2024年2月11日日曜日

Marvin Gaye / I Want You

 

 別格の風格、余裕とエロさを見せつけてくれる Marvin Gaye の 1976年アルバムです。代表作として思い浮かぶのは、まず What's Goin On(1971) で、数の多くのアーチストにカバーされる名作で、ベトナム戦争から帰還した弟から戦場の様子を聞いての反戦歌がテーマとなった強力なメッセージ性のあるアルバムです。それに対しこのアルバムは前作 Let's Get It On(1973)の発表して以来、恋人とゆっくりと暮らしていたところに、所属するモータウンかアルバムを作るよう催促されたため、急きょ製作したアルバムで、このような背景からか、全体的にメロウで気だるいような雰囲気が漂うエロさを醸し出しています。
 購入最初の試聴は、当然のいつもの音楽好きの集う「おでんバー」でした。商業主義的な音楽は、あまり好んで聴かないタイプの人が多い場所ですがコイツは聴く人の心をつかんだようです。好んで聴いてはいなかったでしょうが世代的にはドンピシャですからねえ。耳馴れもあると思います。


 ということで、このアルバムも再度聴きながらのレビューです。I Want You タイトル曲になりますラブソング。反戦歌の面影はどこにもありません。ひたすら Love ですね。ファルセットを活かしたコーラスの多重録音による空間的な広がりが魅力的な曲です。実にエロい歌いっぷりが素敵です。今聴くと Wham! のようなメロディー感がありますので、あの二人も Marvin Gaye を歌いこんでいたんだろうと聴きながら思ってしまいました。Come Live With Me Angel これも、どっぷりラブソングですね。After The Dance アシッドなイメージのシンセによるインスト曲でリズムはラテン。ラスト曲でボーカル入りが聴けます。Feel All My Love Inside で、またもやラブソングです。I Wanna Be Where You Are なんと1分18秒のフェイドアウト。レコードでは隠しトラックとしてs¥収録されていたとのことですが、後に7インチCDで完全版が発売されています。I Want You (Intro Jam) は次の曲へのイントロして使われています。1曲目の切り抜きではないようなので、おそらく別バージョンを収録した時のバッキングトラックが気に入って使っているのでしょうか。 All The Way Around は、広がりのあるアレンジのソウルナンバー。このサウンドの作り方は多くのソウル・ファンクミュージシャンのお手本ですね。Since I Had You 落ち着いた雰囲気のイントロ。そこからファルセットのコーラス。甘いですね。とてもスイートです。Soon I'll Be Loving You Again 軽めのリズムにのせたノリの良いメロディーライン。これも王道です。そして2回目登場の I Want You (Intro Jam) は1回目より少し長めですが繰り返しのバッキングの編集なので長さだ毛の違い。ラストは After The Dance で締めです。小さコンボで演奏されているような、こじんまりとしたアレンジと濃すぎない軽めの楽曲は心地よいです。
 アルバムを聴きながらライナーノーツを読んでいると、このアルバムの楽曲はダイアナロスの弟 T-Boy Ross とモータウンのお抱えコンポーザー Leon Ware による楽曲で構成されているとのことで、その頃には既に録音を終えていた Leon Ware の I Want You をそのまま譲り受けたアルバムとのことで「他人から譲り受けた作品であるがためマービンの代表作として取り扱われることはない」と書いてありました。理由として他人の作品だからは少々理由付けとしては乱暴な気はしますがメッセージ性のある What's Goin On と真裏の名アルバムでした🎵

vocals : Marvin Gaye
piano, electric piano (fender rhodes) : Jerry Peters, John Barnes, Sonny Burke
guitar : David T. Walker, Dennis Coffey, Jay Graydon, Melvin "Wah Wah" Watson, Ray Parker 
bass : Chuck Rainey
drums : James Gadson
percussion : Gary Coleman, John "Jack" Arnold
congas, bongos : Bobbye Jean Hall, Eddie "Bongo" Brown Jr.

executive producer : Berry Gordy, Marvin Gaye
producer : T-Boy Ross (3, 6, 7, 9 to 11), Hal Davis (1, 2), Leon Ware

recorded at Motown/Hitsville U.S.A. Recording Studios, Marvin Gaye Studio

1. I Want You 
2. Come Live With Me Angel
3. After The Dance (Instrumental)
4. Feel All My Love Inside
5. I Wanna Be Where You Are
6. I Want You (Intro Jam)
7. All The Way Around
8. Since I Had You
9. Soon I'll Be Loving You Again
10. I Want You (Intro Jam)
11. After The Dance





