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2023年2月18日土曜日

Sound of Blackness / Africa To America


 Africa to America, the journey of the drum!
「アフリカからアメリカへドラムと共にやってきた」のタイトルで民族音楽を連想しましたが、ゴスペルを基調とした、クワイア40名のゴスペル10人編成のアメリカのアーバン・コンテンポラリー・アンサンブル・グループです。
 結成は1969年でミネソタ州セントポールの Macalester College(マカレスター大学)にて結成されたグループで Macalester College OF Black Voices であったものが、1971年に Gary Hines がアンサンブルの統制をとり、Sound of Blackness の名前となったそうです。


 アルバムは重厚なコーラスを基調とした現代的なバンド演奏です。レビューしときます。Hold On(Pt.1)はアフリカをイメージさせるパーカッションとゴスペルの荘厳なコーラスに続くイントロ。I'm Going All The Way は宗教的ではないダンサブルなナンバーで困難があっても頑張ってクリアーしていこうという曲。リードボーカルは Ann Nesby でパワフルで粘りと伸びのある歌声です。Ah Been 'Buked(Pt.1) の、ゴスペルの短いコーラスを挟んで、シングルにもなってヒットした I Believe。プログラミングしたリズムを用いたモダンなサウンドですが、ブランニューあたりで聴いたことのあるようなメロディーな気もするのですが見つかりませんでした。気のせいか?Hold On(Pt.2) のゴスペル・コーラスを挟んで、Everything Is Gonna Be Alright で、また人生への応援歌のような歌詞のモダンなナンバーで元気がでます。Sun Up To Sundown は、アフリカンな雰囲気のコーラスでつなぎをゴスペルから変えてきています。The Lord Will Make A Way はゆったりとしたブルージーな曲ですが、ここへきて宗教的な歌詞です。淡々と歌い上げ叫ぶボーカルがカッコ良い。ここでつなぎの曲は無く、He Took Away All My Pain 牧歌的なAORの雰囲気漂う元気ソングです。A Place In My Heart でバラードきました。美しいメロディーで伸びやかな歌声でかなり気分は盛り上がります。The Harder They Are The Bigger They Fall は,エレクトリック・ファンクで、やっぱりバラードの後はこうなる鉄板の展開でソウルフル&パワフルです。そしてテーマである The Drum (Africa To America)は,パーカッションにナレーションとコーラス。テーマ部分の響きは Kibbles and Bits で歌詞は違いますがジョージの孫が歌っているフレーズにそっくりだったのが気になってしょうがない。続く African Medley(Royal Kingdoms, Rise, My Native Land)でテーマのアフリカが続きます。映画で使われそうな,アフリカを想起させるコーラスとパーカッションの曲で深いです。A Very Special Love はブラコン的なバラードで穏やかにう歌い上げてロマンチックです。Strange Fruit はアカペラで,カバーだそうでビリー・ホリデイの持ち歌でもあった黒人差別を告発する哀歌とのこと。Black Butterfly は,ミドルテンポのブラコン的な楽曲でミュート・トランペットがオブリガードします。Livin' The Blues は,ブルースです。やっぱりアレンジはアーバンな感じになってしまうんですね。この曲でこのアレンジは似合わないですがアルバムのコンセプトはこうですからしょうがないですか。ラストはaゴスペル Ah Been 'Buked(Pt.2)で締めくくりです。コンテンポラリーな楽曲でありながらゴスペルを基調とした重厚なコーラスで African Americanの「歴史」「精神」を相互に描いていて、たまに聞くのですが、いつでも素晴らしい傑作のお勧め盤。

Robert Anderson : vocals
Jamecia Bennett : background vocals
Robin Berry : harp
Dexter Conyers : vocals
Core Cotton : vocals
LaSalle Gabriel : guitar
Shirley Marie Graham : vocals
Trenon Graham : drums, percussion
Carrie Harrington : vocals, background vocals
Jayn Higgins : vocals
Gary Hines : arranger, drum programming, keyboards, piano
Jimmy Jam : arranger, drum programming, keyboards, synthesizer
Geoffrey Jones : vocals
Patricia Lacy : vocals
Terry Lewis : arranger
Eunique Mack : vocals
Renee McCall : vocals, background vocals
Ann Nesby : bass, vocal arrangement, vocals
Kevin Pierce : guitar
Alecia Russell : vocals
Nate Sabin : guitar
Larry Sims : trumpet
James Smith : vocals
Sounds of Blackness : instrumental, primary artist, vocals, background vocals
Billy Steele : keyboards, vocal arrangement, vocals
Jeff Taylor : drum programming
Libby Turner : vocals, background vocals
Franklin Wharton : alto sax
Kevin Whitlock : percussion
Stokley Williams : drums, percussion
Louis J. Wilson : tenor sax
Marcus Wise : tabla
David Wright III : baritone sax
Jimmy Wright : arranger, keyboards, organ, electric piano, synthesizer, vocals
Rev. Joseph Young, Jr. : rap

Gary Hines : producer
Jimmy Jam and Terry Lewis : executive producer, producer

1. Hold On(Pt.1) 
2. I'm Going All The Way 
3. Ah Been 'Buked(Pt.1) 
4. I Believe 
5. Hold On(Pt.2) 
6. Everything Is Gonna Be Alright 
7. Sun Up To Sundown 
8. The Lord Will Make A Way 
9. He Took Away All My Pain 
10. A Place In My Heart 
11. The Harder They Are The Bigger They Fall 
12. The Drum(Africa To America) 
13. Agrican Medley(Royal Kingdoms,Risek,My Native Land) 
14. A Very Special Love 
15. Strange Fruit 
16. Black Butterfly 
17. You've Taken My Blues & Gone 
18. Livin' The Blues 

