2021年10月12日火曜日

本日のCD Donny Hathaway

 

 ツタヤの中古CDコーナーで、何か掘り出し物はないのかと物色していたらDonny Hathaway (ダニー・ハザウェイ)のコーナーで見慣れないジャケットを発見!帯を見るとセカンド・アルバムとの文字が目に入った。本人名義のアルバムはほぼ押さえていた気になっていたので、即購入でした。そうかと今未購入アルバムのチェックをしてみるとライブ盤の In Performance ロバータフラッグのアルバムに Roberta Flack Featuring Donny Hathaway は持っていないことが判明しましたので、これもチェックです。
 本作は、Take A Love Song とボーナストラックの Be There を除いてポップス、カントリー、R&Bのカバーですが、ダニーの品の良いアレンジによってオリジナルのような感覚で聴けるアルバムとなっています。プロデューサーは Jerry Wexler (ジェリー・ウェクスラー)と Arif Mardin (アリフ・マーディン)です。ウェクスラーはプロデューサーでこんなにもアーチストのアルバムは変わるものかと最近になって私も感じている人で、リズム&ブルースの用語も作り出しアトランティック・レコードを業界の主要勢力にしてしまった名プロデューサー。アレサもウェクスラーによってキャリアを好転しています。
 そんなプロデューサーとかなり気合を入れて作ったと思われる本作はスケールもでかくてインテリジェンスを感じる作風は素晴らしいので、今後聴きこんでいこうと思います。
 大作なので選びにくいのですが私のお勧めは、しみじみとした情感で歌われながら感情があふれ出すような Giving Up、ビリー・ブレストンの曲で静かな出だしから盛り上がっていく Little Girl、元気が出るドーシー・バーネット作品の Magnificent Sanctuary Band、美しいバラードの She Is My Lady、ゴスペルタッチで豪華な Put Your Hand In The Hand など。

Vocals, Kebyboards – Donny Hathaway
backing vocals : Cissy Houston, Deirdre Tuck, I. Stone (8), J.R. Bailey, Judy Clay, L. Tynes (8), Myrna Smith, Myrna Summers & The Interdenominational Singers, Ronald Bright, S. White (8), Sammy Turner, Sylvia Shemwell
guitar : Cornell Dupree
bass : Steve Novosel (8)
electric bass : Chuck Rainey, Phil Upchurch (8)
drums : Al Jackson Jr., Morris Jennings
tenor sax : King Curtis (1)
trumpet : Joe Newman (6)

arranged by string, horn & choral arrangements : Arif Mardin (2, 5 to 7, 9), Donny Hathaway (1, 3, 4, 8, 10, 11)

producer : Arif Mardin, Donny Hathaway, Jerry Wexler

1. Giving Up
2. A Song For You
3. Little Girl
4. He Ain't Heavy, He's My Brother
5. Magnificent Sanctuary Band
6. She Is My Lady
7. I Believe In Music
8. Take A Love Song
9. Put Your Hand In The Hand
【Bonus Tracks】
10. Be There
11. This Christmas




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2021年10月11日月曜日

本日のCD Donald Byrd ♪ Fuego

 

 Donald Byrd (ドナルド・バード) と言えばファンキーで聴きやすさは抜群のトランペット・プレイヤー。しかしこの作品はファンキー・ジャズといえども意外とモーダルな演奏が多いアルバムです。ファンキージャズを意識してからかタイトル曲は Fuego。スペイン語で炎を意味し派手なテーマの曲ですがファンキーと言ってもまだまだ品の良さがあります。この盤の評でよくある熱気あふれる大作のような表現はちょっと違うような気がします。
 曲目の紹介になりますが、Fuego については先に書いた通り。続く Bup A Loop はテンポ早めのハード・バップでバードのソロもこのアルバムの中では一番饒舌でお勧めです。そしてゆっくりのブルースは Funky Mama でDoug Watkins のゆったりとしたベースから Duke Pearson のピアノ・ソロ、Jackie McLean の哀愁と粋なムードの歌心を聴かせてくれます。最後はリーダー、バードがゆったり目に一音づつ大切に吹くようなソロとピアノとの掛け合いで締めくくります。Low Life は映画音楽で使われそうなテーマが粋な曲で、ハード・バップからファンキー・ジャズへの足掛かりのような意欲作。Lament はブルージーなミディアム・テンポでリラックスした中にある歌心あふれる雰囲気が良い曲。ラストのAmen はゴスペルタッチでコンサートの終わりにメンバーが騒ぎながら盛り上げるような曲で、実はメンバーが一番ノリノリでソロをとっているのではないかと思われます。神妙に今までプレイしてきたのに我慢できなくなった感じがします。全体として聴きやすさは抜群。明るく楽しいジャズ。
 バードは1970年代にはファンク・ロック路線に転向していくだけに、何か新しいものを期待して聞いてしまったのですが録音は1959年。バラエティに富んだ楽曲構成ですが、それなりの時代を感じる録音でした。

trumpet : Donald Byrd
alto sax : Jackie McLean
piano : Duke Pearson
bass : Doug Watkins
drums : Lex Humphries

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

Recorded October 4, 1959.