  

2024年2月10日土曜日

Brad Mehldau Trio / Art Of The Trio, Vol. 4: Back At The Vanguard

 

 青色の無機質なデザインのジャケットには、正直期待していなくて家の未試聴CDの山に長く眠っていた盤でありますが何と当たりでした。もったいない。私がリトマス試験紙として反応・評価を引き合いに出す、音楽好きの集う「おでんバー」でも珍しく万人に評価上々でした。「おでんバー」の住人は新しめのアーチストを味わう余裕は無いので、1970年生まれの Brad Mehldau に馴染みはありませんでした。(それでも現時点でメルドー53歳)
 私自身も Brad Mehldau の演奏を聴いた機会はそれほどなく不思議系と正統派ジャズのKurt Rosenwinkel / Deep Song ぐらいで、最近は購入していないジャズ雑誌にも名前は良く出ているので存在は知っていましたがピアニストに注目はしていませんでした。
 Mehldauの Art Of The Trio はVol5までシリーズ化していて、そのシリーズ第4弾のVillage Vanguard ライブです。これは中古盤屋で探してコンプリートしなければならないかなと思いますが、7枚組のボックスも発売されているようです。ボックスには7枚目のCDが Additional Recordings として収録されている模様。収集家としては1枚づつ購入して気に入ったらボックスも購入のパターン。コンプリート・ボックスみたいなものは企業の大人の販売戦略であると思ってはいます。しかしダブるのはもったいないんですが、ジャケットやライナーノーツもみて観たいし未収録曲も聴いてみたいのでコンプリート・ボックスは価値があれば企業の販売戦略にはまるのも致し方ないでしょう。


 数度聞き流していますが、深くは聴いていないこのアルバムのレビューは楽しそうです。さて、 All The Things You Are 誰もが良く知る曲で聴いたことのあるナンバーですが、何かの違和感があります。変拍子です。なるほどブツブツと至る所で分断される知っている部分が急展開でつながっていくこの感じは楽しいです。後半は変拍子がわからくなるのは腕ですね。Sehnsucht 邦題は憧れとありますメルドーのオリジナル。これはベースとピアノが何拍かズレているようで、ズレていない不思議な曲です。ズレていると感じるか感じないかは聴き手次第のような部分もあります。1曲目は変拍子のリズムによる遊び、2曲目は旋律での遊びですが、これも聴き進めるうちに違和感がなくなる魔法のような展開。ピアノソロではバロックの練習曲のような展開もあります。最後のワザと音程を外した終わり方も会心の演奏もこれで終わりだよと客に笑いかけながらの締めが想像できます。心にくい。Nice Pass もメルドーのオリジナル。マイクスターンにあるようなテーマの音の使い方です。マイクスターンの場合は、機械的にあるフレーズをギターの指盤で動かしていくとこのパターンになりますがピアノでも、多分同じ原理ですね。この曲もピアノが規則正しくパターンを弾きながら、ベースが微妙にかみ合わないようなパターンで弾くが何回かにピタッと合うところができて、それが聴く人に快感をもたらします。しかもそれをアドリブでやってしまうと言う超人的技術力と音感とリズム感。Solar は Miles Davis 作品です。序盤はベースの Larry Grenadier がバンドを引っ張りながらの変則的な演奏。それが終わるとテンポ早めのビバップとなり表情が変わります。これも良いですね。London Blues についてはメルドーオリジナル。アメリカで活動ですがロンドン・ブルースですから、ツアーの時に作ったんでしょうか。予想していましたが全くブルース的には聞こえません。コード進行はブルースなんでしょうか?I'll Be Seeing You は、出だし優しくとっつき易いです。1938年に発表されたブロードウェイ・ミュージカル Right This Way の挿入歌とのことで、聴いたこともありますね。同じようなフォーマットで飽きさせることの無い内容は脱帽です。最後は Exit Music (For A Film) 「ロミオ+ジュリエット」のために書き下ろされ、Exit Music(映画のクレジットのとこで流れる曲)として使われた曲です。物悲しい旋律を変拍子も無く淡々と演奏するのには逆に面食らい、進行するほど熱くなってくる演奏には聴いている側もコブシを握りしめるような展開になります。いや良いです。
 聴きどころは、1曲目の All The Things You Are だと思いますが、それぞれ聞かせどころ演奏のコンセプトが様々で、それぞれ明確で魅力あり、かつクリエイティブで、どこをとっても素晴らしいアルバムでした。このアルバムの保管場所は、直ぐに聴けるCD置き場行き決定です🎵

piano : Brad Mehldau
bass : Larry Grenadier
drums : Jorge Rossy

producer : Matt Pierson
recorded by : David Oakes

recorded January 5-10, 1999 at the Village Vanguard, New York, NY

1. All The Things You Are
2. Sehnsucht
3. Nice Pass
4. Solar
5. London Blues
6. I'll Be Seeing You
7. Exit Music (For A Film)


