2022年12月30日金曜日

Masao Nakajima Quartet / KEMO・SABE

 

 最近忙しかったり、腰が痛かったりして出歩いて音源を見に行くこともしていなかったので、久しぶりに新宿を徘徊してみた。徘徊と言ってもお決まりのディスク・ユニオンとタワレコのハシゴで気が向けばツタヤに行くぐらいです。ディスク・ユニオンは相変わらずでしたが中古販売フロアのソウル系の品揃えが少し縮小気味。中古販売フロアで10枚ほど見繕ってレジに預けると丁寧に包装をはがしタグを外す可愛い店員さん。しかし急にトイレに行きたくなってきて私は若干イライラです。この店の中には客用のトイレは無いはずなので緊急事態です。早く会計をお願いしますと心の中で叫び、店員さんも落ち着きのない私の動作を見て袋に入れますか?いやその時間がもったいないので直接自分の鞄に入れて会計を済ませます。近くのパチンコ屋に駆け込んでギリギリ、セーフでした。思うのですが本屋とレコード屋に入ると急にしたくなる事が多いような気がします。
 まったく本作のピアニスト中島政雄には関係のない話でした。事前にこの人を知らず店頭で気になってのこの日の2件目タワレコでの購入です。


 さてこの中島正雄というピアニストの名前は初耳なのでググって見ます。があまり詳しい情報はありません。断片的ですが70年代に西城秀樹のバンマスをされていたそうで、その後アメリカへ渡り、帰国後にこのアルバムを発表されたとのこと。これぐらいしか見つからないのでCDの文字が極小のライナーノーツを見てみます。まずは生まれは1950年で16歳から自由が丘のファイブスポットで鈴木勲のセッションに加わってプロ活動を開始。1973年、23歳でグレンミラーのジャパンツアーに参加し、その後2か月渡米。1977年には約1年間ニューヨーク生活をしているとのこと。現在はジャズ界からクラシック音楽界に移り、今国内外のオーケストラの指揮者としてご活躍しておられるキャリアの持ち主。このアルバムは1973年4月4日にテイチク杉並スタジオでの録音で今は無きユピテル・レコード というレーベルからのリリースです。
 冒頭曲の Kemo-Sabe はキモサベと読むらしく西海岸でバンドを組んでいた時のキーボード奏者 マイク・ノック から日本に帰ったときに演奏してほしいとプレゼントされた曲とのこと。躍動的な曲で本田俊之のサックスから入りピアノも快調に飛ばし、ドラムのドナルド・ベイリーの細かな刻みも気持ちよいです。Beloved Diane は中島のオリジナルでダイアンは恋人の名前で月の名前を意味するバラード。確かに静かな夜に月を眺めているような感覚の曲です。Tell Me A Bedtime Story はハービー・ハンコックの作品でフルートによる清涼感がある作品となっています。Third Plane はロン・カーターの作品でボサ・ノバとのリズムとフォービートが交互に繰り返されるテーマはコミカルで楽しくベース・ソロも楽しめるつくりになっています。Moments Notice はコルトレーンのブルー・トレインからの作品で、メンバーの気合が伝わる渾身の1曲ではないでしょうか。My Love は、ボブ・ジェイムス作品で本田のサックス無しのトリオ演奏となっていますが格調高い演奏で、おそらく思い入れもかなりある感情のこもったピアノ演奏でした。
 繊細で洗練された演奏で、最近気になる和ジャズという感覚から言えばアルバムの作りは和ジャズではあるけど、感覚的には洋に属する作品でしょうか。和ジャズの名盤復刻とのことで中々のものでした。

piano : Masao Nakajima(中島政雄)
bass : Osamu Kawakami(河上修)
drums : Donald Bailey
flute, alto sax, soprano sax : Toshiyuki Honda(本田俊之)

producer : Tadao Shimo

recorded on 4 April 1979

1.Kemo-Sabe
2.Beloved Diane
3.Tell Me A Bedtime Story
4.Third Plane
5.Moments Notice
6.My Love



▶ My Love


  

