この作品は、1961年の Blue Note 録音、コンガ入りのワン・ホーン・クインテットのバップ作品です。メンバーは1957-1958年に Lou のコンボのレギュラー・ピアニストを務めた Herman Foster、 Art Pepper, Billy Taylor, Quincy Jones, Grant Green, Dexter Gordon, Hank Crawford, Junior Mance, Herbie Mann などサイドマンとして活躍する Ben Tuckerです。ドラムの Dave Bailey は、Blues Walk(1958) でもドラマーを努めていますが、私の所有音源では Grant Green / Green Street(1961)、Curtis Fuller / South American Cookin'(1961)などに参加のドラマー。コンガの Alec Dorsey は私の所有音源に参加はありませんでした。
それでは、レビューしていきましょう。Gravy Train は、Lou のオリジナルで、よくあるブルースです。あぶく銭という割には、明るく生真面目な感じで冒険はありません。ピアノソロの和音のみの部分はセンスが良いとは言えないと思います。そんなに固執する必要性はないと思います。ベースソロも無難なところで、盛り上がらずのフェイドアウト。うーん。こんなんだったか? South Of the Border 1曲目で不安になりましたが、この曲で不安は解消です。明るいピアノのリズムと明るいアルトで国境の南はメキシコを意味するのでしょうか、ラテンのリズムとコンガがトロピカルです。Polka Dots and Moonbeamsは、ムーディナナンバーで1曲目のピアノが嘘のように Herman Foster の繊細なタッチのピアノが印象的です。エンディングのアルトのロングトーンが劇場風ですね。Avalon でやっとコンガが存在を示し始めます。無難に卒なくは相変わらずで、ピアノの Herman Foster は、またソロでコード弾きをやっています。乗ってくるとこれなんでしょうね。1曲目よりは全然良いです。Candy は、あの Lee Morgan で有名なヤツです。テンポは若干晩めで、これも朗々とした印象ですが、ピアノの Herman Foster は今回も似たような弾き方ですがファンキーで良いです。 Lou の後半のソロは乗ってきているのが伝わります。Twist time はモロにブルースで、ブルースの演奏だとタイトル曲と同様のアレンジとソロに戻ってしまいます。息抜きタイムのような感じが良い人もいるんでしょうか。Glory Of Love は、どこで聴いたのか耳覚えありますが、同名の曲は持っていませんでしたので何回か聴き直していると、もしかしたら、モンキーズの Daydream Believer にイメージ重ねているのかも
1963年のライブ録音で、邦題は「ヴィレッジ・ゲイトのクリス・コナー」私のCDでは Chris Connor At the Village Gate ですが、オリジナルは At the Village Gate : Early Show / Late Show と名前が付けられているようで、ニューヨークの老舗ジャズ・クラブのVillage Gate の2ステージを、収めたライヴ盤となっています。バンドはギターに Mundell Lowe(マンデル・ロー)が参加したカルテット編成で、前半はスイング、後半はブルージーな曲となっています。クリスの歌はフェイクや振り幅の大きいスイングはシャウトはせず抑制美のあるクールなスタイルで、ハスキーな歌声にローボイスで魅せる色気が特徴です。この会場では臨場感が伝わる観客の拍手などもバランスよく録音されていて聴いていて気持ちの良い録音です。
Chris Connor(クリス・コナー)は1927年のカンサス生まれ。元々はクラリネットを習っていたのですが、1945年にジェファーソンシティにある大学の卒業式で歌った時、自らの歌に対する聴衆の反応が良かったことをきっかけに、本格的に歌手の道を目指し、1948年にニューヨークへ渡り、速記者をしながら楽団のコーラス、歌手で生計をたて、1953年にベツレヘム・レコードと契約し、1954年の Sings Lullabys of Birdland がヒット。2009年8月29日、癌によりニュージャージー州にて死去しています。私はこのアルバムの他 Sings Lullabys of Birdland しか持っていないので、これを聴いてもう少し音源を入手していきたいと思いました。
