検索キーワード「Maiden Voyage」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示
検索キーワード「Maiden Voyage」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示

2021年12月7日火曜日

Herbie Hancock / Maiden Voyage

 

 1965年5月、Herbie Hancock (ハービー・ハンコック)の5枚目のリーダー作として作成された60年代のハービー・ハンコックの傑作と言われるアルバム Maiden Voyage 邦題は処女航海です。
 私のハービーのイメージは1980年代のヒップ・ホップなどを取り入れたエレクトリック・サウンドだったので、ジャズをやっていたことは知ってはいたのですが、あまり単体で聴くことはありませんでした。しかし、マイルスを聴き始めてからハービーのピアノを聴くことも増えてきたため、Speak Like A Child などを仕入れて入門編であるこの処女航海など最近聴き始めています。


 マイルス・デイヴィス・グループには1963年~1965年まで在籍していたので、メンバーもトランペットの Freddie Hubbard を除けばマイルス・バンドのメンバーですしマイルスの影響をモロに受けていた時代の作品と言えるでしょう。
 テーマはタイトル通り、海の広大さと威厳・処女航海で海をゆく船の壮麗さ・優雅なイルカの美しさ・小さな海生生物の生・嵐などを盛り込んだモチーフを持って作成されたハービーのオリジナルとなっています。航海に乗り出す船の美しい姿や 光る水面などのイメージの Maiden Voyage で始まり、次いで嵐をモチーフにした The Eye Of The Hurricane と続きますが、メンバーの若々しく、エネルギッシュな演奏。ハービー透明感があってキラキラのしたピアノのバランス感も素晴らしい。1965年にしては、現代的な音のセンスの和音とビートのジャズを展開しているのだから、当時のこのアルバムを聴いたジャズ・ファンは新たな時代を感じたに違いありません。この後にエレクトリック・キーボードを取り入れてファンク、ヒップホップ、ジャズ回帰などの活動をする人だけに、初めて聞くわけではないけどアルバム全体を通して聴くとしみじみするものがあります。

piano : Herbie Hancock
bass : Ron Carter
drums : Anthony Williams
tenor sax : George Coleman
trumpet : Freddie Hubbard

producer : Alfred Lion

recorded on March 17, 1965.
recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey

1. Maiden Voyage
2. The Eye Of The Hurricane
3. Little One
4. Survival Of The Fittest
5. Dolphin Dance





muu music webzine

  

2025年4月24日木曜日

Chick Corea & Herbie Hancock / An Evening with Chick Corea And Herbie Hancock

 


 最近聴いている音源には Herbie Hancock が多いですが、Chick Corea については、Electric Band系が多いかと思っていたら、Miles 作品が多いでしょうか。この両者の共通点として直ぐに思い浮かぶのは、若い時は思いっきりアコースティック・ジャズのミュージシャンであったのが、ある時思いっきりエレクトリックに傾倒し、またアコースティックに戻ってきているところです。このアルバム購入は2025年に入ってからで、特に目的としてのこう購入でなく、たまたま中古屋で見かけたから。私には興味津々ですが、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」では、余り好まれて聴かれることの無い二人です。しかし先に家で封を開けて聴いたところ素晴らしい。敢えて、皆様の先入観を変えるために持って行きました。が、人の先入観はなかなか変えることが出来ないもの、悪評ではないものの、無反応に近い。うーん、これは残念。しかし音楽は自分で聴いて、どう感じるかです。他人の評価に惑わされることがあるものの、自分が良いと感じることが心の栄養に大事なものです。


 Chick Corea と Herbie Hancock、共演と言えば Miles Davis / In A Silent Way (1969)Live Evil (1971) などが有名ですが、ライナーノーツには、二人の繋がりが、もっと原点にあると掲載されています。Chick のデビュー・アルバムは1962年7月にニューヨークで録音されたラテン音楽のバンド、Mongo Santamaría の「GoMonGo!」で、この頃 Herbie は Donald Byrd のバンドにいて、土曜日だけ Mongo Santamaría のバンドで演奏していたそうです。そして、当時未完成だった Herbie のオリジナル「Watermelon Man」を Mongo Santamaría が取り上げて大ヒットとなり、Herbie 初のリーダー・アルバム Takin' Off (1962) でも収録され大ヒットし、様々なミュージシャンにカバーされたり完全オマージュの別名の曲が演奏されるなんてことも起きています。共演こそしていないものの両者の Mongo Santamaría への参加、そして「Watermelon Man」へと点と点がつながってくると言う、エピソードは謎解きのようでワクワクしますが、ここでは残念ながら演奏されていません。