2022年12月25日日曜日

Weather Report / Heavy Weather


 大学に入ってジャズ研に入り、そこで周りのみんなが聴いていたのは David Sanborn(サンボーン)やら Weather Report(ウェザー・リポート)やら、ロックしか聴いてこなかった私は、フュージョンなる音楽はすごいことになっていると当時衝撃を受け、当時もっとも聴いていたアルバムの一つです。何が驚いたかと言えば当時流行っていた The Manhattan Transfer(マントラ)の Birdland を先に聴いていたのでこのアルバムを聴いた時に、これが元バージョンかとマントラのコピーの正確さにも驚いていたのもあってのめりこみました。


 さてこのアルバム Weather Report の通算7枚目の作品となります。録音は1976年でこの年には大ヒットした1月に Black Market を録音し10月には本作を録音しています。この録音の前年にジャコはジョー・ザビヌルと出会いデモテープを渡し、初のソロ・アルバム「ジャコパストリアスの肖像」を録音、パットメセニーの初作品 Bright Size Life にも参加など一挙にジャコの露出が高まってきた頃で、当然このアルバム大ヒットで50万枚を超えるセールスを記録しています。
 冒頭曲 Birdland は、イントロでのジャコのハーモニクスが印象的の曲で、これを聴いた世のベーシストは一度はこのメロディーに挑戦しているに違いありません。これまでプログレッシブな要素が強かった楽曲がこのポップでメロディーが印象的な偉大な曲です。先述したマントラのカバーでは楽器の音色まで肉声で忠実に再現していたとわかった時には、どちらも凄いなと感心しました。。続く A Remark You Made については、抒情的なメロディーに乗せてWayne Shorter のテナーと Jaco の寄り添うようなベースがクルクルと表情を変えるこれも名作。Teen Town は Jaco の楽曲で様々なアルバムに収録されていますが、やはりこのアルバムの曲は全てにおいてバランスがとれています。ライナーノーツ読み返したらこの曲は Jaco がドラムまでも叩いています。そして Harlequin は、Shorter の作曲の幻想的な曲です。アフリカンな歌声とともに始まるパーカッションソロは Rumba Mama。このアルバムのど真ん中にこれをもってくると言うのも非凡な選曲センスです。一転して都会的なフュージョンに仕上げたShorter 作品の Palladium は、コンガによる細かなビートで全員が伸びやかな演奏でジャコの steel drum の演奏もピリッと効いてます。The Juggler は Zawinul 作品でここらへんでいつもの宇宙的なペースに戻ってくる感があります。締めのHavona で Jaco 作品でベースの暴れ方が秀悦です。
 いや何度聞いても凄いアルバムでまさに Weather Report 代表作と言われるだけある迫力がここにあります。

Joe Zawinul : ARP 2600 (all tracks except 5), Rhodes electric piano (all tracks except 1,5,8) , Yamaha grand piano (1,4,7),  Oberheim polyphonic synthesizer (all tracks except 5,6,7) , vocals (1), melodica (1,3), guitar and tabla (7)
Wayne Shorter : Soprano saxophone (all tracks except 2,5), tenor saxophone (1,2,6)
Jaco Pastorius : Fretless bass (all tracks except 5), mandocello (1,7), vocals (1), drums (3), steel drums (6) 
Alex Acuña : Drums (all tracks except 1,5), congas and tom-toms (5), handclaps(7) 
Manolo Badrena : Tambourine (1) , congas (3,5,6), vocals (4,5), timbales (5),  percussion (6,7)

co-producer : Jaco Pastorius
producer (assistant) : Wayne Shorter
producer (producer/orchestrator) : Zawinul

recorded at Devonshire Sound Studios, North Hollywood, California.

1. Birdland
2. A Remark You Made
3. Teen Town
4. Harlequin
5. Rumba Mama
6. Palladium
7. The Juggler
8. Havona



▶ Havona


  

2022年12月24日土曜日

David Sanborn / Song From The Night Before


 David Sanbornは、1975年に最初のソロアルバム Taking Off から24枚のアルバムをリリースし、グラミー賞を6回受賞、8枚のゴールドアルバムと1枚のプラチナを獲得してきました。キャリアの最初は Paul Butterfield(ポール・バターフライフィールド)共演で、以降スティービー・ワンダー、ストーンズなど様々なミュージシャンと共演し数えきれないほどのミュージシャンと交流してきました。そして マーカスとの出会いでファンク・フュージョン・サウンドを牽引し、1991年の Another Hand ではメローなジャズ路線、1992年 Upfront では再びファンク路線にと音楽性は様々に変化します。

