2024年5月26日日曜日

Stone Free / A Tribute To Jimi Hendrix


 1993年リリースで、ジミヘンのプロデューサー・エンジニアだった Eddie Kramer の発案から製作されたジミヘンのトリビュート・アルバムです。Eddie Kramer は南アフリカ生まれですが、19歳の時にロックが流行り出した60年代初期のイギリスに移住。レコーディング・プロデューサー/エンジニアとして、ビートルズ、デヴィッド・ボウイ、エリック・クラプトン、ジミ・ヘンドリックス、キンクス、KISS、レッド・ツェッペリン、ストーンズ、サンタナ、ピーター・フランプトン、ホワイトスネイクなど、かなりの大物のコラボレーターを務めておられる凄い人です。


 ジミヘンは音楽のジャンルを問わずに、様々な影響を与えたミュージシャンです。このトリビュートにも様々なジャンルの人が参加しています。だからジミヘンの曲をやってもジャンルを超えた個性がでるもので、演奏者によってこのジミ・ヘンの曲が全く別物に生まれ変わっています。ロックやブルースのミュージシャンは直接的に音やコード遣いが影響を受けるのは容易に想像を受けますが、パット・メセニーもやっぱり聴いてたんだと言うこともわかり、メセニーらしからぬロック的ギターにビックリしたりニヤリとします。そういった意味でも中々の濃い内容のトリビュートであると思います。


 ジミヘンはみんな好き・・でも時代は変わるし音楽も変化していきます。これは名盤ではないが演奏している人が楽しんでいるし、聞いている私たちもニヤっと楽しめるヤツです。既に廃盤みたいですが、中古盤店などでたまにお手ごろ価格で見かけます。是非聞いてみてニヤッとしていただきたい🎵

1. Purple Haze / The Cure
vocals : Robert Smith
guitar : Perry Bamonte, Robert Smith
keyboards : Perry Bamonte
bass : Simon Gallup
drums : Boris Williams

2. Stone Free / Eric Clapton
vocals : Eric Clapton
backing vocals : UNV
guitar : Eric Clapton, Nile Rodgers
keyboards : Richard Hilton
bass : Bernard Edwards
drums : Tony Thompson

3. Spanish Castle Magic / Spin Doctors
vocals : Chris Barron
guitar : Eric Schenkman
bass : Mark White (2)
drums : Aaron Comess

4. Red House / Buddy Guy
guitar, vocals : Buddy Guy
piano : Johnnie Johnson
bass : Billy Cox
drums : Ray Allison

5. Hey Joe / Body Count
Bass : Mooseman
Drums : Beatmaster "V"
Guitar : D-Roc (3), Ernie C
Lead Vocals : Ice-T
Mixed By : Michael White (4)
Producer : Ernie C

6. Manic Depression / Seal & Jeff Beck
vocals : Seal
guitar : Jeff Beck
bass : Pino Paladino
drums : Jimmy Copley

7. Fire / Nigel Kennedy
acoustic guitar, guitar (Bottleneck) : Sagat Guirey
guitar : John Etheridge
bass : Rory McFarlane
drums : Rupert Brown
cello : Caroline Dale
viola (acoustic), violin (phased), violin (kerrang), piano (doctored) : Nigel Kennedy

8. Bold As Love / Pretenders
mixed by : Bob Clearmountain

9. You Got Me Floatin' / P.M. Dawn
guitar : Herbie Tribino

10. I Don't Live Today / Slash & Paul Rodgers With The Band Of Gypsys
vocals : Paul Rodgers
guitar : Slash
bass : Billy Cox
drums : Buddy Miles

11. Are You Experienced? / Belly
Vocals : Gail Greenwood, Tanya Donelly
Bass : Gail Greenwood
Drums, Percussion : Chris Gorman
Guitar : Tanya Donelly, Thomas Gorman
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12. Crosstown Traffic / Living Colour
lead vocals : Corey Glover
vocals : Doug Wimbish, Will Calhoun
guitar : Vernon Reid
bass : Doug Wimbish
drums, piano, whistle (Kazoo) : Will Calhoun

13. Third Stone From The Sun / Pat Metheny
guitar, bass, keyboards, programmed by, synthesizer (Synclavier) : Pat Metheny
bass : Jaco Pastorius, Matthew Garrison
drums (additional) : Jack DeJohnette

14. Hey Baby (Land Of The New Rising Sun)/ M.A.C.C
vocals : Chris Cornell
guitar : Mike McCready
bass : Jeff Ament
drums : Matt Cameron





