発売は、Enja Records という1971年にドイツのミュンヘンで生まれたレーベルで、社名は「European New Jazz」の略で「新しいジャズ」 レーベルの最初の発売は Mal Waldron の 「Black Glory (1971)」(先ほど初めて聴いてみましたがゴツゴツしたいかついジャズでした)
この作品は1977年の作品で、Black Glory に比べれば緩いゴツゴツさのピアノです。ゲストは Steve Lacy ですので、それなりのスリリングさがあるのかと思いきや意外と遠慮がちなソプラノ・サックスです。あちらの世界とこちらの世界の境界線を行ったり、来たりですが、こちらの世界の方が長めな感じです。
他人の評価も気になるので、そんなアルバムが、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」で、どんな評価をうけたのかですが、結果は悪くもなく、良くもなく「興味を示してくれなかった」でした。初試聴は、なるべく音響設備が私の自宅よりも良い「おでんバー」で行うようにしているので、このアルバムも聴かずに持参したのですが、フリー好きな人間が多いし、きれいなジャズよりは、コテコテとか独特なものが好まれる傾向にあるのでメンツ的には大丈夫だろうと思ったら、反応が薄く非常に残念でした。評価が高く得られれば嬉しいですし、自分好みが酷評されれば闘志が燃えるものです。
昔はこの手の音楽が苦手だったんですが、最近は聴いても違和感なく、すんなりと自分も、この世界に入っていけます。また独特のゴツゴツした感じも私には受け入れや聞こえると、アピールしながら細かく聴きながらレビューです。One Upmanship イントロはロックバンドのようでカッコ良いです。インテンポになったところで、Steve Lacy のソプラノが入ってきますが、秩序のあるソロで、どこから飛んでいくのか、期待しているうちに飛ばずに次のテーマに突入します。ここではトランペットの Manfred Schoof が暴れますが、テクニック・バリバリに暴れますので、フリーにはなりますが秩序は、未だ保たれている感じです。フリーの部分は、きっちりエネルギー放出してくれるのが好きです。そして The Seagulls Of Kristiansund のイントロは、Mal Waldron の絶望的な響きのコード連打から、抒情的なテーマに変わります。そして Steve Lacy のソプラノは鳥の声のように聞こえる美しい音色。カモメのような大きめの鳥の鳴き声だったり、小鳥だったりします。マルのピアノソロも凝ったテクニックで聴かせるのでなく、タイプライターと言われるカタカタした演奏なのが面白い。Hurray For Herbie マルより異世代年上のミュージシャン Herbie Nichols に捧げた楽曲。マルは Charlie Parker、Thelonious Monk、Herbie Nichols の影響が大きいとインタビューで語っていたらしい。モーダルで抽象的なテーマをひたすら深くつき進めていき、トランペットソロでは何故かリバーブ深めで更に盛り上がり、Steve Lacy で即興の世界に突入しますが、私がイメージするフリージャズとは違った秩序あるインプロで安心です。19分40秒と長いので聴き終わるまで、珈琲一杯を飲み切り煙草2本は吸えます。
ダークさとエネルギーを感じるアルバムで気になるアルバムです。今は嫌いではないといった感想ですが、今後私の中で昇格していく可能性がありそうな一枚です🎶
piano : Mal Waldron
bass : Jimmy Woode
drums : Makaya Ntshoko
soprano sax : Steve Lacy
trumpet : Manfred Schoof
producer : Horst Weber, Matthias Winckelmann
recorded on February 12, 1977 at Conny's Studio, Wolperath (Germany).
1. One Upmanship
2. The Seagulls Of Kristiansund
3. Hurray For Herbie