▶ Solar

2024年2月9日金曜日

Harold Mabern Trio / Maya With Love

 

 2019年9月に亡くなったの機に存在を知ってから、たまに聴いているピアニストです。特に好みのピアニストな訳では無いですが、これで The Leading Man 1993、Mabern Plays Mabern 2020 に引き続き3枚目のアルバム購入となります。メイバーンは1936年生まれのハード・バップ、ポスト・バップ、ソウル・ジャズの分野のジャズ・ピアニスト兼作曲家で、このアルバムは1999年録音なので63歳の録音となります。1959–1967は様々なバンドでのセッションを主とした活動で、1959–1967はリーダーとして活動しますが、1980年〜1990年代のピアノトリオ作品が人気のようで、ピアノ・スタイルはゴツゴツした男っぽい感じです。本アルバムはDIWというディスクユニオンのレーベルグループからの販売で、音楽関連だけでなく雑貨や衣料品などの輸入・販売も手掛けている会社のようです。ジャケットは、ジャズっぽくなく呪術系ブルースのアルバムにありそうな感じがインパクトあります。


 それではレビューです。To Maya Glenne With Love はメイバーンのオリジナルで、可愛らしい曲であり春を感じる曲です。らしくないと言えばらしなくない。なぜかと言えばメイバーンの恋心を寄せる35歳の女性の曲だからだそうで、なるほどわかりやすい。You Are So Beautiful は、1932に Richard RodgersとLorenz Hartが映画 Hallelujah, I'm a Bum の為に書いた曲です。これも明るくハッピーな曲で力強く直線的なピアノが心をウキウキさせてくれます。Hymn of the Orient は、Gigi Cryce の作曲で、今までよりも少しジャズっぽくスリリングさを強調したソロ部分が楽しい演奏となっています。それにしても力いっぱいの鍵盤を叩くような演奏である。好みは別れるんだろうなあ。A Song For Connie で、またもや女性の名前の曲です。これもメイバーンの作曲です。しかしライナーノーツの中では、A Song Forより親戚のオバサンであろうとの推測(寺島靖国氏)確かに活快でたくましいオバサンが想像できるかな。Lament は、JJ Johnson の曲ですね。定番の美しいバラードを、またもや、しっかりめで弾いています。わかりやすくて良いかも。Boogie For Al McShann は、メイバーン名の Boogie ピアノです。Al McShann は Jay McShann と言うピアニストの愛称でしょうか。検索では古いジャズ・ブルースの曲が聴けました。Speak Low は、定番の Kurt Weill の曲です。ピアノと親和性が高い曲ですね。テンポ早めで、しっかりとした発音のメイバーンのピアノは最初とっつきにくかったですが耳馴れしてくれば中々心地よい。Little Girl Blue Rodgers & Hart の曲となります。またもや女性絡みの曲ですが、これに特に意味は無さそうです。Blue Bossa は、Kenny Dorham の名曲ですね。これも発音がしっかりしているので教科書に出来そうな演奏ですね。Maybe September もスタンダードですが、これは適度な緩さがあって、最後の前にしてやっと息が抜ける感じの演奏でした。 Begin The Beguine は、Cole Porter ですね。軽めなのに重いというのがメイバーンの特徴であることを再認識してこのアルバムが終了します。
 十分重量感がある演奏ではあったのですが、メイバーンにしては春のような演奏の盤であるとのこと。他も聴き直してみます🎵

piano : Harold Mabern
bass : Christian McBride
drums : Tony Reedus

recorded by : Jim Anderson

produced by DIW Records Inc, Tokyo, Japan
recorded at Avatar Studios NYC, June 21st 1999.