  

2024年5月25日土曜日

Roy Haynes Quartet / Out Of The Afternoon

 

 「リーダーは Roy Haynes となっているが、実質 Roland Kirk のアルバム」 と皆さんが、こぞって書かれている下馬評。Roland Kirk はアクが強すぎるだけに、自分が主役のアルバムだと、そればかりが目立ってしまいますが、Roy Haynes がリーダーとなることで Roland Kirk が、その色を出して、カルテットとして成立しているアルバムと表現しなければ Roy Haynes に失礼ではないかと思いますが、ドラマーと強烈な個性を持つ管楽器奏者では目立ち方は違いますので致し方ない。
 タイトルは収録曲には無いので、このアルバムのコンセプトを示すものと普通想像します。ジャケ写も森の中で撮影され、さぞかしゆったり、のんびりした内容であると思いきや Roland Kirk の参加するアルバムで、攻めていない内容などはあり得ませんでした。実際その通りで Roland Kirk はハードボイルド。Roy Haynes は自分がリーダーではあるものの、Tommy Flanagan や  Roland Kirk のソロの時はバックから支えに回り、出る時は出る印象です。そしてこのセッションの舞台裏が書かれているものを発見。Haynes が、ある夜 Five Spot で、対バンとして出演していた Kirk とのセッションを行い感銘を受けて Impuls のプロデューサー Bob Thiele に本作の企画を持ちかけたことで実現したとあります。しかし自分のリーダーアルバムの前に Kirk のリーダーアルバム Domino に参加している。アルバムは Mercury から発売されている事実を考えると Haynes の一方的なラブコールでは無いようです。


 私の行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」では、Roland Kirk 信者が多いのですが確かこのアルバムをかけた時には熱量がマダマダ足りないような発言をされている人が多かったような気がします。それでは改めて聴き直していきましょう。Moon Ray は、ミドルテンポでじっくりときます。Kirk はまずはテナーサックス、そして恐らくマンゼロでテーマを吹き、一人ユニゾンが相変わらず強烈ですが未だおとなしい。ちなみにマンゼロはソプラノサックスのネックとベルを曲げてある楽器で、サクセロとも言われます。ストリッチは古代楽器で、ソプラノとアルトの中間音域を受け持つサックスの仲間とのこと。Fly Me to the Moon が始まると Kirk は普通にテーマが吹きますが、やはり圧が強いのと発音がやたらはっきりしています。やはり Kirk に注目が集まってしまうのは仕方ないですか。彼ら流の演奏だが本当に月まで飛んでいきそうな力強い演奏です。Raoul はリーダーの Haynes の荒々しいドラムから始まる高速バップ。作曲は Haynes。バンドとしては Kirk 少な目のバランスの取れた演出です。リーダーのドラミングに高揚感があります。Snap Crackle イントロで「ロイ!」「ヘインズ!」と叫んでいるのはTommy Flanaganで、当初はカークに叫ばせる案もあったらしい。Kirk はテーマをテナー、マンゼロ、ストリッチの3管で吹いている。If I Should Lose You 1930年代の古いスタンダード。テーマはストリッチで吹いているらしい。演奏は熱くなりすぎることなく過ぎていくと思ったらソロ部分になると、やはり時々いきなり連発してしまうのは、やはりと言った感じ。Tommy Flanagan のソロの冷静さとの対比が極端です。Long Wharf は Haynes が少年時代を過ごしたボストンをイメージして作曲したとのことですが、ボストンのイメージがこの単純な音から浮かぶことは私にはできませんでした。Grimes のアルコでのベースソロはこの曲以外でも聴けますが、このアンバランスにエネルギーは感じます。最後は Some Other Spring はしっとりとしたバラードで、Haynes は自分リーダーアルバムだけに平穏に終わりたかったようです。そして随所に小技は入れてきてるのがニヤリ。
 改めて聴いてナルホド少々スパイスの効いた感じがマニアにはたまらない魅力かもしれません。たまに聴き直したいアルバムですね🎵

drums : Roy Hayne
tenor sax, manzello, strich, C flute, nose flute : Roland Kirk
piano : Tommy Flanagan
bass : Henry Grimes

producer: Bob Thiele May 16(1, 6, 7) & 23(2, 3, 4, 5), 1962

recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey Label: Impulse!  May 16 & 23 1962
 
1. Moon Ray (Artie Shaw, Paul Madison, Arthur Quenzer) 
2. Fly Me to the Moon  (Bart Howard) 
3. Raoul 
4. Snap Crackle 
5. If I Should Lose You (Leo Robin, Ralph Rainger) 
6. Long Wharf 
7. Some Other Spring (Irene Kitchings, Arthur Herzog Jr.) 