 このアルバム 1978年2月ライブ録音。6曲中3曲がChick、1曲がHerbie、1曲がChick  & Herbie、そしてバルトークのピアノ曲で、ライナーノーツの英語版では、このアルバムは、二重奏 (Duets) であるが、勝負・決闘 (Duels) ではないと書かれ、Duets には「二人だけの対話」の意味がある。対話ではあるが「対決」はあり、インプロビゼーションの最もピュアーかつスリリングな局面が凝縮されているとも書かれています。このライナーツのライターの 久保田 高司 氏の研究心、書きっぷりは中々マニアで読み応えありました。ステレオで注意深く聴きたい方は、右が Chick、左が Herbie です。
 それでは、全曲レビューしていきます。「Homecoming」Chick Corea の作曲です。格調高きクラシックのようであり、フュージョンのようでありながらの実はジャズ・インプロであるのが凄い。2台のピアノを名手が演奏するので、広がりがある美しい展開、打楽器のようなピアノの使い方などテクニックやピアノを知り尽くしたアイデアも堪能できます。拍手の大きさ、笑い声などからも顧客サービスたっぷりのパフォーマンスもあるようで、おそらくピアノの鍵盤前から離れてのピアノの弦の中に手を突っ込んでのパーフォーマンスをしながら、手を挟まれるギャグなんかもやっているように音から推測できます。映像で見てみたい気もしますが、見なくても想像できる録音です。「Ostinato」はバルトークの「Mikrokosmos」よりと書いてあります。他の演奏を聴いたことが無いので、この演奏の凄さはわかりませんが、1曲目で耳馴れしてくると、オーケストラでも聴いているかのような立体感のある演奏に聞こえますが3分だけの超ショートであさめています。「The Hook」は Chick と Herbie の共作となっています。こちらは最初からインプロ感のある演奏で、ウネウネとお互いの感情を探りながら変化していきます。特に印書に残るのは、ギターのピッキング単音のような響きのリフを延々としてる部分で鍵盤を叩いているだけなのだろうか?それとも、ホントにピッキングでもしているのだろうか?気になります。11分過ぎのミュート気味の音はピアノの弦の上に何かをのっけて鍵盤を叩いての音だろうか?とか、それを過ぎると二人の単音連打による打楽器的なアプローチ。かなり独創的です。「Bouquet」 Herbie が Chick を紹介しての Chick の独奏。こちらについてはガチガチの遊びとお笑い要素無し。Herbie の紹介部分があるから1曲目の Homecoming と実質的には同じぐらいですが、最長の19分22秒の演奏です。途中何かラテンの曲からの引用もあることだけは解りますが、何の曲かはわからないのが悔しいところ。「Maiden Voyage」そして Herbie の名曲の登場です。Maiden Voyage (1965) では、Freddie Hubbard のトランペットが印象的なジャズ曲でしたが、ピアノのデュオでやると透明感のある曲に変わります。イントロから始まるコードリフだけで客はヤンヤです。ファンは大興奮ですね。ピアノだけのプレイですが、ここにきて私も頭がハッと覚めます。「La Fiesta」Chick 作曲のスパニッシュかラテンと思いきやイントロからはラテンの雰囲気は微塵も無し。でも途中のソロからスパニッシュになり、おそらく Chick の演奏に合わせてスパニッシュにあるリズムの手拍子?っぽいヤツを Herbie が合いの手を入れて雰囲気が盛り上がります。
 なにしろ、名手の二人であり息もぴったり、アイデア満載のファンサービスたっぷり。ありがたいけど退屈なアルバムではありません🎶🎹 

piano (steinway) : Chick Corea, Herbie Hancock

producer : Chick Corea, David Rubinson
recorded live at Masonic Auditorium, San Francisco; Dorothy Chandler Pavilion, Los Angeles; & Hill Auditorium, Ann Arbor; February, 1978.

