2024年12月22日日曜日

Jaco Pastorius Big Band / Word Of Mouth Revisited

 

 1987年に他界した Jaco のトリビュートで、ゲスト・ベーシストを起用した Jacoのいない Jaco Pastorius Big Band (Word Of Mouth Big Band) の、2003年の3月、4月のライブを収録したアルバムです。ただ Wiggle Waggle の1曲だけは、ジャコの過去の演奏した録音テープにバンドが合わせて演奏した録音となっているのと、Punk Jazz Revisited を演奏する Marcus Miller は、ビッグバンドに参加せず自身で、いつものスラップを多用した自身の色を強く押し出している作品をレコーディングし、最後の曲として提供しています。またライブの演奏のほか、生前のジャコのボイスを散りばめているのもこの作品の特徴です。
 私の所有している、この盤は紙ジャケなのですが、参加ミュージシャンのコメントや、プロデューサーの Peter Graves とアレンジの Larry Warrilow の各曲のコメントが記載されたライナー・ノーツを読みながらアルバムを聴くのも楽しみです。(ただ手書きの文章の部分は英語圏でない私には読解に時間がかかり非常に読みづらい)

 

 さてレビューしていきます。Jaco Speaks は聞き取れないので割愛します。Havona ジャコ作曲で Weather Report の Heavy Weather に収録のベースラインを主体とした楽曲で、ベーシストは Jimmy Haslip で、かなりの再現度でもありジャコよりも正確な発音なのでは無いかとも思ってしまいます。ビッグバンドにも非常にマッチする曲です。Teen Town これも Weather Report の Heavy Weather の収録曲で、ジャコのライブ音源に高確率で演奏される名曲です。ベースは Victor Wooten で、ジャコに負けない自由度の高い演奏は気合十分です。Punk Jazz ベースは Richard Bona で絶妙なタイム感でのベースで、しっかりとビッグ・バンドがグルーブしていると思います。Barbary Coast ジャコの最初の Weather Report への参加アルバム Black Market の収録曲でエンターテイメント性あふれる演奏で、ベースは Gerald Veasley です。Killing Me Softly は Roberta Flack の1973年のヒット曲で、ジャコの若い時にアレンジした譜面を使っての録音のようで、ピりついた雰囲気の無い演奏で、ベースは Jeff Carswell。(Used To Be A) Cha Cha ジャコのファーストアルバム Jaco Pastorius での収録曲です。このアルバム制作のプロジェクトのテーマの一つとしてジャコが余り演奏していない曲を収録することがあり、それに合致する最適な曲として選ばれたとのこと。ベースは Victor Bailey です。 Wiggle Waggle この曲は Herbie Hancock / Fat Albert Rotunda の1曲目に収録されていた楽曲で、メキシコの Sanibel Island でのギグのジャコの演奏に合わせて、ビッグバンドが演奏しています。元曲のベースのリフはもっとジャズ・ファンクですが、ここではジャコの得意のベースのリフパターンにして、この曲にぴったりとマッチしています。Continuum ジャコのアレンジと書いてありますので存命時にアレンジして書いた譜面を使ったものと思われますが、ほぼ Jimmy Haslip の独自のインスピレーションでのソロで構成されています。Elegant People ジャコの愛した Wayne Shorter の楽曲です。Holiday For Pans でレコーディングしたとライナーノーツに書いてあり、アレンジはジャコ本人の表記ですので Holiday For Pans の時のアレンジを使っているとは思いますが、楽器の編成なども異なるため違うアレンジに聞こえます。ベースは Gerald Veasley です。Opus Pocus ジャコの作曲で息子の David Pastorius がベースを弾いっています。曲はいかにもジャコらしいフレーズのベースラインの楽曲です。Domingo これもジャコのアレンジとの表記がしてあります。スリリングなビッグバンドの演奏であり、ベースの Victor Bailey の正確な指さばきが更にグルーブを引き出しています。Forgotten Love ファーストアルバム Jaco Pastorius の収録曲で Herbie Hancock がピアノを弾いてストリングスが印象的でしたが、ここでは管楽器をバックに Christian McBride がフレットレスで、郷愁を誘うソロを展開します。Punk Jazz Revisited 最初に聴いた時には Marcus Miller が我を張った演奏の曲を提供しているとの印象しかなかったのですが、ジャコの肉声の録音があったり、様々な趣向が凝らされているこのアルバムを、完成させるスパイスになっていると今は思います。それにこの楽曲を入れるのは最後しかないですね。