▶ Raoul




  

2024年5月24日金曜日

Louis Armstrong / Plays WC Handy

 

 この手のCDは、聴いてみたらコンピと言うことが多いのですが、これはチャンとした録音です。1954年7月に米コロンビアのディレクター George Avakian が、デッカから、このメンバーを借り受けてシカゴで吹込みを行ったとのこと。Louis Armstrong にとっても、1人の作品を一時にまとめて録音するのは初めてであり「ブルースの父」と言われたWC Handyのものであるだけに十分な準備を行ってレコーディングに臨んだとのことです。


 WC Handy は、1873年生まれで、この録音の4年後の1958年でした。元々はクラシック音楽の訓練を受けたミュージシャンで、ブルースマンでは無く、彼のダンス・バンドが提供していたのは、黒人の富裕層向けの品のいい音楽だったそうです。しかし1903年にナイフでスライドを弾くブルースマンに魅せられ、ブルースを楽譜出版したのがMemphis Blues で   St. Louis Blues、Beale Street Blues、Yellow Dog Blues を発表して大儲けしたそうです。ブルースだけど始まりはシート・ミュージックだった訳で、ここら辺が知的な感じです。この録音時に81歳だった WC Handy は視力を失って病床にいたとのことですが感激で涙を浮かべていたそうです。


 古い録音のコンピでは3分程度の曲が20曲ほど羅列されることも多いので聴いている途中で飽きてしまうことが多いのですが、これは行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」でも、飽きがこない録音と評判が良かったアルバムです。
 それではレビューです。初っ端は St. Louis Blues から始まります。第1部は Velma Middleton が歌い、Louis がトランペットで短く間奏を入れてから、自身がユーモラスに歌います。Louis 自身も何度かレコーディングしているのを聴いたことがありますが、これは名レコーディングなのではないでしょうか。Yellow Dog Blues これも Handy のヒット曲。Yellow Dog は黄色い犬では無く、ミシシッピー・デルタとその奥地をつなぐヤズー・デルタ鉄道の別名とのこと。ボーカルは Louis 一人でとっている軽めのブルースです。クラリネットがあると柔らかく聞こえます。最後は情感たっぷりのトランペットソロに満足です。 Loveless Love は、どこかで聴いたことがあります。それもそのはず原曲は古い民謡の Careless Love で Velma、Louis が交代で歌っています。私も原曲をどこで知ったのか覚えていませんが、おそらく小学生とかの時のような気がします。懐かしいですね。Aunt Hagar's Blues ゆったりめのテンポで丁寧な演奏です。ボーカルは無しかなと思わせる長めのトランペットソロから Louis の歌です。改めてトランぺッターは歌好きで上手い人が多い。Long Gone これも聴いたことがあります。恐らくSlim Gaillard あたりがやっていたのをどこかで見たのかと思います。コミカルで和気あいあい。大好きです。The Memphis Blues 超有名ブルースが来ました。 WC Handy 作品の中でもブルースの名前が付く最初の作品とのこと。1909年に市長選に使われた Mr. Kramp が、原曲とのことで試聴の名前は Edward Crump 後に伝説の市長となる方のようです。拝見したところ丸メガネの真面目そうな白人でした。Beale Street Blues メンフィス市街のビール市街が舞台で、この盛り場の情景が歌われています。情感を込めて歌われています。歌詞は確認していませんが昔の酔っ払いが歌う酒や女がテーマで無いことと予想しています。Ole Miss Blues これはメンフィスとニューオリンズを結ぶ、当時の高速鉄道が舞台とのこと。これはインストのジャズ・ブルースとなっています。ニューオリンズ・ジャズの雰囲気が時代を反映しています。Chantez Les Bas 題名はフランス語のようです。ルイジアナがフランスの植民地であった時代にクリオール(黒人とフランス人の混血)が多フランス語訛りのクリオール語が使われていたことが由来とのこと。クラリネットの Barney Bigard もクリオールとのこと。Hesitating Blues これも古くからの民謡とのミックスらしいですが、聞き覚えは私にはありません。純然としたブルースに聞こえます。Atlanta Blues これも前半は囚人の民謡とのこと。民謡とは、おそらくオールド・タイプのフォーク・ブルースかと思います。ここでは Louis のスキャットがチラリ。テープ操作による初めての試みとのことで貴重な録音なのでしょうか。
 もう一回聴き直しても飽きない録音でした。それどころかライナーノーツ等を見ながらの曲の背景などを確かめながらの聴いていると賢くなったような気がします。ベトナム戦争や人種差別の社会的な背景を強く思うところもありますが、悲劇ではない古き良きブルースとアメリカの歴史が、ここに在るようです🎵