1. Fuego
2. Bup A Loop
3. Funky Mama
4. Low Life
5. Lament
6. Amen






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2021年10月9日土曜日

本日のCD Miles Davis ♪ In A Silent Way

 

 1960年代後半のロックのパワーにより、ジャズ業界が立ち向かうべくエレクトリック楽器を取り入れながら試行錯誤していた時代の作品です。エレクトリックへ向かう作品の流れとしては、Miles In The Sky(1968年) で Herbie Hancock がマイルス作品で初めてエレピをプレイした。同メンバー録音で6月セッション、9月にはキーボードが Chick Corea、ベース が Dave Holland になった Filles De Kilimanjaro(1968年) を発表する。そして激しいエレクトリック・サウンドを導入しセールス的にも成功を収めた Bitches Brew(1969年)
 実はFilles De Kilimanjar (キリマンジャロの娘) は未だ聴いていないので、この流れを体感していないので語れないのですが、Miles In The Sky⇒In A Silent Way⇒Bitches Brewの流れだけでも最初は慎重にそして段々と大胆な実験をしていく流れは音楽の歴史の教科書を見ている(聴いている)ような気がしてきます
 私がマイルスを聴き始めた頃は、Bitches Brew だったので感動したというよりは面食らってしまってマイルス作品はどちらかと言えば敬遠しながらジャズを聴いていました。段々と幅を広げながら聴いているうちに最初は困惑した Bitches Brew が心地よくなってきて、昔のマイルスを聴いたら全く違うことに興味がわいて、ビバップ、ハードバップ、モードの流れを勉強しながらエレクトリック・マイルスの面白さにワクワクしています。
   さて、この作品 Hancock、Chick Corea、Joe Zawinulとキーボード奏者が3人、さらにギターの John McLaughlin の延々と続くジャムセッションのような作品で、キーボードが重なることで微妙に変化していくコードワークとベースラインの強調、そしてリズムはロックビートとなることで複雑に絡み合ったポリリズムとなり、不思議と宇宙的でありどこか牧歌的なところもあります。ただ、Joe Zawinul のアクは強くて私には Weather Report のようなものはかなり感じてしまいます。
 またこの作品はオリジナルではA面、B面に一曲づつという斬新なつくりで、Shhh/ Peaceful では編集によって同じ部分がリピートされていたり、In A Silent Way / It's About That Time では違う曲がサンドしてあったりする。そしてこれは適当にセッションして良いとこだけカットして編集した訳では無く何度もレコーディングしたものを編集しているらしい。それは「Complete in a Silent Way Sessions」に未編集バージョンが収録されているとのこと。
 これでこのアルバム関係を理解するのに2枚のアルバムを新たに買わなければならぬことが判明してしまいました。この道に終わりはないですね。

trumpet : Miles Davis
electric piano : Chick Corea, Herbie Hancock
electric piano, organ : Josef Zawinul
guitar : John McLaughlin
bass : Dave Holland
drums : Tony Williams
tenor sax : Wayne Shorter

producer : Teo Macero

recorded 2/18/1969 in New York City.
originally released in 1969.

