2024年8月23日金曜日

The Isley brothers / The Brothers : Isley


 The Isley brothers はオハイオ州シンシナティ出身のソウル・グループで、50年代前半に結成したゴスペル・グループが母体。デビューは1957年で O'Kelly(長男)バッキングボーカル、 Ronald (3男)バッキングボーカル, Rudolph (次男) リード・ボーカル を中心に Ernie Isley (5男) ギター、Marvin Isley (6男)ベース、Vernon Isley (4男)リード・ボーカル、Isley姓でないキーボードの Chris Jasper は Rudolph の妻の弟。デビュー当初はドゥーワップも歌っていてアイズレーは、1959年にゴスペル・ソウル「Shout」をヒットさせています。


 さて1969年制作のこのアルバム、新興宗教のような服装で日本庭園のようなバックのジャケットが印象的。この年はレコード会社のT-Neckへの移籍の関係もありライブ盤含めてDoin' Their Thing、It's Our Thing、Live at Yankee Stadium、The Brothers: Isley と大量4枚のアルバムを制作しています。
 これで12作目なのですが、全盛期へ向かう段階で自身のファンク・サウンドを完成に近づけていた頃。この時代のファンクは、Sly & The Family Stone を筆頭としたサウンドが流行だと思いますが、Isley は、その路線+ロック+ソウルの要素が強いサウンドです。
 I Turned You On はシングルでも発売され全米R&Bチャート第6位、全米チャート第23位となったヘビー&荒削りで、ワンコードで押し切るファンクの醍醐味が詰まった曲で、その後DJからサンプリングネタとして重宝されているらしい。またカーティスっぽくもあります。続く Vacuum Cleaner はイントロからずっと鳴っている単純なギターのフレーズが、もダークでカッコよくて良いですね。そしてメロー・ソウルな I Got to Get Myself Together となり、ここら辺がゴスペルを基本としたボーカル・グループとしての魅力が発揮される曲。Was It Good to You? ではグッとダイナミックなサウンドで The Blacker the Berrie  は無理やりグイグイと引っ張って行くようなロックなファンク。そして My Little Girl はオールドなスタイルのソウル・ファンクで懐かしい雰囲気。Get Down off of the Train は、正統派なソウル・チューンで、Ronald のボーカルの魅力、Holding On も別の意味で正統派なソウルで、ラスト Feels Like the World はバラードで締めくくりです。元々ボーカルグループだけあって歌にハズレはないですね🎶

このCDは5枚組お買い得シリーズの一枚


piano, percussion : Chris Jasper
organ : Truman Thomas
guitar, twelve-string guitar, electric guitar, percussion : Ernie Isley
bass, percussion : Marvin Isley
drums, percussion : George Moreland
percussion : George Patterson

executive-producer : Tony Martell
written by, arranged by, producer : O'Kelly Isley, Ronald Isley, Rudolph Isley
producer (Legacy'S Rhythm & Soul Series Director) : Adam Block

1. I Turned You On
2. Vacuum Cleaner
3. I Got To Get Myself Together (George Patterson)
4. Was It Good To You?
5. The Blacker The Berrie
6. My Little Girl
7. Get Down Off Of The Train
8. Holding On
9. Feels Like The World





  

2024年8月18日日曜日

Miles Davis / Decoy

 

 長年マイルス作品をプロデュースしてきたコロンビアのTeo Maceroと別れ、1984年に発表したマイルスのセルフ・プロデュース体制でレコーディングされたスタジオアルバム。マイルス復活後第4作目。マイルスが向かおうとしていたエレクトリック・ファンクの方向性が明確化された作品で、本作よりベースの Darryl Jones(ダリル・ジョーンズ)がマイルスのグループに正式加入しました。彼はこの時点ではシカゴで活動していたローカルなミュージシャンに過ぎなかったが、シンセの Robert Irving III, そのバンド仲間でマイルスの甥であるドラマーの Vince Wilburn Jr. の推移によりニューヨークの2700席クラスのコンサートホール、エイブリー・フィッシャー・ホールへの参加が要請されたとのことで、それまで数百人程度のディスコ、ライブハウスでの演奏しかしていなかったのでビビッたらしい。ちなみにこのコンサートホール、金管楽器が鳴りすぎ、低音が弱いとの評価でクラシック・ミュージシャンからは評判が悪く後に音響改修されることになったらしいので電化マイルスバンドには丁度良かったのでしょう。
 他、このアルバムには ソプラノサックスでBill Evans 、Branford Marsalis、先ほど紹介のRobert Irving III、ギターに John Scofield(g)、ベースは先ほど紹介の初参加 Darryl Jones、ドラムに Al Fosterm、パーカッションは Mino Cinelu が参加していて、Branford Marsalisをレギュラー・メンバーに起用しようと考えていましたが、それは実現できませんでした。


