Roy Hargrove は、私よりも若い1969年米テキサス州ウェーコ生まれの若手だったが2018年ニューヨークで49歳の若さで急逝しました。私がロイを最初に聴いたのは、アフロキューバン系のラテン寄り1997年の Habana 。ストレートで美しい響きのトランペットとラテンは非常によくマッチしていて、他のアルバムも聴きたくなり、その後にジャズ・ヒップホップに転向するRHファクター Hard Groove も聴いてみた。そこから気になるトランぺッターの一人になり初期 ハード・バップ 作品も聴いてきました。が、最初に聴いた Habana を超える作品には未だ出会っていません。技巧派であることは間違いなく、演奏にパッションも感じるのですが爆発的なところが欲しいのですが、今ひとつ聴いている身としては不燃気味になってしまう印象があります。
手にしたこの作品は、Roy Hargrove の死去から6年、録音から26年が経った2024年に未発表の作品としてリリースされていたもの。久しぶりに行った DiskUnion の店頭で見かけたの購入となりました。
ジャケットのデザインも、かなりカッコ良いし購入してから数日で、いつもの行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」へ持ち込みで最初の試聴としました。マスターヘは、肩透かしも多いですが今回は期待かもと前口上を述べてのCDインをしたところ、最初はオッ、カッコ良いかもと聴きながら酒も進みます。マスターはラテン・ジャズも聴きますが好んで聴くタイプではないことは知っていたのですが反応はマズマズでした。
Roy Hargrove's Crisol の「Crisol 」は、ハーグローヴは1997年頃に結成されたユニットでスペイン語で「るつぼ」を意味しています。アフロ・キューバンのリズム、ネオ・バップ、プログレッシヴ・ジャズを多面的に融合させたサウンドで、主とされているRHQ(ロイハーグローブ・クインテット)RHB(ロイハーグローブ・ビッグバンド)RHF(RHファクター)とは、異なる音楽性です。
このアルバムは、Crisol の「Habana」に続く第2作としてテナーサックスの Jacques Schwarz-Bart(シュワルツ・バルト)の生まれ故郷であるカリブのグアドループ島1998年4月グアドループのスタジオで吹き込まれたもので、アルバムのタイトル 「Grande-Terre」は、そのスタジオがあった島の一部からとっています。事前にリハーサルはなし、録音は全てライブ、オーバーダブも無しとのこと。またグアドループ島と言えば小沼ようすけ氏の Jam Ka で使われている民族楽器’Ka’ で記憶にある場所でもあり、そこら辺にも親しみを感じます。
それでは全曲レビューです。Rhumba Roy ピアノの Gabriel Hernández による楽曲で、緻密なリズムのラテン・ジャズで、スリリングなハードバップで劇的な展開です。ソロのトップバッターを切る Roy Hargrove が、かっ飛ばし、おそらく作曲者の Gabriel Hernández の怒涛のフレーズは、かなりの聴きどころです。トップバッターで飛ばし過ぎたので、静かな A Song For Audrey はベースの Gerald Cannon の楽曲。静かではありますが、ベースラインは実は忙しい動きをしています。Audrey に捧げる曲なのは、わかりますが誰なのか? Lake Danse は、Roy Hargrove の楽曲です。リズムを抜かせば王道なジャズのようですが、複雑なリズムがそれをダンサブルに彩ります。Kamala's Dance これも Roy Hargrove の楽曲。ゆったりとしたラテンのリズムはダンサブルであるものの、小さな動きで細かなステップを踏む感じで Kamala は娘の名前とのこと。前曲もそうですが、メリハリは各パートで付けられますが、曲全体の抑揚は少な目です。B And B ギターの Ed Cherry 作曲のとてもダンサブルで軽快なルンバですかね。王道のラテンのピアノ・リフとベースの絡み。それに巧みなホーン部隊のアンサンブルで安定。パーカッション・ソロも王道のラテン・パターン。ある意味新しいものは無いような気はしますが演奏はピカイチです。Another Time 次はドラムの Willie Jones の静かな楽曲。このバンドは全員が曲を作れるようです。Lullaby From Atlantis はテナーの Jacques Schwarz-Bart の作曲でホーンのアンサンブルから始まり、本編はきっかりジャズします。一息つく感じですね。Afreaka は Cedar Walton の楽曲で、かなりの上げているラテン・アレンジが楽しい楽曲です。ここにきて自由に表現しまくるメンバーの個性がたってきて楽しいかもしれません。トロンボーン大活躍です。前曲がアフリカで今度は Ethiopia と地名の楽曲が続きます。今度はピアノの Larry Williams がエチオピアの広大な大地を楽曲で表現する、ハーグローブとのデュオで、しんみりと聴かせてくれます。Priorities 最後は Roy Hargrove の楽曲で締めくくりとなります。ドラムの Julio Barreto の語り?ラップ的なノリですかね。バンドのまとまりを魅せるクロージングで芸術性も高い作品と思えます。
歯切れよいアフロキューバンなリズムで、ブルース、バップ要素を盛り込んだ展開は気持ちが良い。私としては、総じて良いのですが、やはり Habana を超える作品には惜しくも未だ出会えなかったかと言う印象で、多分それは無いのかな。でも、かなりの好印象作品で「お気に入りの場所行き」は確定です🎶
trumpet, flugelhorn : Roy Hargrove
trombone : Frank Lacy
alto sax : Sherman Irby
tenor sax : Jacques Schwarz-Bart
guitar : Ed Cherry
piano : Gabriel Hernández, Larry Willis
bass : Gerald Cannon
drum, vocal (10) : Julio Barreto
drums : Willie Jones
percussion : Miguel “Angá” Diaz
percussion : Changuito (José Luis Quintana)
producer : Larry Clothier
recorded by Henri Debs in April 1998 at La Terreur studio in Pointe-à-Pitre Guadeloupe
photography : Des McHahon
art direction and design : Kyledidthis
1. Rhumba Roy / Gabriel Hernández
2. A Song For Audrey / Gerald Cannon
3. Lake Danse / Roy Hargrove
4. Kamala's Dance / Roy Hargrove
5. B And B / Ed Cherry
6. Another Time / Willie Jones
7. Lullaby From Atlantis / Jacques Schwarz-Bart
8. Afreaka / Cedar Walton
9. Ethiopia / Larry Williams
10. Priorities / Roy Hargrove
▶ Afreaka
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