2024年8月3日土曜日

Chris Connor / Chris Connor At the Village Gate

 

 1963年のライブ録音で、邦題は「ヴィレッジ・ゲイトのクリス・コナー」私のCDでは Chris Connor At the Village Gate ですが、オリジナルは At the Village Gate : Early Show / Late Show と名前が付けられているようで、ニューヨークの老舗ジャズ・クラブのVillage Gate の2ステージを、収めたライヴ盤となっています。バンドはギターに Mundell Lowe(マンデル・ロー)が参加したカルテット編成で、前半はスイング、後半はブルージーな曲となっています。クリスの歌はフェイクや振り幅の大きいスイングはシャウトはせず抑制美のあるクールなスタイルで、ハスキーな歌声にローボイスで魅せる色気が特徴です。この会場では臨場感が伝わる観客の拍手などもバランスよく録音されていて聴いていて気持ちの良い録音です。
 Chris Connor(クリス・コナー)は1927年のカンサス生まれ。元々はクラリネットを習っていたのですが、1945年にジェファーソンシティにある大学の卒業式で歌った時、自らの歌に対する聴衆の反応が良かったことをきっかけに、本格的に歌手の道を目指し、1948年にニューヨークへ渡り、速記者をしながら楽団のコーラス、歌手で生計をたて、1953年にベツレヘム・レコードと契約し、1954年の Sings Lullabys of Birdland がヒット。2009年8月29日、癌によりニュージャージー州にて死去しています。私はこのアルバムの他 Sings Lullabys of Birdland しか持っていないので、これを聴いてもう少し音源を入手していきたいと思いました。
 

 それでは素晴らしい印象の Chris Connor At the Village Gate を再度聴きながらレビューです。演奏曲は全曲スタンダード。ライブではありますが全曲2分から5分程度にまとめられています。Lot Of Livin' To Do スピーディなスイングで1961年ミュージカル「Bye Bye Birdie」の挿入曲で、ライブがこの曲順だったとすれば最初に観客の気分を上げてくる短めのこの短めのナンバーで、つかみはバッチリです。Any Place I Hang My Hat Is Home ミュージカルからの楽曲で、1946年の「St. Louis Woman」 のオープニングです。Judy Garland Barbra Streisand Rosemary Clooney など多くの女性アーチストにカバーされている名曲です。私自身も全部は覚えていなかったけど、出だしの部分は耳に覚えがあります。小さい頃に聴いて覚えている曲は嬉しくなります。 All Or Nothing At All この曲は映画やミュージカルの挿入曲ではなく、1939年の当時ハリー・ジェイムス楽団の専属シンガーとしてデビューしたばかりだったフランク・シナトラが歌ったがヒットしなかった楽曲で、1943年にMCAに移籍後にヒットした楽曲となります。クリスの録音はこれが初めてでこれ以降に得意レパートリーになった楽曲とのこと。ラテンなパート、スイングが交互に歌われる3分の間に表情の変化が楽しめる。Something's Coming 1961年 Leonard Bernstein による West Side Story の楽曲で、これも目まぐるしい場面転換がある曲で緩急が極端で面白い。West Side Story は見たことがありますが、この曲は覚えていませんでしたのであしからず。You Came A Long Way From St. Louis オールド・ロックンロールですね。へえ。 Old Devil Moon この曲で Early Show は終わりです。これもミュージカル曲で1947年「 Finian's Rainbow」のポピュラーソング。この印象的なメロディーは聴いたことがあります。ラテンのリズム部分で言葉でリズムを詰め込むところが良いです。さて後半戦の Late Show です。I Concentrate On You ブルージーで夜の部だからかワザと色っぽく歌っているのでしょうか。そして、さらに色っぽく Black Coffee ペギーリーで有名な曲ですが、曲の途中で観客に何か色っぽいアピールでもしているのでしょうか。客の笑い声があり間奏、そして1分過ぎにkeep going と言って笑っています。何が起きているのか気になります。 Goodbye 1935年に書かれた Benny Goodman orchestra のクロージング・ソングであるとのことを見ましたが、しっとりしすぎていますね。曲名から曲順として早すぎるような気がしましたが、途中のバラードとしては良い選曲です。低音からじっくり攻めてきてサビで少しだけ声量を増して、ひたすらしっとり。客はうっとりでしょう。Only The Lonely 静かなブルース・イントロから、クリスの歌いだしがインパクト充分。低音でブルージーでハスキーで、途中マイクに近づきすぎての吐息が聞こえるのが、また色っぽい。最後は Ten Cents A Dance 語り調の歌で物語を歌い語り大団円となります。
 私クセのあるボーカルが好きなタイプですが、ストレートで、クール。時に色っぽい歌声。この魅力的なボーカルも良いではないかと再認識です🎶

vocals : Chris Connor
piano : Ronnie Ball
guitar : Mundell Lowe
bass : Richard Davis
drums : Ed Shaugnessy

producer : Michael Cuscuna
recorded live in 1963 at the Village Gate, New York City.

【Early Show】
1. Lot Of Livin' To Do (C. Strouse, L. Adams)
2. Any Place I Hang My Hat Is Home (H. Arlen, J. Mercer)
3. All Or Nothing At All (A. Altman, J. Lawrence)
4. Something's Coming (L. Bernstein, S. Sondheim)
5. You Came A Long Way From St. Louis (B. Russell, J. B. Brooks)
6. Old Devil Moon (B. Lane, E.Y. Harburg)
【Late Show】
7. I Concentrate On You (C. Porter)
8. Black Coffee (P. F. Webster, S. Burke)
9. Goodbye (G. Jenkins)
10. Only The Lonely (J. Van Heusen, S. Kahn)
11. Ten Cents A Dance (L. Hart, R. Rodgers)





  