1. To Maya Glenne With Love
2. You Are So Beautiful
3. Hymn of the Orient
4. A Song For Connie
5. Lament
6. Boogie For Al McShann
7. Speak Low
8. Little Girl Blue
9. Blue Bossa
10. Maybe September
11. Begin The Beguine





  

2024年2月4日日曜日

Tower of Power / Bump City


 Emilio Castillo、Stephen Kupkaを中心に Oakland で結成されたファンクバンド
T.O.P. の 1972年リリースのセカンド。T.O.P. は、ベイエリア・ファンクを代表するグループと言われており、ソウルやファンクには、その土地の歴史や風土、気候、文化によって育まれた、その地ならではのサウンドが存在します。
 ベイエリアと呼ばれるのは、カリフォルニア州の北部、サンフランシスコとその対岸のオークランド、東岸のリッチモンドやバークレー、南岸のサン・ノゼ、西岸サン・マテオなどのサンフランシスコ湾岸一帯の地域で、温暖な気候や開放的な雰囲気、白人や黒人にメキシコ系(チカーノ)などが入り混じった文化から生まれたこの地のファンク・バンドは、ファンク/ソウル/ジャズ/ラテン、ロックなどの様々な音楽が溶け込んだハイブリッドで、より開放的なサウンドが多く聴かれ、その代表格としてはサンフランシスコのSly & the Family Stone、Oakland では Tower of Power、派生する Graham Central Station、The Headhunters、Betty Davis、ストックンの The 9th Creation などが存在します。Funkiest Bay Grease : The Sound of Bay Area Funk
 このアルバムについては、サザン・ソウルも取り入れた少々粗いところが魅力で、Tower of PowerBack to Oakland などは、どんどん洗練されていきますね。
 

 それでは改めて聴いてのレビューです。You Got to Funkifize お馴染みのEmilio Castillo/Stephen Kupka作の文句なしにカッコ良いTOPらしいファンク。ホーンとリズムの絡みがやはり心地よし。What Happened to the World That Day? ソウル色濃く、緩急つけたホーン・アレンジが凝っています。ストリングスも入ってたのを改めて発見。Flash in the Pan 跳ねるリズム隊とイナたい雰囲気の楽曲です。Willie James Fulton のギターカッティングが切れ味良く鋭くて良いですね。Gone (in Memory of Jacqueline Mesquite)」 Skip Mesquite のリード・ボーカルで雰囲気を変えフルートが効果的なメローなナンバーで、こんな曲もあったっけと忘れてました。You Strike My Main Nerve は、センスの良い Rocco のベースが印象的なミドルテンポのリラックスしたファンクで、ソウルフルなホーン部隊も良し。Down to the Nightclub ライブなどでも鉄板のファンク・チューン。これは名曲です。ライブではもっと高速で決めまくるイメージです。You're Still a Young Man メロウなソウル・バラードで、これもライブでの鉄板の名曲。T.O.P. はホーン部隊とリズム隊のキレのある演奏が醍醐味なところがあるが、これは曲として覚えやすい方です。これもT.O.P. なのです。Skating on Thin Ice ナンパな感じがするソウル・ナンバー。楽しい演奏ではありますが普通ですね。ラストは、Of the Earth で、Mesquite のフルートが先導するメロウ&ファンキーなナンバーで、アレンジにはこだわっている感じです。
 Rocco & Garibaldiの強力リズム隊、突き抜けたホーン・アンサンブルで、らしいファンク・グルーヴです。生は2015年の札幌シティ・ジャズ・フェスで見ましたが、よく見るビデオのライブの演出と全く同じで、ン十年も同じ演出でやってる伝統芸にはニヤリ🎵

lead vocal : Rick Stevens
tenor sax, flute, vocal : Skip Mesquite
tenor sax, vocal : Emillio Castillo
trumpet, fluegelhorn, french horn, vocal : Greg Adams
bariton sax , vocal : Stephen Kupka
trumpet , trombone , french horn , vocal : Mic Gillete
guitar , vocal :  Willie James Fulton
drums : David Garibaldi
bass : Francis Rocco Prestia
conga , vocal : BrentByard

producer : Ron Capone, Tower Of Power

1. You Got to Get Funkifize
2. What Happened to the World That Day
3. Flash in the Pan
4. Gone
5. You Strike My Main Nerve
6. Down to the Nightclub
7. You're Still a Young Man
8.Skating on Thin Ice
9.Of the Earth





  