1. Homecoming / Chick Corea
2. Ostinato (From Mikrokosmos For Two Pianos, Four Hands) / Bela. Bartok
3. The Hook / Chick Corea, Herbie Hancock
4. Bouquet / Chick Corea
5. Maiden Voyage / Herbie Hancock
6. La Fiesta / Chick Corea





  

2024年1月1日月曜日

Bobby Hutcherson / Happenings

 

  まずは、この中身がジャズであるとは想像できない斬新なジャケットに惹かれます。ジャケットを手掛けたのは Reid Miles なるグラフィック・デザイナーで、1956~1967年のBlue Note で400枚余りのアルバムを手掛けていたとのこと。これほどの仕事をしているのに、好きな音楽はクラシックであったとのことで仕事と趣味は別物であったようです。少し調べてみただけで、Reid Miles のお仕事は Cookin' Bags GrooveSomethin' ElseThe SidewinderBlue TrainSoul StationMidnight BlueSearch For The New LandGreen Street・・・・色付け写真、文字のみジャケなど、様々なパターンがありますが一定の法則はありそうな感じです。


 得てしてジャケットに反してイモな音であることも良くあるかと思いますが内容がまた良かった。ボヤボヤしていない輪郭がはっきりした vibraphone のサウンド。これにセンスの良いピアノ・サウンドは Herbie Hancock でした。なので、Maiden Voyage も収録されています。vibraphone と言えば、スイングの Lionel Hampton、モダン化の Milt Jackson ですが、そういった先陣のサウンドを進化させたのが Bobby Hutcherson と言えるのではないかと、このアルバムを聴いていて思います。演奏は脂がのっていますが、サウンドはクールです。
 さてレビューです。 Aquarian Moon は、イントロが始まったと思ったら直ぐに疾走感がありながらも透明感のあるプレイに魅了されます。ハンコックのピアノも絶好調でメロディー楽器で有りながら打楽器でもある両楽器の相性の良さを感じながらもスリリングなプレイは爽快。Bouquet は、どこか抽象的で前衛的な神秘的な楽曲で心に安定感をもたらしてくれます。Rojo はボサノバですが、音使いが不思議な曲です。正しい音使いがあるとすれば、そこから0.5ぐらいズレた音の選択をし続けることによって不思議な感覚が生まれます。Maiden Voyage は言わずもがなのハンコックの持ち込み曲です。1965年にハンコックは発表で、この録音はその翌年です。ハッチャーソンよりも、やはりハンコックの世界観で進行していると感じるので、オリジナルの方が印象としては好いかもしれません。Head Start ここで高速バップで主役はハッチャーソンに戻ります。どこかで聞いたことのあるテーマですが、そこは気にしない。When You Are Near は、ゆったりめのバラードで、vibraphone の、ゆらぎを聴かせるプレイです。The Omen は、怪しいフリーな曲です。Omen は日本語では「前兆」ですが何の前兆なのかを知りたいところ。嵐ではなく何か不思議なことの起こる前兆のようなホラーな雰囲気でした。アルバムの締めをこの曲にするところに芸術性を感じます。
 とりわけ好きな音って訳では無いですが、何か心に引っかかるものを遺してくれる作品でした🎵
 
vibraphone, marimba : Bobby Hutcherson
piano : Herbie Hancock
bass : Bob Cranshaw
drums : Joe Chambers

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder
photography, design : Reid Miles
recorded on February 8, 1966.