trumpet, vocals : Louis Armstrong
trombone : Trummy Young
clarinet : Barney Bigard
piano : Billy Kyle
double bass : Arvell Shaw
drums : Barrett Deems
vocals : Velma Middleton

recorded in 7-12-1954 (3,4,5,7,8,10),  7-13-1954 (1,6,11), 7-14-1954 (2,9)

producer : George Avakian

1. St. Louis Blues (Handy)
2. Yellow Dog Blues (Handy)
3. Loveless Love (Handy) 
4. Aunt Hagar's Blues (Brymn, Handy)
5. Long Gone (From The Bowlin' Green) (Handy, Chris Smith)
6. The Memphis Blues (Or Mister Crump) (Handy, George A. Norton) 
7. Beale Street Blues (Handy) 
8. Ole Miss Blues (Handy) 
9. Chantez Les Bas (Sing 'Em Low) (Handy) 
10. Hesitating Blues (Handy) 
11. Atlanta Blues (Make Me One Pallet on Your Floor) (Dave Elman, Handy) 





  

2024年5月19日日曜日

Special Others / Have A Nice Day


 古本屋の中古CDコーナーで見つけた時には全く知らないバンドで、試しに買ってみて聴いたら良い味が出てたんですね。ジャケ買いではありません。まぐれ当たりのアルバムです。2006年デビューで日本武道館もやってて、未だ現役続行中のバンドで、元気があってパッションがいいですよね。
 一発当ててやろうではなく、おそらく音楽やりたくて好きな音を出してたらこうなったんだなって雰囲気があり、ジャムバンドってやつですか。ヤジオはこういうのも割と好みで、ライブは行かないかもしれないけど応援します。宣伝します。バンドは未だ続いているようでHPも紹介しときます。


 4人が出会ったのは高校1年生で、全員が軽音楽部に所属し、授業が終わって集まっては、弾き語りや歌謡曲のコピーをしていたそうで、その「放課後がずっと続いてる」とのことでうらやましい限り。


 ポップスやロックのようでありながら、盛り上げ方はジャズ的なところもありますが、これ見よがしなテクニック・バリバリのソロで盛り上げることも無いため、一聴して演奏技術が凄いと思わせるようなものでもありません。またインスト・バンドではあるけど肉声を楽器のように使っていたりもします。おそらく一つのテーマを決めてから、いかに自分たちが気持ちよくなれるかを重視している結果なんでしょうが、ちょうどよい具合に私のような感性のものにも訴えかけてくれます。とは言えあまりこっち系は聞かないんで他に日本の若いバンドにこういったサウンドづくりをするんでしょうか。メロディー的には、はるか昔に私が名古屋に勤務していた頃に知り合った 24 Two Four というバンド(歌もの)がジャンルは違うけどこんな感じのサウンドだったような記憶があります。
 どの曲が好きというよりはアルバムの雰囲気が良い感じなので通してアルバムを聴くことをお勧めします。楽曲名に全て大文字のものと大文字と小文字入りのものがありますが何か意味があるんでしょう🎵

drums : 宮原"TOYIN"良太
bass : 又吉"SEGUN"優也
guitar : 柳下"DAYO"武史
keyboads : 芹澤"REMI"優真

recorded at Victor Aoyama Studio March 6-10 June 19-22 August 1-5 2012
produced by Special Others

1. ROOT
2. ORION
3. Raindrops
4. ORGAN BASS
5. Hawaiian Secret Beat
6. barrel
7. Dance Festival
8. Provence
9. Have a Nice Day
    +
DVD ものすごい規模の全米ツアー!?


