2024年12月21日土曜日

Blood, Sweat & Tears


 ベーシストのジャコの本「ジャコパストリアスの肖像」の第2章「オン・ザ・ロード」でのエピソードを読んで、昔、聴いたこともあるバンドなので、久しぶりに聞きたくなって購入しました。ちなみにタワレコの棚にはこれ1枚しかなかったのが、寂しかったです。
 そのエピソードですが、このバンドのドラマー Bobby Colomby が、ジャコの奥さんのトレイシーをナンパして、翌日にからかい半分でジャコの演奏を聞いたら驚き、レコード会社のエピックとの契約を取り付けて、その年の1975年10月に自身のスタジオでジャコのデビュー・アルバムが録音されたとのこと。その後の、このバンドのギグにジャコも参加しているとのことですが、残念ながらレコーディングは無しです。
 この録音は Bobby Colomby ジャコの奥さんをナンパする、はるか前の1969年の作品です。Blood, Sweat & Tears はアル・クーパーの呼びかけでジャズやクラシックの経験者で譜面の読めるミュージシャンたちで作ったバンドで、デビューは1968年。Randy Breckerもメンバーだった「Child Is Father To The Man」、ブラスロックというジャンルを確立したとも言われています。しかしワンマンのクーパーにメンバーが造反し、リーダーが追い出され、デビッド・クレイトン・トーマスを迎えてリリースしたのが本作で、グラミーで(年間最優秀アルバム)を受賞する世界的な大ヒットとなっています。

 

 昔、聞いたことがあったのは Spinning Wheel でアルバムのイメージはこの曲だったのですが再度聴いてみて違った印象ですので、再度レビューしてみます。Variations on a Theme by Erik Satie エリックサティの、あのテーマが主題です。フルートが2本で絡み合い幻想的な響きとなっています。一回以上聴いていたはずなのに忘れていました。それが終わると後半はブラスの主体としたクラシックっぽい感じに変わります。全体にフランジャーをかけてシャワシャワしますが、これもエリックサティ? Smiling Phases 導入曲とガラッと変えてソウル風の歌い方のブラス・ロックに変わります。アドリブ部分は8ビートのジャズ、ドアーズ風、4ビートと目まぐるしく変わりエリックサティ風になって終了かと思いきやブラス・ロックに戻って終了します。ブラス・ロックという言葉を定着させたバンドと言われていますが、プログレにも聞こえます。Sometimes in Winter ブラスとフルートが入ったソフト・ロックです。品が良い。More and More 荒々しいソウルで、Smiling Phases のようにプログレ路線には行かずに疾走します。途中の限界までオーバードライブさせた短いギター・ソロはそそられます。And When I Die オールドスタイルのポップも感じさせる変拍子を入れた曲です。このバンドの才能を感じさせる曲で、かなり印象的です。God Bless the Child 曲名だけ結構見ますので、おそらく、かなり流行った曲だと思いますが聞き覚えはありません。スロー・ブルースですが、演奏はジャズっぽいアレンジになっていてラテンや、4ビートジャズに変化したりブラス・ロックになったりと大曲です。Spinning Wheel 先にも書きましたが、この曲は知っています。インテリっぽくて普通のロックではない様相のこのアルバムで最もキャッチーな曲です。やはり途中からジャズ・アレンジが入り、曲の最後は、The More We Get Together というアメリカの童謡のメロディーを入れて終了します。アイデアが斬新です。You've Made Me So Very Happy 本格的なソウルナンバーですが、ここまで聴いてきましたから、ひとひねりあるだろうと思って聴いていると普通に終わってしまい拍子抜けです。これも作戦でしょうか。Blues, Pt. 2 ブルースには全く聞こえないオルガンの独奏が長く続き、スローブルース?になりかけますがブルースではないジャズに最終的に突入し、Sunshine Of Your Love が出てきて、最後でブルースに突入し激しいソウルになって終わります。Variations on a Theme by Erik Satie 最後はエリックサティに戻ります。
 とにかくアルバムの展開と曲の展開がインテリすぎて楽しいアルバムです。普通では、このタイプのアルバムは万人受けしないのかと思いますが、ひたすら振り切っているのが受け入れられたのでしょうか。凄いことです。ヘビロテ入り決定します🎶


 そして古臭い感じのするジャケットデザインを、よく見ると古い写真の顔部分をメンバーにすげ替えたものになっています。ライナーノツの中にも広げた新聞にメンバーの顔写真が何かの犯人のように散りばめられていて、雑な貼り付けかたにシュールで芸術的なものを感じます。全てにこだわりを感じます🎶

lead vocals : David Clayton-Thomas
bass : Jim Fielder
drums, percussion, vocals : Bobby Colomby
guitar, harmonica : Steve Katz
organ, piano, electric piano, harpsichord, celesta, trombone, flute, horn, vocals, alto Flute : Dick Halligan
piano, electric piano, vocals, alto sax : Fred Lipsius
trombone, recorder, bass trombone : Jerry Hyman
trumpet, flugelhorn : Chuck Winfield
trumpet, flugelhorn, piccolo trumpet : Lew Soloff

producer : James William Guercio
cover (cover art) : Timothy Quay
design : John Berg

1. Variations on a Theme by Erik Satie (First and Second Movements) (Erik Satie)
2. Smiling Phases (C. Wood, J. Capaldi, S. Winwood)
3. Sometimes in Winter (S. Katz)
4. More and More (D. Juan, P. Vee)
5. And When I Die ( L. Nyro)
6. God Bless the Child (A. Herzog, Jr., B. Holiday)
7. Spinning Wheel (D. C. Thomas)
8. You've Made Me So Very Happy ( B. Gordy, Jr., B. Holloway, F. Wilson, P. Holloway)
9. Blues, Pt. 2 (Blood, Sweat And Tears)
10. Variations on a Theme by Erik Satie (First Movement)
11. More and More  (previously unreleased, bonus track)
12. Smiling Phases  (previously unreleased, bonus track)





  

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