「第45回グラミー賞」8部門に輝いたこともあり、2002年度を代表する作品となった本作は、音楽関係の雑誌では特集だらけだったので気になって新品購入したものです。初聴きではカントリー・ミュージックを強めに感じ、ポップでもあるためジャズでのジャンル分けに違和感がありますが、幅広い音楽的な素養とゆったり感が心地よいし、スモーキーな歌声が魅力的で年季の入ったシンガーのようにも聞こえ、22歳デビュー作にして大物を感じました。
父はインドで最も有名な音楽家でビートルズにも影響を与えたシタール奏者の Ravi Shankar(ラヴィ・シャンカル)で、異母妹はイギリス人シタール奏者の Anoushka Shankar(アヌーシュカ・シャンカル)と音楽系家族を持つジャズ・シンガー、ピアニストで女優もされているらしい。
それでは、今やひと昔前の懐かしいアルバムとなってしまった Come Away With Me をレビューしていきます。トップは、まるで昔からのポピュラーソングのような Don’t Know Why で、どこか懐かしい響きを持つ曲です。作曲は、メンバーの Jesse Harris です。ブラシで演奏される細やかなリズムと、アコースティックギター、ウッドベース、ピアノも歌の伴奏に添えるようにガラスのように繊細な響きです。一番心に残る曲かもしれません。このアルバムの発売は2002年2月26日であり、2001年 9・11テロの半年後です。全世界が衝撃と悲しみを未だひきづっているころに、この曲を耳にして涙した人は多いかと思います。またこの曲を聴くとそんなことを思い出してしまう人も多いのではないでしょうか。次の Seven Years は、メンバーの Lee Alexander が作曲の暖かみのある楽曲で、Kevin Breit のアコースティックギターが心地よいです。ノラの小さな曲を手に包み込むように静かな歌もしんみりときます。Cold Cold Heart は カントリー歌手の Hank Williams が1951年にリリースのカバーです。ここではのアレンジではジャズになっていて静かでムーディーなサウンドです。Feelin' the Same Way では、がらりと変えてポップでカントリーになり、しんみり気分から楽しい気分に少し上げてくれます。Come Away with Me は、ノラ本人にによる作詞・作曲のバラードです。Come away with me, in the night Come away with me And I will write you a song Come away with me, on a bus And I wanna walk with you On a cloudy day In fields where the yellow grass grows knee-high So won't you try to come とかすれ気味にささやきながら歌うノラに、これも心動かされます。Shoot the Moon は1曲目の Don't Know Why を作曲したJesse Harris の2曲目で、優しく流れるようなメロディーラインです。Turn Me On は、3曲目となるカバー曲で、1961年の John D. Loudermilk の楽曲です。ノラはゆったりと力強い歌い方に変えています。なんとなく耳覚えもあるのが嬉しいですね。Lonestar はメンバーの Lee Alexander)が作曲したカントリーナンバーです。こういった曲を聴くとザ・アメリカを感じます。I've Got To See You Again は、これまでとは違うバイオリンを入れた時代を感じさせるサウンドで、また歌い方を変えています。Painter Song はメンバーの Lee Alexander に JC Hopkins が作曲に参加しています。オールド・ラグ調の楽曲で、ライブハウスで椅子に腰かけながら歌いかけてくるような近い感じが魅力です。これも素敵な曲ですね。One Flight Down は、とても暖かいサウンドで、これも親しみやすいキャッチーなメロディーで好みです。Nightingale は、ポップなフォークです。広がりのあるサウンドで、また違う魅力をこのアルバムに与えています。The Long Day Is Over は、このアルバム唯一の Jesse Harris, Norah Jones の共作です。ゆったりしたバラードで、ノラのボーカルの深さを表現できる曲になっています。噛みしめるように歌うノラが居ます。ラストは The Nearness of You で 1940年のHoagy Carmichael, Ned Washington のカバーのジャズ・ブルースです。ノラの弾き語りスタイルでの演奏で、雰囲気がとても良い。
ノラのファンでは無かったけど、このアルバムは改めて聴き直して素晴らしい出来です。聴きながらオジサンがしんみりするのも、そうそうは有りません。一気に格上げですね。今日これを持って、音楽好きの集う「おでんバー」へ突撃します🎶
vocals : Norah Jones
piano : Norah Jones (1, 3, 5 to 7, 9 to 14)
electric piano : Norah Jones (4)
acoustic guitar : Adam Levy ( 8, 10), Jesse Harris (1, 5, 6, 9, 11 to 13), Kevin Breit (2, 4), Tony Scherr ( 8)
electric guitar : Adam Levy (3, 5, 6, 9, 11, 12), Bill Frisell (13), Jesse Harris (1), Kevin Breit ( 4, 13)
guitar : Adam Rogers(7)
resonator guitar : Kevin Breit ( 2)
slide guitar : Tony Scherr ( 8)
organ : Sam Yahel (6, 7, 11)
organ : Rob Burger (8)
bass : Lee Alexander (1 to 13)
drums : Brian Blade (2, 4, 6, 8 to 10, 12), Dan Rieser (1, 5, 7, 11), Kenny Wollesen (13)
percussion : Brian Blade ( 2, 9)
accordion : Rob Burger (10)
violin : Jenny Scheinman (9, 11)
producer : Arif Mardin (1, 3, 5 to 12, 14)
recorded at Sorcerer Sound, New York City and Allaire Studios, Shokan, NY.
1. Don't Know Why (Jesse Harris)
2. Seven Years (Lee Alexander)
3. Cold Cold Heart (Hank Williams)
4. Feeling The Same Way (Lee Alexander)
5. Come Away With Me (Norah Jones)
6. Shoot The Moon (Jesse Harris)
7. Turn Me On (J.D. Loudermilk)
8. Lonesutar (Lee Alexander)
9. I've Got To Se You Again (Jesse Harris)
10. Painter Song (Lee Alexander)
11. One Flight Down (J.C. Hopkins, Lee Alexander)
12. Nightingale (Jesse Harris)
13. The Long Day Is Over (Jesse Harris, Norah Jones)
14. The Nearness Of You (Hoagy Carmichael, Ned Washington)
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