2023年2月5日日曜日

Phat Phunktion / You And Me

 

 以前、Real Life .:. High Fidelity を聴いてから気にはなっていたバンドで、中古ですが、これで2枚目の購入となりました。以前のアルバムの印象は、きっちりとして切れのあるホーンアレンジでぴっちりと細かなキメで T.O.P. みたいだと言えば、その通りだが Phat Phunktion は思いっきり重量感があって硬質。一聴したところ T.O.P. 、クラブ・ジャズの熟練者のバンドであったものに今回は Hip Hop も取り込んでいる。進化したのかと思いきやアルバムは Real Life .:. High Fidelity は2011年、本アルバムは2004年であるから Real Life .:. High Fidelity の方が余計なものをそぎ落とした進化系のようであるようです。
 このバンドの略歴は、米ウィスコンシン州マディソンで1996年、大学で音楽を専攻する学生たちによって結成され、輸入盤が国内でも一部でヒットしてから国内盤でも発売されるようになったとの事。確か地元ラジオ局なんかで輸入盤をかけたところヒットした記事を見たような気がします。


 その他大きな特徴はヘビメタのような音色で鋭く切り込んでくるギターソロで、この手のファンクバンドでは珍しいですね。これに合わせるかのようにホーン部隊もキレがあるアレンジと録音になっています。
 さて曲の紹介です。Untitled (Weekend Special) ジャム・セッションとかでやっている曲なのだろうか? Untitled という曲名であり歌部分はラップを取り入れたファンクではありますが、キメの箇所あり多くラップ以外のところはメロディのある歌なので、おそらくその場でのジャムは無理だと思うのですが・・決まったパターンで曲の構成はあるけど weekend のライブの時だけ好きなソロを入れる曲名の無い曲なんだろうか? You And Me は、どっかで聴いたことのあるキーボードのバッキング・パターンにホーン・アンサンブル。コーラスに色っぽい女性のボーカルが入ってます。もしや上の写真の左後ろの女性かと Holly Brook を調べてみるともっと若い女性でした。Higher はミドル・テンポのソウルナンバーかと思ったら、またラップでした。ここら辺が今っぽくて良いと思うのか、アンバランスと思うのかは意見の分かれるところでしょう。How Do I Get Your Heart 踊れる系のファンク・チューンでソウル風のボーカルであっさりとまとめています。ギター・ソロもバランスを考えたきつすぎないフレーズで全体的にバランス良しです。Rocco は、これまたどっかで聴いたベースの打ち方とホーン・アンサンブルです。基本このパターン大好きです。歌無しのインストにしているのも良し、トランペットにワウをかけるのも良し(あの人のファンですね)最後は超高音にまで展開して欲しかったです。ギター・ソロも気合が見受けられます。Rock Star は、少し落ち着いた曲調でブラコン的な雰囲気もあるファンク。ボーカルが結構良いですがギターの人でしょうか。トロンボーン、サックスの方もボーカルとっておられるけどライナーノーツに詳しいことは書いてありません。Never Be The Same 売れ線な曲でギターが頑張ってますが頑張りすぎないでも良いと思うな。Integrity このアルバムでニ番のメロー路線でしょうか。ラップが入ってますが、これは賛否は別れずマッチしていると思います。曲調も含めて Acid Jazz ってやつでよくあるパターンですね。A Little Bit 派手さは無いけど曲としてまとまっていてセンスは良くて好きです。Red Carpet 変則技ですね。ラップも肺いて Acid Jazz ってやつです。このバンドっぽくないけど大好きの好きです。Always で正調に戻りました。ライブでみんながシーンとする曲です。一番のメロー路線です。Stand Up は締めの一曲なのでバンドも気に入っている曲を配置することが多いと思うのですが、色々な音楽性があるメンバーが気に行っている曲なんでしょうね。
 基本的に大好きなサウンドを持っているバンドなので応援したいですし、演奏技術はピカピカで、将来的に大物になる可能性はあると思うのですが器用貧乏っぽいところも感じなくはありません。他のアルバムも中古で見かけたら買います。

keyboards, vocals : Tim Whalen
guitar, vocals : Vince Jesse
guitar : Louka Patenaude (11)
bass : Jason Braatz
drums : Sheldon Allen
percussion : Pauli Ryan
alto sax, baritone sax : Dan Wallach
tenor sax, vocals : Al Falaschi
trombone, vocals : Courtney Larsen
trumpet : John Schipper (2)
vocals : Mr. Parker (8)
backing vocals : Holly Brook (2)

producer : Al Falaschi, Tim Whalen

1. Untitled (Weekend Special)
2. You And Me
3. Higher
4. How Do I Get Your Heart
5. Rocco
6. Rock Star
7. Never Be The Same
8. Integrity
9. A Little Bit
10. Red Carpet
11. Always
12. Stand Up

▶ Rocco




  