2024年2月3日土曜日

Donny Hathaway / Extension Of A Man


 Donny Hathaway (ダニー・ハザウェイ) で、私が一番好きなのは何と言っても LIVE!で、あまりにも有名なアルバムなので、それしか持っていない、聴いていない人も多いのではないかと思います。しかし、ダニー好きであれば、このアルバムも聞いておいて損はないと思います。このアルバムのタイトルは Extension Of A Man、邦題は「愛と自由を求めて」となっており、相変わらず日本のレコード会社のネーミング努力は凄いものだと感心します。(2曲目のタイトルが Someday We'll All Be Free なので、この訳が Extension Of A Man になっているので、タイトルはこの曲の方がふさわしいと思ってのこととは思いますが、本人の了解はとっているのか?)
 1970年にソロデビューし、この作品の発表の1973年に妄想型統合失調症と診断され音楽活動は停滞します。その後1977年にロバータ・フラックとデュエットで復帰するも1979年1月31日にホテルから転落死。薬害ではなかったようですが、33歳はやはり若すぎる。


 そんな彼の生涯を思いながら改めて聴くと、このアルバムは最後に自身の音楽への情熱を完全に注ぎ切ったメッセージ性も強い作品です。イントロからオーケストラで意表をつかれます。荘厳な I Love The Lord;He Heard My Cry(PartⅠ&Ⅱ) は決意を感じるアルバムの幕開け、このあとに続く Someday We'll All Be Free への導入なんでしょう。差別に怯えずに胸を張って行こうよ、誇りを忘れずに毎日を過ごし楽しいものを愉しいとキチンと言いながら毎日を過ごそうよと娘のライラへの呼びかけ実に深い。この曲はアレサのカバーによって映画 「マルコムX」のサントラにも収録されています。と考えながら次の Flying Easy を聴くと実に爽やかでありますがサビの力強さと、We're flying easy on a breeze の意味は推して図る深いものがあります。Valdez In The Country はインストですがダニーの楽器奏者としての懐の深さが感じられます。Incognite あたりで使われている演奏パターンと同じ感じですね。そして Al Kooperの I Love You More Than You'll Ever Know 原曲では激しいソウルなのだが、ここでは深みのある曲に仕上げています。そして Come Little Children については、軽めのファンクのバックにドスの聴いたボーカルで非常にグルーブ感があります。Love, Love, Love は J R Bailey のカバーでもともと透明感のあるソウルを更にストリングスを加えて広がりのある曲に、The Slums はインスト・ファンク。Magdalena は Danny O'Keefe の異色な曲でチャールストン風の曲調が新しい。そして Leon Ware作 の名曲 I Know It's You でメローに(この曲にはホイットニーのお母さんのCissy Houstonがコーラスで参加ですね)Lord Help Me はこのCDのボーナスのようです。
  LIVE!が一番好きなのは変わりませんが、力を振り絞って作ったことを感じるこのアルバムも結構捨てがたい🎵

piano : Donny Hathaway (5, 6, 10)
electric piano : Donny Hathaway (1 to 9)
guitar : Cornell Dupree (2 to 5, 7), David Spinozza (2, 3, 10), Keith Loving (3, 4, 7)
bass : Willie Weeks (2 to 5, 7, 8)
choirus : Myrna Summers & The Interdenominational Singers (1, 6, 7)
drums : Ray Lucas (2 to 4, 7, 8)
percussion : Ralph MacDonald (3, 4, 7, 9)
trumpet : Marvin Stamm (1, 2, 8, 9)
tuba : Don Butterfield (1, 8, 9)

producer : Arif Mardin

1. I Love the Lord; He Heard My Cry (PartsⅠ&Ⅱ)
bass : Russ Savakus, Stanley Clarke
drums : Grady Tate
conductor : Gene Orloff
violin : Emanuel Green, Harry Lookofsky, Julien Barber, Noel Dacosta, Sanford Allen, Theodore Israel
cello : Charles McCracken, George Ricci, Kermit Moore
clarinet : V. Abato
flute : Hubert Laws
french horn : Jim Buffington, Julius Watkins, Tony Miranda
harp : Gloria Agostini
oboe : H. Schuman
reeds : Romeo Penque, Seldon Powell, William Slapin
trumpet : Ernie Royal, Joe Newman
trombone : Dominick Gravine, Garnett Brown, Paul Faulise, Wayne Andre
2. Someday We'll All Be Free
3. Flying Easy
4. Valdez in the Country
5. I Love You More Than You'll Ever Know
organ : Donny Hathaway
guitar : Hugh McCracken
drums : Fred White
sax : David Newman
6. Come Little Children
bass : Donny Hathaway
guitar : Joseph Bishop, Phil Upchurch
drums : Fred White
clarinet : Seldon Powell
trumpet : Joe Newman
trombone : Garnett Brown
7. Love, Love, Love
8. The Slums
backing vocals : Jimmy Douglass, Mario Medious, Richard Wells, William McCollum
electric guitar : Cornell Dupree
acoustic guitar : Keith Loving
alto sax : Phil Bodner
tenor sax :  Seldon Powell
trombone : Tony Studd
9. Magdalena
piano (tack) : Donny Hathaway
guitar : Hugh McCrackenb
banjo : Hugh McCracken
bass : Gordon Edwards
drums : Grady Tate
clarinet : Phil Bodner, Seldon Powell
trombone : Tony Studd
10. I Know It's You
backing vocals : Cissy Houston, Myrna Smith, Sylvia Shemwell
bass : Stanley Clarke
drums : Rick Marotta
11. Lord Help Me
keyboards : Donny Hathaway