1. Aquarian Moon
2. Bouquet
3. Rojo
4. Maiden Voyage
5. Head Start
6. When You Are Near
7. The Omen


▶ Rojo



  

2025年4月17日木曜日

GRP All-Star Big Band

 

 GRP Records は創立は1972年で元々は音楽プロダクション。オーナーの Dave Grusin、Larry Rosenの頭文字からとった "Grusin-Rosen Productions "の略。知りませんでした。へえですね。設立当初はアルバムのプロデュース業だったのが、1978年にGRPレコード を設立して、1986年に大手のMCAに買収されてからトップ・レーベルの地位を確立。現在は、Universal Music Group (UMG) の Verve Label Group の傘下にあります。


 もともとこのバンドはレーベル設立10周年の創立記念企画で生まれたビッグ・バンドだったようですが、その後も継続し、1992年、1993年で2枚のアルバムをリリースしています。このアルバムの購入動機は1995年発売のビッグ・バンドによるブルースメインの企画盤でGrp All-Star Big Band / All Blues を久しぶりに聴いたら、かなり良かったので、中古CD屋に1992年を発見したので購入しました。1995年以降の発売していません。


 それではレビューしていきます。Airegin は、Sonny Rollins作の Miles Davis / Bags Groove (1957) で有名なスタンダード。リズム隊無しのブラス・アンサンブルがイントロでこれがコンボでは楽しめない良さ。そこからベース・ピアノが曲を形作ってからブラスが入ったテーマに入ります。いきなりテーマに行かないアレンジはカッコ良い。非常に切れの良い演奏はオールスターならではの一流を感じます。Blue Train コルトレーンのブルースでJohn Coltrane / Blue Train (1957) で有名なヤツです。超スタンダードですから耳慣れたテーマで直球ビッグ・バンドのアレンジですが、でっかい音の塊りと塊りがドーン、ドーンとぶつかってくるのが気持ち良い。Donna Lee 大好きな曲です。それほど早くもない演奏かと思いましたが一流ミュージシャンが難なく演奏しているだけで結構早くてスリリングですね。そして、Gary Burton のビブラホン・ソロがいいなあ。Eddie Daniels のクラリネット・ソロが入ると時代が逆戻りするなあ。と思っているとアッと言う間に終わります。続いて Maiden Voyage はまたハンコックの名曲です。このセッションにいてくれたら、また豪華だったとは思いますが、レーベルが違うんですかね。ALL-Star には無理か。Sister Sadie これも原曲もイナセなカッコ良い曲ですね。Horace Silver / Blowin' The Blues Away(1959)ですね。The Sidewinder これも Lee Morgan / The Sidewinder (1964)  の8ビートを取り入れメジャーコードからマイナー・コードの変換が小節の途中で起きる歴史的名曲。トランペット・ソロは Randy Brecker が美味しいとこ持ってって、Tom Scott のサックス・ソロも、かなりのインパクトで足跡残してますし、ここ一発の Alex Acuña のパーカッション・ソロもパンチが効いてます。出演者が、かなり楽しんでます。Seven Steps To Heaven マイルスナンバーで Miles Davis / Seven Steps To Heaven (1963) が元曲になります。元曲はもう少しワイルドな感じですが、こちらはアカデミックな感じの響きになってます。こちらのトランペットソロは、Sal Marquez 私の所有音源ではフュージョンの Murcus Miller / The Sun Don't Lie (1993) にしか登場しない方ですが、さすが All-Star のソリストで、腕は抜群の流暢な爽やかに流れる感じのテクニックを感じる存在感で、かなり長めに出番もらってます。I Remember Clifford 25歳で亡くなった翌年 Clifford Brown ライオネル・ハンプトン楽団で一緒だった Benny Golson が作曲し Lee Morgan のアルバムで発表した楽曲で、トランぺッターのカバーが多い正統派バップ。トランぺッターは Arturo Sandoval この人も私の所有音源では録音少なく、Rod Stewart / As Times Goes By..The Great American Song Ⅱ でアルバイトしてるぐらいですが、ここではまた全般吹きまくりで、高音のキュイーンが好きなヤツで後半多発。良い仕事してます。GRP の層は分厚いです。Footprints これはオリジナル持ってませんでした。Miles Smiles の収録曲です。やっと Lee Ritenour の出番で、ビッグ・バンドの演奏も Lee Ritenour が入る前は普通にビッグ・バンドですが、ギターが入ったとたんに透明感が出てきてフュージョンぽく聞こえます。中盤の Sal Marquez のソロ以降は少し泥臭くなります。中盤過ぎのラテン・リズムのアレンジにして Lee Ritenour の単音バッキングは、ああこれだ、リトナーだと懐かしさ感じます。Manteca ガレスピナンバーで、お祭りになります。選曲も良いですね。全体的にトランぺッター贔屓のような気もしますが。'Round Midnight ベタにモンク作品を入れてくるのが、潔くて良いです。が曲のアレンジは一般的なものと、かなり変えています。アレンジャーは Vince Mendoza という方で、編曲で著名な方のようです。Spain さらに最後はベタなスタンダードで、これも嬉しい選曲。Chick Corea は演奏に参加しないもののアレンジャーとして参加しています。この曲を知り尽くしている方だけあって、本人がいじり倒しています。
 文句なしでビッグ・バンドを楽しめました。上手すぎる演奏とベタな選曲はリスナーを楽しませることに徹しており、大満足です。

