Grant Stewart は、1971年のカナダのトロント生まれ。19歳でニューヨークへ来て Smalls Jazz Club と言うジャズ・クラブで演奏を始め、1992年にアルバム Downtown Sounds をレーベル Criss Cross で初レコーディング、安定した力強いハード・バップを得意とするテナー奏者。また、Bruce Harris は、1979年のニューヨークのブロンクス生まれ。リーダーアルバムのリリースは少なく、2016年 Beginnings、2022年 Soundview のようです。しかし、調べていたら Purchase College と言う音楽で音楽の勉強をしていたので、大学のページにインタビュー記事(自己紹介)が掲載されていました。
いずれも、現役のジャズ・マンであり、これは恐らくタワレコで試聴してから購入に至った一枚であると思います。最近はジャズ関係の雑誌も購入しているとたまっていって整理が大変なので購入していませんので、新譜の情報源に乏しい私は、縮小されてしまって無くなってしまいそうなタワレコのリアル店舗も頑張って欲しいところです(最近は、たまにしか行ってませんけど)
さてこのバンド、 Grant Stewart & Bruce Harris の2管がフロントに立ったクインテット編成の正統派バップ作品。目新しい音ではありませんが、しっかりとした伝統的ともいえる音楽は気持ちが良いものです。店頭で試聴、一発で気に入っての購入でありました。
さてレビューしていきましょう。Little Spain は、1960年の Clifford Jordan の作曲。 Lee Morgan と Clifford Jordan のセッション作品が題材で、オリジナルのイズムを、まんま継承した演奏でテンポも、ほぼオリジナルと同じ。目新しさ、オリジナリティは無いが、冷静沈着な演奏が良いです。A Piece Of Art 作曲は Grant Stewart で、音符数多めのテーマが Grant Stewart & Bruce Harris のユニゾンがカッコ良い、気持ち早めのテンポのバップです。オールドスタイルではありますが、どこか新しい感じのする曲です。Ghost Of A Chance 原曲は「I Don't Stand A Ghost Of A Chance With You」という長い名前の曲で1932年の曲。「私はあなたと一緒になれる望みはこれっぽちもなさそうだわ」は切ない内容ですが、曲調はそんなに悲しいものではありません。Out Of The Past とても古臭い演奏がたまらないという人は多いかと思います。これもスタンダードで Benny Golson の作曲。Mo Is On 1953年の Elmo Hope によるハード・バップ。A Piece Of Art でも見せた完璧なユニゾンが美しいほどに決まっています。速さは楽しさでもありますので各自のソロ合戦を楽しめます。それにしても皆さん当たり前にテクニックは抜群。I'm A Fool To Want You 1951年にシナトラが歌ったものがヒットした、もとはシート・ミュージックとのこと。情感があって、エロさの漂う曲にはテナーが良くい合います。曲調としては Autumn Leaves をに似たような雰囲気があります。Bearcat は、Clifford Jordan の楽曲です。コードの流れとテーマがフワフワしてて、完結しないで延々とつながっていくような形式が面白い楽曲で、いかにもジャズですね。うん曲としても好きです。Bitty Ditty は1954年の Thad Jones 曲の意味は「ちっぽけな小曲?」のような感じでしょうか。ちょっとセッション的な軽い曲でした。各自余裕のある演奏で上品な仕上がりです。
アルバムの印象としては少な目になってしまいますが、確かなテクニックで余裕の演奏で聴き進めるのが楽しくなるアルバムでした🎵
tenor sax : Grant Stewart
trumpet : Bruce Harris
piano : Tardo Hammer
bass : David Wong
drums : Phil Stewart
recorded at the renowned Van Gelder Studios in Englewood Cliffs, New Jersey all in the same room
released on: 2022-06-17