2023年2月4日土曜日

The Brand New Heavies / Brother Sister


 英・ロンドン出身で、ポップ・ジャズやクインシー系の音楽に、ファンク・テイストを強調した Acid Jazz(アシッド・ジャズ)と呼ばれる分野を牽引し、職人的な音作りファンクを愛する心が感じられるアルバムです。ただこのジャンル Acid Jazz(アシッド・ジャズ)とか、Jazz Funk(ジャズ・ファンク)、Club Jazz(クラブ・ジャズ)などとも呼ばれるようで音楽業界のセールスのためのカテゴリー用語は未だによくわからず、このタイプの音楽に Jazz(ジャズ)を絡ませたカテゴライズには若干ムリがあるんじゃないかとはいつも思っています。
 そして、このブログで所持品整理しながら見つかるジャケ写違いが発生していましたので、2枚分写真のっけときます。中身は同じだと思っていたら、なんと曲目が若干異なるようで右のバージョンには Midnight At The Oasis、Worlds Keep Spinning が入っています。でもレコード会社の策略には間違いないような気はします。
ジャケットの違いはこの違いです。
左 USバージョン Delicious Vinyl ‎ 
右 Europeバージョン FFRR


 2枚購入と言う失態はあるものの、このアルバムは全体にスローでまったり適度にファンキー全ての楽曲がシングル級の完成度で、Acid Jazz という単語に批判的なことも書きましたが他のアルバムよりも、少しジャズっぽさがあります。
 さて曲目の紹介です。Have A Good Time 楽曲の作りとしては単純なファンクで Let's all just have a good time を繰り返すナンバーだが永遠に繰り返せるぐらいのリフの力強さが魅力 Brother Sister 1曲目には参加していなかったボーカルの N'Dea の切ない歌声が最初は細い線で段々と力強く歌い上げる。タイトル曲だけに凝った作りになっています。Dream On Dreamer 一度聴くとキャッチーなメロディーと曲名のサビ部分は頭の中で繰り返される名曲で様々なアレンジを施されたバージョンが多数でているはず。Midnight At The Oasis アシッド・ジャズと言うよりこれはジャズ・ファンクと呼んだ方がしっくりくるインストファンクでキレが良いサウンドとホーン部隊のソロがなどが気持ち良い。Ten Ton Take これもホーン部隊が大活躍のインスト・ファンクで強力リズム隊がしっかりと土台を支えています。気持ち良いですね。Mind Trips で歌姫 N'Dea が舞い戻ってきます。曲に入る前に歌詞無しのハミングを入れるのがセクシーでカッコ良かったです。mind trips は got me trippin'out mind trips i can without のサビが、これまた呪文のように頭にこびりついてしまうのが魅力。Fake は掛け声?が印象的なファンクで、ライブではこの掛け声に合わせて客が飛び跳ねそうな元気いっぱいの曲。Spend Some Time も、きっちりと作りこんだ歌物でこれもきっちりと記憶に残っているメロディーが素晴らしい。Los Burritos 中休みのジャムセッションのような曲で1分くらいの小曲です。Back To Love これは懐かしい感じのする歌メロが素晴らしい曲で、男性ボーカルとともに曲が盛り上がる。Snake Hips は、リズム隊の練習曲のようでギターがギュイーンとだけしか鳴らさない。インパクトは絶大。Keep Together ここまで来ても、これだけの曲が続けて出てくるのは凄いなと最初聴いた時も思い始めた。シリアスな響きのサビとその後に出てくるピアノの高揚させてくれるコード進行とかが凄いんですよね。People Giving Love はレゲエです。でもメロディーラインはBNHです。なるほど癖になるのは、このメロディーラインにあるのかと今気づきました。Forever 重厚な低音ベースとジージーとなるようなギターの単純なバッキングが印象的です。後半になるとストリングスが入ってきてゴージャス感が増します。Day Break で最初はは爽やかに、最後は大団円のファンクで締めくくりとなります。
 何回聴いても捨て曲が無く、どこをとっても金太郎飴のように売れ線という単語が出てくる天才的なバンドです。incognite と比較してしまいがちですが、BNHの方がバンドとしてのまとまりがあります

vocals : N'Dea Davenport
guitar : Simon Bartholomew
bass : Andrew Levy
drums, Keyboards : Jan Kincaid

producer : The Brand New Heavies
written by : A. Levy (1, 2, 4 to 7, 10, 14), J. Kincaid (1, 2, 4 to 6, 9 to 14), N. Davenport (1 to 3, 5, 6, 12, 14), S. Bartholomew (1, 2, 4 to 6, 10, 12, 14)

1. Have A Good Time
2. Brother Sister
3. Dream On Dreamer
4. Ten Ton Take
5. Mind Trips
6. Fake
7. Spend Some Time
8. Los Burritos
9. Back To Love
10. Snake Hips
11. Keep Together
12. People Giving Love
13. Forever
14. Day Break

1. Have A Good Time
keyboards, backing vocals : Mike Boito
sax, backing vocals : Ray Gaskins
backing vocals : Brady Blade
backing vocals, percussion : A. Levy, J. Kincaid, N'Dea, S. Bartholomew

2.  Brother Sister
backing vocals : J. Kincaid, N'Dea
sax : Steve Williamson
trumpet : Gerard Presencer
trombone : Dennis Rollins
flugelhorn : Gerard Presencer
percussion :  TBNH

3. Dream On Dreamer
keyboards : Amp Fiddler
backing vocals, keyboards: N'Dea
flugelhorn : Gerard Presencer
flute : Mike Smith
percussion : A. Levy, Jeff Scantlebury