1. Shhh / Peaceful
2. In A Silent Way / It's About That Time





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2021年10月6日水曜日

本日のCD  The New Mastersounds ♪ Out OnThe Faultline


 このギターの音のゴリゴリとやるジャズ・ファンクは気持ち良い。2012年の8枚目のスタジオ盤で、サンフランシスコの Faultline Studios で録音されています。フォルトラインスタジオにわざわざ行って録音したんで、そのままアルバム名にしたんでしょう。それとも何か特別の思い入れがあるのか?faultline とは地質学用語で「断層線」とのこと。と見るとジャケットが断層の絵ですね。
 さてこのアルバムのいつも通りのパワフルな極太のビートで実に刺激的、60年台後半大好きですと言う雰囲気が出まくってます。1曲目 You Mess Me Up なんかはミーターズがそのままタイムスリップしてきたかのような、年代物のサウンド。続く Way Out West はスリリングなインストのオルガン・ジャズ・ファンク。Yo Momma ではまた60年代に戻ってきた楽しいボーカル入ファンク。ギターのキュイ~ンと入るリフ・パターンはマネします。Mission Creep はまた、インストに戻りますがタイトなドラムとベース・パターンに合わせてギターがのっかってくるジャム的なファンク。Ding-A-Ling でまたボーカルものに戻ってきました。今度はJB風。Welcome To NOLA は少しレゲエ風のリズムに Papa Mali の語りの楽曲で楽器ソロ無しですがこれがカッコイイ。Summercamp はエレピを入れたフュージョンでこれまで飛ばしてきたライブの中休みのような感じですね。Redwood Jungle はサンフランシスコを根城とするホーン隊Jazz Mafia Horns (ジャズ・マフィア・ホーンズ)が参加するJBパターンが楽しい。Each To Their Own は浮遊感のあるインストでソロ長めの演奏メンバーが楽しそうな奴です。Make Up Your Mind イントロのオルガンとギターがカッコイイ60年代ファンクに逆戻りが嬉しい。アシッド的。Turncoat は少し外れたようなメロディーのボーカルもの。


 ザ・ニュー・マスターサウンズはUKで盛り上がりましたが今は全世界ですね。このタイプのジャズファンクが盛り上がるのはヤジオは非常にうれしい。聞くだけでなくやりたくなってくるよね・・・やりたい。

guitar, vocals : Eddie Roberts
bass, vocals : Pete Shand
drums, vocals : Simon Allen
horns : Jazz Mafia Horns (8)
organ, piano, keyboards, vocals : Joe Tatton
tenor sax : Joe Cohen (5,8)
trombone : Adam Theis
trumpet : Mike Olmos

recorded at Faultline Studios in San Francisco, CA.

1. You Mess Me Up
2. Way Out West
3. Yo Momma
4. Mission Creep
5. Ding-A-Ling
6. Welcome To NOLA / featuring : Papa Mali
7. Summercamp
8. Redwood Jungle
9. Each To Their Own
10. Make Up Your Mind
11. Turncoat





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2021年10月4日月曜日

本日のCD The Baker Brothers ♪ In With The Out-Crowd


 2004年の10月の Londonの Camden Town というJazz Cafe での録音で、爆音のドラム、キレキレのギターで演奏しているメンバーの興奮が伝わる状態で爆音で演奏してます。リリースは翌年の2005年です。私ごとですが横浜のジャズラテン系ライブハウスで音量を下げなさいとオーナーに注意されたことがあります。(リハは下げたんですけど本番は上げちゃいましたけどね、演奏はそれなりに良かったようなので怒られませんでした)
UK発ジャズ・ファンク・トリオ、ザ・ベイカー・ブラザーズが2005年にリリースしたライヴ・アルバム。ライヴならではの迫力とむせかえるような熱気、スリリングな臨場感が味わえる一枚。鼻血が出そうな一枚です。Ten Pacesからは想像出来ないくらい昇華された曲、熱い熱気が伝わってくるライブの臨場感、もうたまりません!聞いたことがない人はぜひ聞いて欲しいです。最高のライブアルバムです。前作「ten paces」にいまひとつはまれなかった人も、これ聴きゃあ、イチコロじゃないの?3人組でこの怒涛のFunk groove!! LIVEなんでhornも入ってますが、もうみんなブリブリ!!!jazzだ、rockだ、なんて括りはもうこの際ど~でもよくなってきます。とにかくこの熱に浸れっ!ってこと。
 さてこのアルバム、捨て曲なく全てがお勧め曲ではありますが
「GIVSON」激しくて好き!
「PEACE OF MIND」少し知的なリフが印象的な

ベイカー・ブラザーズの中でもお勧めの一枚

guitar, keyboards, vocals : Dan Baker
bass, guitar, vocals : Chris Pedley
drums, sampler, vocals : Richard Baker
baritone sax, alto sax : Ben Tompsett
percussion : Steve Bray
tenor sax : John Gillies , Paul Yeung
trumpet : Giles Straw

recorded live at the Jazz Café, Camden on the 12th October 2004

1. Chester's Tongue
2. Givson
3. Maid Of Mars
4.Green Goddess
5. All Baked Out
6. Ziggifried
7. Peace Of Mind
8. Don't Turn Your Back On Me / vocals : Nathan Johnson
9. Little Suns
10. Who Killed The Southbarrow Peacock?
11. Ready...Aim...