それでは素晴らしい印象の Chris Connor At the Village Gate を再度聴きながらレビューです。演奏曲は全曲スタンダード。ライブではありますが全曲2分から5分程度にまとめられています。Lot Of Livin' To Do スピーディなスイングで1961年ミュージカル「Bye Bye Birdie」の挿入曲で、ライブがこの曲順だったとすれば最初に観客の気分を上げてくる短めのこの短めのナンバーで、つかみはバッチリです。Any Place I Hang My Hat Is Home ミュージカルからの楽曲で、1946年の「St. Louis Woman」 のオープニングです。Judy GarlandBarbra StreisandRosemary Clooney など多くの女性アーチストにカバーされている名曲です。私自身も全部は覚えていなかったけど、出だしの部分は耳に覚えがあります。小さい頃に聴いて覚えている曲は嬉しくなります。 All Or Nothing At All この曲は映画やミュージカルの挿入曲ではなく、1939年の当時ハリー・ジェイムス楽団の専属シンガーとしてデビューしたばかりだったフランク・シナトラが歌ったがヒットしなかった楽曲で、1943年にMCAに移籍後にヒットした楽曲となります。クリスの録音はこれが初めてでこれ以降に得意レパートリーになった楽曲とのこと。ラテンなパート、スイングが交互に歌われる3分の間に表情の変化が楽しめる。Something's Coming 1961年 Leonard Bernstein による West Side Story の楽曲で、これも目まぐるしい場面転換がある曲で緩急が極端で面白い。West Side Story は見たことがありますが、この曲は覚えていませんでしたのであしからず。You Came A Long Way From St. Louis オールド・ロックンロールですね。へえ。 Old Devil Moon この曲で Early Show は終わりです。これもミュージカル曲で1947年「 Finian's Rainbow」のポピュラーソング。この印象的なメロディーは聴いたことがあります。ラテンのリズム部分で言葉でリズムを詰め込むところが良いです。さて後半戦の Late Show です。I Concentrate On You ブルージーで夜の部だからかワザと色っぽく歌っているのでしょうか。そして、さらに色っぽく Black Coffee ペギーリーで有名な曲ですが、曲の途中で観客に何か色っぽいアピールでもしているのでしょうか。客の笑い声があり間奏、そして1分過ぎにkeep going と言って笑っています。何が起きているのか気になります。 Goodbye 1935年に書かれた Benny Goodman orchestra のクロージング・ソングであるとのことを見ましたが、しっとりしすぎていますね。曲名から曲順として早すぎるような気がしましたが、途中のバラードとしては良い選曲です。低音からじっくり攻めてきてサビで少しだけ声量を増して、ひたすらしっとり。客はうっとりでしょう。Only The Lonely 静かなブルース・イントロから、クリスの歌いだしがインパクト充分。低音でブルージーでハスキーで、途中マイクに近づきすぎての吐息が聞こえるのが、また色っぽい。最後は Ten Cents A Dance 語り調の歌で物語を歌い語り大団円となります。
そんな最悪の状態で作ったアルバムとは知らずに、ずっと聴いてきたアルバムを再度聴きながらレビューです。Silicone Grown フェイセズらしいブギーなロックです。最初の曲はやはり攻めてきます。Cindy Incidentally キーボードから入るロックンロールで、懐かしい感じのするメロディーで大好きな曲です。 Flags And Banners カントリー・ロックで作曲者にはロニーレインの名前があります。ここら辺が他のアルバムと違うところですかね。My Fault いつものロックンロール調です。ギターのロン作曲は大体この路線でしょうか。Borstal Boys 緊急ブザーの音とともに始まる。早めの煽り系ロックンロール。これもカッコ良い。ボースタルとは日本で言うところの少年院みたいなところのことです。Fly In The Ointment インスト・ロックでイアン・マクらガンのオルガンが印象的。If I'm On The Late Side フォーク・ロックですね。ロッドが作曲者にも名前が入ってますが、ここら辺がロッドが好まなかったあたりですかね。Glad And Sorry ビートルズ的な素朴なフォーク・ソングでロニーレーンの作曲です。Just Another Honky これもロニー・レーン作曲の素朴なロック。元々フォーク・ソングのような曲だったのをブギーな感じにしたっぽいと思います。Ooh La La 最後にタイトル曲です。カントリー・ロックで、ロン・ウッドのソロ・ボーカルであるところが特徴です。