4. Ten Ton Take
keyboards : Max Beesley
trumpet : Kevin Robinson
sax : Mike Smith
trombone : Dennis Rollins
percussion : Jeff Scantlebury

5. Mind Trips
backing vocals : N'Dea
percussion : A. Levy, TBNH

6. Fake
backing vocals : Brady Blade
sax : Mike Smith
trumpet : Gerard Presencer
trombone : Dennis Rollins
backing vocals, percussion : A. Levy, J. Kincaid, N'Dea, S. Bartholomew

7. Spend Some Time
keyboards : Mike Boito
backing vocals : N'Dea
percussion : Jeff Scantlebury

9. Back To Love
sax : Steve Williamson
trumpet : Gerard Presencer
trombone : Dennis Rollins
percussion : Jeff Scantlebury

10. Snake Hips
sax : Mike Smith
trumpet : Gerard Presencer
trombone : Dennis Rollins
percussion :  TBNH

11. Keep Together
backing vocals : N'Dea
percussion :  S. Bartholomew

12.Pepole Giving Love  
keyboards : A. Levy
backing vocals : N'Dea
sax : Steve Williamson
trombone : Dennis Rollins
percussion : Jeff Scantlebury

13. Forever
backing vocals : N'Dea
flute : Mike Smith
percussion :  TBNH

14. Day Break
sax : Mike Smith
trombone : Dennis Rollins
trumpet : Gerard Presencer
backing vocals, percussion : A. Levy, J. Kincaid, N'Dea, S. Bartholomew



▶ Forever


  

2023年1月20日金曜日

Donald Byrd Live Cookin' With Blue Note At Montreux July 5, 1973

 

 Donald Byrd(ドナルド・バード)はトランぺッターのジャズをもっと聞いてみたいと思って結構最近になって聴き始めた人で、私の周囲にもそれほど詳しい人はいないのです。したがって年代はバラバラに聴いてみています。1955年初リーダーアルバムを発表し1955年末にはジャズメッセンジャーズにケニー・ドーハムの後がまとして入隊。ブルーノートを中心にハードバップの作品を数多く残し、1960年代はゴスペルを取り入れ1970年はファンク・ロックを取り入れるというトランぺッターにありがちな最終ファンク路線の人なので、時代ごとにアルバムごとに音楽性はかなり変化するため、ある意味買ってから聞くまではどんなものが出てくるかわからない人です。そこが面白いと最近思うんですが正体つかめないので私の周りには残念ながら愛好家は見当たりません。


 これはタワレコの新品で「全盛期の凄まじい熱量や勢いをそのままパッケージ。ジャズ・ファンのみならず全ての音楽ファン必聴のライブ盤」の帯につられての買いです。これは家で寝かせずに購入して直行で「おでんバー」で聴きました。マスターも「ジャズ・ファンクかい?好きだね、あんたも相変わらず」的な顔をしています。しばらく経ってから「これは誰?」で「誰でしょう?」とジャケットを見せてもわかりません。ドナルド・バードであることを告げると「えっ」の顔でした。ここら辺がマニアの集いの楽しいところで気分が良い。
 ということで、これを読む人にはもうわかってしまいましたが、ドナルド・バードが1973年にモントルー・ジャズ・フェスティバルに出演した際に録音されていたライヴ音源で中身はジャズ・ファンクでございます。
 1973年は傑作アルバム Black Byrd を発表しており、ライブの冒頭は Black Byrd から始まる構成となっております。コーラス・ボーカル入りのファンクで、だるそうに歌うのがカッコイイ曲です。スタジオ盤よりアップテンポになっているので、ジャズ・ファンクよりもファンクよりに聞こえます。You’ve got It Bad Girl は Stevie Wonder(スティービー・ワンダー)が作曲で Quincy Jones の同じ1973年に販売したアルバムの曲を早くも取り入れているようです。The East はバードのオリジナルですが作曲というよりセッション用のバッキングだけ用意したような曲でファンク度が高くて良いです。そして Introductions はメンバー紹介です。Introductionsだから最初にメンバー紹介をしているんでしょうか。アルバムでは真ん中に持ってきたんですね。Kwame はアフリカンな音使いのシンセ・サウンドがイントロになり7拍子でひたすら同じフレーズが繰り返されるカオスな曲でファンクに振り切れているのが凄い。Poco-Mania では、激しいギターのカッティングから始まるファンクでJBを意識している感じですが演奏に関しては先輩のJB’sに軍配は上がります。私にとってはこれは当たりで素晴らしいアルバムですが万人受けはしないかな。

★ブルーノートの社長ドン・ウォズは、今回の商品化について「2013年にバードが亡くなった直後、私たちはイギリスの著名な音楽アイコン、ジャイルズ・ピーターソンから、1973年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでの伝説的な演奏について問い合わせのメールを受け取った。なんと、そのテープはブルーノートの保管庫にしまわれていたのだ。16トラック、2インチのアナログ・マスター・テープは、ドナルド・バードの70年代の音楽がより生々しく、よりハードなものであることを明らかにしてくれた。このジャズ界の不滅のレジェンドへの特別なトリビュートとして、またブルーノートの社員と同じように、彼が残した音楽を大切にしている多くの愛好家への贈り物として、我々は誇りをもって、1973年7月5日のモントルーでのライヴ音源である本作をお届けする」とコメントしている。

trumpet, flugelhorn, vocals : Donald Byrd
electric piano : Kevin Toney
synthesizers : Larry Mizell
electric guitar : Barney Perry
electric bass : Henry Franklin
drums, vocals : Keith Killgo
congas, percussion : Ray Armando
trumpet, vocals : Fonce Mizell
tenor saxophone, flute : Allan Barnes
tenor & soprano saxophone : Nathan Davis
 
produced for release by Rachel Jones
recorded live by Chris Penycote at Montreux Jazz Festival Montreux, Switzerland,July 5,1973