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2021年10月3日日曜日

本日のCD J.A.M ♪ Jazz Acoustic Machine


 SOIL&"PIMP"SESSIONSからスピンオフしたジャズトリオ。新しい音楽世界を作られているバンドは、解散も早いのですが今バンドはまだ現役で活動しておられるようです。

 
 解散せずに続けていられるのは、こういった活動が自由にできるからでしょうか。ソイル・ピンプのメンバーは、タブゾンビ(Tp)/ 丈青(Pf)/ 秋田ゴールドマン(Ba)/ みどりん(Dr)/ 社長(Agitator)で、このトリオは、タフゾンビと社長以外のメンバーで構成されていて、本家よりもロック、ヒップホップなどを取り入れたサウンドとなっています。


 オープニング Jazz Acoustic Machine は象徴的なピアノフレーズでオープニングを飾り、クロスオーバーでファンク的な Sing Without You、ハウス的なダンスミュージックにオリエンタルな音階を使った Quiet Wave、8ビートながらもジャズの Blue In Green は中々よし、Arioso ではきらびやかなピアノソロから始まり、ダンサブルなジャズに発展、Join And Move On もタイトなドラムと印象的なベースラインで思わず体が動く、そしてひと昔前のダンスミュージック的なテーマの New Step 、Back From Dark Side は一つ一つ確かめながらメンバーが音を探るような楽曲がカッコイイ。そしてゲストに世界的トランぺッター日野皓正さんを迎えた He Knows が入ることでまた引き締まり、日野さんのトランペットのトリルで、他のメンバーの音が全く変わってきています。Liquid Street はロバートグラスパーのカバーらしい。そして疾走する Real で勢いをつけてから、さらに加速する Justice で混沌とした世界にゴール。
 これ札幌タワーレコードでメンバーのミニライブを見に行った時に買ってサインもらったんだけど、ジャケットがツルツルの材質なんでほぼ消えています。残念。ちなみにアルバムの発売記念ミニライブだけど、全然違うことやってくれました。凄かった、楽しかった、テクニック、インスピレーションと迫力!!のライブでした。懐かしいなあ。

piano : 丈青
bass : 秋田ゴールドマン
drums : みどりん

1. Jazz Acoustic Machine (Opening)
2. Sing Without You
3. Sing Without You (Reprise)
4. Quiet Wave
5. Blue In Green
6. Arioso
7. Join And Move On
8. New Step
9. Back From Dark Side
10. He Knows feat. Terumasa Hino
11. Liquid Street
12. Real
13. Justice





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2021年10月1日金曜日

本日のCD Lee Konitz with The Bert Van Den Brink Trio ♪ Dia Logues


 

 Lee Konitz (リー・コニッツ)と言えばトリスターノ派の代表的ミュージシャン。Lennie Tristano (レニー・トリスターノ)は、このリー・コーニッツやBill Evans (ビル・エヴァンス) の師匠で、クール・ジャズやビバップ、ポスト・バップ、アヴァンギャルド・ジャズのジャンルなどで即興演奏家として独特の独創性や驚異的な活動で活躍した方です。(私は勉強不足なのでこれから勉強しますが・・)