  

2024年2月2日金曜日

Robert Glasper / Covered

 

 R&Bのエッセンスを取り込んだリズムでピアノはジャズ。絶賛の雑誌批評ほど新しくはないと思いますが、スタジオのリラックスした雰囲気の中でのトリオの素晴らしい演奏でした。イメージとしては、電子楽器を駆使した Robert Glasper Experiment / Black Radio だったのですがアコースティックを駆使したアルバムなので、旧来の頑固なジャズ・ファンも魅了するアルバムになっているようです。かと言って従来のスタンダードなジャズの焼き直しではなく、Robert Glasper の iPodに入っている Radiohead、Joni Mitchell、Musiq Soulchild、John Legend、Bilal、Kendrick Lamar、Jhene Aiko と言った現代のヒップな音楽から古典の Stella By Starlight までをジャズ・ピアノで翻訳していくのが本作品のコンセプトのようです。


 それでは、レビューしてみましょう。Introduction では、Glasperがアルバムのコンセプトを説明し、メンバー紹介。I Don't Even Care は、Black Radio 2 の収録曲で、のリメイク。抽象的なイメージのピアノのアルペジオと現代風なベースラインとドラムのパターンの3つを機械的に足した変わった雰囲気の曲の中でピアノのアドリブ。後半はピアノだけフリーに近い状態になってからが盛り上がり。Reckoner は Radiohead のカバー。ドラムは8ビートで、ベースもアコースティックではありますが、基本原曲のベースライン採用と思われますが、安っぽいカバーの雰囲気はなくてジャズでは無いところで成立しています。Barangrill については Joni Mitchell のカバー。オリジナルは For The Roses(1972)となっています。原曲を聴いてみましたが、雰囲気はオリジナルを受け継ぐ演奏となっています。旋律をなぞるだけでなく Joni の歌が再現されているように聞こえるのも楽しいです。(流して聴いていた時はジャズ・フォーマットと思っていましたが3曲聴いた時点で既に違いますね)次は、In Case You Forgot で、これは Glasperのオリジナルの即興の中ベースとドラムが各シーンをぶった切るようにワンショットで締めます。各シーンの締めの中で頭の中で回想するように Time After Time、I Can't Make You Love Me が出てきます。中々意味深いような感じもする作品です。So Beautiful については、Black Radio にも参加していた Musiq Soulchild のカバーで、オリジナルは Onmyradio(2008)となっています。こちらについては、ソウル・バラード風のジャズ作品となっています。トリオ作品ではありますが、シーンによって音楽性が変わる奥が深い作品ですね。The Worst は、新進のアーチスト Jhene Aiko のカバーで、Glasper 自身の愛聴曲ではなく、従姉妹の愛聴曲からのピックアップとのこと。オリジナルは聴いていませんが美しい旋律を持つ曲で、歌っているボーカルの姿も想像ができます。喰わず嫌いであった Glasper 侮るべからず。Good Morning は  John Legend のカバー。とてもポップで穏やかな曲でこのピアノ・トリオの余裕を感じます。Stella By Starlight で、やっと Victor Young の有名スタンダードの出番です。しっかりジャズしてくれているのが嬉しい限り。Levels は Bilal のカバーで、この人はlasperのニュースクール大学時代からの盟友らしい。これも原曲知りませんが、美しいバラードでモチーフは抽象的。Got Over はオリジナル曲で、Harry Belafonte のボイスで2014年8月に起きたミズーリ州セントルイスでの黒人少年射殺事件(警察官が丸腰の黒人少年を射殺)がモチーフで人種差別への鋭いメッセージを投げ掛けまています。続く I'm Dying of Thirst は
Hip-Hopアーティスト Kendrick Lamar の作品のカバーで Glasperの6歳の息子らが近年の人種差別絡みの事件の犠牲者となった黒人被害者の名前を読み上げています。Dillalude 3 は
国内盤ボーナス・トラック。故J Dilla へのトリビュートで、現代的な楽曲です。
 黒人差別への批判メッセージあり、サウンド的にはビートは聴いているがアコースティックなトリオで色々な音楽的な仕掛けが満載と、よく聴くと濃い目の味付けでピリッとスパイスが効いているアルバムで聴き流しているより、じっくり聴いた方が良さがわかってくるアルバムでした🎵

