こういったレア盤を見つけると何か心躍るものがあります。1992年5月12日に高円寺のJIROKICHI にて収録された吾妻光良、梅津和時のセッションに緊急参加のジャズ・ファンク界の誇るハモンド・オルガン奏者 Lonnie Smith をフューチャーしたセッションです。
Lonnie Smith と言えば、ターバン姿と白熱の鍵盤さばきがトレードマーク。ジミー・スミスやラリー・ヤングなど伝説的名手のスピリットを継承しながら、今日のオルガン・ジャズを描き続ける名匠です。2021年9月28日に肺疾患の肺線維症のため、フロリダ州フォート・ローダデールの自宅で79歳で逝去されています。
アルバムの情報としてはCDのライナー・ノーツが頼りで、栗山太郎という方がピーター・バラカンさんのラジオ放送向けに宛てた手紙がもとになっています。さてこのライブ Lonnie Smith が参加する雑誌などの告知が一切ないライブだったそうで、1部終了後2部の途中で Lonnie Smith が到着して参加、3部ではメンバーが変わって Lonnie Smith が主役になった編成で登場。ハモンドとレスリースピーカーから大音量で響き渡った瞬間に鳥肌がたったそうです。1曲目の Slouchin' は、BlueNote 時代のアルバム Think! 等で有名な曲で、これは予定通りの演奏だったものの、その後は自分のやりたい曲を弾き始めるのでメンバーはついてゆくのが大変だったとか。曲順は、Willow Weep For Me、Milestone、Satin Doll でその後はブルース・ジャムだったそうです。このアルバムでは、Willow Weep For Me は残念ながら収録されていません。アルバムでは演奏曲順と収録曲順は異なるようで、2曲目は Satin Doll で、これはメンバーも演奏はしやすい曲でしょう。3曲目 Skin Games 4曲目 Blue Turban はロニーのオリジナルとなっているのですが、これが手紙に書かれていた即興のブルース・ジャムにあたるような感じがします。Skin Games では、吾妻光良 のギターは比較的クリーンな音でジャズ・ブルースっぽい感じですが、Blue Turban はスローなブルースですが、ほぼR&Bのギタリストになりきっています。後半は激しい歪みを加えて盛り上がる大団円が嬉しい。そして最後は Milestone ですが、気合が入りすぎているのか、テーマ部分のホーンが走り気味になってロニーがそれを抑えながら弾く部分もあったりするのがライブって感じで良いです。全体としても、くどいメンバーの熱い演奏が最高で強烈な印象です。JIROKICHI は、それほど広くないライブハウスですので、この大迫力ライブが直ぐ近くで見れてお客さんは幸せだったに違いない🎵
organ : Lonnie Smith
guitar : 吾妻光良 Mitsuyoshi Azuma
drums : 佐野康夫 Yasuo Sano
alto sax : 梅津和時 Kazutoki Umezu
tenor sax : 片山広明 Hiroaki Katayama
producer : Isao Washizu
live recorded at Koenji "Jirokichi", may 12, 1992.
1. Slouchin'
2. Satin Doll
3. Skin Games
4. Blue Turban
5. Milestones