1. Black Byrd
2. You’ve got It Bad Girl
3. The East
4. Introductions
5. Kwame
6. Poco-Mania





  

2023年1月13日金曜日

Soulive / Break Out


 2005年に BlueNote を離れ、Concord Records に移籍してリリースしたアルバムで、今までのインスト・ファンク路線を変更したので今までのファンが戸惑った作品ですね。作りては古いスタイルを踏襲し続ける人もいれば、新しい音を追求するための路線を変更する人もいる。ファンと言う購入者は、購入前に既に今までの昔の作り方が気に入っているためにそれを期待する人が圧倒的に多いので大幅な路線変更ではこういったことが起きるんでしょうね。作り手としては気に入らなかったら買わなきゃ良いだけの話で勝手に残念がられても迷惑な話かもしれません。そのような面倒なことが起きるのを防ぐために、この私の音楽レビュー・ブログを参考にしていただければと思います。但し基本音源と言うものは基本作り手が一生懸命作った作品ですのでネガティブな発言は避けるような言葉選びをしているのでそこは察していただければと思います。


 さて封建派からは酷評されることも多いこのアルバム、今までののジャズ・フォーマットから離れて Soul/R&B 色が強め、多数のボーカリストを起用しています。でもバンドの基本フォーマットはオルガン、ギター、ドラムのスタイルにブラスを追加した音作りで、ジミヘンの Crosstown Traffic なんかも持ってきているのは昔のギター小僧なら嬉しい曲も入っています。ちなみにこのアルバムはアメリカと日本発売の中身は曲順や曲目が微妙に違うようですが私は日本版だけ所有しとります。曲によっては長さも違うのでおそらくアレンジとかも変えてきているんでしょう。
 それでは嘆き悲しむよりも、このアルバムの良さを探りましょう。出だしの Reverb は今までの Soulive の路線は引き継いでいて違和感なく安心して聴けます。久しぶりにこのバンドを聴くと改めてオルガンの足で踏むペダルのベースって弦楽器よりもパンチが効いてて気持ち良いですね。ギターのリフもソロも良いではないですか。次いで Got Soul ではボーカル  Ivan Neville のソウルものになっています。曲はソウル何ですが演奏はアレンジはデジタルな感じの処理でイントロから「おや?」と思った人もここら辺から多いのかな。Cachaca は、フラメンコ風のアコースティック・ギターのイントロにリズム・ボックスっぽいドラミング。曲はスペイン風の旋律が取り入れられていますがここらへんの手法は他のアルバムでもあったような気がします。Back Again はいつもの Soulive ではありませんが低音でズシズシと刻みながら一流のボーカルを配した中々の売れ筋の作りです。Break Out ではいつものパターンに戻ってきてホッとします。シンプルながらメロディーの良さが光るインスト・ジャズ・ファンクです。She's はボーカルに Reggie Watts を起用したポップなセンスが光ります。プリンス入ってるかなあ。Vapor は少しいつもの Soulive よりポップ寄りのジャズ・ファンク。これは良い! Crosstown Traffic は言わずもがなジミヘンです。ダサ目のギターがカッコ良いですなあ。What Can You Do はバラードで Robert Randolph のpedal steel を起用でペダルのベースのカッコよさが際立ちます。Headphones はライブ風な音作りのジャズ・ファンクでいつもの奴です。ガシャガシャしてるけど落ち着く・・Left Behind は戻ってきました Soulive って感じでボーカルものではありますがガシガシとしたリズムが堪らんです。Glad Ta Know Ya も Cochemea Gastelum のサックス入りでコテコテのギター・ソロがたまりません。楽曲良さというより単純なカッコ良いリフの勝利。Crosstown Reprise はがっちり Robert Randolph のペダルが暴れます。最高です。Take It Easy は Ivan Neville をボーカルに廃しての楽曲ですがしっかり "Soulive!"
 結局よく聞いてみたら様々なタイプの楽曲が入っていますが本質は "Soulive”でしたね。異色ではあるけど期待が外れたと騒ぐほどの変質はないんではないかい? 
 しかしですね続きあります。このレーベルは1枚で2007年にスタックス・レコード移籍で「No Place Like Soul」1枚で終了。2009年以降はロイヤル・ファミリー移籍で「Up Here」発表以降落ち着いているようです。

electric guitar, acoustic guitar : Eric Krasno
organ , keyboards , clavinet, piano : Neal Evans
drums : Alan Evans

percussion : Daniel Sadownick
tenor sax, alto sax : Ryan Zoidis
trombone : Lasim Richards (5) , Robin Eubanks
trumpet : Rashawn Ross
backing vocals : Jordan Battiste (8)

producer : Alan Evans, Eric Krasno, Soulive

recorded : New York, NY
released : September 13, 2005.