アシッド・ジャズを代表するイギリスのギタリストの一人、Ronny Jordan の1996年に英国 Island Records からリリースのアルバム。1962年生まれ 2014年1月13日にツアー先の南アフリカで亡くなっています。自らのの音楽をジャズ、ヒップホップ、R&Bのブレンドである「アーバン・ジャズ」と表現したように、このアルバムも例外ではありません。
しかしジャケットとライナーノーツに掲載されている写真などは印象的。特にジャケ写のでの指は、日本ではカン●ョー、または忍びポーズです。忍びポーズで有名になったのはラグビーの五郎丸選手ですが、Light to Dark は1996年作品、五郎丸選手のワールドカップでの活躍は2015年ですから全く関係はありません。ライナーノーツにある写真も、暗闇では裸電球を写している写真はアートなんだろうとは思いますが理解に苦しむなあと見ていたら、Kodak の文字が裏返っている写真があります。なるほど Jordan は、暗室でフィルムを現像しているのだ。それで Light To Dark
それではレビューです。Into The Light 2曲目のイントロの効果音で Homage が始まります。相変わらずパキっとした硬質なギターの音で、ミドル・テンポのギター・フュージョンです。Jordan のギターと直ぐにわかるメロディー。It's You ボーカルをとっている B. Bourroughs, C. Brown キーボードの J. Campbell そしてR. Jordan の作曲で、更に作曲者に S. Akingbola の名前がクレジットされています。ナイジェリアのパーカッショニストですが、この曲にパーカッションは入っていないと思いますが7曲目の I See You には参加しています。ほぼブラコンのような曲でこれも Jordan っぽいギターのシングル・ノートのリフからのソロと言うかオブリガードをずっとやっています。このテンポは落ち着きますね。 The Law は Jordan が珍しく歪みのギターを炸裂?ではなく、歪みとサスティンを素人ギタリストが楽しんでいるような曲です。途中でジミヘンっぽいソロもあります。2曲目の Homage のリフを途中でキーボードソロの始まり部分でエレピで入れていますね。その後のギター・ソロも余り変化なく素人っぽいヤツです。アルバムに入っているので何か実験的な感じは受けますが単体で聴くと面白くはないかな。Fooled は、完全にスティービー・ワンダーっぽいというかそれです。作曲は Abi Odun と R. Jordan です。楽しい曲です。Closer Than Close は、Jordan ぽくないしっとり系ムード・ミュージックなフュージョンです。I See You ビージーズかと思うギターリフから始まりますが、直ぐにブラコンに変わります。パーカッションとボーカルが Sólà Akingbola になっています。ボーカルが上手いです。ナルホド2曲目の作曲者に Akingbola が入っている訳がわかりました。Downtime 通して Jordan のギターはワウがかかっています。そしてとってもファンキーです。とても良い曲ではありますが、延々とギターソロなので、曲としての面白みには欠けるかも。Deep In My Heart よく練られたメロディーかと思い、Jordan らしいところが出ているかと思います。これも抑揚は少ない曲ですが、ボーカルを入れながらのギター・フュージョンに寄せているところが好きです。Laidback この曲名でギター・ミュージックと言えば Zachary Breaux の楽曲にもあるのですが全く違う曲です。イントロでオクターブ奏法が入ったので期待したのですが一部だけですね。曲名通り、落ち着いたギター・フュージョンです。Light To Dark いよいよアルバムのテーマ曲です。このアルバムの中で一番心がこもったギターであると思います。とにかく丁寧に弾いているので、このアルバムの他の曲が手を抜いているかと思えてくるほど。Last Goodbye エンディング用に作った曲ですね。OKです。と思ったら曲が続きます。おそらくボーナストラックです。Inside、Fooled の2曲です。Fooled はボーカルパートだけを切り取って違うアレンジのところだけを聴かせてくれただけのようです。
