2021年11月8日月曜日

本日のCD John Coltrane Quartet / Ballads

 

 基本的にギター弾きでブルース好きであった私がジャズに触れるきっかけは大学入学して入会したジャズ研です。ジャズに触れるきっかけにはなりましたが、基本的にフュージョン・ファンク路線だったので、ジャズに傾倒することなく卒業してしまい、コルトレーン教の方も周囲にいなかったため私自身はあまりかかわることはなく過ごしてきました。そして社会人になり、給料で好きな音源が買えるのでコルトレーンも一応は最低限聴いていないと思えるものは揃えながら聴いてきましたが、私の心の琴線に触れることはあまりありませんでした。なのでこの作品はTUTAYAで目にして久しぶりだが、たまには聴いてみるかと購入したものです。
 結果ですが、コルトレーン入門をこれにしておけば、もっと色んなアルバムを聴く気になっていたんではないか?と思われるほどの響くものでした。原盤は Impulse! レコードから1962年に発表したもので、タイトル通り、全曲バラッド作品です。バラッド主体のアルバムは、私の好きなサンボーンでも少し苦手意識がありましたがこのアルバムは別格です。ゆっくりしたテンポでも一音一音に感情の込もった音が連続すれば、バラッドであることを意識せずに音の世界に入り込むことができるのかと感心してしまいます。何故こんなにも違うのか?と思えば、このアルバムではシーツ・オブ・サウンドもフェイクも控えめです。どちらかと言えばストレートにテーマやメロディを歌いあげていますので、コルトレーンの日常の作業とは少し違う演奏なので私の脳みそでも理解しやすいのが他のアルバムと違うところでしょう。

 「サックスのマウスピースの調子が悪く、速いフレーズを弾けなかったため、苦肉の策としてバラード・アルバムを作った」というエピソードもあるようですが、実際は、プロデューサーの Bob Thiele が、よりファン層を広げるために仕掛けたものらしいです。ライナーノーツの中で1986年に 市川正二氏 がこう書いています。「哀しいムードの曲をいかにも哀しそうに演奏するとセンチメンタリズム(感傷主義)に陥って俗っぽくなるが、甘さをセーブしてしかもエモーションを大事にプレイすると、そこにリリシズム(叙情主義)と呼ぶにふさわしい優美な音楽が生まれる」そうです、そんなことが言いたかったのです。これからコルトレーンを聴いてみようかと思っているなら、激しいヤツの前にこれを聴いておくのをお勧めします🎶🎷

tenor
sax, soprano sax : John Coltrane
piano : McCoy Tyner
bass : Jimmy Garrison (1 to 6, 8), Reggie Workman (7)
drums : Elvin Jones

producer : Bob Thiele

recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey
1-5 : November 13, 1962
6,8 : September 18, 1962
7 : December 21, 1961

1. Say It (Over And Over Again)
2. You Don't Know What Love Is
3. Too Young To Go Steady
4. All Or Nothing At All
5. I Wish I Knew
6. What's New
7. It's Easy To Remember
8. Nancy (With The Laughing Face)





  

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