 それではレビューしていきます。Decoy シンセの Robert Irving III作品、ファンクっぽいけどジャズ・ファンクではない楽曲です。いわゆる売れ線的なリフとリズムとなっています。Robot 415 は1分10秒の実験的な感じがする曲で、シンセとパーカッションにワウのエフェクトがかかったトランペット。Code M.D. は、かなりファンクも入っていないフュージョン作品です。John Scofield のギターは、あまりウネウネしていないですね。マイルスも、あの音を探しながら吹くような感じの吹き方です。Branford Marsalisも参加ですが、デスクトップで作ったってイメージで、軽いですかね。Freaky Deaky はマイルス作曲で、シンセを担当でトランペットは吹いていません。これも抽象的で実験的な曲となっており緊張感とかは全くないヒーリングのような曲ですね。What It Is は、1983年7月7日、マイルス・バンドがモントリオール・ジャズ・フェスティバル出演時の録音です。かなりのファンクなフュージョンで。マイルスとジョン・スコフィールドの共作で、売れ線です。That’s Right は、アレンジにギル・エヴァンスのマイルスとジョン・スコフィールドの共作。本作はかなり、ゆっくりしたテンポで、どこかのソウル・ナンバーのオマージュかと思う曲です。That’s What Happend 実は前作 Star People の Speak と同じ曲とのことですが、前作は、かなりロック的な感じで、今作はファンクな感じ。前作のテーマらしきものは今作に反映させていないと思われ、同じ曲とはAIでも判別はできないものと思われます。これもマイルスとジョン・スコフィールドの共作。
 ロックに近い路線もあったが、よりファンクに寄せてきた実験作のような感じです。大衆受けを狙ったかと言えばそうでもない。アルバムのまとまりも無いような気もするし、、、うーん。面白くはあるかなあ🎶

producer : Miles Davis
recorded by : Guy Charbonneau

recorded at Record Plant Studios, N.Y.C.
Track 4 Recorded at A&R Studios, N.Y.C.
Track 5 Recorded Live at Festival International De Jazz De Montreal

1. Decoy (Robert Irving III) 
trumpet : Miles Davis
synthesizer, drum programming (electric) : Robert Irving III
electric bass : Darryl "The Munch" Jones
guitar : John Scofield
drums : Al Foster
percussion : Mino Cinelu
soprano sax : Branford Marsalis
2. Robot 415 (Miles Davis, Robert Irving III)
trumpet, synthesizer : Miles Davis
synthesizer, synthesizer (bass), drum programming (electric) : Robert Irving III
percussion : Mino Cinelu
3. Code M.D. (Robert Irving III) 
trumpet : Miles Davis
synthesizer, drum programming (electric) : Robert Irving III
electric bass : Darryl "The Munch" Jones
guitar : John Scofield
drums : Al Foster
percussion : Mino Cinelu
soprano sax : Branford Marsalis
4. Freaky  (Miles Davis)
synthesizer : Miles Davis
electric bass : Darryl "The Munch" Jones
drums : Al Foster
percussion : Mino Cinelu
5. What It Is (Jhon Scofield, Miles Davis)
trumpet, synthesizer : Miles Davis
guitar : John Scofield
electric bass : Darryl "The Munch" Jones
drums : Al Foster
percussion : Mino Cinelu
soprano sax : Bill Evans
6. That's Right (Jhon Scofield, Miles Davis)
trumpet, synthesizer : Miles Davis
synthesizer : Robert Irving III
guitar : John Scofield
electric bass : Darryl "The Munch" Jones
drums : Al Foster
percussion : Mino Cinelu
soprano sax : Branford Marsalis
7. That's What Happened (Jhon Scofield, Miles Davis)
trumpet, synthesizer : Miles Davis
guitar : John Scofield
electric bass : Darryl "The Munch" Jones*
drums : Al Foster
percussion : Mino Cinelu
soprano sax : Bill Evans

Decoy




  