2024年8月2日金曜日

Faces / Ooh La La


 Faces フェイセズの4作目で最後のスタジオアルバム。ロッドがソロ活動で成功してバンドがロッドのバックバンド化したことで、メンバーとロッドの溝が深まって空中分解するようなゴタゴタとなり、最後のアルバムとなりましたが作品としては名作と思います。ロッドはレコーディングの最初の約2週間不在であったため、ロニー・レーンが主導してアルバムの原型が仕上げられたとのことで、ここら辺も確執の原因なんでしょう。さらにロッドは雑誌インタビューでこの作品を「最悪の作品だ」とけなしたため、更に関係は悪化しロニーはこのアルバムの発売後1か月で脱退しています。
 一方、特徴的なジャケットは1920年代のイタリア人コメディアン、Ettore Petrolini の演じたキャラクター「ガストーネ」の写真で、目の部分に切り込みが入っていて上部を押すと写真の表情が変化するつくりになっていたようです(私の音源はCDなので残念ながら固定です)


 そんな最悪の状態で作ったアルバムとは知らずに、ずっと聴いてきたアルバムを再度聴きながらレビューです。Silicone Grown フェイセズらしいブギーなロックです。最初の曲はやはり攻めてきます。Cindy Incidentally キーボードから入るロックンロールで、懐かしい感じのするメロディーで大好きな曲です。 Flags And Banners カントリー・ロックで作曲者にはロニーレインの名前があります。ここら辺が他のアルバムと違うところですかね。My Fault いつものロックンロール調です。ギターのロン作曲は大体この路線でしょうか。Borstal Boys 緊急ブザーの音とともに始まる。早めの煽り系ロックンロール。これもカッコ良い。ボースタルとは日本で言うところの少年院みたいなところのことです。Fly In The Ointment インスト・ロックでイアン・マクらガンのオルガンが印象的。If I'm On The Late Side フォーク・ロックですね。ロッドが作曲者にも名前が入ってますが、ここら辺がロッドが好まなかったあたりですかね。Glad And Sorry ビートルズ的な素朴なフォーク・ソングでロニーレーンの作曲です。Just Another Honky これもロニー・レーン作曲の素朴なロック。元々フォーク・ソングのような曲だったのをブギーな感じにしたっぽいと思います。Ooh La La 最後にタイトル曲です。カントリー・ロックで、ロン・ウッドのソロ・ボーカルであるところが特徴です。
 爆発的なサウンドが持ち味の フェイセズ に、メンバーの個人の音楽性を盛り込んだ楽曲に溢れていて素晴らしい作品ですが、最後になってしまったのもナルホド🎶

vocal : Rod Stewart
guitar : Ron wood
bass : Ronnie Lane
piano : Ian Maclagan
drums : Kenny Jones

producer : Glyn Johns
recorded at Olympic Studios

1. Silicone Grown (Rod Stewart, Ron Wood)
2. Cindy Incidentally (Ron Wood, Rod Stewart, Ian Maclagan)
3. Flags And Banners (Ronnie Lane, Rod Stewart)
4. My Fault (Ron Wood, Rod Stewart, Ian Maclagan)
5. Borstal Boys (Ian Maclagan, Rod Stewart)
6. Fly In The Ointment (Kenny Jones、Ian Maclagan, Ron Wood, Ronnie Lane)
7. If I'm On The Late Side (Ronnie Lane,  Rod Stewart)
8. Glad And Sorry (Ronnie Lane)
9. Just Another Honky (Ronnie Lane)
10. Ooh La La (Ron Wood, Ronnie Lane)





  

2024年7月28日日曜日

Ronny Jordan / Light To Dark

 

 アシッド・ジャズを代表するイギリスのギタリストの一人、Ronny Jordan の1996年に英国 Island Records からリリースのアルバム。1962年生まれ 2014年1月13日にツアー先の南アフリカで亡くなっています。自らのの音楽をジャズ、ヒップホップ、R&Bのブレンドである「アーバン・ジャズ」と表現したように、このアルバムも例外ではありません。
 音的には、今までの路線は継承して、ビートボックスを用いたジャズ・ファンク、ラップ、ギター・フュージョン、ブラコン系などが収録されていますが、インパクトのある曲が収録されていないので、印象的には地味かもしれません。
 しかしジャケットとライナーノーツに掲載されている写真などは印象的。特にジャケ写のでの指は、日本ではカン●ョー、または忍びポーズです。忍びポーズで有名になったのはラグビーの五郎丸選手ですが、Light to Dark は1996年作品、五郎丸選手のワールドカップでの活躍は2015年ですから全く関係はありません。ライナーノーツにある写真も、暗闇では裸電球を写している写真はアートなんだろうとは思いますが理解に苦しむなあと見ていたら、Kodak の文字が裏返っている写真があります。なるほど Jordan は、暗室でフィルムを現像しているのだ。それで Light To Dark 