 曲ごとにベーシストだけ変わるので、色々なアーチストが録音したものを集めたようなトリビュートとは違い、曲の良さを引き出し、ジャコの基本的なベースラインの魅力を各ベーシストが、それぞれに表現していることでアルバムとしての統一感があります。
 故ジャコが雑誌インタビューで、「ジャコパストリアスの肖像」では ベーシスト としてプレイに重点を置いて制作し、Word Of Mouth Big Band ではコンポーザーとして重点を置いているのでベース・プレイは基礎的な部分を弾くことだけで良いと語っています。そういった意味でも、この Word Of Mouth Big Band の録音は、故ジャコ が異なるベースプレイヤーをゲストとして呼んで録音したようなものとも思えます。
 基本的にはジャコのベース・ラインを各ベーシストが弾くので、技量の違いや解釈の違いも聴きどころであると思いますが、誰の演奏が良い悪いは、このアルバムではどうでも良いところ。ただ Wiggle Waggle のベースを聴いているとジャコのベースのグルーブは、やはり特別なものがあるんだなと納得させられるものもあり、このテイクを入れたのも絶妙であると感心してしまいます🎶

voice : Jaco Pastorius (1, 4, 6, 9, 12, 14, 17, 20), Peter Graves (17)

【Jaco Pastorius Big Band】
conductor : Peter Graves
alto soprano sax, flute, piccolo flute : Billy Ross
tenor alto sax, clarinet, flute : Gary Keller
tenor soprano sax, clarinet : Ed Calle
baritone sax, bass clarinet, flute : Mike Brignola
trumpet, flugelhorn : Jason Carder, Jeff Kievit, Ken Faulk
trombone : Dana Teboe
bass trombone : Craig Gosnell (5, 10, 18), John Kricker
piano, keyboards : Michael Levine
drums : Mark Griffith
guitar, koto (synth) : Randy Bernsen

recorded live March & April 2003
executive-producer : Dave Love
producer : Michael J. Hurzon, Peter Graves
producer, recorded by : Marcus Miller (21)

1. Jaco Speaks
2. Havona (Jaco Pastorius)
arranged by : Larry Warrilow
bass : Jimmy Haslip
3. Teen Town (Jaco Pastorius)
arranged by : Larry Warrilow
bass : Victor Wooten
4. Jaco Speaks
5. Punk Jazz (Jaco Pastorius)
arranged by : Jaco Pastorius
bass : Richard Bona
tenor sax : Mike Scaglione
6. Jaco Speaks
7. Barbary Coast (Jaco Pastorius)
arranged by : Larry Warrilow
bass : Gerald Veasley
8. Killing Me Softly (Charles Fox, Norman Gimbel)
arranged by : Jaco Pastorius
bass : Jeff Carswell
9. Jaco Speaks
10. (Used To Be A) Cha Cha (Jaco Pastorius)
arranged by : Dan Bonsanti
bass : Victor Bailey
11. Wiggle Waggle (Herbie Hancock)
arranged by : Stan Webb
bass : Jaco Pastorius
12. Jaco Speaks
13. Continuum (Jaco Pastorius)
arranged by : Jaco Pastorius
bass : Jimmy Haslip
14. Jaco Speaks
15. Elegant People (Wayne Shorter)
arranged by : Jaco Pastorius
bass : Gerald Veasley
drums (hand drums) : Bobby Thomas Jr.
16. Opus Pocus (Jaco Pastorius)
arranged by : Larry Warrilow
bass : David Pastorius
marimba : Gary Mayone
17. Peter & Jaco Speaks
18. Domingo (Jaco Pastorius)
arranged by : Jaco Pastorius
bass : Victor Bailey
19. Forgotten Love (Jaco Pastorius)
arranged by : Larry Warrilow
bass : Christian McBride
flute : Mike Scaglione
20. Jaco Speaks
21. Punk Jazz Revisited (Jaco Pastorius, Marcus Miller)
arranged by : Marcus Miller
bass, bass clarinet, drums, clavinet, soprano sax, scratches :– Marcus Miller
soprano sax : Roger Byman
trumpet : Michael "Patches" Stewart

Havona




  

2024年12月21日土曜日

Blood, Sweat & Tears


 ベーシストのジャコの本「ジャコパストリアスの肖像」の第2章「オン・ザ・ロード」でのエピソードを読んで、昔、聴いたこともあるバンドなので、久しぶりに聞きたくなって購入しました。ちなみにタワレコの棚にはこれ1枚しかなかったのが、寂しかったです。
 そのエピソードですが、このバンドのドラマー Bobby Colomby が、ジャコの奥さんのトレイシーをナンパして、翌日にからかい半分でジャコの演奏を聞いたら驚き、レコード会社のエピックとの契約を取り付けて、その年の1975年10月に自身のスタジオでジャコのデビュー・アルバムが録音されたとのこと。その後の、このバンドのギグにジャコも参加しているとのことですが、残念ながらレコーディングは無しです。
 この録音は Bobby Colomby ジャコの奥さんをナンパする、はるか前の1969年の作品です。Blood, Sweat & Tears はアル・クーパーの呼びかけでジャズやクラシックの経験者で譜面の読めるミュージシャンたちで作ったバンドで、デビューは1968年。Randy Breckerもメンバーだった「Child Is Father To The Man」、ブラスロックというジャンルを確立したとも言われています。しかしワンマンのクーパーにメンバーが造反し、リーダーが追い出され、デビッド・クレイトン・トーマスを迎えてリリースしたのが本作で、グラミーで(年間最優秀アルバム)を受賞する世界的な大ヒットとなっています。