2024年8月17日土曜日

Horace Silver / Blowin' The Blues Away

 

 1954年から1955年にかけてJazz Messangers を結成し、1956年に Art Blakeyブレイキーから離れ、自己のハード・バップ・クインテットを作り1959年録音のリーダー作8枚目。ピアニストのシルバー率いるクインテットは、ベースに Gene Taylor、ドラムに Louis Hayes テナーで Junior Cook、トランペット Blue Mitchellの編成。2, 4, 7曲目はベース、ドラムとのトリオでの演奏となっています。バップの複雑さとブルースやゴスペルのストレートな部分をとりれたハード系スイングが多く、各メンバーのソロはストレートで分かりやすいのが特徴です。このグループは結束が固く、この5年後 Horace Silver がバンドを解散した後も、残りの4人は Chick Corea と Blue Mitchell & Junior Cook Quintet として活動を続けています。


 さてアルバムレビューです。ちなみに8曲目を除くオリジナル収録曲は、全曲 Horace Silver 作曲でです。Blowin' The Blues Away 最初はタイトル曲で勢いがあります。ブルースですね。タイトルからして「ブルースをぶっ飛ばせ」ではなく「ブルーな気分を吹き飛ばせ」という意味でしょうか。The St. Vitus Dance ミドルテンポのバップで、流れるように曲が展開していきます。ホーン部隊は無しのトリオ演奏でしっとり・おしゃれ系ですね。Break City テンポ早めのハードバップです。Junior Cook,  Blue Mitchell も張り切ってソロを取っている感じで勢いがあります。Peace は Blue Mitchell がテーマ・ソロをとる落ち着いた曲です。隙間がいっぱいあって味があります。Sister Sadie 聴いていて素直に楽しそうだなと思える踊れるジャズって感じです。The Baghdad Blues 派手な曲が続きます。ピアノは、結構粗い感じでバンド全体も勢いで押す感じが潔くてよいです。Melancholy Mood アルバムとしては勢いばかりでは聴き手も飽きてきますのでバラードの登場です。前半はピアノは低音多用で重い感じで攻めてきます。そしてソロになりますが、やはり強いタッチが多めです。最後のほうで5分過ぎぐらいでニュアンス変えますが元に戻るかあ。少し単調に聞こえちゃいますかね。How Did It Happen Don Newey 最後は楽しく締めです。アップテンポが似合いますね。
 とにかく勢いがあって若いエネルギーほとばしるって感じのセッションかと思います。テクニックなどを聴くというよりは、音楽のエネルギーを感じたいときに聴くのが良いと思います。バンド全体のインパクトもシルバーに負けない位強烈です🎶🎹

piano, composed by : Horace Silver
bass : Gene Taylor
drums : Louis Hayes
tenor sax : Junior Cook (1, 3 to 7)
trumpet : Blue Mitchell (1, 3 to 7)

design (cover) : Reid Miles

producer : Alfred Lion

recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey
recorded on August 29 (1, 6), August 30 (3 to 5, 8) and September 13 (2, 7), 1959.

1. Blowin' The Blues Away
2. The St. Vitus Dance
3. Break City
4. Peace
5. Sister Sadie
6. The Baghdad Blues
7. Melancholy Mood
8. How Did It Happen (Don Newey) / Not part the original album
written by Horace Silver (1to8)


▶ Peace



  

2024年8月16日金曜日

The Roy Hargrove Quintet / Earfood

 

 Roy Hargrove は、1990年に Wynton Marsalis に見出されてデビュー、当時は若手ジャズ・トランペッターとして注目を集めていました。王道を突き進んできた方ですが、NYのクラブ・シーンでのセッションを通じて、ジャズ以外のミュージシャンと積極的に交流をはかり、2000年には D'Angelo の Voodoo に参加、その後のツアーにも加わり R&B/Hip
Hop系ファンからも知られるようになります。そのように様々なジャンルで演奏すし、RHQまたはRHS(ロイ・ハーグローヴ・クインテット)、RHB(ロイ・ハーグローヴ・ビッグバンド)、RHFactor(RHF)の3つの形態のバンドのリーダーでし、後期は主にRHQでの活動が主でした。
 本作は2007年録音の作品でストレートアヘッドなジャズ作品で、 2003年からはじまった Rh Factor で立て続けにアルバムをリリースしたあと。この時代のハーグローブは、ブラックミュージックと両立している時代となります。ジャズが仕事でRHFが趣味みたいな感じでしょうか。
 アルバム全体にはハード・バップな雰囲気流れますが、1~4曲目までは8ビートでポップな要素を盛り込んだライト・フュージョン。5曲目からは4ビート主体となりますが、「静」で聴きやすい曲となっています。ラストの13曲目だけはライブ収録となりゴスペル、ソウル的な演奏で盛り上がり、これはボーナスのようなもんでしょうか。