ORION



  

2024年5月18日土曜日

Eric Clapton / Clapton


 想像ですが「レコード会社と契約もあるし、どうせつくるなら自分が好きな音楽をやりたくって、いつものメンツに声かけたら皆が参加したいってことになったぜ」って感じでしょうか。流行りのロックよりブルース色を押し出し、Clapton の趣味を強く感じる作品となっています。全15曲のうち Clapton の作曲は Run Back to Your Side のみで他は全てカバーとなっています。私も知っている大物は、Sheryl Crow、Derek Trucks、J. J. Cale、Allen Toussaint、Wynton Marsalis などですがレコーディング・メンバーの多さにはビックリです。予定の調整も大変だろうしギャラだけでも物凄い金額となったことと思われますので、売れるのが確定のロックスターでありポップスターの地位を確立したアーチストでなければ出来ないプロジェクトですね。


 それでは、レビューしていきましょう。Travelin' Alone 1952年の Lil' Son Jackson のワンコードのブルースですがロック調にして最初は重いのを持ってきてます。Rocking Chair 1956年の Hoagy Carmichael のカバーで、ゆったりとしたカントリー・ブルースです。ここら辺は Clapton の得意技ですね。この手のブルースはどれも似たような曲と思う人も多いかと思いますが、丁寧に作ると違いが明確に出てきます。River Runs Deep は、生きてるミュージシャンの中で Clapton が最も多くカバーしたと思われるタルサ・サウンドでスタイルは laid back と呼ばれている J.J. Cale の楽曲です。この録音の2010年は存命ですが、2013年に心臓発作で他界され追悼アルバム The Breeze An Appreciation Of JJ Cale  を Clapton は録音しています。ちなみにタルサはオクラホマ州の地方の名前。Judgement Day これも1956年の Snooky Pryor のブルース。最後の審判などと物騒な曲名ですが最後の審判が下る日は皆で騒いじゃおう的な明るいロックンロール・タイプのブルース。How Deep Is the Ocean 1932年の Irving Berlin のポップスのカバーです。この作曲家の作品はジャズでも見ますね。この曲はバックにストリングスが入ってます。The London Session Orchestra ってなってますが、録音はアメリカですから呼び寄せたのか?オケだけはイギリスなのか?どうでも良いですが、ふと気になりました。My Very Good Friend the Milkman は、1934年の Harold Spina 作品。My very good friend the milkman says That I've been losing too much sleep He doesn't like the hours I keep He suggests that you should marry me Ah, turn it loose! と曲調と同様に、牛飼いの少年の物語の歌で、最後はハッピーエンドになっているのが演奏だけでわかりました。Can't Hold Out Much Longer は、硬派なブルース作曲者の Walter Jacobs=Little Walter ですから。That's No Way to Get Along 1930年の Robert Wilkins 戦前ブルースですがデレク&ドミノス風のアレンジが新し曲になっています。Clapton のスライドがワンポイントだけですがカッコ良いんですね。さすがツボを押さえてます。Everything Will Be Alright そして J.J. Cale の曲ですがアーバンな感じのブルースにしています。ですが曲は  J.J. Cale 節があります。Diamonds Made from Rain は、この曲の為の書下ろしですね。Doyle Bramhall II, Nikka Costa, Justin Stanley の切ない曲です。When Somebody Thinks You're Wonderful は、またもや1936年に逆戻り Harry M. Woods のカバーです。それにしても Clapton は、こういった昔の楽曲の焼き直しが上手い。ブルースを残しつつ、ある程度現代手法のポップに味付け。Hard Times Blues 1935年のシカゴブルース Lane Hardin のカバーです。このブルースは当時のブルースでよくあるリフ・パターンを、そのまま使っているのがこだわりでしょうか。古いブルースを聴いてたり、やってみようとすると、なんだこれは?ってヤツです。 Run Back to Your Side ここでオリジナルになりますが、セッション用のブルースですね。そして最後は Autumn Leaves で、昔のロック雑誌に「これがクラプトンの枯葉だ」的に書かれたスコアが掲載されていましたが、私には場末の酒場のカラオケに聞こえてしまいます。ポップス歌手としても通用するところを見せたかったと言うよりはホントにやってみたかったんだと思われますがボーカル無しにするとかでも良かったんでは無いかと思う次第です。
 軽く聴いてきたのですが、じっくり聴き直すと中々の重量感があるアルバムで、楽しかったです🎵