 

 昔、聞いたことがあったのは Spinning Wheel でアルバムのイメージはこの曲だったのですが再度聴いてみて違った印象ですので、再度レビューしてみます。Variations on a Theme by Erik Satie エリックサティの、あのテーマが主題です。フルートが2本で絡み合い幻想的な響きとなっています。一回以上聴いていたはずなのに忘れていました。それが終わると後半はブラスの主体としたクラシックっぽい感じに変わります。全体にフランジャーをかけてシャワシャワしますが、これもエリックサティ? Smiling Phases 導入曲とガラッと変えてソウル風の歌い方のブラス・ロックに変わります。アドリブ部分は8ビートのジャズ、ドアーズ風、4ビートと目まぐるしく変わりエリックサティ風になって終了かと思いきやブラス・ロックに戻って終了します。ブラス・ロックという言葉を定着させたバンドと言われていますが、プログレにも聞こえます。Sometimes in Winter ブラスとフルートが入ったソフト・ロックです。品が良い。More and More 荒々しいソウルで、Smiling Phases のようにプログレ路線には行かずに疾走します。途中の限界までオーバードライブさせた短いギター・ソロはそそられます。And When I Die オールドスタイルのポップも感じさせる変拍子を入れた曲です。このバンドの才能を感じさせる曲で、かなり印象的です。God Bless the Child 曲名だけ結構見ますので、おそらく、かなり流行った曲だと思いますが聞き覚えはありません。スロー・ブルースですが、演奏はジャズっぽいアレンジになっていてラテンや、4ビートジャズに変化したりブラス・ロックになったりと大曲です。Spinning Wheel 先にも書きましたが、この曲は知っています。インテリっぽくて普通のロックではない様相のこのアルバムで最もキャッチーな曲です。やはり途中からジャズ・アレンジが入り、曲の最後は、The More We Get Together というアメリカの童謡のメロディーを入れて終了します。アイデアが斬新です。You've Made Me So Very Happy 本格的なソウルナンバーですが、ここまで聴いてきましたから、ひとひねりあるだろうと思って聴いていると普通に終わってしまい拍子抜けです。これも作戦でしょうか。Blues, Pt. 2 ブルースには全く聞こえないオルガンの独奏が長く続き、スローブルース?になりかけますがブルースではないジャズに最終的に突入し、Sunshine Of Your Love が出てきて、最後でブルースに突入し激しいソウルになって終わります。Variations on a Theme by Erik Satie 最後はエリックサティに戻ります。
 とにかくアルバムの展開と曲の展開がインテリすぎて楽しいアルバムです。普通では、このタイプのアルバムは万人受けしないのかと思いますが、ひたすら振り切っているのが受け入れられたのでしょうか。凄いことです。ヘビロテ入り決定します🎶


 そして古臭い感じのするジャケットデザインを、よく見ると古い写真の顔部分をメンバーにすげ替えたものになっています。ライナーノツの中にも広げた新聞にメンバーの顔写真が何かの犯人のように散りばめられていて、雑な貼り付けかたにシュールで芸術的なものを感じます。全てにこだわりを感じます🎶

lead vocals : David Clayton-Thomas
bass : Jim Fielder
drums, percussion, vocals : Bobby Colomby
guitar, harmonica : Steve Katz
organ, piano, electric piano, harpsichord, celesta, trombone, flute, horn, vocals, alto Flute : Dick Halligan
piano, electric piano, vocals, alto sax : Fred Lipsius
trombone, recorder, bass trombone : Jerry Hyman
trumpet, flugelhorn : Chuck Winfield
trumpet, flugelhorn, piccolo trumpet : Lew Soloff

producer : James William Guercio
cover (cover art) : Timothy Quay
design : John Berg

1. Variations on a Theme by Erik Satie (First and Second Movements) (Erik Satie)
2. Smiling Phases (C. Wood, J. Capaldi, S. Winwood)
3. Sometimes in Winter (S. Katz)
4. More and More (D. Juan, P. Vee)
5. And When I Die ( L. Nyro)
6. God Bless the Child (A. Herzog, Jr., B. Holiday)
7. Spinning Wheel (D. C. Thomas)
8. You've Made Me So Very Happy ( B. Gordy, Jr., B. Holloway, F. Wilson, P. Holloway)
9. Blues, Pt. 2 (Blood, Sweat And Tears)
10. Variations on a Theme by Erik Satie (First Movement)
11. More and More  (previously unreleased, bonus track)
12. Smiling Phases  (previously unreleased, bonus track)





  

2024年12月20日金曜日

Tommy Flanagan / Giant Steps (In Memory Of John Coltrane)