 それでは大好きなトランぺッターの一人でもある Roy Hargrove のクインテット作品をレビューします。I'm Not So Sure  は、Cedar Walton の作品でグレゴリー・ポーターをもっとジャズ寄りにしたようなソウルフルなリフのオープニングです。ジャズカルテットでありながら8ビートで爆進する心意気がとても心地よい。 Roy Hargrove節のトランペットも聴けます。Brown ハーグローブ作曲のナンバーです。1曲目よりもジャズよりです。Strasbourg は St. Denis の曲で、ソウル系のフィーリングの8ビート。こうやって互い違いに曲をだしてくるのだろうかと思いながら聴き直します。Starmakery は Lou Marini の作曲。ここではボサノバ調できました。。トランペットソロも鋭角でなく、ほのぼのしたトーンでの展開。The Stingerなるほど。Joy Is Sorrow Unmasked 8ビートに戻ってきません。けだるい雰囲気の幻想的な曲です。The Stinger は正調なジャズですね。芸は細かく懐は深いといった感じです。Rouge 今度は幻想的な路線です。ここでもサックスとトランペットのユニゾンが幻想的な世界に拍車をかけます。Mr. Clean は、Weldon Irvine Jr.の曲です。なるほど他人の曲は敢えてソウル的な曲を選んでいるのかと、ここまでではそう思っておきましょう。聞き流していると気付きませんね。Style はハーグローブ作。やはりジャズ寄りに戻ってきました。若干アバンギャルド気味で気持ち良いです。Divine ハーグローブ作の幻想曲ですね。やはり本人作曲はこのアルバムでは刺激少ない系です。To Wisdom The Prize Larry Willis の作曲。これはしっかりジャズですね。Larry Willisのクインテットのオリジナル音源に非常に近いですが、こちらの方が知的なイメージを受けます。Speak Low 有名なスタンダードですね。 しっかりとジャズに回帰しています。とりあえずオリジナルはジャズ路線ですが他人のオリジナルはソウル的な曲が多かったということですね。Bring It On Home To Me は Sam Cooke です。これだけはライブの収録です。
 ストレートにジャズとも言えるが、随所にソウル的な曲が登場して多彩な音楽の要素が入り混じる好きなアルバムではあります。良いのですが大衆的な分インパクトは弱いかもしれません。まだ私の中のロイ・ハーグローブのベストは Habana🎶

trumpet, flugelhorn : Roy Hargrove
alto sax, flute : Justin Robinson
piano : Gerald Clayton
bass : Danton Boller
drums : Montez Coleman

producer : Larry Clothier, Roy Hargrove

recorded September 19-21, 2007, at Capitol Studios, LA

1. I'm Not So Sure  (Cedar Walton)
2. Brown
3. Strasbourg / St. Denis
4. Starmakery (Lou Marini)
5. Joy Is Sorrow Unmasked
6. The Stinger
7. Rouge
8. Mr. Clean (Weldon Irvine Jr.)
9. Style
10. Divine
11. To Wisdom The Prize (Larry Willis)
12. Speak Low (Kurt Weill, Ogden Nash) 
13. Bring It On Home To Me (Sam Cooke)
written by Roy Hargrove (2, 3, 5 to 7, 9, 10)





  

2024年8月11日日曜日

The Tokyo Session

 

 本作はジャズ専門誌 JAZZLIFE のプロデュースによる教則用 CD BOOK の為に録音されたもので、選曲は誰もが知っているスタンダード・ナンバーであること条件でしたが、演奏内容はミュージシャンに一任されていました。東京市ヶ谷にある一口坂音楽スタジオで1991年の録音です。メンバーは、tenor sax : 佐藤達哉、guitar : 布川俊樹、piano : 福田重男、trumpet : 吉田憲司、drums : Peter Erskine、bass : Marc Johnson、bass : 納浩一、drums : 平山恵勇

  
 
 

