter コマーシャルな楽曲ではないものの、ずっしりとして怪しげで力が入っています。これもこのメンバーならではの楽曲です。
 ハービーはソウルやR&Bはバカげた音楽だと思っていて、絶対にやらないと決めていたらしい。しかし心のどこかに惹かれるものがあり、このアルバムでそのドアを開けてみたとのことです。徐々にファンクっぽくなるミュージシャンはいますが、こんなに急な扉の開け方をする人は中々いません。👏ですね🎵

clavinet (hohner D6), electric piano (fender rhodes), pipe, synthesizer(arp odyssey, arp soloist) :  Herbie Hancock
electric bass, ,marimbula : Paul Jackson
drums : Harvey Mason
agogô, cabasa, congas, percussion(beer bottle, gankoqui), slit drum(log drum), shekere, surdo, tambourine, vocals (hindewho), balafon : Bill Summers
soprano sax, tenor sax, saxello, bass clarinet, alto flute : Bennie Maupin

producer : David Rubinson, Herbie Hancock
recorded by : Dane Butcher, John Vieira

recorded at Wally Heider Studios, San Francisco and at Different Fur Trading Co., San Francisco.

1. Chameleon
2. Watermelon Man
3. Sly
4. Vein Melter



▶ Sly


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2023年12月15日金曜日

Herbie Hancock / Inventions & Dimensions

 

 リーダーアルバムは、Takin' Off(1962年)、My Point of View(1963年)Miles Davisに次ぐ1963年の3作目。この年にハンコックは Eric Dolphy と共演し、Miles Davis のグループにも抜擢され 1968年まで在籍する訳ですから、この年からジャズ界のメインストリームを歩き始めた年になります。
 聴かず嫌いだったハンコックを聴き始めたら初期作品の面白さにハマってきたのですが、この時期のハンコックはやはり脂の乗りが良い。後期の演奏やマイルスバンドへの参加でもわかるように守備範囲は広く、ハンコックの好奇心や創造力の広げ方は他の追随を許さないですね。ジャズが革新的な発展を遂げている時期を感じられます。
 メンバーはピアノ、ベース、ドラム、ラテンパーカッションという、管楽器がいなくて、打楽器がふたりという特殊な編成でリズムを大切にするための布陣ですが、演奏自体はマイルスのバンドに繋がるジャズの方向性が感じられて地味に良いアルバムです。


 それでは、レビューです。Succotash は最初からガツンとやってくれます。3拍子のポリリズムに無機的なリフです。現代音音楽を聴いているようでもありアフリカンな音楽を聴いているようでもあり、これは作曲、編曲とも考えぬいて作っているのか?内省的な表現なのか?ピアノ、ベース、ドラムが規則的にバラバラに進行してつじつまが合って、またほどけていく。ガーンときました。Triangle こちらはストレートなジャズですが、ピアノの音使いはモード的で、異次元の世界的な展開で後半のパーカッションがとても好印象。Jack Rabbit は、ラテンのスリリングさを持った後のクラブ・ジャズ、アシッド・ジャズにも通ずる曲です。カバーしているアーティストも多いらしい。Mimosa は、とてもエレガントな曲で、コンガとピアノのマッチングが面白い。Jump Ahead は、ストレートなバップになりますが、非常にスタイリッシュな印象を受けます。そして Mimosa (alternate take) はボーナス・トラックです。
 本アルバムは譜面なしでの録音であったとのことでハービーの頭に浮かんだ主題がそれぞれのメンバーの感性によって色付けされているようで実にユニーク。1963年の録音では先進的過ぎて理解されずらかったかもしれない音のクオリティで、今の時代のアシッド・ジャズ的な香りがプンプンしますが、ハービーは寄り道しただけで、この方向では走り続けなかったようです🎵

piano, all Compositions : Herbie Hancock
bass : Paul Chambers
congas, bongos : Osvaldo 'Chihuahua' Martinez
drums, timbales : Willie Bobo

producer : Alfred Lion

recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey on August 30, 1963

1. Succotash
2. Triangle
3. Jack Rabbit
4. Mimosa
5. A Jump Ahead
6. Mimosa (alternate take)




▶ Mimosa