 

 Cortrane の代表作にして、Hard・Bop〜Mode への過渡期にリリースされた最重要作品である Giant Steps 。レコーディング・メンバーは、テナー・サックス John Coltrane, ベース Paul Chambers, ドラム Art Taylor, そして ピアノは Tommy Flanagan でした。
 今になって知ったのですが、複雑に変化するコード進行(1コーラス16小節中に長3度という珍しい転調を10回行う)と、♩=240を超えるハイテンポでの音数に、Tommy Flanagan はついていけず、ピアノ・ソロでは途中からコードを押さえるだけになってしまい、コルトレーンが被せるようにサックス・ソロを入れてきた。コルトレーンのソロが良かったのか、Tommy Flanagan としては不本意な、このテイクがアルバムに採用されてしまったわけだが、なんと大ヒットとなった。という屈辱を味わった名手によるリベンジ・セッションとのこと。ただ、あちこち見ても本人談と書いてあるものは発見できなかったので、ホントにリベンジと本人が思ってこのアルバムを制作したのかは怪しくないかなとも私は思っています。
 John Coltrane の Giant Steps 録音は1959年、肝臓癌で亡くなったのは1967年、録音から23年後、Coltrane 没後、15年後のリベンジです。曲目は  Giant Steps に収録の Spiral, Countdown は収録されず、2. Central Park West が収録されています。


 1曲だけではなく、ほぼ全てをトリビュートしたアルバムと言うのは珍しいかと思いますので、原盤と聞き比べながらレビューしていきます。原盤ではラストに収録されていたのが Mr. P.C. ベースの Paul Chambers の略が PC で、生きていて録音に参加している本人に捧げるのは怖いマイナー・ブルースです。原盤はかなり早いテンポで重い音ながらのベース・ラインの疾走感があります。フラナガンは、きっちりとソロを弾ききっていますが、注意して聴くと若干スピードに弾き手が翻弄されているところもあるような気もします。トミフラのアルバムでもスピードは速いですが当時の録音より、さすがに余裕を感じます。サックス無しでの全面ピアノでの演奏なので重厚感がありスイング感もあったり、途中でガツンとコードを叩いて変化をつけるところなども良かったです。Central Park West 原盤には収録されていませんが、コルトレーンが1960年に吹き込んで1964年の Coltrane’s Sound に収録されていたバラードで原盤のピアノは McCoy Tyner。こちらのフラナガンの方が広がりと透明感のある美しい仕上がりです。そして聴いていて気づいたのは Giant Steps と同じ主題とコード進行をこの曲に使っていること。なるほど他のアルバムの曲を収録した訳はここにあったのですね。Syeeda's Song Flute フラナガンは低音のリフから始め、4ビートに変化していきます。途中で一瞬ラテンのリズムを挟んだり、この録音メンバーの小粋な演出にも心意気を感じます。原盤も、最初は低音のリフから始まり、コルトレーンのサックスがアーシーな雰囲気を醸し出しています。雰囲気が全く違うので聴き比べると面白いかと思います。Cousin Mary 曲名通り、コルトレーンが従姉妹に捧げた曲で、マイルスの Cookin に収録されていた Blues By Five を元に書き下ろしたナンバーです。フラナガンの盤は安定して粒の揃ったサウンドで気持ちよくスイングしています。中盤のコードソロを使って、気分を盛り上げていくところも良い演出です。コルトレーンの盤の方は、やはりアーシーなサウンドで、やはり名盤と言われるだけあって、ツヤのあるサックスには聴いていると熱くなるようなパッションが感じられます。聴き比べればフラナガンのピアノは若くてアイデアは未だ少ないのかとも聴いて取れます。Naima コルトレーンが当時の奥方に捧げたバラードで、サビ以外は低音が同じ音が持続する通奏低音=ペダルノート・アプローチが特徴の曲だそうです。原盤では、フラナガンでは無くWynton Kelly がピアノを弾いていて、饒舌なコルトレーンが、感情をこめてロングトーンばかりが新鮮な感じ。フラナガンの盤もしっとりとした中に情熱のこもった演奏で良いと思います。コルトレーンの盤よりも曲の中での表情の変化が聴いて取れます。Giant Steps 今回の聴き比べで結構な回数を聴いてしまいました。これだけ集中して繰り返し聴くことも滅多にないことかと思いますが、注目してしまうのはピアノ・ソロの部分で故フラナガンには申し訳ない。しかしピアノソロに見切りをつけてコルトレーンが入ってくるところの他メンバーの反応も素晴らしく早いのも聴きどころの一つかとも思いました。フラナガンのリベンジは、コルトレーンの盤よりも少しテンポは落としての演奏ですが、速ければ良いもんでもない。しっかりと年月をかけてこの曲を自身の中で消化した演奏で、表情のつけ方も素晴らしいですしスイング感もしっかりバンドの演奏でも出ていてお釣りがくる演奏だと思います。原盤には無い George Mraz のベースソロと続くドラム・ソロとソロ回しを終えて、最後は華麗なピアノソロで壮大に終わるのは感動的でもある。果たしてリベンジなのか、コルトレーンへの敬意なのか。私的には後者では無いのかと思うのですがどうでしょう🎶🎹


piano : Tommy Flanagan
bass : George Mraz
drums : Al Foster

all composed by John Coltrane

producer : Horst Weber, Matthias Winckelmann
recorded by David Baker
recorded on February 17 & 18, 1982 at Eurosound, New York