Eric Clapton : vocals, guitar, mandolin (12)
Doyle Bramhall II : guitar (1, 4, 7, 10, 12, 13, 15), vocal arrangement (4), hi-hat (7), guitar solo (8, 12), percussion (8), vocals (10)
Derek Trucks : slide guitar (2), guitar (3)
J. J. Cale : guitar (3, 8), vocals (3, 8, 9)
Greg Leisz : pedal steel guitar (3)
Walt Richmond : Hammond organ (1), acoustic piano (2, 4-15), Wurlitzer electric piano (3), keyboards (14)
James Poyser : Hammond organ (3, 8)
Allen Toussaint : acoustic piano (6, 11)
Steve Riley : accordion (8)
Paul Carrack : Hammond organ (9)
Sereca Henderson : organ (10)
Willie Weeks : bass guitar (1, 4, 8, 9, 10, 13), double bass (2, 3, 5, 7, 12, 14, 15)
Chris Severan : double bass (6, 11)
Jim Keltner : drums (1, 4, 5, 7, 8, 10, 12, 13), percussion (1, 8, 12, 13)
Abe Laboriel Jr. : drums (2, 14)
Jeremy Stacey : drums (3, 10)
Justin Stanley : drums (3), additional percussion (8), horn arrangements (10)
Herman Labeaux : drums (6, 11)
Cayetano "Tanio" Hingle : bass drum (6, 11), cymbal (6, 11), clarinet (8)
Jason Moeller : drums (15)
David Guy : horn arrangements (3)
Neal Sugarman : tenor saxophone (3)
Leon Michaels : trumpet (3)
Thomas Brenneck : horns (3)
Kim Wilson : harmonica (4, 7, 15)
Wynton Marsalis : trumpet (5, 6, 11)
Troy Andrews : trombone (6, 11), trumpet (6, 11), bass drum (8)
Matt Pyreem : tuba (6, 11)
Michael White : clarinet (6, 11)
Clarenee Slaughter : baritone saxophone (8)
Bruce Brackman : sousaphone (8)
Edward Lee : tenor saxophone (8)
Tim Callagan : trombone (8), trumpet (8)
Dan Ostreicher : horns (8)
Sherrell Chenier Mouton : washboard (8)
Tim Izo Orindgreff : saxophone (9, 10)
Elizabeth Lea : trombone (9, 10)
Printz Board : trumpet (9, 10)
Nick Ingman : string arrangements (1-9, 11-14), conductor
Patrick Warren : string arrangements (10)
The London Session Orchestra : strings (3, 5, 9, 10, 14)
Perry Montague-Mason : concertmaster
Nikka Costa : backing vocals (2, 10, 13)
Terry Evans : backing vocals (4, 8)
Willie Green, Jr. : backing vocals (4, 8)
Arnold McCuller : backing vocals (4, 8)
Lynn Mabry : backing vocals (10, 13)
Debra Parsons : backing vocals (10, 13)
Sheryl Crow : vocals (10)
Arnold Kłymkiw : vocals (15)

producers : Eric Clapton, Doyle Bramhall II , Justin Stanley (10).

Los Angeles Sessions recorded at Ocean Way Recording, Hollywood
New Orleans Sessions recorded at Piety Street Studios, New Orleans

1. Travelin' Alone (Lil' Son Jackson)
2. Rocking Chair (Hoagy Carmichael) 
3. River Runs Deep (J.J. Cale)
4. Judgement Day (Snooky Pryor) 
5. How Deep Is the Ocean (Irving Berlin) 
6. My Very Good Friend the Milkman (Lyrics: Johnny Burke, Music: Harold Spina) 
7. Can't Hold Out Much Longer (Walter Jacobs) 
8. That's No Way to Get Along (Robert Wilkins) 
9. Everything Will Be Alright (J.J. Cale) 
10. Diamonds Made from Rain (Doyle Bramhall II, Nikka Costa, Justin Stanley) 
11. When Somebody Thinks You're Wonderful (Harry M. Woods) 
12. Hard Times Blues (Lane Hardin) 
13. Run Back to Your Side (Bramhall, Eric Clapton)
14. Autumn Leaves (Joseph Kosma, Johnny Mercer, Jacques Prévert) 





  

2024年5月12日日曜日

John Mellencamp / Human Wheels


 デビュー当時は、John Cougar(ジョンクーガー)でしたが、1983年に John Cougar Mellencamp(ジョン・クーガー・メレンキャンプ)と改名。そして1991年にJohn Mellencamp(ジョン・メレンキャンプ)になったのですが、この最後の名前が本名とのこと。Wikiを見てたら2018年、女優のメグ・ライアンとの婚約と書いてありますが結婚とは書いてありません。
 John Cougar Mellencamp の頃は、80年代のアメリカン・ロックの代表のイメージで、ブライアン・アダムスの兄貴分のような少しガサガサしたストレートなロックをやっている印象でした。しかしこのアルバムでは全く変わってしまってライトでリズムがデジタルっぽい。悪くはないけど昔のアメリカンロック的なイメージでいてほしかったでは無かったのが残念。