 それではレビューです。Stanley Turrentine の楽曲の Sugar はファンキー・ジャズ。やはり和ジャズっぽい演奏で日本人としては好感です。佐藤達哉の最初のソロではアルフィーのテーマを引用、吉田憲司も落ち着いたソロ、布川俊樹はコーラスを深めにかけたコンテンポラリーなギター、福田重男ピアノでの曲がびしっと締まります。I Mean You はモンク作品ですが、布川俊樹のギター、福田重男のピアノがメインのフュージョンで、ギター部分は Oz Noy 風になってしまうところが、モンクとギターの親和性を再認識です。ピアノはハンコック風でモンク風ではありませんね。そしてモンク続きの Round Midnight は、布川俊樹のギターと佐藤達哉のテナーのデュオ。これはしっかりとテーマ、ソロ部分もわかりやすく教則の練習曲しても良いとは思いますが採用では無かったようです。次いではコールポーター作品で What Is This Called Love ? 邦題では「恋とはなんでしょう」です。別テイクと書いてあるので教則本に採用された演奏とは別テイクという意味のようです。先の曲よりも初心者には少し高度な演奏だと思いますので、これは納得。やはり全てが名スタンダードStella By Starlight の登場です。これも別テイクとあります。演奏としては非常にオーソドックスな演奏で、モダンジャズの香りがピンプンする演奏です。Koln,January,24,1975 Part 2 キースジャレットのピアノソロ作品、ケルン・コンサートのナンバーです。スタンダードと呼ぶには新しい作品ですが結構演奏されているらしいです。福田重男のピアノはまさに、その影響が感じられます。実に清々しいトリオ演奏です。最後は Things Ain't What They Used To Be ジャム・セッションの定番曲ですね。メンバーが楽しみながら演奏しているのが伝わりますが、決して羽目は外さないのは教則本用の収録だからでしょう。エンディングとしてもぴったりです。
 古くとも色あせないスタンダードが楽しめました。日本の一流ミュージシャンによる演奏は安定度も抜群で楽しめます。

produced and directed by JAZZLIFE
recoerded on September 2,3 1991 at Hitokuchizaka Studio. Tokyo

1. Sugar (Stanley Turrentine)
trumpet : 吉田憲司
tenor sax : 佐藤達哉
guitar : 布川俊樹
piano : 福田重男
bass : 納浩一
drums : 平山恵勇
2. I Mean You (Thelonious Monk)
guitar : 布川俊樹
piano : 福田重男
bass : 納浩一
drums : 平山恵勇
3. Round Midnight (Thelonious Monk)
tenor sax : 佐藤達哉
guitar : 布川俊樹
4. What Is This Called Love ? (Cole Porter)
tenor sax : 佐藤達哉
bass : Marc Johnson
drums : Peter Erskine
5. Stella By Starlight (Victor young)
tenor sax : 佐藤達哉
guitar : 布川俊樹
piano : 福田重男
6. Koln,January,24,1975 Part 2 (keith Jarret)
piano : 福田重男
bass : Marc Johnson
drums : Peter Erskine
7. Things Ain't What They Used To Be (Duke Ellington)
tenor sax : 佐藤達哉
guitar : 布川俊樹
piano : 福田重男






  

2024年8月10日土曜日

Cortijo & Y Su Combo Feat. Ismael Rivera / Fiesta Boricua

 


 本作は、Cortijo & Y Su Combo(コルティーホ・イ・ス・コンボ)コルティーホ楽団&イスマエル・リベーラが1950年代から60年代にかけて、ヘマ/ルンバ・レコーズに残した5作のうちの一つ。パーカッション奏者のラファエル・コルティーホ率いる楽団と、その相棒の名歌手イスマエル・リベーラの黄金タッグのクオリティの高さが光るエネルギッシュな演奏です。


 他の盤でも書いていますが、この楽団の最大の武器は Plena、Bomba のプエルトリコ系アフロミュージックの強力なリズムです。Plena は、2/4拍子でソロとコーラスの掛け合いで歌われ歌詞は町の出来事などを歌いこんだものが多く、Bomba は元々ロイーサ・アンデーアの黒人居住区で太鼓を伴奏に歌い踊ったもので、単純なフレーズを反復する素朴な音楽で、どちらも即興性が高くプエルトリコの暮らしの中で永年楽しまれてきた音楽です。