1. Reverb
2. Got Soul / Feat  Ivan Neville
3. Cachaca
4. Back Again / Feat  Chaka Khan
5. Break Out
6. She's / Feat Reggie Watts
7. Vapor
8. Crosstown Traffic / Feat : Robert Randolph
9. What Can You Do / Feat Reggie Watts
10. Headphones
11. Left Behind / Feat Reggie Watts
12. Glad Ta Know Ya / Feat : Cochemea Gastelum
13. Crosstown Reprise / Feat : Robert Randolph
14. Take It Easy / Feat Ivan Neville




▶ Vapor



  

2023年1月7日土曜日

Nina Simone / Silk & Soul

 

 行きつけの「おでんバー」のジャズ・アルバムは聴いたことがある程度で、ほぼ名前だけ知っている程度だったのですがボーカルものも開拓しているので気になってディスク・ユニオンで中古で購入です。確かジャズの棚にあったのですがバリバリにソウルです。
 これを最初に聴いていたのは、行きつけの「おでんバー」でマスターと私の二人だけのまったりとした時で、かけ始めると「ウハっ」と声がでてしまうような迫力のボーカルで、マスターもソウルでも「やっぱりすごいね」の感想。「すごいね」の中身は迫力です。しばらくすると常連のKさんが入ってきて「ソウルですか、なかなか渋いとこですね」しばらくしてから机の上のジャケットを見て「ウヘっ女性ですか?」「ああニーナ・シモン」とかなりの強い反応でした。新しいのを店でかけて、こだわりの強いマスターや常連さんの反応を見るのが楽しみでもありますので、この手のアルバムは中々効果は絶大で愉快です。


 さてあまりよく知らない Nina Simone(ニーナ・シモン)なので経歴をググって見るとアフロアメリカンのジャズ歌手、フォーク、ブルース、R&B、ゴスペル歌手、ピアニスト、公民権活動家、市民運動家とのことで、守備範囲はかなり広いようです。4歳からピアノを弾き始めクラシック音楽のトレーニングで有名なジュリアード音楽院でレッスンを受けたとあり、音楽エリートかと思いきやカーティス音楽学校への進学を試みたが断られる。50年代前半のことであり、黒人であったために差別された疑いがある。とのこと才能があってもこの時代は黒人の方はまだまだ大変な時代ですね。しかし1954年にはアトランティック・シティのアイリッシュ・バーで、ピアノを弾くことになり1957年にベツレヘム・レコードから Nina Simone And Her Friends と言うジャズ・アルバムでデビューからのスタート。
 本アルバムは1967年のレコーディングですから、かなりキャリアを積んだ時点でのアルバムになります。時代的には、Aretha Franklin(アレサ・フランクリン) が I Never Loved A Man The Way I Love YouAretha Arrives などでヒットを飛ばした頃なので、かなりアレサを意識してのレコード会社も期待のアルバムだったに違いありません。
 他の作品はあまり聴いていないので、よく知らないのですが、このアルバムはいつも彼女よりも明るい異色作であり屈指のSoulアルバムであるとのこと。つまりこれを期待して他のアルバムを購入すると痛い目にあうと言うことですか(それも面白い)
 さてレビューしていくと It Be's That Way Sometime は当然のパワフル・ボーカルでバンドの演奏も時代を反映するホーン入りのソウルがカッコ良い。と思いながらメンバーを見ると Eric Gale(エリック・ゲイル)がギターにいます。ここにも居たかって感じですね。ヒット作には、かなりの確率で登場します。The Look Of Love は、音量抑え気味で渋い感じです(奥村チヨまでがカバーもしているらしい)Go To Hell は、明るく怖い声で、地獄へ行けと命じられてしまいホーン部隊のパンチを効かせたヒット音は銃撃のようです。Love O' Love はゴスペル調に歌い上げます。プロテスト・ソングかとも思いましたがラブ・ソングでもないかな。人類愛みたいな感じでしょうか。Cherish はヒット曲のカバーでマルチ録音での彼女のデュエット・ボーカルが効いているソフトロックでザ・フーとかでも出てきそうなメロディ。I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free はソウルに戻りますが最初はソフトに次第に盛り上がりながら熱を帯びてくる典型的な盛り上がりが素晴らしいパフォーマンス。Turn Me On は、少し古臭いブルースを思わせるクラシック・ソウル・バラード。Turning Point はハープシコードを入れたフォーク調の曲でストレートな歌声が素朴な優しいおばさんが歌っている感じで彼女っぽくはないけど好きですね。Some Say はモータウン風なアレンジの曲でリズミックで楽しい。Consummation は彼女の作品でバッハ風フーガに基づいているけれどソウルフルな愛の歌で聴かせてくれます。
 流して聴いている時には粗野で男性的なイメージがありましたが聴きこんでいくと、きめ細やかに作りこんいる作品と感じることが出来ました。なるほどアルバム名も Silk &  Soul ですか。良い作品です。声は怖いけど・・

piano, vocals : Nina Simone
piano, harpsichord : Ernie Hayes
guitar : Eric Gale, Rudy Stevenson
bass : Gene Taylor
drums : Bernard Purdie
arrangements, conductor : Sammy Lowe 

producer : Danny Davis

recorded june 12, 21, august 25,26, 1967

1. It Be's That Way Sometime
2. The Look Of Love
3. Go To Hell
4. Love O' Love
5. Cherish
6. I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free
7. Turn Me On
8. Turning Point
9. Some Say
10. Consummation