 アルバムの中身としても、これは何やらカラッとはしていない、重めのア曲が多くタイトル トラック Human Wheels は、メレンキャンプの友人であるジョージ グリーンの祖父の死に際し、メレンキャンプが墓の場所で贈った詩から作った曲。また When Jesus Left Birmingham 「イエスがバーミンガムを去ったとき」なんて曲名が1曲目からかなり重めです。また、アコーディオンなどの担当の John Cascella は、このアルバムのレコーディングの途中で亡くなってしまったので、アルバムは彼に捧げられてもいるとのことで、それも重めな原因でもあるのでしょうか。
 しかし、この John Mellencamp の12枚目となるこのアルバム。ビルボードで最高7位のヒット。シングル What If I Came Knocking は ヒットチャートで2週間トップにはなったとのことで結構売れていたようです🎵

vocals : John Mellencamp
accordion, organ, backing vocals, whistle (Penny), melodica : John Cascella
violin, mandolin, whistle (Penny), zither, backing vocals : Lisa Germano
backing vocals, accordion, maracas : Pat Peterson
organ, guitar, harmonica, synthesizer : Malcolm Burn
guitar(6), keyboards, bass(1 to 7, 9, 10), backing vocals: Toby Myers
electric guitar, acoustic guitar, baritone guitar, mandolin, bass : David Grissom
electric guitar, acoustic guitar, dobro, dulcimer, backing vocals : Mike Wanchic
drums, bongos, djembe, congas, maracas, claves, shaker, tambourine, rainstick, guiro, percussion (Metal) : Kenny Aronoff

producer : David Leonard, John Mellencamp, Malcolm Burn, Michael Wanchic
recorded and mixed at: Belmont Mall, Belmont, Indiana

John Cascella played on about half of this record before his death.
This record is dedicated to John Cascella. April 29, 1947 - November 14, 1992

1. When Jesus Left Birmingham
2.  Junior
3.  Human Wheels
4.  Beige To Beige
5.  Case 795 (The Family)
6.  Suzanne And The Jewels
7.  Sweet Evening Breeze
8.  What If I Came Knocking
9.  French Shoes
10. To The River





  

2024年5月11日土曜日

Hank Jones / 'Bop Redux

 


 ドアップの顔写真が指名手配犯のポスターのように見えてしまうジャケットで、あまり芸術的センスは意識していない感じですが、Charlie Parker、Thelonious Monk の人気曲を収録した「Bop」なアルバム。Redux は日本語で戻ってきたって意味なので「帰ってきたバップ野郎」みたいなネーミングでしょうか。
 Hank、Thad 、Elvin の Jones3兄弟の長男である Hank Jones は落ち着いたピアニストの印象です。3兄弟の演奏は聴きているものの、リーダーアルバムの購入はしていないのでこれが初です。ちなみに所有のものの中で参加アルバムは Zoot Sims and Bob Brookmeyer / Tonite's Music Today + WhooeeeWes Mongomery / Road SongBillie Holiday / Last RecordingCannonball Adderley / Somethin' ElsePaul Chambers / Bass On Top など
 

 それではレビューです。最初は Charlie Parker の Yardbird Suite で、分かりやすいフレーズで正調、品行方正な仕上がり。この曲を聴いていると、裏にA列車 の進行を感じてしまいます。一度思い始めると止まりません。次も Parker の人気ナンバー。Confirmation こちらについても非常に正調でアドリブの起承転結をしっかり構成しながら全体を組み立てていることが良くわかる模範的な演奏かと思います。3曲目は Monk です。Ruby, My Dear。モンクっぽいフレージングなんか全くしないところが、いかにも頑固オヤジな演奏です。Relaxin' with Lee は再び Parker。景気よく機嫌よく演奏されているのかと思われる基本に忠実な進行でベースソロや、4バースは定番のパターン。次いでは Bloomdido B♭のブルースでこれも Parker。Relaxin' with Lee と、この曲は Monk、Jones の両人が参加した Bird and Days で演奏されていた曲とのこと。購入リストに入れておく必要ありますね。そして Round Midnight は、言わずもがなの Monk です。私も大好きなスタンダードでメロディ0が、とてもロマンティックなところが大好きです。Jones は、ここも淡々と弾くのでクラシックみたいな感じさえします。Moose the Mooche は、Parker に戻ります。Parker の曲は盛り上げ役的に使っているのか。ここでは上げてきます。このアルバムで一番スリリングな演奏になるような感じがします。最後は Monk の Monk's Mood となります。原曲とは違った趣の曲にしています。モンクらしさは全く入れていないのが頑固とも思えますが、モンクの中で描いた元曲は本来はこういった感じで Monk が演奏するときに頭の中で変換して、あの演奏にしていたのかと思える美しい曲になっています。
 古臭さは感じるものの、その中に古き良き美しさもあるかと思う一枚でした。正調ピアノ・トリオを聴きたければ、これはお勧め🎵