私の所有音源で似たような系列では、やはりUSの Souliveですが、UKでは、The New Mastersounds、Speedometer など。 Baker Brothers との出会いは、ライブ・アルバムの In With The Out-Crowd(2005) を聴いたのが最初で、さすがにジャケ買いはないと思うので、多分タワレコでの試聴だったんだと思います。とにかくジャズ・ファンクってなんだろうと思いながら色々と試し聞きをしながら購い漁っていました。そのライブの素のスタジオバージョンが多数収録されているのが、この Ten Paces で、ライブ盤のお祭り騒ぎを期待していた私にはこのスタジオ盤の落ち着きっぷりには戸惑いました。が、音の迫力はライブ盤には負けるものの、ライブ盤では聞けなかった曲もなかなかの中身の濃い12曲入りの楽しいデビュー・アルバム。
皆さんマルチな楽器奏者ですが、キーボード、オルガン、ギターの Dan Baker、ドラム、パーカッションの Richard Baker の Baker兄弟と、イギリス・キャンフォード生まれ。初期はドイツのジェームス・ラストのトリビュートバンドの一員として活動ベース、ギター、キーボード、トランペットの Chris Pedley のスリーピースの構成メンバーでのインスト・ファンク。2010年には、Dan が脱退、2011年には、Richard が脱退、現在は Chris Pedley のみ初期メンバー在籍の、兄弟はいないけど「The Baker Brothers」で 活動していましたが、2017年で活動は休止しているようです。
ライブばかり聴いてきたのでスタジオ盤は久しぶりに聴いてのレビューです。Ready...Aim... 出だしのファイア~の掛け声はライブと一緒。あえてやっていると思われる角張ってスカスカのドラム、ベースにはファズ、ひたすらリフを繰り返すブラスなども入れないメンバーだけの演奏はライブを先に聴いてしまっただけに違和感ですが、何回も聴けばそれも面白い。Givson こちらも、ずっと聴いてきてます。ロックが強めでファンクも少し入れてきています。ライブの勢いが好きですが、この曲はこのスタジオでの録音のドシャドシャ感も良いです。Green Goddess こちらからホーン部隊が参加。アフロ系のビートの心地よさと、ワザと潰れた感じの和音にしたホーン・アンサンブルにオルガンの音が重なると斬新です。 Theme From Laundrettas こちらはライブには収録無しのオールディーズを取り入れた曲です。少し遊んでみましたってことでしょう。Who Killed The Southbarrow Peacock?こちらは完全にファンク曲ですが、ライブ盤の方が圧倒的にカッコよいしセンスも良いかなあ。Paste こちらもファンクナンバー。スタンリークラーク風のベースが特徴的でエキゾチックな響きもある。もう少しB級でダサ目のアレンジにしてくれれば好きかも。ボブマーリーの I Shot The Sheriff の一部が入ってる気もします。Little Suns 私がパソコンで作った曲に同じようなリフで同じようなアレンジのものがあります。そんな感じで作ったんだろうか。Ziggifried ボサノバ系ビートのジャズファンクです。ベースはオルガンのペダルでしょうか。ノペっとした感じが妙に気持ち良い。Barrington's Groove アフロ系リズムを取り入れたファンクです。途中からブラス部隊が入ってきますが、一般的なファンク、ソウルとは違う少々ひねりの効いたアレンジが気持ち悪くてそこが良いです。Chester's Tongue オルガン・ジャズですがサイケな雰囲気を出しているのが、この兄弟のマニア的な音楽趣味なんだろうなと思いました。Maid Of Mars やっとライブでもやっているお馴染み曲に帰ってきました。こちらの曲は今までの曲よりも、ちゃんと現代的な音作りで一般のバンドにもあるようなグルーブになっています。今までは、ワザとヘタウマなグルーブですか? Breathing In うーん今っぽい。ファンクではない。エレクトリック系のスペーシーなジャズ・ファンクですね。