1. Mr. P.C.
2. Central Park West
3. Syeeda's Song Flute
4. Cousin Mary
5. Naima
6. Giant Steps





  

2024年12月15日日曜日

Colour Club

Colour Club (CD, Album) アルバムカバー

 1994年のアルバムで発売時に購入したのかどうかは記憶ありませんが、私がアシッド系にはまり始めた時期と同時期ではありますので、中古ではなく新品で購入したのかと思います。それ以来、お気に入りのアルバムになり聞き続けていますが、既にライナーノーツなどが紛失し、CDの本体のみしかありませんが、現代はネットが発達しているので、色々調べがつきます。当時、詳しいことはわかっていなかったのですが、Bernard Wise (Skipper Wise)、Les Pierce のマルチ楽器奏者の二人が、プログラミングを駆使するグループ。ジャンル分けでは American smooth jazz group、Soul-Jazz にあたるようです。私の中では Acid Jazz にも分類されるのは、ヨーロッパ式です(今初めて知りました)
 サウンド的には、打ち込みが主体ではあるものの、リズム、ベースラインなどが非常に優秀で、様々な楽器の使い方も含めて、とにかくハイセンスでした。過去形にしたのは、おそらく後輩にあたる今のミュージシャンが真似しまくっているので、いまや新しくは無いということで、おそらく当時は先駆者的なサウンド・クリエイターだったはずです。アシッド・ジャズ愛好家は、私の周りにはいなかったので日本でのセールスはどうだったのかはわかりませんが Freedom Words はシングルカットされ、American Billboards Video awards にノミネートされています。


 それでは、長年の愛聴作品を再度レビューします。Welcome To The Colour Club Welcome の女性ボイス、オーケストラヒット、ストリングス、シンセ、テナー・サックスの単純リフが組み合わさって、いかにも打ち込みで作りましたって感じがクールだと思います。Scene I 行進する 音だけで7秒です。Freedom Words けだるい歌い方の Ronee Martin のソウル的な 歌い方と声が素敵で、フリューゲルホルンの使い方も素敵です。
The Great Issue "Freedom Words Part II" シャカシャカと忙しい曲です。前の曲からの続きかと思いますが、エンディング的な違う曲ですね。Trust In Me 大好きな曲です。アコースティック・ベース音でのプログラミングで跳ねるようなベースライン、ジャズ風な楽曲は日本の、かつて国民的男性アイドル・グループでも取り入れた曲があったかと思います。このサウンドの先駆者かと思います。Consumption マーカスでも、このベースの使い方があったかと思います。こちらの方が先だと思うのですがどう mpでしょう。Scene II 今度は41秒のSE。On And On アーバン・ソウル的でアシッドです。普通に良い曲かと思えば怪しい雰囲気の編曲がアシッドです。Scene III 1分22秒で今度はSEというよりは小曲。こういった差し込み方もセンスありますね。Chicago 普通にソウルで、ひねりは少な目です。Cultures Of Jazz ハッピーなメロディーラインのシンセのテーマとミュート・トランペットの音のプログラミングのフレーズの組み合わせが繰り返され、それに Tony Guerrero の生トランペットええ色付けしていきます。これもアシッド系の曲でよくある手法です。ここら辺は先駆者とは言えないと思いますがセンスが良いです。Scene IV 今度は17秒のスライドギターとシンセのフレーズ、ループに使えそうなヤツです。Howbotsumtinlikdis ラップとのセッションです。ラッパのフレーズがやはり効果的。おっとScene IVのフレーズが使われています。Scene V 27秒のSE State Of Mind ちょと聴くと EWF の曲調に女性ボーカルを重ねたように感じるが Stevie Wonder のような気もするしキャッチーな曲であることは間違いない。Don't Wait Too Long 完全にメジャー級ブラコンの楽曲です。Colour Club Revue 1曲目をDubミックスして、アルバム収録曲を切り取ってつなぎ合わせてハイセンスにコラージュ
 久しぶりに通してアルバムを聴いて、やはり色褪せることの無いハイセンスな秀作を確認し、後発のミュージシャンのアレンジなどの参考になったであろう痕跡を感じます。私のパソコンでの音楽制作にも、かなりの影響ありの作品です🎶

producer (produced by) : Bernard Wise, Les Pierce
recorded by : Bernard, Pierce, Tom McCauley

Recorded at Moving Hands Studios, Sherman Oaks, Ca.

