2021年6月26日に亡くなった土岐英史氏。生で演奏を聴いたことは無かったんですが、日野皓正クインテット、松岡直也とウィシングのメンバーとしてモントルー・ジャズ・フェスに出演、山下達郎のバッキングメンバー、山岸潤史、続木徹とともに活動していたチキン・シャックメンバーであったりと素晴らしい音楽作品を残された方でありました。
2026年現在も 土岐英史 公式HP のライブスケジュールで、2021年1月15日(金)に調子が悪いので休みます、その後の3月までのスケジュールが書いてあるものが残っています。癌で亡くなったので調子が悪かったんでしょうか、時がそこで止まっているようです。このアルバムの発売は、2021年5月31日のこのアルバムの発売は、おそらくスタッフの方が告知していて、その次の記事が、ポツリと6月28日の訃報。いつまでこのHPが残されるのかわかりませんが、著名人の生家が博物館のように残されるようにネット上に残されています。
ソロ・アルバムは持っていなかったので、亡くなった後に行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」で、youTube の土岐さんの作品を偲んで聴いていて、このアルバムを発見しました。シンプルな構成ながら斬新な録音がに感動し、新宿タワレコで直ぐに購入しました。
CDで聴くと、さらに感動の良作だったので他のアルバムも仕入れようと思って、2週間後ぐらいにタワレコやディスク・ユニオンに行くと、もう土岐氏の棚にもあまり作品が並んでいませんでした。どうやら私と同じような方が沢山いたようです。
さて土岐さんを支えているのは、日本の若手ジャズ・ギタリスト、荻原亮、井上銘の2名。若手と言っても荻原亮は2007年、井上銘は2011年にプロとしてアルバム・デビューの10年以上のキャリアの持ち主です。レコーディングは打ち合わせ、リハは無しで、どっちがテーマを弾くのかはジャンケンで決めるといった自由な録音だったとのこと。
Beautiful Love Bill Evans の Explorations などでもお馴染みのラブ・ソングで、絡み合うギターに土岐さんのソプラノが染みます。オープニングのつかみとしてインパクト十分。
The Guitar Man カントリーロックの David Gates の曲ではなく二人のギタリストとのセッションにこの曲名がつけられたようです。深めのコーラスかトレモロを効かせたコードバッキングに土岐さんがテーマで動機付けしてからは、若手に任せて隣で聴いて楽しんで最後は土岐さんがまとめると、シンプルな構成がこれも良い。
Wyeth もオリジナル。アルバムのジャケットのイラストの作者も誰なのかクレジットはありませんが、岡本太郎っぽいテイストで、他のアルバムでは岡本太郎のアトリエでレコーディングするなど絵画にも関心が深かった土岐さん。曲名は2009年に亡くなった画家の Andrew Wyeth のことでしょうか?風景と人物が多い写実表現の画家で曲のイメージとは合っている気がします。
The Man with a Little Boy's Eyes アルバムのテーマ曲です。浮遊感のあるテーマから始まるオリジナルで、テンポよくスリリングな展開。リハは無しとのことですが息はぴったり。
Smoke Gets in Your Eyes 私も大好きなスタンダードの「煙が目にしみる」ここは先輩の土岐氏のサックスが頭からテーマとソロまでメインで吹いてリードします。伸びやかなソプラノの音が気持ち良く響き、ギタリストも丁寧なフレーズで対応します。
Sunny 明るい中に物悲しい響きのあるテーマが素敵なソウルの名曲のカバーです。ほぼ原曲のイメージそのままに気持ちよくブルージーですが、土岐さんがソロをとると、ジャズになるのですが、ギタリストはこの曲を聴けばブルース魂、ソウル魂がわいてくるようで熱めのフレーズが連発されます。
C Minor 土岐氏作曲で、色々なアルバムでセッションに使われているブルース。キーは確かめていませんが、当然 Cm ですかね。
My Foolish Heart これも名曲です。イントロのつけ方が繊細なギターの独演から入ります。若手の最高峰ギタリストの腕は確かです。高めの音を使ったサックスが入ってくるとドキッとします。スタンダートはこういった会話が直ぐに成立する典型です。
You’d Be So Nice to Come Home to 最後もセッションの定番曲。The Guitar Man と同じ音色のコーラス深めかトレモロのギターのバッキングが気持ち良いです。アルバムの構成などを考えて作ったものではなく、その時の気持ちで曲を選んで演じてから、ギタリストを聴かせる曲の配置でアルバムにしたんでしょうか。ベタな曲が多いのも大歓迎。
若手と呼ばれる二人のギターは、揺れたり跳ねたりしながら絡み合っていき、曲によってはワウをキツめにかけたり、トレモロをかけたりと若手ならではの音作りも聴いていて楽しい。そのギターアンサンブルに、ゆったりとサックスを被せている土岐さんの大人の余裕が頼もしい。土岐さんが亡くなったということで、良作に出会うことができました🎶🎸🎷
alto&soprano sax : 土岐英史 (Hidefumi Toki)
guitar : 荻原 亮 (Ryo Ogihara)
guitar : 井上 銘 (May Inoue)
2020年10月28、29日東京録音
Days of Delight ファウンダー&プロデューサー 平野暁臣
1. Beautiful Love / Wayne King, Victor Young and Egbert Van Alstynet)
2. The Guitar Man / Hidefumi Toki
3. Wyeth / Hidefumi Toki
4. The Man with a Little Boy's Eyes / Hidefumi Toki
5. Smoke Gets in Your Eyes / Jerome Kern
6. Sunny / Bobby Hebb
7. C Minor / Hidefumi Toki
8. My Foolish Heart / Victor Young
9. You’d Be So Nice to Come Home to / Cole Porter





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