力強い陽の Bill Evans が聴けるライブです。Evans のピアノの音は少し濁り気味ですが、Eddie Gómez の録音が鮮明で、音の圧も高いように感じます。1970年のモントルー・ジャズ・フェスの録音となります。リリースは CTI (Creed Taylor が1970年に独立したレーベルで Creed Taylor Incorporated の略)です。イージー・リスニング、フュージョンに注力しているレーベルからの、この作品の発売ですがエレピを弾くEvans でもなく、純然としたジャズを展開しています。音源としては、スイス・ロマンド放送局によって収録されたものを版権者である Evans が、このアルバムをCTIと契約したことでのCTIでの販売。レーベルとしてのエレクトリックな楽曲のの販売へのこだわりを捨てても、この演奏を世に出すことを選ぶほど良演であったこと、また「お城のエバンス」の異名をとる名盤 At The Montreux Jazz Festival (1968) の続きを意識しての「Montreux II」のタイトルも、出せば売れるとの大人の事情もあったことと推測されます。(エレピはこのライブでも弾いていたようですがアルバムでは除外されているとのこと)また、モントルー・フェスの創設者の一人であり、ピアニストでもあるジオ・ヴマールによる冒頭のアナウンスを丸々収録しているのも「お城」と同じです。違うのはゴツゴツとした Evans の弾きっぷりと音質、観客の熱量でしょうか。またベースの高めの音圧は、この頃新たに開発されたウッド・ベース用のピック・アップを使用していることも特筆すべき点でしょうか。
ジャケットも印象的です。イラストのようにも見えますが、これは写真で Pete Turner の作品、デザインは Leonard S. Levine が担当しています。ジャケットだけではわかりませんが、ライナーノーツに掲載されている写真の左側に移っているのは、湖畔の崖と思われます。おそらく、モントルーのレマン湖の湖面を写したもので、ドットの模様に見えるのは、街灯の光が湖面に反射しているものと思われます。力強い演奏も印象的ですがジャケット写真の印象も強力です。
それではベース Eddie Gómez。ドラムには Marty Morell で、エヴァンス・トリオ史上最も長期間存続し最も安定感のあった布陣でのライブを聴きながらのレビューです。ちなみに最初の試聴は他の客がいなかった時に、音楽好きの集う「おでんバー」でかけましたが、これならいけるとマスターの評判は Evans 作品にも関わらず上々でした。Introduction / Very Early 出だしは前述のとおり ジオ・ヴマールによるアナウンスでバンドの紹介から始まり、最初に紹介された Marty Morell の拍手は少な目、Eddie Gómez で盛り上がり、Bill Evans でヤンヤの拍手喝采でした。Very Early は Evans が大学時代に作った曲です。先にも書きましたが、最初に思うことは Eddie Gómez の音圧の高さ、次に、この Evans はやけに力強いな、張り切ってるんだろうか。良い曲なんですがそっちが気になります。 Alfie 同名の映画の為に Burt Bacharach, Hal David が書いた楽曲です。Evans のコードが力強く華やかなラブ・バラード。2分半あたりから倍テンポになってリズミックでスリリングな展開になります。34 Skidoo ミディアム・テンポの Evans のオリジナルで彼のソロから始まります。ピックアップで増幅された Eddie Gómez の細やかな技にも耳を取られます。Evans も絶好調で気迫充分で面食らいます。How My Heart Sings はいつもよりサービスで早くしています的な演奏です。Earl Zindars による楽曲。この曲はいつものエレガントな方が好きかもしれない。Israel は John Carisi によるマイナー・ブルースですが熱量が半端ないですね。ライブ会場では、実はアンコールで演奏されていたとのこと。I Hear a Rhapsody は、Jack Baker, George Fragos, Dick Gasparre による楽曲。Evans のルパートで始まり段々と熱量が増してテンポも速くなるパターン。Evans のソロの打鍵が力強いですね。Eddie Gómez のソロの後の Evans との二人の絡みの部分は、ライナーノーツを書かれている悠正彦氏の意見の通り、あっさりしています。もっと聞かせてくれても良いですね。Peri's Scope も早いテンポです。テンポ早くソロの構成含めスリリングさを求めているかのような演奏は爽快で観客の拍手、歓声もそりゃあ大きいです。これが最後でアンコールを求める拍手で、このアルバムは終わります。曲順が違うとミスのような意見も世の中にありますが、これはプロデューサーの意図で、このアンコールの拍手でアルバムを終わらせたかったと私は思いますが」どうでしょう。