 豚の丸焼きを囲んで、楽しそうにメンバーが笑っているジャケットな訳はクリスマス・アルバムとして制作されたそうで、ところ変われば七面鳥でもなくケンタッキー・フライドチキンでもなく豚の丸焼きがご馳走になるのかと、お国柄も伺えます。 アルバム収録曲では、Oriza は、まず打楽器が先陣を切り民族音楽的なグルーブにのせた怪しげなコーラスの曲。1959年にキューバ革命が起きてプエルトリコも波乱の情勢の1960年に制作されたこのアルバム。時代特有のザワザワした雰囲気がこのアルバムにあるとライナーノーツで解説されていますが、私には混乱も音楽とダンスで吹き飛ばしてしまおうと言うラテン気質がすごいなと思います。またジプシー・キングスで有名になった Volare が3曲目。キリンの麒麟淡麗を思いだしてしまいます。また Y Pedro Flores は Bomba のリズムでのアルセニオ・ロドリゲスのカバーで、この当時の流行曲をカバーしているそうです。また Doña Chana はハチロクのリズム。いわゆる6/8拍子のリズムで日本人には複雑怪奇に思えますが一小節に二回アクセントが強調されるこのリズムはクセになります。
 リズムだけでなく、エネルギッシュで楽しいところが魅力です🎶

1. Oriza  (Ritmo Ganga)
2. Si Te Mueres No Me Lleves (Bomba)
3. Volare (Guaracha)
4. Que Le Paso (Bomba)
5. La Hija De La Vecina (Plena)
6. Madame Calalú  (Plena)
7. Y Pedro Flores (Bomba)
8. Mofongo Pelao (Bomba)
9. Sola Vaya (Guaracha)
10. Los Chismosos (Bomba)
11. Doña Chana (Bomba)
12. Me Voy A Marancagaya (Samba)
13. Yayabo (Comparsa) Bonus Track

▶ Oriza

▶ Volaré



  

2024年8月9日金曜日

Rachael & Vilray / I Love A Love Song!

 

 古き良きJazzが聴ける。それも現代の録音で、さらには新曲で。Rachael Price(レイチェル・プライス)とギタリストの Vilray(ヴィルレイ)のグッド・オールド・タイミーなデュオによる、古き良き音楽へのリスペクトを感じさせるサウンドです。前作 Rachael & Vilray (2019) が大当たりだったので、この新作が出て直ぐに購入しましたので、これは中古ではありません。
 Rachael Price の経歴を調べて見ると、1985年オーストラリア生まれテネシー育ちのシンガー。もともとの出発点は Lake Street Dive というボーダーレスでノンジャンルなマルチ・ミュージシャンバンドのボーカル。基本アコースティックな楽器を中心のレイドバックしたロック・サウンドで人気のバンドで、ジャズではありません。
 ギタリストの Vilray は、Lake Street Dive のメンバーの Mike "McDuck" Olson, Mike Calabrese とともにバンドを結成していたギタリストで、ボーカルとギターだけのソロ・アーティストとして活動していて Rachael と知り合いではあったとのことですが共演はせず。そして2015年にブルックリンのBar Below Ryeで1930~1940年代のトラディショナルなジャズを聴いていたRachael とのセッションがきっかけで、このコンビが始まったらしい。
 このアルバムは Vilray によるオリジナル楽曲と、Benny Goodman の Ella Jane Fitzgerald、 Petula Clark、Sarah Vaughan なども取り上げたHarry Revel & Mark Gordon のスタンダード・ナンバー「Goodnight My Love」が収録されています。前作同様に、1930年代~1940年代のテイストでスタジオ・ライブ形式でレコーディングしています。古くて新しい暖かで洗練されたサウンドは素晴らしいの一言。