1. Welcome To The Colour Club (Bernard, Pierce)
Keyboards , programming: Pierce
spoken words : Bernard
2. Scene I (Bernard, Pierce)
3. Freedom Words (Bernard, Pierce)
congas : Tom McCauley
flugelhorn : Tony Guerrero
Keyboards , programming:Pierce
vocals : Ronee Martin
4. The Great Issue - "Freedom Words, Pt. 2" (Bernard, Pierce)
electric guitar : Bernard
Keyboards , programming:Pierce
trombone : John Garb
trumpet : Rick Braun
5. Trust In Me (Thomas, Pierce)
Keyboards , programming:Pierce
vocals : Dave Thomas
6. Consumption (Bernard, Pierce)
bass : Bernard
electric guitar : Derol Caraco
Keyboards , programming: Pierce
trombone : John Garb
trumpet : Rick Braun
7. Scene II
keyboards:Pierce
voice : Lorna Pirece
8. On And On (Bernard, Pierce)
vocals : Bernard, Pierce
drums : John Mahon
Keyboards , programming:Pierce
vocals : Dave Thomas
percussion : Tom McCauley
sax : Dave Stambaugh
9. Scene III
Keyboards , programming:Pierce
10. Chicago (Bernard, Pierce)
acoustic guitar : Bernard
bass : Bernard
electric guitar : Derol Caraco
Keyboards , programming:Pierce
vocals : Rhassan Patterson
11. The Cultures Of Jazz (Bernard, Pierce)
acoustic guitar : Bernard
Keyboards , programming:Pierce
sax : Gary Meek
trumpet : Tony Guerrero
12. Scene IV
acoustic guitar : Bernard
13. Howbotsumtinlikdis (Bernard, Pierce)
acoustic guitar : Bernard
trombone : John Garb
trumpet : Rick Braun
vocal, keyboards, programming : Pierce
14. Scene V
voice : Jessica Wise, Lana Pierce, Sonny Pierce
15. State Of Mind
vocals : Bernard, Pierce, Rhassan Patterson 
bass : Larry Kimpel
drums : John Mahon
keyboards, programming : Pierce
sax : Dave Stambaugh
16. Don't Wait Too Long (Bernard, Pierce)
vocals : Rhassan Patterson
keyboards, programming : Pierce
drums : John Mahon
sax : Dave Stambaugh
17. Colour Club Revue (Bernard, Pierce)
keyboards, programming : Pierce
dub , mix : Bernard





  

2024年12月14日土曜日

Cortijo y Su Combo Feat. Ismael Rivera / Bueno, Y Que...?

 

 サルサという音楽が発生したのは、1960年代後半からでニューヨークに大量移民してきたプエルトリコ人たちが、ラテン音楽を新しい感覚で作り上げた音楽と言われています。本作はそのサルサの源流となる、当時、破竹の勢いの コルティーホ楽団&イスマエル・リベーラ の1960年作品です。
 コルティーホ は1928年、プエルトリコのサンファン生まれ。当時には プエルトリコ にテレビは未だ無かった時代で、一つのエンターテイメントとしてコルティーホのサウンドがあり、この楽団の強烈なリズムとノリが人気であったものと思われます。
 このアルバムのジャケットは、そのサン・ファンの観光名所のモロ城の前での撮影とのことで、プエルトリコのサンファンにある石造りの要塞で、ユネスコの世界遺産にも登録された現在も人気の高い史跡とのこと。この要塞は、もともとスペイン人の植民地主義者が建てたもので、海からの攻撃を防ぐために使われました。その後 19 世紀後半から 1961 年までは米軍に占領されていたということから、解放される直前に撮影した写真と推測されます。


 ラテン音楽は、好きなんですが、雑に聴いております。「ボンバ」「プレーナ」の違いについても、わかったようなわからんような感じです。雰囲気としては「ボンバ」は コンガ などが主体となっていて「プレーナ」は、歌が主体な感じとは思うんですがこんな記述も見つけました。
「ボンバ」
プエルトリコの音楽で最もアフリカ色の強い音楽とダンス。もともとは太鼓をメインに、歌手と群衆のコーラスがかけ合いをする形で進行していた。ロイサ、サントゥルセ、マジャグエスなど各々の町で独特のリズムが伝えられている。プレーナ同様ラファエル・コルティーホ、モン・リベーラによってモダン化されサルサへとつながり、現在でもサルサの中に頻繁に取り入れられている
「プレーナ」
プエルトリコの古都、第二の都市ポンセで19世紀に生まれたといわれ、ヨーロッパ的なものとアフリカ的なものが絶妙にブレンドされたダンス音楽。カリプソのように“歌う新聞”的な性格も持っていた。もともとはパンデレータ(タンバリン様の打楽器)のコンビネーションで演奏され、今でもクリスマスなどでその編成で演奏されることも多いが、40年代にセサル・コンセプシオン、50年代にラファエル・コルティーホ、モン・リベーラによりモダン化され、ビッグ・バンドやコンボ形式でも演奏されるようになりサルサへとつながっていった
 さっぱり違いがわからないことには、変わりはないようで、人生勉強ですね🎵

