最近意識して未だ聴きこんでいないピアニスト作品を開拓するようにしています。知っているけどアルバムを持っていなかったので、Red Garland(レッド・ガーランド)を何枚か買い込んでストックしながら聴いています。いつもの「おでんバー」に持って行くと、おおこれね、レコードもあるよと言ってマスターが探し始めますがレコード棚は暗く、枚数も結構あるため見つかりません。とりあえず私のツマミを優先してもらうためにレコードは探さないでも良いですよとのこととします。CDとレコードを聴き比べると大差がない場合、レコードの音の臨場感に驚かされる場合の二パターンが多く、CDの方が良い場合はレコード盤が古くて状態が悪い場合はたまにある程度のような気がします。私はレコード・プレイヤーを持っていないので全てCD音源ですのでレコード盤の方が圧倒的に良い場合かなり悔しい思いをすることがあります。ただですねえ、CD持って行って聞き比べないと記憶だけでは判別しにくいのがこの聴き比べです。などと語ってしまいましたが、この盤は聴き比べていませんのでそのうち聴いてみようと思います。
さてこの録音、メンバーを見るだけで、よだれが出る人も多いであろう1957年作品。ガーランドは1957~1959年にかけて膨大なアルバムを残しています。1956年にマイルス・クインテットに在籍して Round About Midnight 1957年には、わずか2回のセッションからの音源が、Workin'、 Steamin'、 Relakin'、Cookin' となり、コルトレーン・バンドにも加わっています。このアルバムの録音も一夜のセッションが、All Morning Long, Soul Junction の2枚のアルバムとして発売されています。但し All Morning Long は、直ぐに1958年の販売され本番は三年近く以上経った1960年暮れのリリースとなっています。
さて、曲のレビューです。タイトル曲は Soul Junction、いきなりの15分を超える長尺のガーランドオリジナル。ガーランドのソロが延々と続きます。ルーズな弾き方のブルースで典型的なフレーズが安心感あり、ジャズ・ブルースの教科書にできそうな安定の演奏。後半でやっとコルトレーン、バードが登場しますがガーランド同様にゆったりとしたソロ展開です。Woody'N You はディジー・ガレスピーがオリジナル。ガーランドが20歳の頃に初めて聴いたモダン・チューンの思い出の曲とのことで、菅の二人がフューチャーされています。バードの気合の入ったトランペットが気持ちよく響き渡り、コルトレーンもギアが入り、延々と続くのかと思いきやガーランドの流れるようなフレーズのソロに突入。1曲目との落差がとても気持ちよく響きます。うーんカッコイイ。Birk's Works もガレスピの作曲です。ここもテーマ部分は、高らかに鳴るホーン隊に重厚感あります。そしてガーランドのコロコロとした音使いながら甘いシングル・トーンのソロに始まりブロック・コードで盛り上げる定番の展開が硬派な感じです。コルトレーンが控えめなのは1曲目だけだったようですがこの曲は若干抑え気味のソロでバードに引き継ぎ、またガーランドに戻ります。カクテル・ピアニストと言われることもあるようですが、全くそのようなことの無い存在感のある演奏です。そしてデュークエリントンの書いたバラードの I've Got It Bad では、ゴロゴロとした硬派のピアノからロマンチックなタッチのピアノに変わり、バードの正確な音さばきながらどこか優しい音色に聞きほれ、情緒豊かなコルトレーンに酔いしれます。最後は Hallelujah
で、Vincent Youmans という方の曲でアグレッシブに飛ばします。テイラーが力強いドラムで引っ張りながらのフロントの三人を盛り上げるのが実に良い。総合的にコルトレーン、ドナルド・バードの演奏も絶好調でガーランドだけが主役のアルバムではない各人のソロが引き立つつくりになっています。
piano : Red Garland
tenor sax : John Coltrane
trumpet : Donald Byrd
bass : George Joyner
drums : Art Taylor
producer : Bob Weinstock
recorded at November 15, 1957, Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey
1. Soul Junction
2. Woody'N You
3. Birk's Works
4. I've Got It Bad (And That Ain't Good)
5. Hallelujah