2024年12月28日土曜日

The Thelonious Monk Trio

 

 Blue Note から Prestige に移籍してからの1952年、1954年に3回に分けて録音されたトリオによる作品です。1951年にモンクは大麻事件に巻き込まてキャバレー・カードを没収されてしまったので、妻ネリーの稼ぎで生活をするしかなく Prestige Records に多額の借金を背負っていた状況下での演奏です。
 モンクはホーンを入れたカルテットでのフォーマットのイメージが強くトリオ作品はそれほど多くはありません。数えると、Plays Duke EllingtonThe Unique、London Collection Vol2, Vol3 ぐらいでしょうか。そのトリオ作品には Art Blakey が高確率で参加していてこのアルバムにも、もちろん参加していらっしゃいます。


 さて全曲レビューです。Blue Monk リズミカルな演奏でモンク節もしっかりと入れています。Art Blakey のドラムがしっかりとリズム・キープなのでモンクのペースでの曲の崩し方では無かったのですが、後半部分は叩きつけるようなピアノでリズムもピアノのペースに持ってくるような演奏ですね。Just A Gigolo は 1029年に Irving Caesar による歌詞がつけられて有名になったポピュラー曲のスタンダード。ここではモンクが独奏により力強く聴かせてくれます。迷いなく強いタッチでの演奏はまた素晴らしい。Bemsha Swing トリオの演奏に戻りますがご機嫌の唸り声がずっと聞こえます。やはりピアノも打楽器と言わんばかりの演奏は、また格別。Reflections 曲としては非常に穏やかなメロディーなんですが、このアルバムでは非常に強い・・ですね。でもご機嫌の唸り声。Little Rootie Tootie 和音の連打が非常に印象的な曲になりますが、スイング感が非常に強くモンクもテーマからソロに入るところでモンク節をつけるのを忘れている?ような曲に熱中しているような演奏になっています。どこまでも続くのかと思いきや急にフェイドアウトで終わります。Sweet And Lovely 全くスイートでもラブリーでもない感じの強めのイントロですが、曲のテーマが出てきて初めてああそうなのか、と思います。途中から Max Roach のビートを変えたあたりでぐっと曲の展開が変わります。Bye-Ya アフリカンで目立つドラムになったと思ったらやはり、Art Blakey です。自己主張は激しいですが人のアルバムなので、ナイアガラ・ロールはやりませんね。Monk's Dream いつ聞いても素晴らしい。曲の流れもメロディも、これぞモンクですね。Trinkle Tinkle 前の Monk's Dream から続けて聞くと流れがありますね。アルバム前半よりも流れが自然な感じです。These Foolish Things 最後もモンクらしい和音をうまく取り入れた心を奪われる曲になって、スタンダードがモンクの曲と変わっているのがとても良いです。
 このアルバムでは Blue Monk, Bemsha Swing, Monk's Dream の初期録音が、目を引きますが、それ以上に演奏的にはアート、ブレイキーのドラムとも非常に相性が良く、円熟味を増す前のモンクの演奏が気に入りました。トリオは、モンクがテーマもアドリブも含めて楽曲全体を全てコントロールしなければならないので、彼の様々なアイデアが発見できるような気がします。また、先にも書いた借金状況下ではありましたが、モンクの気分も絶好調で唸り声を漏らしながら、気分よく弾いているのが、このアルバムでは鮮明に聞こえます🎶🎹

piano : Thelonious Monk
bass : Gary Mapp (1 to 6, 9, 10), Percy Heath (7)
drums : Art Blakey (1 to 4, 7, 8), Max Roach (5, 6, 9, 10)

recorded by : Rudy Van Gelder
recorded on Oct. 15, 1952 (1 to 4), Dec. 18, 1952 (5, 6, 9, and 10) and Sep. 22, 1954 (7 and 8)

1. Blue Monk (Thelonious Monk)
2. Just A Gigolo ((Julius Brammer, Irving Caesar, Leonello Casucci) 
3. Bemsha Swing (Denzil Best, Thelonious Monk) 
4. Reflections (Thelonious Monk)
5. Little Rootie Tootie (Thelonious Monk)
6. Sweet And Lovely  (Gus Arnheim, Jules LeMare, Harry Tobias) 
7. Bye-Ya (Thelonious Monk)
8. Monk's Dream (Thelonious Monk)
9. Trinkle Tinkle (Thelonious Monk)
10. These Foolish Things  (Harry Link, Holt Marvell, Jack Strachey) 




  

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