 それではレビューです。Into The Light 2曲目のイントロの効果音で Homage が始まります。相変わらずパキっとした硬質なギターの音で、ミドル・テンポのギター・フュージョンです。Jordan のギターと直ぐにわかるメロディー。It's You ボーカルをとっている B. Bourroughs, C. Brown キーボードの J. Campbell そしてR. Jordan の作曲で、更に作曲者に S. Akingbola の名前がクレジットされています。ナイジェリアのパーカッショニストですが、この曲にパーカッションは入っていないと思いますが7曲目の I See You には参加しています。ほぼブラコンのような曲でこれも Jordan っぽいギターのシングル・ノートのリフからのソロと言うかオブリガードをずっとやっています。このテンポは落ち着きますね。 The Law は Jordan が珍しく歪みのギターを炸裂?ではなく、歪みとサスティンを素人ギタリストが楽しんでいるような曲です。途中でジミヘンっぽいソロもあります。2曲目の Homage のリフを途中でキーボードソロの始まり部分でエレピで入れていますね。その後のギター・ソロも余り変化なく素人っぽいヤツです。アルバムに入っているので何か実験的な感じは受けますが単体で聴くと面白くはないかな。Fooled は、完全にスティービー・ワンダーっぽいというかそれです。作曲は Abi Odun と R. Jordan です。楽しい曲です。Closer Than Close は、Jordan ぽくないしっとり系ムード・ミュージックなフュージョンです。I See You ビージーズかと思うギターリフから始まりますが、直ぐにブラコンに変わります。パーカッションとボーカルが Sólà Akingbola になっています。ボーカルが上手いです。ナルホド2曲目の作曲者に Akingbola が入っている訳がわかりました。Downtime 通して Jordan のギターはワウがかかっています。そしてとってもファンキーです。とても良い曲ではありますが、延々とギターソロなので、曲としての面白みには欠けるかも。Deep In My Heart よく練られたメロディーかと思い、Jordan らしいところが出ているかと思います。これも抑揚は少ない曲ですが、ボーカルを入れながらのギター・フュージョンに寄せているところが好きです。Laidback この曲名でギター・ミュージックと言えば Zachary Breaux の楽曲にもあるのですが全く違う曲です。イントロでオクターブ奏法が入ったので期待したのですが一部だけですね。曲名通り、落ち着いたギター・フュージョンです。Light To Dark いよいよアルバムのテーマ曲です。このアルバムの中で一番心がこもったギターであると思います。とにかく丁寧に弾いているので、このアルバムの他の曲が手を抜いているかと思えてくるほど。Last Goodbye エンディング用に作った曲ですね。OKです。と思ったら曲が続きます。おそらくボーナストラックです。Inside、Fooled の2曲です。Fooled はボーカルパートだけを切り取って違うアレンジのところだけを聴かせてくれただけのようです。
 確かに下馬評通り、インパクトは少な目で地味なアルバムです。それに他作品よりも作りこみが浅い感じを受けてしまいました🎶

guitar, keyboards, guitar synthesizer (GTR Synths) : Ronny Jordan
vocoder, keyboards, synthesizer, piano, organ : Joel Campbell
programmed by : Angelo Laguadia, Arty Syke, Warren 'Slim' Williams

producer : Joel Campbell (1, 2), Ronny Jordan (1 to 12)

recorded at Quad, Skylab, Pye Sound, Morin Heights.

1. Into The Light (J. Campbell, R. Jordan)
2. Homage (J. Campbell, R. Jordan)
3. It's You (B. Bourroughs, C. Brown, J. Campbell, R. Jordan, S. Akingbola)
backing vocals : Bobby Bourroughs, Carl Brown
4. The Law (R. Jordan)
soloist (rhodes) : Joel Campbell
5. Fooled (Abi Odun, R. Jordan)
lead vocals : Carl Brown
backing vocals : Bobby Bourroughs
6. Closer Than Close  (R. Jordan)
7. I See You (Gillian Evans, S. Akingbola)
percussion, vocals : Sólà Akingbola
8. Downtime (R. Jordan)
9. Deep In My Heart (A. Gordon Jnr., B. Bourroughs, C. Brown, R. Jordan)
lead vocals : Carl Brown
backing vocals : Bobby Bourroughs
10. Laidback (R. Jordan)
11. Light To Dark (R. Jordan)
soloist (moog) : Joel Campbell
12. Last Goodbye (R. Jordan)
13. Inside
14. Fooled

▶ Fooled




  

2024年7月27日土曜日

The Baker Brothers ‎/ Ten Paces


 私の所有音源で似たような系列では、やはりUSの Souliveですが、UKでは、The New Mastersounds、Speedometer など。 Baker Brothers との出会いは、ライブ・アルバムの In With The Out-Crowd(2005) を聴いたのが最初で、さすがにジャケ買いはないと思うので、多分タワレコでの試聴だったんだと思います。とにかくジャズ・ファンクってなんだろうと思いながら色々と試し聞きをしながら購い漁っていました。そのライブの素のスタジオバージョンが多数収録されているのが、この Ten Paces で、ライブ盤のお祭り騒ぎを期待していた私にはこのスタジオ盤の落ち着きっぷりには戸惑いました。が、音の迫力はライブ盤には負けるものの、ライブ盤では聞けなかった曲もなかなかの中身の濃い12曲入りの楽しいデビュー・アルバム。
 皆さんマルチな楽器奏者ですが、キーボード、オルガン、ギターの Dan Baker、ドラム、パーカッションの Richard Baker の Baker兄弟と、イギリス・キャンフォード生まれ。初期はドイツのジェームス・ラストのトリビュートバンドの一員として活動ベース、ギター、キーボード、トランペットの Chris Pedley のスリーピースの構成メンバーでのインスト・ファンク。2010年には、Dan が脱退、2011年には、Richard が脱退、現在は Chris Pedley のみ初期メンバー在籍の、兄弟はいないけど「The Baker Brothers」で 活動していましたが、2017年で活動は休止しているようです。


 ライブばかり聴いてきたのでスタジオ盤は久しぶりに聴いてのレビューです。Ready...Aim... 出だしのファイア~の掛け声はライブと一緒。あえてやっていると思われる角張ってスカスカのドラム、ベースにはファズ、ひたすらリフを繰り返すブラスなども入れないメンバーだけの演奏はライブを先に聴いてしまっただけに違和感ですが、何回も聴けばそれも面白い。Givson こちらも、ずっと聴いてきてます。ロックが強めでファンクも少し入れてきています。ライブの勢いが好きですが、この曲はこのスタジオでの録音のドシャドシャ感も良いです。Green Goddess こちらからホーン部隊が参加。アフロ系のビートの心地よさと、ワザと潰れた感じの和音にしたホーン・アンサンブルにオルガンの音が重なると斬新です。 Theme From Laundrettas こちらはライブには収録無しのオールディーズを取り入れた曲です。少し遊んでみましたってことでしょう。Who Killed The Southbarrow Peacock?こちらは完全にファンク曲ですが、ライブ盤の方が圧倒的にカッコよいしセンスも良いかなあ。Paste こちらもファンクナンバー。スタンリークラーク風のベースが特徴的でエキゾチックな響きもある。もう少しB級でダサ目のアレンジにしてくれれば好きかも。ボブマーリーの I Shot The Sheriff の一部が入ってる気もします。Little Suns 私がパソコンで作った曲に同じようなリフで同じようなアレンジのものがあります。そんな感じで作ったんだろうか。Ziggifried ボサノバ系ビートのジャズファンクです。ベースはオルガンのペダルでしょうか。ノペっとした感じが妙に気持ち良い。Barrington's Groove アフロ系リズムを取り入れたファンクです。途中からブラス部隊が入ってきますが、一般的なファンク、ソウルとは違う少々ひねりの効いたアレンジが気持ち悪くてそこが良いです。Chester's Tongue オルガン・ジャズですがサイケな雰囲気を出しているのが、この兄弟のマニア的な音楽趣味なんだろうなと思いました。Maid Of Mars やっとライブでもやっているお馴染み曲に帰ってきました。こちらの曲は今までの曲よりも、ちゃんと現代的な音作りで一般のバンドにもあるようなグルーブになっています。今までは、ワザとヘタウマなグルーブですか? Breathing In うーん今っぽい。ファンクではない。エレクトリック系のスペーシーなジャズ・ファンクですね。
 デビュー・アルバムは、バンドのアイデアを曲と言う形にしてみた感じで、この後のライブ・アルバムを聴く限り、ここからライブを重ねてアレンジなども進化していったことが良くわかります🎶