1. Perfume De Rosas / ritmo ganga
2. Ramona / plena
3. Chachaguere / son montuno
4. Mañana Es Domingo / son montuno
5. Yo Soy Del Campo / bomba
6. Dime La Verdad / tamborito
7. Tuntuneco / son montuno
8. Que Feo El Pichon / plena
9. Parece Mentira / guaguanco
10. Si Yo Pudiera Andar / guarancha
11. Un Telegrama / guarancha
12. Pa Tumbar La Cana / bomba
13. El Retorno De La Cucaracha / guarancha





muu music webzine

  

2024年12月13日金曜日

Yosuke Onuma / Beautiful Day



 アルバムのテーマは海風とサーフィンで「海沿いの生活での美しい日々」で、カラッとした爽やかなサウンドで、BGM的に聞き流せそうな曲も多いのですが、ファンは、どうしてもそのマニアックなギタープレイに耳がいってしまいます。
 レコーディングは、George Benson の名作「Breezin'」と同じスタジオ、エンジニアで行われ、ファン・サービスとして Affirmation を録音したのか、経緯を評して録音したのか全体的なサウンドイメージはフュージョン系です。今回は従来の小沼ようすけのサウンドよりL.A.のサウンドを意識したものになっているかと思います。




 さて2007年と、いつの間にか懐かしいとなってしまったアルバムを、再度聴きながらレビューしてみます。 Introduction ガット・ギターのアルバム導入曲で、海の波の音をバックに懐かしさを感じる響き。Green トリオでの演奏のフュージョンです。指弾きを駆使した奏法が、このタイプの楽曲としては他のギタリストにはあまりないサウンドになっているかと思います。Wind タイトル通り、風をイメージしての楽曲でしょうが、爽やかさはあまり無く、チャイナっぽいイメージのアルペジオのテーマを中心に曲が展開されます。曲の最後のほうで風がやっと吹いてくる感じでしょうか。Ride キャッチーなリズムとテーマで波に揉まれながらサーフィンをしているイメージは感じます。よくも悪くもLA録音の影響を感じるフュージョンサウンドで、私はこちらの振り切り方はこれで好きです。Hot Sand 波打ち際の熱い砂をトボトボと散歩しているイメージですよね。フォーク調?のテーマにジャズをミックスして、いや昔のブルースに近いのかな。アコースティック・ベースのだるい響きも良いですね。Beautiful Day アルバムの主題曲で、アルバムで一番耳に残るメロディのテーマでポップです。Jam Ka 的なサウンドも良いですが、たまにはこちらの方に戻ってきたアルバムも聴きたいですね。Modern Man シンプルなリフで無機的な響きがありますが、後半の歪ませたギターソロにブルースも感じ、曲全体としては海から離れて都会をテクテク散歩しているようなイメージを感じます。Sunset ある意味、小沼氏のギターのギター曲って、こちらのイメージがあります。うん主題曲も良いけど、これが一番好きかも。Affirmation 海から離れてジョージ・ベンソンに敬意をはらっての収録曲ですね。悪い訳がない。ボーナスって感じです。 Malibu ~memory Of Beautiful Days~ イントロがあればエンディングがあります。締めはやはり波の音をバックにアコギでのソロですね。小沼氏らしいギターの持つ響きを活かした楽曲かと思います。
 基本的にデビューアルバムの nu jazz (2001) からJam Ka (2010)まで、Sony Music Japan からのCDを発売してこられましたが、レコード会社の売り込み戦略と小沼氏の音楽に対する取り組みが、チグハグになっていたのもここら辺のアルバムなのかなとも勝手に感じています。なので Jam Ka (2010) 以降は、GNJ (2014) / T5Jazz Records, Jam Ka Deux (2016) / SPACE SHOWER MUSIC, JAM KA 2.5 THE TOKYO SESSION (2019) / FLYWAY LABEL, YOUR SMILE (2023) / FLYWAY LABEL とメジャー・レーベルからマイナーな方に乗り換え、さらにはレーベルまで作るに至ったのかなと妄想してしまいました🎶🎸
 
electric guitar, acoustic guitar : Yosuke Onuma(小沼ようすけ)
electric bass, acoustic bass : Lincoln Goines
drums : Steve Ferrone

executive producer : Kozo Watanabe 
produced by Yosuke Onum 
recorded & Mixed at CAPITOL STUDIOS

1. Introduction
2. Green
3. Wind
4. Ride
5. Hot Sand
6. Beautiful Day
7. Modern Man
8. Sunset
9. Affirmation
10. Malibu ~memory Of Beautiful Days~