 リー・コニッツについては最近聴き始めたばかりで、あまり自分の中のイメージができていません。1927年生まれの方ですから、今回も含めて今まで聞いてきたているのは晩年の作品です。どこかでイメージが変わるところはあるんでしょうが、聴く前はフリー・インプロの人で素人にはついていけない感じのイメージでした。が今のところそうでもない感じです。Meeting Again(1990)、Lee Konitz with Warne Marsh(1955)
 本作はオランダのピアニストのBert Van Den Brink (ベルト・ファン・デン・ブリンク)のトリオとの共同名義作品なので全体の色としてはもしかしたら、このトリオの方が強く出ているのかもしれません。凛々しく重々しい美しい響きでクラシックを基礎としたジャズ・ピアノであることは非常にわかりやすくそのピアノにのせて、コニッツが優しい音色でサックスをのせてくる。インプロもどこかへ行ってフリーになる気配はまったくないところが、今回も構えて聴いていただけに少し拍子抜けの好印象な演奏です。
 曲のレパートリーは全11曲中コニッツのレパートリー7曲とのことで、安心感のある演奏はそこら辺の要因でしょうか。8曲目の I Love You はピアノ・ソロとなっていますが、レコーディングには二人でスタジオに入ったそうです。しかしコニッツは一向に入ってこないのベルトが待っていたら途中でコニッツが「この曲はソロ・ピアノ」とそっと耳もとで言ったのだとか、どこらへんでそう言ったのかが非常に気になります (2分過ぎたぐらいなのかな)
 さらに日本人としては荒城の月の演奏にも興味がわきます。実はこのCDを聴く前に「荒城の月」の文字は目にしていたのでどんなものか?と聴きながら酒を飲んでいたのですが、酒を飲みながら別の話をしていたら気づかないぐらいにうまくジャズ基調にアレンジされています。CDが終わってしまったてから「荒城の月やってたっけ?」と忘れていたことに気づいて再度かけなおすとなるほど、オリエンタルな感じで荒城の月になっています。これならモンクの Straight, No Chaser の時のように小学生の時に強制的に歌わされていたことは思い出さずにすみます。All The Things You Are のコード進行をまるまる拝借したと言われるThingin' も収録されています。
 一流のバックがバリバリに演奏し貫録でゆったりとメロディを吹くコニッツ。多彩な楽曲で軽やかにスウィングはヨーロッパを感じたい人、黒くないクール派を聴きたいときにお勧めです。Bert Van Den Brink というピアニストも他の作品を追いたくなります。

alto sax : Lee Konitz
bass : Hein Van de Geyn
drums : Hans Van Oosterhout
piano, producer : Bert Van Den Brink

recorded on November 5, 1997 at John Van Eijk Studio

1. East Of The Sun
2. Yesterdays
3. Kojo No Tsuki
4. Spring Fever
5. Thingin'
6. If You Could See Me Now
7. Dialogue
8. I Love You
9. Moonlight In Vermont
10. Lover Man
11. Cherokee





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2021年9月30日木曜日

本日のCD Milt Jackson ♪ Milt Jackson Quartet Prestige – LP 7003

 

 MJQは1952年結成されましたが、その前の1951年には Milt Jackson Quartet として活動していました。本作は Prestige でのジャクソン初のリーダー作で1955年5月20日の録音です。このあとMJQは同年7月に Concorde を録音してから Atlantic へ移籍します。つまり本作は Prestige での唯一のリーダー作でもあるわけです。
 本カルテットのメンバーは John Lewis (ジョン・ルイス) の替わりに Horace Silver (ホレス・シルバー)となったMJQの変形ような編成によるアルバムです。というよりはMJQと一線を画す演奏であると考えれば、MJQの盟友 Percy Heath (パーシー・ヒース)と Connie Kay (コニー・ケイ)の2人とシルバーを迎えた作品と言った方が的確な表現だと思います。
 つまりはクラシック的な要素が多いMJQに対し、本作ではシンプルかつブルース・フィーリングに満ちたソロを展開し続けるジャクソンと、シルバーのバッキングが絶妙にマッチしている演奏なのです。ジョン・ルイスがホレス・シルヴァーに代わっただけなのにこれだけブルージーさが充満するのはなかなか面白い。トータル・バランスに優れたMJQもいいのだが、MJQのライブで時折見せる自由で黒っぽい演奏を聴くとわくわくしてしまうのと似たようなものを感じます。
 MJQとの比較ばかりになってしまうがMJQでは、ジョン・ルイスはきっちりと譜わりして、淡白なピアノであることに対して、このアルバムではホレス・シルバーのファンキー(黒っぽくてリズム重視)のピアノの違いというのも粘っこい合いの手が素晴らしく、ミルトの演奏を見事に盛り上げる。そんなことを思いながら改めて考えるとピアニストとしてのアクはシルバーの方があると思っていたが正調派のジョン・ルイスの方が強いものはあるのかもしれません。
 このアルバムを購入して、まずはこのCDで聴きました。そしていつものおでんバーのマスターが「これはレコードもあるよ~」とのことでCDを聴き終わってからレコードをかけてみました。わかってはいたんですが、同じ音源でも臨場感はレコードの方がありました。ミルト・ジャクソンがちゃんと真ん中にいて演奏しているかのように聞こえます。CDのミキシングの加減もあるかもしれないんですが、CDは細かいところも聞こえるような気はするんですが各楽器のダイナミックが平坦なんですよね。

vibraphone : Milt Jackson
piano : Horace Silver
bass : Percy Heath
drums : Connie Kay

original Recordings May 20, 1955

1. I Wonder Why
2. My Funny Valentine
3. Moonray
4. The Nearness Of You
5. Stonewall
6. I Should Care





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