electric piano, electric organ, guitar, violin : Dan Baker
bass, guitar, electric piano, trumpet : Chris Pedley
drums, percussion : Richard Baker

baritone sax : Diston Dryburgh
tenor sax : Dugald Clark
tenor sax, alto sax : Mark Abel
trumpet : David Price
cello : Michael Mace
flute : Ben Lamb

1. Ready...Aim... 
2. Givson
3. Green Goddess
4. Theme From Laundrettas
5. Who Killed The Southbarrow Peacock?
6. Paste
7. Little Suns
8. Ziggifried
9. Barrington's Groove
10. Chester's Tongue
11. Maid Of Mars
12. Breathing In





  

2024年7月26日金曜日

Bill Evans / Montreux II

 

 力強い陽の Bill Evans が聴けるライブです。Evans のピアノの音は少し濁り気味ですが、Eddie Gómez の録音が鮮明で、音の圧も高いように感じます。1970年のモントルー・ジャズ・フェスの録音となります。リリースは CTI (Creed Taylor が1970年に独立したレーベルで Creed Taylor Incorporated の略)です。イージー・リスニング、フュージョンに注力しているレーベルからの、この作品の発売ですがエレピを弾くEvans でもなく、純然としたジャズを展開しています。音源としては、スイス・ロマンド放送局によって収録されたものを版権者である Evans が、このアルバムをCTIと契約したことでのCTIでの販売。レーベルとしてのエレクトリックな楽曲のの販売へのこだわりを捨てても、この演奏を世に出すことを選ぶほど良演であったこと、また「お城のエバンス」の異名をとる名盤  At The Montreux Jazz Festival (1968) の続きを意識しての「Montreux II」のタイトルも、出せば売れるとの大人の事情もあったことと推測されます。(エレピはこのライブでも弾いていたようですがアルバムでは除外されているとのこと)また、モントルー・フェスの創設者の一人であり、ピアニストでもあるジオ・ヴマールによる冒頭のアナウンスを丸々収録しているのも「お城」と同じです。違うのはゴツゴツとした Evans の弾きっぷりと音質、観客の熱量でしょうか。またベースの高めの音圧は、この頃新たに開発されたウッド・ベース用のピック・アップを使用していることも特筆すべき点でしょうか。
 ジャケットも印象的です。イラストのようにも見えますが、これは写真で Pete Turner の作品、デザインは Leonard S. Levine が担当しています。ジャケットだけではわかりませんが、ライナーノーツに掲載されている写真の左側に移っているのは、湖畔の崖と思われます。おそらく、モントルーのレマン湖の湖面を写したもので、ドットの模様に見えるのは、街灯の光が湖面に反射しているものと思われます。力強い演奏も印象的ですがジャケット写真の印象も強力です。


 それではベース Eddie Gómez。ドラムには Marty Morell で、エヴァンス・トリオ史上最も長期間存続し最も安定感のあった布陣でのライブを聴きながらのレビューです。ちなみに最初の試聴は他の客がいなかった時に、音楽好きの集う「おでんバー」でかけましたが、これならいけるとマスターの評判は Evans 作品にも関わらず上々でした。Introduction / Very Early 出だしは前述のとおり ジオ・ヴマールによるアナウンスでバンドの紹介から始まり、最初に紹介された Marty Morell の拍手は少な目、Eddie Gómez で盛り上がり、Bill Evans でヤンヤの拍手喝采でした。Very Early は Evans が大学時代に作った曲です。先にも書きましたが、最初に思うことは Eddie Gómez の音圧の高さ、次に、この Evans はやけに力強いな、張り切ってるんだろうか。良い曲なんですがそっちが気になります。 Alfie 同名の映画の為に Burt Bacharach, Hal David が書いた楽曲です。Evans のコードが力強く華やかなラブ・バラード。2分半あたりから倍テンポになってリズミックでスリリングな展開になります。34 Skidoo ミディアム・テンポの Evans のオリジナルで彼のソロから始まります。ピックアップで増幅された Eddie Gómez の細やかな技にも耳を取られます。Evans も絶好調で気迫充分で面食らいます。How My Heart Sings はいつもよりサービスで早くしています的な演奏です。Earl Zindars による楽曲。この曲はいつものエレガントな方が好きかもしれない。Israel は John Carisi によるマイナー・ブルースですが熱量が半端ないですね。ライブ会場では、実はアンコールで演奏されていたとのこと。I Hear a Rhapsody は、Jack Baker, George Fragos, Dick Gasparre による楽曲。Evans のルパートで始まり段々と熱量が増してテンポも速くなるパターン。Evans のソロの打鍵が力強いですね。Eddie Gómez のソロの後の Evans との二人の絡みの部分は、ライナーノーツを書かれている悠正彦氏の意見の通り、あっさりしています。もっと聞かせてくれても良いですね。Peri's Scope も早いテンポです。テンポ早くソロの構成含めスリリングさを求めているかのような演奏は爽快で観客の拍手、歓声もそりゃあ大きいです。これが最後でアンコールを求める拍手で、このアルバムは終わります。曲順が違うとミスのような意見も世の中にありますが、これはプロデューサーの意図で、このアンコールの拍手でアルバムを終わらせたかったと私は思いますが」どうでしょう。
 リリカルな印象の Evans が激しくカッコ良い面を見せてくれました。従来の Evans 視聴者には刺激が強いかも知れませんが、疾走感もあって、ぶっとく過激な三者のプレイは魅力です🎶