piano : 
  Russell Ferrante (1, 2) , acoustic piano solo (1, 2)
  Dave Grusin (3, 4, 11), acoustic piano solo (4, 11)
  Kenny Kirkland (5, 7, 10, 12), acoustic piano solo (5, 10)
  David Benoit (6, 8, 9), acoustic piano solo (8, 9)
guitar : Lee Ritenour (9, 12), electric guitar solo (9, 12)
bass : John Patitucci, bass solo (5)
drums : Dave Weckl, drums solo (6, 7, 10)
percussion : Alex Acuña (4, 6, 9, 10, 12), percussion solo (6, 10)

alto sax, tenor sax, soprano sax, flute : Eric Marienthal, alto saxophone solo (4)
alto sax, tenor sax, soprano sax, flute, piccolo flute : Nelson Rangell, alto saxophone solo (2), piccolo flute solo (3)
tenor sax, alto sax, soprano sax, flute : Ernie Watts, tenor saxophone solo (1, 11)
tenor sax, soprano sax, bass clarinet, flute : Bob Mintzer, tenor saxophone solo (2), baritone clarinet (4)
baritone sax, alto sax, tenor sax, soprano sax : Tom Scott, alto saxophone solo (1), tenor saxophone solo (6)
trombone : George Bohanon, trombone solo (2, 5)
trumpet, flugelhorn : 
  Arturo Sandoval, trumpet solo (8, 10)
  Randy Brecker, trumpet solo (6, 10)
  Sal Marquez,  trumpet solo (7, 9)
clarinet : Eddie Daniels (3, 4),  clarinet solo (3, 4)
flute : Dave Valentin (10, 12), flute solo (10, 12)
vibraphone : Gary Burton (3, 11), vibraphone solo (3, 11)

executive-producer : Dave Grusin, Larry Rosen
producer : Michael Abene
recorded by : Don Murray
recorded January 12, 1992 at Oceanway Studios, Hollywood, CA.

1. Airegin / Sonny Rollins
arranged by Michael Abene
2. Blue Train / John Coltrane
arranged by Tom Scott
3. Donna Lee / Charlie Parker
arranged by Tom Scott
4. Maiden Voyage / Herbie Hancock
arranged by Dave Grusin
5. Sister Sadie / Horace Silver
arranged by Michael Abene
6. The Sidewinder / Lee Morgan
arranged By David Benoit
7. Seven Steps To Heaven / Miles Davis, Victor Feldman
arranged by Russell Ferrante
8. I Remember Clifford / Benny Golson
arranged by David Benoit
9. Footprints / Wayne Shorter
arranged by Bob Mintzer
10. Manteca / Dizzy Gillespie, Walter Fuller, Luciano Pozo
arranged by Bob Mintzer
11. 'Round Midnight / Bernie Hanighen, Cootie Williams, Thelonious Monk
arranged by Vince Mendoza
12. Spain / Chick Corea
arranged By Chick Corea
orchestrated by Peter Sprague



▶ Spain


  

2023年3月5日日曜日

Herbie Hancock / Quartet

 

