Erroll Garner といえば Plays Misty に収録の「Misty」が有名です。タイトル曲の Misty は、ぼんやりとしてアドリブも無いもので、Plays Misty 自体は非常に力強いタッチの曲が多く Misty のみが浮いている感じはありました。さて本アルバムは、どんなアルバムなのか?
ということで、会社を午後休にして久しぶりに行くかと、新宿の DiskUnion で物色していて目についた中古を購入することにしました。購入したら直ぐに聴きたいものですので、その日に、いつもの音楽好きの集う「おでんバー」に行くと時間が早いので、マスターと私のみだったので、心置きなくその日の戦利品をかけてみることにします。最初に聴いたのは違うCDでしたが、聴きながら4、5杯目のウイスキーを飲み干して気分が良くなったところでこの作品。私的には輪郭がはっきりとしていて、わかりやすいので結構気に入ったのですがマスター的には好みではないそうです。わかる気がします。人それぞれですから
さてガーナーは楽譜を書くことはもちろん読むこともできなかった方ですが、両親は音楽好きでピアノを弾き、兄のリントン・ガーナーもジャズ・ピアニストの家庭なのにピアノ教師にはつかずに独学を選んだそうです。私もピアノを最近頑張ってますが習ってはいません。凡人で歳ですので、Boogie Piano を中心に楽しみながら練習しています。仲間内とライブ・ハウスでセッションをするときに華麗にデビューしたいと目論んでいます。ジャズはその後ですね。
さて、肝心のアルバム、申し遅れましたが、1956年のカリフォルニアの Carmel というところでのライブ録音。最初に書いたように、全体的にアップテンポで押しまくる演奏で、ピアノは、コードは強力に4ビートを刻んで、それに合わせて強いタッチのメロディーが溢れてきます。右手が遅れ気味と評されているようですが私にはよくわかりません。しかし、わかるのは トリオ演奏であるにも関わらずドラムとベースをかき消すかのようなピアノのと他の楽器の録音バランスの悪さ。生で聴いても同じなんでしょうか。そこそこ大きいホールでの演奏のようですので、力いっぱいの打鍵でリーダーの存在感を出すのにも、この力強さが必要だったんでしょう。大音量にも関わらず演奏が佳境に入ると唸り声が聞こえます。この人も唸るピアニストだったようで、そこは発見でした。
レビューしていきましょう。I'll Remember April は1941年のヒット曲をアップテンポで押しまくりの重量級の曲にしてしまっています。ハッピーな演奏です。Teach Me Tonight はミドルテンポですがハッキリとした拍をつけてコロコロとした旋律にどぎつく叩きつけるコードで凄みが効いてます。ここらへんで少し唸りはじめです。Mambo Carmel は、この地での演奏として考えた曲名ですね。ちっともマンボではありませんが軽快で豪快です。そして、Autumn Leaves もダイナミクスが効いた演奏で甘ったるい曲では無く、凛々しくビートを効かせてキビキビとした社交ダンスでも踊る人がいれば、似合いそうな感じに仕上げてやり過ぎな感じが凄みを感じます。It's All Right With Me では、再びアップテンポにコール・ポーターの書いたホーン向けの曲なのにグイグイと引っ張られます。最後のテーマは少し優しく弾くのですが、今まで力の限りのような演奏なのでホッコリします。 Red Top では、シンプルな音使いでスイングしますが始終ご機嫌の歌っぽい唸りでご機嫌のほどが伺えます。ノリにのってハックルバック、ルイズを入れてご本人もご満悦。そして April In Paris はエレガントな曲でファンタジックな世界観を見せてくれます。このライブは、劇場で演劇を見ているような立体感のある演奏です。観客は弾きこまれるでしょうね。と思っていたらガーシュインの They Can't Take That Away From Me です。ズシズシとビートを刻みながらも、力の入れ方を変えたフレーズで曲全体の雰囲気を作っています。How Could You Do A Thing Like That To Me ミディアム・テンポの小曲です。隙間を開けた緩急のつけ方で、エンターテーナー性のある演奏です。最初にこのアルバムを聴いた時は、ずっと力が入っているアルバムの印象でしたがこの落差が良い。観客のオジサンが演奏後に興奮して叫んでます。Where Or When は Hart - Rodgers の名曲をアップテンポで、落ち着きのない子供のようにじっとしていないコードワークも素晴らしい。最後は即興で Erroll's Theme でお後がよろしいようで。
最後のメンバー紹介の後のジョークは
「You know something? You haven’t heard Erroll say one word, and he’s got a great voice. I want to insist it go on the air. Erroll, say one word.」
「It’s worse than Louis Armstrong.」
演奏ばかりでトークの無いステージだったんでしょうか。アームストロングより声は悪いぜとしゃがれ声で応えています。I want to insist it go on the air. ですから、これはラジオかなんかの公開録音だったんですかね🎶
piano : Erroll Garner
bass : Eddie Calhoun
drums : Denzil Best
recorded live in Carmel, California.
1. I'll Remember April / D. Raye, De Paul, P. Johnson
2. Teach Me Tonight / DePaul, Cahn
3. Mambo Carmel / Garner
4. Autumn Leaves / Johnny Mercer, Kosma
5. It's All Right With Me / Cole Porter
6. Red Top / Kenyard, Hampton
7. April In Paris / Harburg, V. Duke
8. They Can't Take That Away From Me / I. Gershwin - G. Gershwin
9. How Could You Do A Thing Like That To Me / T. Glenn
10. Where Or When / Hart - Rodgers
11. Erroll's Theme / Garner
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