piano : Bill Evans
bass : Eddie Gómez
drums : Marty Morell

producer : Helen Keane

recorded by : Rudy Van Gelder

recorded at the Montreux Jazz Festival, Casino De Montreux, Switzerland on June 19 & 20, 1970.

1. Introduction / Very Early (Bill Evans)
2. Alfie (Burt Bacharach, Hal David) 
3. 34 Skidoo (Bill Evans)
4. How My Heart Sings (Earl Zindars) 
5. Israel (John Carisi)
6. I Hear a Rhapsody (Jack Baker, George Fragos, Dick Gasparre) 
7. Peri's Scope (Bill Evans)





  

2024年7月21日日曜日

Paulo Mendonça / 11PM


 1995年にスウェーデンの Polar/PolyGram というレーベルから発売された快作です。キャッチーな歪系のセンス良いギター・リフ。気持ち良いブラスの入ったファンク・ロック。この頃の私はロック系より、フュージョン系、アシッドジャズ系を好んで聴いていた時代なのですが、このアルバムは車の中で、爆音で聴きながら釣りに行っていた記憶があります。真夜中に起きて、寝不足で出かける釣行も、この曲を聴きながら歌いながら車を運転すれば眠気も吹っ飛ぶ素晴らしいアルバムです。
 このアルバムは全曲がシングル級のキャッチーな曲ばかりで捨て曲が無いのも特徴。一般的に売れるサウンドだと思うんですが、残念ながら彼を知ってる人は私の周囲にはいません。もっと売れても良いはずだと思いましたが、音楽業界も良いものが口コミで売れるものは極稀なのでしょう。やはり宣伝、プロモーションが弱いと売れないんでしょうね。
 ただこの人のライブ動画チェックしてると、アルバムのキャッチーさと違って、ややマニアックなアレンジな売れ線ではない面も見えます。実はアルバムは、プロデューサーが創った売れ線の路線で本当の音楽性は違うところにあるのか?等と思ったりもしましたが、どうなんでしょう。プロデューサーは Nicci Wallin で、アルバムの中でもドラムやプログラミングをしています。


 それでは1995年から愛聴し続けている、11PM を再度聴きながらレビューです。If You Come To Party レビューするのにメンバーを書き出していたら発見でした。レコーディング・メンバーのキーボードは Mats Asplen, Owe Andersson, Niklas Medin の3人が参加していますが、この1曲目だけ Owe Andersson がイントロのオルガン部分だけ担当、曲のハモンド・オルガンは Mats Asplen が弾いています。当然イントロのオルガンの短い部分もイケてる感じですが本編のリフもファンクでカッコ良いです。ベース・ラインも Paulo Mendonça が弾いていて良いし、ギターのカッティングも良し、レニクラ風と言われても納得のボーカルですがレニクラよりファンク魂が入ってると思います。Hump Yeah 少しポップな曲になり、荒ぶることなく少し切ないメロディーも印象的です。Spend Your Life (With Me) 明るくブラスが効いているファンク・チューンで、うねる様なベースラインも良いです。また Lisa Nilsson の低めの色っぽいコーラスも効果的。ファンクロック最高です。If You Ever Come Back To Me 次いではしっとりとしたバラード風ソウルな楽曲です。Paulo Mendonça のソングライターとしての実力もここで見えてきます。壮大なスケール感も感じるアレンジも更にこの曲の良さを引き出しています。 Time After Time  ネーミングだけではシンディローパーに負けていますが、ファンク路線ではないロックになっています。ギターのカッティングの音作りも上手い。イントロと途中の曲の切り替わりに入るギターリフもセンス良し。She Says ここでファンク・ロック路線に戻ってきます。ジミヘン直ではないけど、あのマインドが入ったギターですね。やはり捨て曲は無いです。Try 爆発音から入るロックで、少々ファンクの遺伝子も入ってます。サビのトラーイ~のボーカル部分も気持ち良いしギターソロも気持ちが入ってます。Two Faced Woman エスニックな曲調のポップです。激しいライブの途中で、こんな曲が流れると、しんみり感動してしまうパターンです。Crazy World 曲名通りのサイケな作風のロックです。ここでもファンク路線では無いですね。イメージではファンクロックとばかり記憶に在りましたが、こんな曲もありました。これはこれでよく練られた楽曲です。You Are The One For Me アコースティックギターから入るのでフォークで入る出だしですが、段々と色々な楽器が参加してきて盛り上がり大団円で終わる古典的な手法です。良いじゃないですか。Change Our Ways 少しファンクに戻りますが基本はポップロックな気もします。ささやくようなボーカルですが、サビは男っぽい歌い方に変えてきます。うまいですね。Respect これ以降は日本版のボーナストラックですが、これもハッピーなブラス・ロックで良い曲でシングルで出ていても良いぐらいの素晴らしい楽曲。Chocolate Chip And Chicken Bone おいしそうな曲名です。サイケ・ギターと、ボーカルにエフェクトもかけるなど遊び心のあるファンク・ロックです。多分、歌詞はどうでも良いおバカなことしか歌って無さそうな雰囲気です。If You Want My Love 疾走系ロックです。ファンク魂はあり、歌い方はレニクラ調の盛り上げ曲です。
 再度聴いても爽快です。気持ち良いです。寝る前に聴くと寝られそうにないくらい元気がもらえます🎶