 いきつけの「おでんバー」では、ジャズに、こだわりのある方が多いので持って行った音源をかけて反応を見るのが楽しいのですが、傾向として、Bill Evans とJaco Pastorius の反応は悪いことはわかっています。Herbie Hancock、Chick Coreaについては嫌われてハイなようですが反応は薄目、コメントはほぼ無しなので歓迎はされていないようです。という訳で、このアルバムも実験として持って行きましたが1曲目だけ反応があり以降は薄目でした。なんとなく、わかっていましたので別に悔しくもなく、むしろ1曲目に反応があったのは発見でした。(やはり嫌われてはいない)
 と言うことでこのアルバム、ジャケットをよく見ると2Record set on 1 Compact Disc の表示なので2枚のアルバムが一つにまとまっているようです。そのうちダブル可能性があるのでなるべく覚えておきたい情報です。ライナー・ノーツはついていませんでした。裏面には曲目、メンバー、録音場所などは書いてありますが二つのアルバム名は書いてありません。でググって見ると、1981年夏の来日の際、信濃町のスタジオで録音された14曲は二枚のアルバム「Herbie Hancock Trio.1981」「Quartet Herbie Hancock」でリリースされた。日本では前者のアルバムに収録された「ステイブルメイツ」が素晴らしく人気盤となる。しかし「ステイプルメイツ」はこのアルバムには入っていない?ではありませんか。この東京のレコーディングでは2枚分のアルバムが収録されたが、状況証拠としては、本CDで2枚分のアルバムは収録されていないのではないでしょうか?想像するに、CDに入っていたのはライナーノーツが無く、安っぽい1枚の紙印刷物を4つ折りにしたものなので「海賊版のようなもので中身を確かめずに違うCDのジャケットをスキャンしてコストを抑えるために4つ折りにした」で当たっているような気がします。つまりはダブる可能性は無いってことですか。なるほど。


 下調べにだいぶ時間を使ってしまいましたが、状況がわかったところでアルバムのレビューです。Well You Needn't 言わずと知れたモンクのナンバーが1曲目。原曲よりもスピード感あふれる演奏で完璧なフレージングで突っ走ります。特に目立つのは Wynton Marsalis  の独壇場のような正確無比な音使い若干19歳の若者が先輩たちについてこいと言わんばかりのソロを展開し、続くハンコックのピアノ、ロン・カーターのベースも本気さが伺えます。つまらない演奏が多いと言われる Wynton Marsalis ですが、これは当たりのほうの演奏ではないでしょうか。 'Round Midnight もモンクです。ハービーのリリカルなピアノのイントロ、ミュート・トランペットがテーマを吹きフリー・テンポからきっちりとしたリズムになり、いきなりのビッグバンドのような爆音でテーマが終了してソロ回しに展開。ベタですが楽しいかもしれない。そしてテンポ・アップしてまた表情を変え、エンディングは、テンポを落として夜中に散歩に戻るような展開は、これまたにくいエンターテイメント。Clear Ways は Tony Williams の楽曲で、スピード早めのハード・バップ。音量は各楽器マックスの録音ですがピアノ・ソロの時に興奮して誰かがわめいているような音が聞こえます。ハンコックでしょうか?そのぐらいのノリノリの演奏であります。A quick sketch は、Ron Carter の楽曲で16分30秒の大作で、テーマ部分はサビ以外はワン・コードでタイトル通り手早く作った曲なのでしょうか。構造が単純な分、退屈な感じはしますがメンバーの技量が素晴らしいだけに聴きごたえのある内容になっています。The Eye Of The Hurricane はハンコック作曲で、Maiden Voyage でもお馴染みのヤツです。嵐がモチーフの曲だけあってエネルギッシュな演奏にもってこいの楽曲です。ここでもピアノ・ソロで誰かがわめいているかのような音が聞こえます。やはりハンコックですか。そしてトニーのドラム・ソロが本能の演奏と言う叩き方に興奮。終わりも派手ハデでナイス。Parade も Ron Carter の楽曲で今回は短いですが長めの8分。ボサのリズムで良い曲で箸休めのような役回りの曲かと思っていたら後半が熱い。Parade はエレガントなピアノイントロが長めに展開、トニーのリム・ショットが効いたドラムとトランペットで場面を変える。この Wynton Marsalis の演奏も当たりですね。つまらなくないし押し引きもバランス良いです。ハンコックのバラバラと音がちりばめられるようなソロも素晴らしい。The Sorcerer はハンコック、Pee Wee は Tony Williams の楽曲でともに、ハンコック、トニー、ロン・カーターが参加しているマイルスの Sorcerer 1967年からの楽曲です。I Fall In Love Too Easily は、Jule Styne, Sammy Cahn のスタンダード。シナトラが歌い、マイルスの Seven Steps to Heaven でもこのメンバーで吹き込まれています。しっとりとした美しい響きで大人なジャズの雰囲気にと Wynton Marsalis の響きが合っています。
 廉価版のいい加減なパッケージではありますが聴き終わっても余韻の残るアルバムでした。モンクとマイルスの曲の選曲が多いのですが、このメンバーでは、ただのスタンダードの演奏ではなくなるところが良かったです。当たりです🎯