それでは1995年から愛聴し続けている、11PM を再度聴きながらレビューです。If You Come To Party レビューするのにメンバーを書き出していたら発見でした。レコーディング・メンバーのキーボードは Mats Asplen, Owe Andersson, Niklas Medin の3人が参加していますが、この1曲目だけ Owe Andersson がイントロのオルガン部分だけ担当、曲のハモンド・オルガンは Mats Asplen が弾いています。当然イントロのオルガンの短い部分もイケてる感じですが本編のリフもファンクでカッコ良いです。ベース・ラインも Paulo Mendonça が弾いていて良いし、ギターのカッティングも良し、レニクラ風と言われても納得のボーカルですがレニクラよりファンク魂が入ってると思います。Hump Yeah 少しポップな曲になり、荒ぶることなく少し切ないメロディーも印象的です。Spend Your Life (With Me)明るくブラスが効いているファンク・チューンで、うねる様なベースラインも良いです。また Lisa Nilsson の低めの色っぽいコーラスも効果的。ファンクロック最高です。If You Ever Come Back To Me 次いではしっとりとしたバラード風ソウルな楽曲です。Paulo Mendonça のソングライターとしての実力もここで見えてきます。壮大なスケール感も感じるアレンジも更にこの曲の良さを引き出しています。Time After Time ネーミングだけではシンディローパーに負けていますが、ファンク路線ではないロックになっています。ギターのカッティングの音作りも上手い。イントロと途中の曲の切り替わりに入るギターリフもセンス良し。She Says ここでファンク・ロック路線に戻ってきます。ジミヘン直ではないけど、あのマインドが入ったギターですね。やはり捨て曲は無いです。Try爆発音から入るロックで、少々ファンクの遺伝子も入ってます。サビのトラーイ~のボーカル部分も気持ち良いしギターソロも気持ちが入ってます。Two Faced Womanエスニックな曲調のポップです。激しいライブの途中で、こんな曲が流れると、しんみり感動してしまうパターンです。Crazy World 曲名通りのサイケな作風のロックです。ここでもファンク路線では無いですね。イメージではファンクロックとばかり記憶に在りましたが、こんな曲もありました。これはこれでよく練られた楽曲です。You Are The One For Me アコースティックギターから入るのでフォークで入る出だしですが、段々と色々な楽器が参加してきて盛り上がり大団円で終わる古典的な手法です。良いじゃないですか。Change Our Ways 少しファンクに戻りますが基本はポップロックな気もします。ささやくようなボーカルですが、サビは男っぽい歌い方に変えてきます。うまいですね。Respect これ以降は日本版のボーナストラックですが、これもハッピーなブラス・ロックで良い曲でシングルで出ていても良いぐらいの素晴らしい楽曲。Chocolate Chip And Chicken Bone おいしそうな曲名です。サイケ・ギターと、ボーカルにエフェクトもかけるなど遊び心のあるファンク・ロックです。多分、歌詞はどうでも良いおバカなことしか歌って無さそうな雰囲気です。If You Want My Love 疾走系ロックです。ファンク魂はあり、歌い方はレニクラ調の盛り上げ曲です。
再度聴いても爽快です。気持ち良いです。寝る前に聴くと寝られそうにないくらい元気がもらえます🎶
producer : Nicci Wallin
recorded at : Kennel Studios
1. If You Come To Party
vocals, guitar, bass: Paulo Mendonca
organ intro : Owe Andersson
hammond oprgan : Mats Asplen
background vocals : Lisa Nilsson, Peter Hallstrom
tenor sax, bariton sax : Peter Hallstrom, Wojtek"W"Goral
発売は、Enja Records という1971年にドイツのミュンヘンで生まれたレーベルで、社名は「European New Jazz」の略で「新しいジャズ」 レーベルの最初の発売は Mal Waldron の 「Black Glory (1971)」(先ほど初めて聴いてみましたがゴツゴツしたいかついジャズでした)
この作品は1977年の作品で、Black Glory に比べれば緩いゴツゴツさのピアノです。ゲストは Steve Lacy ですので、それなりのスリリングさがあるのかと思いきや意外と遠慮がちなソプラノ・サックスです。あちらの世界とこちらの世界の境界線を行ったり、来たりですが、こちらの世界の方が長めな感じです。