producer : Nicci Wallin

recorded at : Kennel Studios

1. If You Come To Party
vocals, guitar, bass: Paulo Mendonca
organ intro : Owe Andersson
hammond oprgan : Mats Asplen
background vocals : Lisa Nilsson, Peter Hallstrom
tenor sax, bariton sax : Peter Hallstrom, Wojtek"W"Goral
trumpet : Magnus"M"Johansson
tenor sax, bariton sax : Magnus"M"Johansson
drums, oscar, programming : Nicci Wallin
horn arrangement : Nicci Wallin
2. Hump Yeah
vocals, guitar, bass : Paulo Mendonca
yamaha CS-80: Mats Asplen
hammond oprgan, hohner D6 : Niklas Medin
background vocals : Lisa Nilsson
drum programming : Nicci Wallin
3. Spend Your Life (With Me)
vocals, guitar, bass : Paulo Mendonca
hammond oprgan, hohner D6 :Niklas Medin
background vocals : Lisa Nilsson
tenor sax, bariton sax: Wojtek"W"Goral 
trumpet : Magnus"M"Johansson
trumpet : Nicci Wallin
drums, CS80, micromoog, percussion programming : Nicci Wallin
Nicci Wallin, Paulo Mendonca : horn arrangement
4. If You Ever Come Back To Me
vocals : Paulo Mendonca
bass : Sven Lindvall
hammond oprgan, fender rohdes :Niklas Medin
background vocals : Lisa Nilsson
leslie harmonica : Patrick Wallin
tenor sax, bariton sax: Wojtek"W"Goral 
trumpet, flugelhorn : Magnus"M"Johansson
drums, CS80, programming : Nicci Wallin
Nicci Wakkin : horn arrangement
5. Time After Time
vocals, guitar, bass : Paulo Mendonca
strings : Mats Asplen
drums, CS80, oscar programming, background vocals : Nicci Wallin
6. She Says
vocals, guitar : Paulo Mendonca
bass : Sven Lindvall
background vocals : Lisa Nilsson
drums, CS80, micromoog, percussion : Nicci Wallin
7. Try
vocals, guitar : Paulo Mendonca
bass : Sven Lindvall
background vocals : Peter hallstrom , Micke Hujamen 
drums, programming : Nicci Wallin
8. Two Faced Woman
vocals, guitar : Paulo Mendonca
bass : Owe Andersson
fender rhodes, strings : Mats Asplen
background vocals : Lisa Nilsson, Peter hallstrom
strings : Tina Ahlin
drums, percussion, cs80,bass, background vocals,  programming : Nicci Wallin
strings arrangemernt: Tina Ahlin
9. Crazy World
vocals, guitar : Paulo Mendonca
fender rohdes, hohner D6, kurzweil strings : Mats Asplen
drums, percussion : Nicci Wallin
string arrangement : Klas Bjoklund
10. You Are The One For Me
vocals, guitar, bass : Paulo Mendonca
hammond oprgan : Niklas Medin
wulitzer : Mats Asplen
background vocals : Micke Hujanen,
strings :  Klas Bjoklund
drums, cs80, percussions : Nicci Wallin
strings arrangement :  Klas Bjoklund
11. Change Our Ways
vocals, guitar, bass, padsynth : Paulo Mendonca
tenor sax, bariton sax: Wojtek"W"Goral 
trumpet : Magnus"M"Johansson
drums, cs80, minimoog, programming : Nicci Wallin
strings arrangement :  Paulo Mendonca

【Japan Only Bouns Track】
12. Respect
13. Chocolate Chip And Chicken Bone
14. If You Want My Love





  

2024年7月20日土曜日

Mal Waldron Quintet with Steve Lacy / One-upmanship

 

 発売は、Enja Records という1971年にドイツのミュンヘンで生まれたレーベルで、社名は「European New Jazz」の略で「新しいジャズ」 レーベルの最初の発売は Mal Waldron の 「Black Glory  (1971)」(先ほど初めて聴いてみましたがゴツゴツしたいかついジャズでした)
 この作品は1977年の作品で、Black Glory に比べれば緩いゴツゴツさのピアノです。ゲストは Steve Lacy ですので、それなりのスリリングさがあるのかと思いきや意外と遠慮がちなソプラノ・サックスです。あちらの世界とこちらの世界の境界線を行ったり、来たりですが、こちらの世界の方が長めな感じです。
 他人の評価も気になるので、そんなアルバムが、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」で、どんな評価をうけたのかですが、結果は悪くもなく、良くもなく「興味を示してくれなかった」でした。初試聴は、なるべく音響設備が私の自宅よりも良い「おでんバー」で行うようにしているので、このアルバムも聴かずに持参したのですが、フリー好きな人間が多いし、きれいなジャズよりは、コテコテとか独特なものが好まれる傾向にあるのでメンツ的には大丈夫だろうと思ったら、反応が薄く非常に残念でした。評価が高く得られれば嬉しいですし、自分好みが酷評されれば闘志が燃えるものです。


