2025年2月4日火曜日

Doug Carn / Infant Eyes

 

 西海岸の名門スピリチュアル・ジャズレーベル Black Jazz から発売の キーボード奏者のDoug Carn ボーカルの Jean Carn の夫妻によって録音されたものです。レーベルは1969年にカリフォルニア(オークランド)に設立された西海岸の名門スピリチュアル・ジャズレーベル Black Jazz。スピリチュアル・ジャズという新ジャンルで勝負をかけていた変わり種のレーベルです。正統派ジャズファンからは、ほぼ無視されていたので安価でDJが手に入れたことによりサンプリング・ソースを探すヒップホップDJや、レア・グルーブ好きの間での人気が高まっていったようです。3年前に聴いた頃は、闇が深く重く思想性を感じるアルバムづくりがお腹いっぱいな感じでしたが、久しぶりに聴くと私の耳や頭が経年変化しているので、何かを感じるようになっていて不思議な感覚です。


 Doug Carn はこのレーベルに最も多くの作品を残した鍵盤奏者で、本作を含めて4枚のアルバムを残しています。このレーベル以外では Savoy でトリオ作 Doug Carn Torio の1枚のみ。アルバム制作も活動も1969年~1974年までの短い期間です。暗めの独特のキーボードが印象的、奥様の Jean Carn もジャズ・ボーカルではありますが、讃美歌っぽいクセのある歌い方がヤバい雰囲気のある気になる人で、その後はソウル界で活躍されているとのことです。ちなみにEWFデビュー作、2作目 には役割は不明だが名前はクレジットされていて何らかの形で参加されているとのこともライナーノーツには書いてありました。
 さてレビューです。コルトレーンに影響を受けている Doug Carn は、このアルバムでも多くの曲をカバーしています。1分14秒で始まる曲だが、Jean Carn の声が象徴的で怖い。
続く Little B's Poem は、Bobby Hutcherson の曲でJean Carnのスキャットから始まるアシッド的な感じでフルートが恐怖感を、テナーが力強く曲を盛り上げてくれる。が、出番は短かくフェイドアウトなのでもっと聴きたい所だが、ここは奥様メインなので仕方ないか。Moon Child は、Doug Carnの曲でストレートにジャズしてるのに、今までの余波で怖いものを見ているような感覚になるのが不思議。ボーカル無しのモーダルな演奏です。Infant Eyes はショーターの楽曲です。揺れるエレピの出だしに奥様の歌声が加わると、とてもスピリチュアルです。が、3年前に聴いた違和感はありません。そして Passion Dance は、マッコイ・タイナーです。オルガンに変わると一挙にアシッド感が高まります。しかし Doug Carn のオルガンは、ジミー・スミス等のように泥臭さは無く、こういった演奏も意外と楽しめるかもしれません。うん・・ジャズだ。スピリットは無いです。そして Acknowledgement は、コルトレーンですが思いっきりスピリチュアルです。奥方のボーカルの個性が強いうえに、この選曲は反則級に印象が強いです。最後の Peace は、Horace Silver のカバーですが、怖い感じだと思っていましたが今更聴くと普通にジャズしてます。でも根底に流れているものは、独特の芸術性です。
 アルバムの持つイメージと、改めて聴いた感覚が、かなりバグったままで何か余韻が残るアルバムです。気持ちが良くなっているわけではありませんのでモヤモヤ感あり🎶

piano, electric piano, organ : Doug Carn
vocals : Jean Carn
bass : Henry Franklin
drums : Michael Carvin
flugelhorn, trumpet : Bob Frazier
flute, tenor sax : George Harper
trombone, valve Trombone : Al Hall Jr.

producer : Gene Russell

1. Welcome / John Coltrane
2. Little B's Poem / Bobby Hutcherson
3. Moon Child / Doug Carn
4. Infant Eyes / Wayne Shorter
5. Passion Dance / McCoy Tyner
6. Acknowledgement / John Coltrane
7. Peace / Horace Silver




  

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