  

2023年1月3日火曜日

Tower Of Power / Live And Living Color


 今までこのアルバムは何百回聴いたんだろう?と記憶にないくらい聴きたおした名アルバムです。若い時に早朝釣りにく車の中で大きめの音量で聴いていたことが多かったような気がします。今ではタワー・オブ・パワー(T.O.P.) のライブ盤も数多くでているようですが、当時はこれぐらいしか出ていなかったように思います。私自身も生で見たのは1回しかなく、2015年の札幌シティ・ジャズフェスの芸術の森ステージでした。Down To The Nightclub などで始まり、お決まりの名曲も目白押しでしたが、ここでも聴かれるフレーズなどとも全く同一アレンジですし、次のキメはあれで・・ ここでこのセリフが・・という記憶と期待は、全て忠実に再現していただいておりました思わずニンマリしてしまいました。歴史が詰まった伝統芸なのですね。きっと、これは何回見ても飽きることはないんでしょう。


 本アルバムはタワー・オブ・パワー全盛期=ワーナー時代の最後1976年にリリースです。ホーンセクションも最強ですが、ドラムのDavid Garibaldi(デイヴィッド・ガリバルディ)とベースのFrancis Rocco Prestia(ロッコ)のコンビは、このバンドの象徴です。メンバーが変わりリズム隊のグルーブは変化してもT.O.Pの基本はホーンとリズム隊のきめ細かいリズム、キメです。ボーカルはこの時代は入れ替わり激しく、前作から加入のHubert Tubbs(ヒューバート・タブス)。ギターはBruce Conte(ブルース・コンテ)で、細かでキレのあるファンク・カッティングは何度聞いても素晴らしい。
 アルバムはライブのオープニングの定番 Down To The Nightclub で始まります。1972年の スタジオアルバム Bump City で収録されているものよりもはるかにグルーブ感がある曲になっています。次いで You're Still A Young Man も人気のバラードで同様に1972年の スタジオアルバム Bump City で収録されていますが、これよりも秀悦に感じます。ボーカルの Rick Stevens(リック・スティーヴンス)1970年-1972年との違いが大きいと言われているようです。What Is Hip? は1973年の3枚目アルバム Tower Of Power からの曲で、緻密なベースとドラムのグルーブが堪りませんしイントロのギターのフレーズと決めのカッコ良いことこのうえありません。盛り上がったところでのトランペットのトレモロのようなフレーズも最高です。Sparkling In The Sand は、1stアルバムの East Bay Grease からで、スローなバラードと透き通ったフルートがクールダウンしてくれます。締めは Knock Yourself Out で何と23分の熱演です。バリトン・サックスがカッコよく、ホーン部隊のソロ回しが気持ち良くて長さが全く気にならないのが凄いですね。永遠の名盤でこれを聴いていない人は人生を損するぐらいの名盤です。

lead vocals : Hubert Tubbs
organ, other (bass pedals), clavinet, vocals, synthesizer (arp string ensemble) : Chester Thompson
bass : Francis Rocco Prestia
drums : David Garibaldi
guitar, vocals : Bruce Conteb

tenor sax, alto sax(1st), flute : Lenny Pickett
tenor sax(2nd), vocals : Emilio Castillo
baritone sax, vocals : Steve Kupka
trumpet, flugelhorn, trombone, vocals, piccolo trumpet : Mic Gillette
trumpet, flugelhorn, vocals : Greg Adams

producer : Emilio Castillo, Tower Of Power

recorded live at Sacramento Memorial Auditorium and Cerritos College by the Record Plant, Sausalito.

1. Down to the Nightclub
2. You're Still a Young Man
3. What Is Hip?
4. Sparkling in the Sand
5. Knock Yourself Out





  

2023年1月2日月曜日

Bill Withers / Just As I am


 フォーク系のソウルの Bill Withers のアコースティック・ギターが印象的な1971年発売のデビュー・アルバムです。社会人になってから知った人ですが私かなりヘビロテで聴きこんでいる名盤です。このアルバムでは Ain’t No Sunshine が特に印象に残りますが、Lean on M、Use Me と言った名曲が後に発売され Just the Two of Us というボーカル・カバーもありますが、美しいメロディによりジャズ系ミュージシャン、フィンガー・ピッカーのアコースティック系ギタリストなどでも頻繁にカバーされる名曲も生み出しています。
 実はこの人かなりの苦労人で、デモテープを作って売り込んでいたがまったく相手にされず、海軍やめて彼女にふられ、泥棒に入られると絵にかいたようなどん底から、33歳で突然レコーディングが始まったのがこのデビュー作です。見出したのはプロデューサーのBooker T. Jones (ブッカー・T・ジョーンズ)でレコード会社」に送ったデモテープがきっかけで、急遽アルバムを作ることとなったので、レコーディングに参加したミュージシャンは Bill Withers の仲間ではなく、紹介されたセッション・ミュージシャンとのこと。