piano : Hank Jones
bass : George Duvivier
drums : Ben Riley

producer : Fred Seibert

recorded at CI Recording, NYC January 18 & 19, 1977

1. Yardbird Suite
2. Confirmation
3. Ruby, My Dear
4. Relaxin' With Lee
5. Bloomdido
6. 'Round Midnight
7. Moose The Mooche
8. Monk's Mood





  

2024年5月10日金曜日

The Dave Brubeck Quartet / Time Out

 

 Take Five は、大学でジャズ研に入った初期段階で知ったジャズの入門曲。Dave Brubeck を深く聴いたことは無いけれど、その存在はあまりに有名です。中古CD屋で見つけた時には、これがあの Take Five の収録アルバムなら、そりゃあ聴いとかないといかんなと購入したはずです。購入したまま、しばらく寝かせておいて最近聴いたアルバムとなります。
 いきつけの音が好きの集う「おでんバー」に持って行くと、懐かしいの声が上がりますが、中身を皆さん覚えているかと言うと、やはり Take Five しか記憶にないようで「あれ、こんなアルバムだったっけ」と新鮮だったようです。メンバーもベースの Eugene Wright は初耳ですが、ドラムは Joe Morrello、サックスは Paul Desmond と私にとっても新鮮です。


 と言うことで、レビューです。Blue Rondo A La Turk 邦題でトルコ風ロンドです。ロンドって何か小学生の音楽の時間とかで聞いたことあるような気がしますが、覚えていませんので調べてみると「異なる旋律を挟みながら、同じ旋律(ロンド主題)を何度も繰り返す形式」とのこと、なるほど出だしは9/8拍子のクラシック風のテーマがトルコ風、アドリブは4拍子のロンド形式なのでトルコ風ロンド。これを書くために改めて気づきました。仕掛けてきてます。Strange Meadow Lark まるでピアノソロ曲だなと思っているとイントロが長かっただけでした。ここでも仕掛けてきてますね。Take Five 作曲は Paul Desmond なんですね。Dave Brubeck かと思っていました。4/5拍子を使っているので Take Five です。何故この曲が出来たのか調べてみると「ブルーベックが、米国務省主催のユーラシア大陸ツアー中に、トルコでブルガリア音楽の影響を受けたストリートミュージシャングループが演奏するトルコの伝統的な民謡が、西洋の音楽には珍しい9/8拍子で演奏されるのを見たときである。地元のオーケストラの音楽家からこの形式を学んだ後、ブルーベックはジャズの4/4の通常のリズムから外れて、海外で経験した、よりエキゾチックなスタイルで実験的アルバムを作成することとなった」なるほど Blue Rondo A La Turk も含めて、トルコ音楽の影響を受けて作成されたわけですか。Three To Get Ready 軽やかなワルツ・ナンバーです。ジャズですが Dave Brubeck はクラシックに造詣が深いような感じがしますね。Kathy's Waltz Dave Brubeck の娘の名前が由来の曲で難しいところは無い。可愛らしい曲になっています。Everybody's Jumpin' ジャンプするようなコードの左手連打が曲の由来なのでしょう。連打ですが上品です。Pick Up Sticks 6/4拍子の曲となっています。アルバムの中で最もグルービーでジャズ・コンボらしく聞こえる曲ですが、さりげなく、これも仕掛けていますね。
 アルバムを真剣に聴き直すまでは、Take Five だけが突出しているのかと思っていましたが、実は様々なリズム的な仕掛けが施されているアルバムでした🎵

piano : Dave Brubeck
bass : Eugene Wright
drums : Joe Morrello
alto sax : Paul Desmond

producer : Teo Macero
written by  D. Brubeck (1, 2, 4 to 7), P. Desmond (3)

artwork : Sheil Fujita

1. Blue Rondo A La Turk
2. Strange Meadow Lark
3. Take Five
4. Three To Get Ready
5. Kathy's Waltz
6. Everybody's Jumpin'
7. Pick Up Sticks