piano : Robert Glasper
bass : Vicente Archer
drums : Damion Reid
producer : Robert Glasper

recorded live at Capitol Studios Hollywood CA. December 2nd and 3rd 2014.

1. Intro
2. I Don't Even Care
3. Reckoner
4. Barangrill
5. In Case You Forgot
6. So Beautiful
7. The Worst
8. Good Morning
9. Stella By Starlight
10. Levels
11. Got Over
12. I'm Dying of Thirst
13. Dillalude 3





  

2024年1月28日日曜日

The Brand New Heavies / Midnight At The Oasis


 4曲入っていてCDではシングル。全て「midnight at the oasis」のみ様々なリミックス・バージョンが収録されています。やり過ぎ感は大きく感じますが、現代の Acid Jazz では、リミックスで曲を売っていくのはマストのようです。
 さて、ヤジオ世代が若い頃は、レコードが主体で音楽は流通していてビニールでできたでかい円盤をレコード・プレイヤーに針を落として再生して、ジャケットを眺めながら音楽を聴くスタイルが一般的でした。現代では、CDも古い媒体となっているので音楽はストリーミングでダウンロードするのが一般的なようです。
 私的には好みの1曲をダウンロードして聴くよりはアルバムとして購入して、目当てでない曲も含めてアルバムを舐めまわすように聴くのが趣味となっていますが、会社の若い人はCDですら、ほぼ買わずにスマホに気に入った曲だけダウンロードして聴いているのが一般的なようです。音楽の楽しみ方も時代によって変化するものです。私の好んで聴くジャズ、ソウル、ファンク、ブルース系は単体のシングルでのヒットも当然あるもののアルバムを構成する曲の一環として作られているものがほとんどで、現代のポップス等の一曲入魂のようなスタイルとかセールスのやり方は、ヤジオにとって時代の移り変わりを強く感じるものであります。曲の作り方や構成も変わってくるので非常に面白いところです。
 さて、このシングル Radio Version は少し短め、Extended Version は当然長め、Opaz 7" Version はかなりエフェクトかけてうねります。Roger's Brand New Radio Anthem はクラブでかかりそうなリミックス。私は普通に Extended Version が好きです

1. Midnight At The Oasis (Radio Version) 3:48
2. Midnight At The Oasis (Extended Version) 4:56
3. Midnight At The Oasis (Opaz 7" Version) 3:45
4. Midnight At The Oasis (Roger's Brand New Radio Anthem) 4:36





 


  

2024年1月27日土曜日

Graham Central Station / Live In Japan '92


 Sly & the Family Stone ベーシストとしてデビューアルバムの A Whole New Thing(1967) から There's a Riot Goin' On (1971) まで在籍し1972年に脱退、翌年の1973年に自身のこのバンド「GCS」を結成。1970年代は大活躍だったGCSも1979年に解散し、Larry Graham も1980年代は活動は停滞で、1990年代のブラック・ミュージック・リバイバルの流れでGSC復活しました。13年ぶりの再結成は、1992年厚生年金会館のこのライブとなります。
 このGCSの再結成ライブのリード・ボーカルは日本人シンガーのMimiこと宮本典子です。銀座生まれ。生っ粋の江戸っ子で、パフォーマーとしての本格的なデビューは赤坂にあった伝説のディスコ「MUGEN」でダンサー・デビューし、ここでバンドを組んでグッチ祐三、ドラムにはウガンダでファンクバンドを結成し音楽活動を始めたとのこと。日本人歌手として活躍するが、90年に単身での渡米。GCSの再結成ライブのオーディションに合格しこのバンドとともに訪日することとなり、この後も Brothes Johnson のメンバーとして活動しています。
 このアルバムではイントロの「1・2・ガンバッテクダサイ!」から宮本典子の外人ライクな日本語と日本語の歌詞で参戦しています。スライの I want to take you a higher、Get the funk of ma face、Tomorrow なんかもやってくれているのは、Larry Graham のバンドならではの大興奮のサービスでした。