 ザクっとコードをかき鳴らすギターとタイトにリズムを刻むドラムが印象的な Harlem からアルバムは始まります。改めて聴き直すとデビュー一発目でストリングスがバックに入っています。多くの人が関わればそれだけ製作費もかかりますから、この人は売れると確信してのアルバム制作だったことが推測されます。続く Ain't No Sunshine は後にも様々なミュージシャンにカバーされる名曲で、じんわりとした曲調にI know, I know・・・のサビが印象的ですね。ここでもストリングスが入ってます。Ain't no sunshine when she was gone の歌いだしはストレートに失恋の物語で、映画 酒とバラの日々 をテレビで見た後に書いたと言われています。Grandma's Hands はブルージーな曲調で、おばあちゃんとの思い出が題材となった家族愛を描いています。これも素朴な曲調ですが好印象。Sweet Wanomi はカントリー・フォーク調のラブソングを Booker T. Jones のキーボードでソウル調に味付け。Everybody's Talkin' は、フォーク・ロックのフレッド・ニール作のカバーで売れ筋のアップテンポのソウルになっています。Do It Good は、女性コーラスも入ったりして jazz blues 的な味付けにしていて、ここらへんはプロデューサー Booker T. Jones の手腕が光っています。Hope She'll Be Happier はギターとオルガンがメインの幻想的なムードも漂う傷心のバラード。そして Let It Be は、ビートルズのカバーで、ゴスペルのような仕上がりのソウルとなっています。この翌年のヒット曲 Lean On Me に通ずるものを感じます。I'm Her Daddy あたりになってくると流行りのソウルっぽいアレンジ。久しぶりに聴いて結構パンチのある良い曲ですが、歌詞的には別れた彼女に自分との子供がいたってことを人づてに聞いたけど元気かい?っていう痛い中身です。In My Heartギターだけの弾き語りの傷心ソング。Moanin' And Groanin' はファンキーなバンドサウンドで Bill Withers の歌いまわし音づかいが良く表れている曲です。最後 Better Off Dead はパーカッシブなグルーブで少し雰囲気を変えてきています。奥さんと子供が出て行って有り金は残らず飲んじまった。俺なんか死んじまったほうがましさと And I'm better off Dead で、銃声一発でブツッとアルバムが終わる。フォーク調ソウルの素朴な曲調が売りのミュージシャンのデビュー・アルバムとしては中々斬新な一枚目なんですよね。

vocals, guitar : Bill Withers
guitar : Stephen Stills
keyboards, guitar : Booker T. Jones
bass : Chris Ethridge, Donald "Duck" Dunn
drums : Al Jackson, Jim Keltner
percussion : Bobbie Hall Porter

producer : Booker T. Jones 

recorded in "Sunset Sound Recorders" and "Wally Heider Recording Studio", Hollywood.

1. Harlem
2. Ain't No Sunshine
3. Grandma's Hands
4. Sweet Wanomi
5. Everybody's Talkin'
6. Do It Good
7. Hope She'll Be Happier
8. Let It Be
9. I'm Her Daddy
10. In My Heart
11. Moanin' and Groanin'
12. Better Off Dead






  

2022年12月17日土曜日

Herman Kelly & Life / Percussion Explosion


 帯は捨ててしまったんですが、限定プレスのCDとのうたい文句とかにひかれて買ったアルバムで、存在を忘れがちなマイアミのパーカッションの Herman Kelly(ハーマン・ケリー)率いる Herman Kelly & Life 。数年前に書いた本ブログで「唯一のアルバムらしい」と書いてありググってみても確かにリーダーアルバムはこれだけというか他のアーティストへの参加なども確認できなかったのでその活動はよくわかりません。ミュージシャンとしての情報量が圧倒的に少ない Herman Kelly です。写真もほぼ無くいろんなバージョンのアルバムジャケットぐらいです。

 
 
 サウンド的にはファンク・ソウルかと思いきやバリバリにラテンの曲もあります。基本的に踊れるパーティ系であることは間違いなく、この限定プレスの再発以前もDJ系の人にはサンプリングされて使われることも多い方のようです。確かドラムとパーカッションにファンク・ベースに乗せるが基本のこういった楽曲はDJのリミックスには適していそうです。
 サンプリングでよく使われるのは Dance To The Drummer's Beat で、きっちりと作ってあって爽やか系の売れ線のファンク。Time After Time は懐かしいレトロなメロディー・ライン、A Refreshing Loveは静かにピアノから始まったかと思ったらワールド系のラテン・ファンクでコーラスはアフリカンな感じも入れてきていて、曲の間のブレイクは完全にラテンの決めで思わずニッコリ、Who's The Funky DJ はラテンとかは排除したジェイムス・ブラウン系の繰り返しファンク・リフの楽曲(ギターもそれ系)Share Your Love ではサザンソウル系に変身します。Do The Handbone はグルーヴィーなモータウンも入ったファンクでホーン部隊がイイ感じ。そしておそらくサイケ路線を狙ったけど失敗したような変なギター・ソロもレトロでバカバカしくて素晴らしい。
 70年代ディスコティックなファンク好きの方ならきっと気に入るアルバムで、私は70年代ディスコに興味はありませんが耳には心地よく感じる世代。こんなマニアなアルバムよく買ったもんだと自分でも感心しております。

vocals & percussion instruments
vocals, drums, bells, temple block, cowbell, castanets, bass drum, gong, cymbal, effects, bongos, congas, wood Block : Herman Kelly

Recorded in Brazil and Miami.

1. Dance To The Drummer's Beat
2. Time After Time
3. A Refreshing Love
4. Who's The Funky DJ
5. Share Your Love
6. Do The Handbone