piano : Herbie Hancock
bass : Ron Carter
drums : Tony Williams
trumpet : Wynton Marsalis

producer : David Rubinson & Friends Inc., Herbie Hancock

recorded  July 28, 1981 at CBS Sony Studios, Shinanomachi, Tokyo, Japan

1. Well You Needn't
2. 'Round Midnight
3. Clear Ways
4. A Quick Sketch
5. The Eye Of The Hurricane
6. Parade
7. The Sorcerer
8. Pee Wee
9. I Fall In Love Too Easily



▶ Parade


  

2022年9月25日日曜日

Herbie Hancock / My Point Of View

 

 1960年にドナルド・バードのクインテットでプロとしてのスタート。21歳になった1962年に21歳でデクスター・ゴードンを迎え、収録曲に Takin' Off という曲は無く代わりに顔として Watermelon Man を収録した Takin' Off で離陸した。その後 Maiden Voyage(1965年に、Speak Like a Child(1968年)を発表していて、その狭間の1963年録音の2枚目のアルバムが本作の My Point Of View となります。


 トランペットに Donald Byrd、テナーサックスは Hank Mobley は鉄板の布陣。トロンボーンの Grachan Moncur III は、私あまり注目したことが無い人ですこのアルバムの録音でも少し地味目の演奏。リズム隊が、また最強でギターのGrant Green、ベースのChuck Israelsb。ドラムは Anthony Williams でクレジットされていますが Tony Williams(トニー・ウィリアムス)で当時17歳です。本名は Anthony Tillmon Williams だそうです。
 曲はと言えば聴いたことが無いのに、出だしから耳にしたことのあるリフです。Blind Man, Blind Man は、1作目のWatermelon Manをベースにしているのです。名曲ではありますが、洗練されたジャズとは言い難い曲と思っているこの曲がベースとなっているのは たしか Donald Byrd でもありました。またこの曲は、後にハンコックがプロデュースする Head Hunters でもアレンジを変えて強力な曲となっています。ミュージシャンにとっては印象的なつくりの曲になるようです。
 とはいえ、このアルバム、他の作品に較べるとあまり話題にならないとなっています。前作が強力であり次のアルバムに同様のモチーフで Blind Man, Blind Man を持ってきたことで2匹目のドジョウ狙いのような扱いになっているからでしょうか。ぶち抜けた良さはありませんが、シンプルに演奏曲目とも実に良い作品ではあります。
 ファンク基調のジャズも良いですが、3曲目の King Cobra は、コードとリズムが印象的で気に入りました。これがハンコックのコブラのイメージなのかと思ったら、ハンコックが当時乗っていたスポーツカー、Shelby King Cobra の曲だそうです。重たいエンジン音がブルンブルンとして、朝靄の中へぶっ飛ばすようないめーじなのでしょうか?そう思って聴くとすっきりします。

piano : Herbie Hancock
guitar : Grant Green
bass : Chuck Israelsb
drums : Anthony Williams
tenor sax : Hank Mobley
trombone : Grachan Moncur III
trumpet : Donald Byrd

Producer : Alfred Lion

Recorded on March 19, 1963.

1. Blind Man, Blind Man
2. A Tribute To Someone
3. King Cobra
4. The Pleasure Is Mine
5. And What If I Don't