Wind



  


2024年12月8日日曜日

Bill Evans With Joe Jones / Green Dolphin Street


 1959年の Chet Baker(チェット・ベイカー)のセッションで久しぶりに出会った三人が、Riverside のプロデューサーの Orrin Keepnews(オリン・キープニュース)の勧めで録音したが、1969年に Riverside が倒産し1977年まで、何故かお蔵入りしていた音源です。アルバムの中で6曲は 1959年1月19日録音 のトリオ演奏で、最後の1曲が1962年8月21日録音 となっていますが、これは最初の6曲だけではアルバムとして長さが足りなかったから足しているものと思われ、盤によっては、全く違う別の日の録音の All of You だったりしていますので、尺が足りなかったのがお蔵入りの理由かと推測します。
 1959年のこの録音のトリオメンバーは、1958年頃のマイルス・バンドのレギュラーですがトリオでの録音は無いので、この録音にマニアなファンは直ぐに食指が動くのも納得です。ちなみに、この2か月後の3月にマイルスの「Kind of Blue」が録音されています。


 イメージ的には、硬派なイメージでしたので再度聴きながらレビューしてみましょう。 You And The Night And The Music 邦題では「あなたと夜と音楽と」とひねりも何もないのが寂しいですが、1934年の Revenge with Music というミュージカルの曲で、チェットのアルバムや後の1962年 Interplay でも取り上げています。イメージ通り派手さ華麗さは無いですが、歯切れよく熱くないところがカッコ良い曲かと思います。My Heart Stood Still これもミュージカルの主題歌。ミュージカルの題名は A Connecticut Yankee の楽しそうな名前で、この演奏は1曲目よりは気楽でリラックスした演奏となっています。アドリブで「サンタが街にやってくるの」フレーズが組み込まれているのはクリスマスの余韻を残した1月の録音だからでしょうか。Green Dolphin Street 曲名の前に On が付いている盤もあります。この曲は1947年の映画の主題歌で、映画のタイトルと曲名は同じですが邦題は「大地は怒る」となっています。本アルバムでは、8分13秒のアルバムの中でもっとも 長い曲となっています。Paul Chambers のベースが、ひとりソロになってからモコモコして何を演奏しているかよくわからない演奏で元気がないフリージャズみたいだなと思ってしまいました。How Am I To Know 1929年映画 Dynamait の主題歌です。エバンスのピアノは、曲の割に、華麗さを排除した硬派な演奏で抑揚少なめになっているかと思います。Paul Chambers のベースは、弓弾きのボウでとっていますが、このソロも精彩に欠く演奏と感じます。もしかしてお蔵入りの理由はこれ?でしょうか。Woody'n You (Take 1) (Take 2) と続きます。 (Take 2) のイントロでピアノが少しもたつきますが、全体的な演奏では後者の方が柔らかな印象を受けます。Loose Bloose エバンス・オリジナルのブルースのクインテットでの演奏。内省的で不可思議なイントロで始まり、Jim Hall の渋いギターと Zoot Sims のエロいサックスからエバンス、ロン・カーターのベース・ソロとの流れで今までの6曲と流れが全く違うぞと思っていたら、あっという間に5分37秒が尻切れトンボのようにあっけなく終了します。最後に1曲だけ、唐突な感じもしますがボーナス・トラックとして捉えれば、そんなものでしょう。
 以前聴いた時には、凄いセッションが眠っていたもので、録音過多の時代に整理が悪かったり、予算とか契約の関係なのかと思っていましたが、冷静に今聴き直して、この録音にはどうしてもこの録音を販売したいと思わせるものがこの演奏にあったのか、これを世に出せば、ひと儲けできると思わせるようなものが Orrin Keepnews にも感じられなかったのではないか、だから尺も足りないしまあいいかと眠らせてしまったと、勝手に妄想を膨らませています。
 若い時は音さえよければ時代背景やメンバーなどどうでも良かったんですが、最近は時代背景、当時の状況などを考えながらの聞き比べが楽しくなってきています。こやって日本のジャズ・マニアになっていくのですね。いや楽しい🎶🎹

piano : Bill Evans
guitar : Jim Hall (7)
tenor sax : Zoot Sims (7)
bass : Paul Chambers (1 to 6), Ron Carter (7)
drums : Philly Joe Jones

producer : Orrin Keepnews
recorded at Reeves Sound Studios, New York City, January 19, 1959

1. You And The Night And The Music (Howard Dietz and Arthur Schwartz) 
2. My Heart Stood Still (Richard Rodgers and Lorenz Hart)
3. Green Dolphin Street (Bronislaw Kaper and Ned Washington) 
4. How Am I To Know (Jack King and Dorothy Parker) 
5. Woody'n You (Take 1) (Dizzy Gillespie)
6. Woody'n You (Take 2) (Dizzy Gillespie)
7. Loose Bloose (Bill Evans)