 他メンバーとしては、1975年に弟の Louis Johnson と結成されたファンク・バンド The Brothers Johnson のギターの George Johnson。キーボードでは、GCSにデビューアルバムから全7枚に渡り参加した Robert"butch"Sam。6枚目のアルバムまで参加していたHershall"happiness"Kennedy は、Hot Chocolate というバンドでクラブで演奏していて Larry Graham にプロデュースを依頼したのが縁のキーボードとトランペットを担当。ドラムは サンタナのツアードラマーなどでも活躍する Gayload"flash"Birch など。
 しかし、この再結成以降GCSの活動は続かず、スタジオ・アルバムは録音されず、この出ライブのみのようでお祭り騒ぎに終わり残念・・。単純明快なファンクは古臭くはあるが、やはり魅力的です🎵

bass vocal : Larry Graham
vocal : Noriko"mimi"Miyamoto
guitar vocal : George Johnson
keyboads : Robert"butch"Sam
keyboads,  trumpet : Hershall"happiness"Kennedy
drums : Gayload"flash"Birch

producer : Eiji Nakahira, Larry Graham
recorded live at Koseinenkin Hall on July 6th, 1992.

【Disc1】
1. Entrow
 -Entrow
2. We've Been Waiting
3. Feel The Need
4. Can You Handle It?
5. Freedom
6. Touch Your Heart
7. George's Solo
8. Tomorrow
9. Strawberry Letter #23
10. One In A Million You

【Disc2】
1. Today
2. The Jam
3. Release Yourself
4. Hair
5. I Want To Take You Higher





  

2024年1月26日金曜日

Herbie Hancock / Empyrean Isles

 
 
 先日は、ディスコサウンド時代の Future Shock を懐かしんで聴いていたら、かなり脂ギッシュだったので口直しにジャズ時代の若い頃を聴いています。18年前の録音とはいえ余りの落差に同じ人とは思えません。さて、このアルバムのタイトル「Empyrean Isles」は古代宇宙論でいうところの 「天空の島」 、ギリシャ語が語源で「火と光の世界」だそうで、何やら難しくも謎めいたアルバム名です。1964年、Herbie Hancock は24歳のリーダー4作目です。1963年から始まる第2期のマイルス・デイビス黄金クインテットから、Wayne Shorter、Miles Davis が抜けて、ベース Ron Carter、ドラム Anthony Williams のリズム隊がそのまま、コルネットで Freddie Hubbard が加わった形です。
 コルネットという楽器に馴染みなく聴いている分には、ほぼ管楽器奏者でない私にとってはトランペットと区別はつきません。ググって見ると形状も、ほぼトランペットと思いきや、比較してみればトランペットよりズングリしています。管の巻きの数が多いので管長は同じでもコルネットの方が楽器が小型になるとのこと。音としては、倍音はトランペットの方が多いようです。

 



 それでは、再度聴きながらレビューです。One Finger Snap は、モードを使ったナンバーで、ひたすら吹きまくる Freddie Hubbard のコルネットから始まります。こういった突っ走る系は聴いていてスリリングで楽しいです。Oliloqui Valley は爽やかなナンバーですが、これもコードをモード的に処理する手法です。オーソドックスに聴こえながらも非常に力の入った演奏かと思います。Cantaloupe Island は、私には全くロックに聞こえませんが、ジャズ・ロックと言われるタイプの曲です。ここら辺からハービーの音楽に対するアプローチがファンク路線に行く伏線にあたるのでしょう。かなり有名な曲で、あちことで演奏されていますが、本アルバムが最初の録音のようです。The Egg は、一つのモードとパターンが繰り返されていく中で、次第に変わっていくモチーフが抽象的で印象的な作品です普通のジャズの形ではなく斬新な試みを施しているのが、聞き流しているだけでは気づけなかったことが再度の聴き直しではわかります。最後で、このアルバムの一番の長尺でした。
 ジャケット・デザインが、写真をモノクロにして色付けする手法ですので!と思いみて観ると、やはり Reid Miles でした。ここら辺でも楽しめますね🎵

piano : Herbie Hancock
bass : Ron Carter
drums : Anthony Williams
cornet : Freddie Hubbard

design (cover) : Reid Miles

recorded by : Rudy Van Gelder
producer : Alfred Lion

recorded on June 17, 1964.

1. One Finger Snap
2. Oliloqui Valley
3. Cantaloupe Island
4. The Egg
5. One Finger Snap [Alternate Take]
6. Oliloqui Valley [Alternate Take]



▶ The Egg