 昔はこの手の音楽が苦手だったんですが、最近は聴いても違和感なく、すんなりと自分も、この世界に入っていけます。また独特のゴツゴツした感じも私には受け入れや聞こえると、アピールしながら細かく聴きながらレビューです。One Upmanship イントロはロックバンドのようでカッコ良いです。インテンポになったところで、Steve Lacy のソプラノが入ってきますが、秩序のあるソロで、どこから飛んでいくのか、期待しているうちに飛ばずに次のテーマに突入します。ここではトランペットの Manfred Schoof が暴れますが、テクニック・バリバリに暴れますので、フリーにはなりますが秩序は、未だ保たれている感じです。フリーの部分は、きっちりエネルギー放出してくれるのが好きです。そして The Seagulls Of Kristiansund のイントロは、Mal Waldron の絶望的な響きのコード連打から、抒情的なテーマに変わります。そして Steve Lacy のソプラノは鳥の声のように聞こえる美しい音色。カモメのような大きめの鳥の鳴き声だったり、小鳥だったりします。マルのピアノソロも凝ったテクニックで聴かせるのでなく、タイプライターと言われるカタカタした演奏なのが面白い。Hurray For Herbie マルより異世代年上のミュージシャン Herbie Nichols に捧げた楽曲。マルは Charlie Parker、Thelonious Monk、Herbie Nichols の影響が大きいとインタビューで語っていたらしい。モーダルで抽象的なテーマをひたすら深くつき進めていき、トランペットソロでは何故かリバーブ深めで更に盛り上がり、Steve Lacy で即興の世界に突入しますが、私がイメージするフリージャズとは違った秩序あるインプロで安心です。19分40秒と長いので聴き終わるまで、珈琲一杯を飲み切り煙草2本は吸えます。
 ダークさとエネルギーを感じるアルバムで気になるアルバムです。今は嫌いではないといった感想ですが、今後私の中で昇格していく可能性がありそうな一枚です🎶

piano : Mal Waldron
bass : Jimmy Woode
drums : Makaya Ntshoko
soprano sax : Steve Lacy
trumpet : Manfred Schoof

producer : Horst Weber, Matthias Winckelmann

recorded on February 12, 1977 at Conny's Studio, Wolperath (Germany).

1. One Upmanship
2. The Seagulls Of Kristiansund
3. Hurray For Herbie





  

2024年7月19日金曜日

David Sanborn / Heart To Heart


 David Sanbornのリーダー作は、ほぼコンプリートしているのですが、前作1977年の「Promise Me the Moon」だけは持っていません。気づいていたのですが、聴く前にサンボーンは、2024年5月12日に亡くなってしまいました。78歳とのことで楽しませていただきありがとうございました。
 前作を聴いていないので前々作 Sanborn と比較すると、前々作は少しソウルっぽくて泥臭いウンドで、まだ時代を感じさせる古めのアレンジに対して、フュージョン全盛時代の都会的な垢ぬけたサンボーンに変化する手前といった感じです。このような作風はメンバーやプロデューサーによるところが大きいと思いますが、プロデューサーは Sanborn は Phil Ramone、本作は John Simon となり、とても暖かい音のアルバムです。音作りはソウル寄りのジャズに近い曲が多いようで、当然、プロデューサーの意図であると思いますが、stuffのメンバーの Steve Gadd, Richard Tee の参加、そのソウル魂に加えて Herb Bushler のズンズンと低く響くベースとリズムがこのサウンドにさせているのでしょう。ソウル寄りフュージョンではありますが、決してstuff 軍団に乗っ取られているわけではありません


 それでは、何百回と聴いてきたアルバムのレビューをしてみましょう。Solo フォーク調のイントロで始まる穏やかで温かい響きの曲です。Don Grolnick はこういった曲をエレピで弾かせると、自己主張せせずに曲に溶け込み、且つ美しく、他のパートを引き立てる演奏です。David Spinozza のアコースティックギターも効果的です。この人もサンボーンのバンドで良い仕事してます。サンボーンばかりで注目してたんですが、私の所有音源でサンボーン以外のの David Spinozza 参加のアルバムを見てみたら、Rod Stewart / As Times Goes By..The Great American Song ⅡThe Brecker Brothers / DetenteDonny Hathaway / Extension Of A ManRoberta Flack & Donny Hathaway など、ソウル、フュージョン系はなるほどですが、Rod Stewart は意外でした。Short Visit 出だしは Herb Bushler のシンプルな低いベースラインから始まるスローテンポのソウル調の楽曲ですが、このベースラインの伸ばした音符を微妙に♭にずらすところが素敵。また、プロデューサーの John Simon による楽曲です。Gil Evans のアレンジによるホーン部隊の厚みのあるオケも最高です。ギターの Hiram Bullock は未だ、この頃も目立たないようにカッティングしてます。あのコーラスかけたクリーントーンが後半に着目すると聴けます。Theme From "Love Is Not Enough" エレピで Richard Tee が参加となり、Steve Gadd が叩いているんで、やはり stuff っぽさが少々。Lotus Blossom フュージョン時代のサンボーンの名物みたいな曲で Don Grolnick 作曲です。テーマのメロディーやはかない曲の感じが大好きな曲ですが、David Spinozza のボサノバを取り入れたギターのバッキングも素晴らしい。一旦曲が盛り上がって、ブレイクした部分からこのギターが始まると静かに野に咲く花が見えるような気がします。Heba サイケな響きのするイントロが印象的な David Sanborn が作曲。これはソウルっぽさは全くありません。テーマ部分はサンボーンの独特なアルトの吹き方が非常にマッチする作りです。Hugh McCracken のスライドギターがブルース風ではなく中東的な感じで、ここら辺も怪しい雰囲気に非常にマッチ。Sunrise Gospel この曲に関しては stuff 軍団に乗っ取られているのですが、そこが良いんですね。最初のほのぼのした雰囲気が段々とソウルのリズムに変化していくのですがジリジリとしか変化しません。ためて、ためて最後にダンス系になるところで精神が解放されます。また David Spinozza の曲の途中のギターのバッキングがレゲエ的なところがありますが、このバッキングは私の大好きな Smile で使われているのと同じであることを今回発見しました。いや楽しい。Anywhere I Wander で最後になりますが、このアルバム以降で見られるサンボーン・フュージョンにつながる出来栄えであるところが、また次のアルバムを楽しみにさせてくれる楽曲になっています。
 ホントに何百回も聴いているアルバムですが飽きません。これは私のCD棚の良く聴く場所に再度戻しておきます🎶

alto sax : David Sanborn
【additional horns】
trumpet : Randy Brecker
tenor sax : Michael Brecker
tromborne : Sam Burtis
【additional percussion】
Ralph MacDonald
producer : John Simon