 それでは聴く誰をも魅了するであろうこのアルバムのレビューです。 Any Little Time 言葉の話すリズムを考えて作られたとのこと。Little の t とTime の t は発音が異なり、ソフトな Little の t から、強いアクセントの Time の t に移るときに音楽的な躍動が生まれると感じての作曲とのこと。確かに躍動感はがある曲でボーカルがあることで良さが発揮される曲に感じますし、そう思って聴くと Little Time 以外にもリズミカルな歌詞の音の流れがあるようにも感じる。遊び心溢れるハッピーな曲です。Vilray のソフトな味のボーカルです。 Even in the Evenin'  2曲目で Rachael のボーカルのバラードです。昔のミュージカル映画のスタンダードなんじゃないかと思わせる曲で Vilray の作曲、Rachael の表現力に改めて感心します。Is a Good Man Real?  さらに Rachael のボーカルは冴えてくる。力強い毅然とした歌いっぷりです。曲としては上流社会にいて男性の行動はそれがカッコ良いのかといかぶる内容のようで歌詞の世界でも昔の映画を見ているような内容のようです。もっと英語が直ぐに聞き取れればもっとこの曲は楽しく聴けることかと思われます。Just Two 曲自体は単純な作りに思えますがシンプルなメロディに、男性ボーカルのハモリに Rachael の軽いレスポンスで実に聴きやすく耳に残る曲です。Why Do I? ダンサブルな曲調にクラリネットがまた昔の映画風で歌いながら軽く踊っている姿が想像できます。I'm Not Ready これも1950年代でよく聞くタイプのアレンジを効果的に用いている曲です。Rachael の歌での問いに対して、男性陣が She’s not ready と呼応するのが楽しいです。楽団員も皆役者ぞろいのソロ展開も良い。Join Me in a Dream 静かでとても優しい曲です。Larry Goldings の楽器のceleste はこのイントロとエンディングのオルゴールのような音の楽器で実物は小型のアップライト・ピアノのような形態です。Hate is the Basis (of Love)  往年のベテランシンガーが、共演しているような余裕と華やかさがあります。Larry Goldings のピアノもサラリと跳ねるようなソロが良い。A Love Song, Played Slow 2020年のパンデミックの初期に作った曲だそうですが、ビクトリア王朝時代ぐらいの恋人たちの様子を歌ったものとのこと。Vilray のボーカルです。Just Me This Year 幸せな独り者、解放されたもの、自由を謳歌しながら新年に向けて弾みをつけている人たちを祝うホリデイ・ソングとのこと。今度は Rachael のボーカルです。交互に歌われていますが本当に良き古き時代にタイムスリップしたかのように錯覚させてくれる役者です。I've Drawn Your Face イントロはまたオルゴールのような celeste 始まる Rachael のボーカル。ゆっくり四つを刻むギターの音も暖かい。このプロジェクトの初期に作った曲とのこと。ずっと眠れずに寝返りを打ちながら、もう二度と会わないとわかっている恋人のことを思いながら天井を見ていることが歌われているとのこと。最後になります。Goodnight My Love は、Harry Revel & Mark Gordonによる作品で、このアルバムで唯一のスタンダードとのこと。Vilray にとって、この類の曲の最初の入り口となった高校生時代に聴きこんだ曲とのこと。Rachael & Vilray の掛け合いで歌われる曲は勿論素晴らしい、アメリカのラブソングです。
 何回聴いても軽く聴けるポップスのような内容ながらオールド・タイプ。でも新しいという不思議なバンドです。Rachael の表現力も驚くものがありますが、Vilray と言う人はとてつもないオッサンは愛すべきマニアな作曲家でありボーカリストでありギタリストであることにも驚きます。私のヘビロテの棚行きは決定です🎶

vocals : Rachael Price
guitar : Vilray
bass : David Piltch
drums : Joe La Barbera
piano, organ, celeste : Larry Goldings
horn arrangement, alto sax, clarinet : Jacob Zimmerman (1, 4, 6, 7, 10)
tenor sax, clarinet : Nate Ketner (1, 7, 10)
trumpet Jim Ziegler (1 to 9, 11, 12)
trombone : Dan Barrett (1 to 9, 11, 12)
trombone : Joey Sellers (10)

written by : Harry Revel (12), Mack Gordon (12), Vilray (1 to 11)

recorded by, producer : Dan Knobler

recorded April 14-27, 2022 at United Recording in Los Angeles, CA
All songs were written by Vilray except for the 1930’s classic “Goodnight My Love,” which was written by Mack Gordon and Harry Revel.

1. Any Little Time (Vilray)
2. Even in the Evenin'  (Vilray)
3. Is a Good Man Real?  (Vilray)
4. Just Two (Vilray)
5. Why Do I?  (Vilray)
6. I'm Not Ready (Vilray)
7. Join Me in a Dream (Vilray)
8. Hate is the Basis (of Love)  (Vilray)
9. A Love Song, Played Slow (Vilray)
10. Just Me This Year (Vilray)
11. I've Drawn Your Face (Vilray)
12. Goodnight My Love (Harry Revel & Mark Gordon)