David Sanbornのリーダー作は、ほぼコンプリートしているのですが、前作1977年の「Promise Me the Moon」だけは持っていません。気づいていたのですが、聴く前にサンボーンは、2024年5月12日に亡くなってしまいました。78歳とのことで楽しませていただきありがとうございました。
前作を聴いていないので前々作 Sanborn と比較すると、前々作は少しソウルっぽくて泥臭いウンドで、まだ時代を感じさせる古めのアレンジに対して、フュージョン全盛時代の都会的な垢ぬけたサンボーンに変化する手前といった感じです。このような作風はメンバーやプロデューサーによるところが大きいと思いますが、プロデューサーは Sanborn は Phil Ramone、本作は John Simon となり、とても暖かい音のアルバムです。音作りはソウル寄りのジャズに近い曲が多いようで、当然、プロデューサーの意図であると思いますが、stuffのメンバーの Steve Gadd, Richard Tee の参加、そのソウル魂に加えて Herb Bushler のズンズンと低く響くベースとリズムがこのサウンドにさせているのでしょう。ソウル寄りフュージョンではありますが、決してstuff 軍団に乗っ取られているわけではありません
それでは、何百回と聴いてきたアルバムのレビューをしてみましょう。Soloフォーク調のイントロで始まる穏やかで温かい響きの曲です。Don Grolnick はこういった曲をエレピで弾かせると、自己主張せせずに曲に溶け込み、且つ美しく、他のパートを引き立てる演奏です。David Spinozza のアコースティックギターも効果的です。この人もサンボーンのバンドで良い仕事してます。サンボーンばかりで注目してたんですが、私の所有音源でサンボーン以外のの David Spinozza 参加のアルバムを見てみたら、Rod Stewart / As Times Goes By..The Great American Song Ⅱ、The Brecker Brothers / Detente、Donny Hathaway / Extension Of A Man、Roberta Flack & Donny Hathaway など、ソウル、フュージョン系はなるほどですが、Rod Stewart は意外でした。Short Visit 出だしは Herb Bushler のシンプルな低いベースラインから始まるスローテンポのソウル調の楽曲ですが、このベースラインの伸ばした音符を微妙に♭にずらすところが素敵。また、プロデューサーの John Simon による楽曲です。Gil Evans のアレンジによるホーン部隊の厚みのあるオケも最高です。ギターの Hiram Bullock は未だ、この頃も目立たないようにカッティングしてます。あのコーラスかけたクリーントーンが後半に着目すると聴けます。Theme From "Love Is Not Enough" エレピで Richard Tee が参加となり、Steve Gadd が叩いているんで、やはり stuff っぽさが少々。Lotus Blossom フュージョン時代のサンボーンの名物みたいな曲で Don Grolnick 作曲です。テーマのメロディーやはかない曲の感じが大好きな曲ですが、David Spinozza のボサノバを取り入れたギターのバッキングも素晴らしい。一旦曲が盛り上がって、ブレイクした部分からこのギターが始まると静かに野に咲く花が見えるような気がします。Heba サイケな響きのするイントロが印象的な David Sanborn が作曲。これはソウルっぽさは全くありません。テーマ部分はサンボーンの独特なアルトの吹き方が非常にマッチする作りです。Hugh McCracken のスライドギターがブルース風ではなく中東的な感じで、ここら辺も怪しい雰囲気に非常にマッチ。Sunrise Gospel この曲に関しては stuff 軍団に乗っ取られているのですが、そこが良いんですね。最初のほのぼのした雰囲気が段々とソウルのリズムに変化していくのですがジリジリとしか変化しません。ためて、ためて最後にダンス系になるところで精神が解放されます。また David Spinozza の曲の途中のギターのバッキングがレゲエ的なところがありますが、このバッキングは私の大好きな Smile で使われているのと同じであることを今回発見しました。いや楽しい。Anywhere I Wander で最後になりますが、このアルバム以降で見られるサンボーン・フュージョンにつながる出来栄えであるところが、また次のアルバムを楽しみにさせてくれる楽曲になっています。