 1. Solo (Tony Jaffe)
piano : Don Grolnick
acoustic guitar : David Spinozza
electric guitar : Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
vibraphone : Mike Mainieri
recorded at Rosebud Recording Studio 1-18-78
 2. Short Visit (John Simon)
piano : Don Grolnick
guitar : Hiram Bullock
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
french horn : Jon Clark
percussion : Warren Smith
clavinet, synthesizer, french Horn : Pete Levin
soprano sax, alto sax : Arthur Blythe
tenor sax, flute : George Adams
trombone : Tom Malone
trumpet : Jon Faddis, Lou Soloff
tuba : Howard Johnson
arranged by : Gil Evans
recorded at A&R Studios 1-19-78
 3. Theme From 'Love Is Not Enough' (Coleridge-Taylor Perkinson)
electric piano : Richard Tee
electric guitar : David Spinozza, Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
recorded at A&R Studios 1-20-78
 4. Lotus Blossom (Don Grolnick)
piano : Don Grolnick
acoustic guitar : David Spinozza
electric guitar : Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
vibraphone : Mike Mainieri
recorded at Rosebud Recording Studio 1-18-78
 5. Heba (David Sanborn)
piano, organ : Richard Tee
electric guitar : David Spinozza
slide Guitar : Hugh McCracken
bass : Anthony Jackson
drums : Steve Gadd
recorded at Rosebud Recording Studio 1-17-78
 6. Sunrise Gospel (Herb Bushler)
piano, organ : Richard Tee
electric guitar : David Spinozza, Hugh McCracken
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
tambourine : Warren Smith
recorded at Rosebud Recording Studio 1-17-78
 7. Anywhere I Wander (Frank Loesser)
piano : Richard Tee
bass : Herb Bushler
drums : Steve Gadd
electric guitar : David Spinozza, Hugh McCracken
arranged by : Coleridge-Taylor Perkinson
recorded at A&R Studios 1-20-78





  

2024年7月14日日曜日

Jaco Pastorius / The Green Light


 ホテルのバーでジャズを聴きに行ったら、このバンドの演奏が始まってしまったら・・このバンドを知らなかったら度肝を抜かれたに違いありません。ジャコがアイラ・サリバンのバンド Ira Sullivan Quintet に参加していた1973年頃のフロリダはマイアミビーチの The Playboy Plaza Hotel のロビー・バーでのモノラル・カセット録音。なので、この録音のバンドは Ira Sullivan Quintet であるべきですが、あまりに凄い海賊版的録音が発見・発表されたので、名義は Jaco Pastorius になっています。
 マニアによるモノラル・カセット録音なので、音質は良くなくて、テープの保存状態が悪かったのかブツっと音が切れる箇所があります。まあ、その割には各楽器の音は比較的鮮明に聞こえるのが救いです。私はジャコ・マニアの一人なので、とても興味深く聴くことが出来ますが、ジャコの遺族に金が入ってるのかどうかもわからないアルバムを発表するのも、購入するのもどうかと言った発言は、ある意味その通りだとは思い複雑です。権利は Ira Sullivan にもあるのかと思います・・
 参考に、高校を卒業して1970年頃から活動していた Jaco pastorius Wayne Cochran & C C Riders Amelia 1972 リズム的なテクニックの修行をしていたのがわかるジャコが、1973年のこの録音の頃には、ソウルバンドのベースマンからジャズ・プレイヤーに大きく変身、飛躍しているのも驚きです。
 また1975年の録音への Weather Report へのジャコの加入が画期的だと思っていたのに既に、Ira Sullivan Quintet でも革新的な演奏を実現していたことも驚きであり、Joe Zawinuln の発明品であると思っていたサウンドが、実は同時期に色々なところで発生していたということに、見方によってはジャコの加入によってこのサウンドが創られていたとも捉えることができることに面白みを感じてしまいます。


 このアルバムも数年聴いていなかったので、久しぶりにご対面したら驚いて前置きが長くなりましたのですが再度じっくり聴きながらのレビューです。Ballye De Nina はジャコ作品でプログレッシブで壮大なスケール感があります。既にWeather Report 加入を意識していたのでしょうか。ギターの Joe Diorio もパキパキの音ながらスリリングなギターで盛り上がります。良いんではないでしょうか。Lonely Dreams 少し前ではダメだったとお思いますが Ira Sullivan のソプラノは、好きなタイプかも知れません。このような幻想的な曲にはジャコのフレットレスは素敵な効果をもたらします。モノラル・カセットの割に各楽器の音が分離されているのも素晴らしい(エンジニアの腕もあると思います)Las Olas 再度ジャコのオリジナルになります。この時期で、この作品はやはり Weather Report を意識しているのか、Ira Sullivan のソプラノがそう感じさせるのか。それにしても、この曲でもギターの Joe Diorio が大活躍です。音はもうあまりパキパキしてませんので演奏中に調整が完了したのか。Call it Sunshine, I'm a Rainbow, Dance with Her Father これは注目のギタリスト Joe Diorio の作品。作風としては kenny Burell が意識されているかと思います。コード展開で押してくる感じが、とても馴染みやすいです。この曲では Ira Sullivan はフルートを吹いて最後はソプラノ・サックスで暴れます。同じテーマで長くやり過ぎな気もしますが、ライブで見ていたら飽きないんでしょう。
 最後に気になるギターの Joe Diorio は、Pat Methenyno のバークリーで学んでいた時代の師匠であるとのこと。なるほど凄腕なわけです🎶

bass : Jaco Pastorius
fender rhodes piano : Alex Darqui
guitar : Joe Diorio
trumpet, soprano sax, flute, percussion : Ira Sullivan
drums : Steve Bagby

produced by Bob Bobbing

The Ira Sullivan Quintet recorded live at The Lobby Bar of The Playboy Plaza Hotel in Miami Beach, Florida, (Circa 1973)

1. Ballye De Nina (Jaco Pastorius)
2. Lonely Dreams (Terry Gibbs)
3. Las Olas (Jaco Pastorius)
4. Call it Sunshine, I'm a Rainbow, Dance with Her Father (Joe Diorio)