 
 この1996年の作品 Song From The Night Before はフュージョン系サウンドですが、ポップ系のサウンドから少しメローになってきています。プロデューサーがキーボードの Ricky Peterson になったことで、元気印のマーカスからアダルト路線にサウンドを変わり、バラエティよく曲を配置しバランスもよくうまくまとめていると感じます。しかし明確な方向性はあまり感じられないので、アルバムとしては落ち着いた味わいと言えばそうなんですが、私にとっては、やや地味との印象を受けてしまいます。
 このアルバムの曲は大きく3タイプに分類できます。アダルト・フュージョン系で Relativity、D.S.P.、Spooky、Rumpelstiltskin。ひと昔前っぽいフュージョン Listen Here、Southern Exposure、サンボーンをゆっくり聴く、Rikke、Missing You、Infant Eyes など。私はマーカス時代のファンク・フュージョン路線から大ファンになりました。若干おとなしめのこのアルバムは嫌いではないけど印象は薄め。プログラミング主体で軽めのせいもあるかもしれません。

alto sax : David Sanborn
keyboards bass and drum programming : Ricky Peterson
programming, guitar : Paul Peterson
guitar : Dean Brown, Philip Upchurch
percussion : Don Alias

Additional Musicians
bass : Will Lee (6)
fretless Bass : Pino Palladino (3)
guitar : Philip Upchurch
additional drums : Steve Jordan

Horn Section
bass clarinet, alto flute : John Purcell
soprano sax, clarinet, flute : George Young
tenor sax, flute : Dave Tofani
trumpet : Randy Brecker

producer : Ricky Peterson

1. Relativity
2. D.S.P.
3. Rikke
4. Listen Here
5. Spooky
6. Missing You
7. Rumpelstiltskin
8. Infant Eyes
9. Southern Exposure


Spooky



  

2022年12月23日金曜日

Donald Byrd / I'm Tryin' To Get Home (Brass With Voices)

 

 最近、中古盤を購入してから未試聴のストックが大体20枚ぐらいあるのですが最初に聴くのは、行きつけの「おでんバー」で良い音で聴くのが習慣となってきています。音源を持って飲みに行く時には大体2枚選んで行きます。この日はドナルド・バードとルー・ドナルドソンでした。最初に聴いたのがこのアルバムです。Donald Byrd は好きなトランぺッターなので段々とコレクションも増えてきていますが、通算して聴いていると当たり外れがある印象(いや好みではないものも若干ありますと言い換えた方が良いですかね)ですが、このアルバムにはマスターも「当たりですね」の一言


 1955年初リーダーアルバムを発表し、トランジション・レーベルから発表しその後ジャズメッセンジャーズに参加するなどの活躍、ハードバップ系のトランぺッターとして1958年から Blue Note レーベルを中心に数多くの作品を発表していますが、このアルバムは1964年の作品で、1963年の New Perspective からのゴスペル色を取り込んだコーラスとジャズとの融合が始まった頃の作品です。楽曲は Donald Byrd と Duke Pearson が半分ずつの作品です。Duke Pearson は1932年生まれのジャズ・ピアニスト。録音メンバーには後にジャズから旅立ってゆく piano の Herbie Hancock、guitar は Grant Green などの大御所も参加していて、その過程にはこのようなゴスペル的なアルバムへの参加も感覚の変化の大きな原動力となっていたのかということも想像するだけで何かを発見した気分にもなります。
 Brother Isaac はドナルドの作曲で、ゴスペルの合唱隊によって始まり、リズムセクションとドナルドのソロから始まる楽曲で、最初に聴いた時にはこれがドナルド・バードのアルバムの始まりの曲なのかと正直驚きました。Noah はデューク・ピアソンの作曲で、雄大な自然に向かって旅を始めるかのようなイメージで、もしかしたらノアの箱舟のイメージなのだろうか?ゴスペル的な楽曲とこの題名で教会的を感じます。I'm Tryin' To Get Home はまたドナルドの作曲で、激しく歌われるゴスペル的な手法の曲でンス・ミュージックのような仕上がりでもあります。ミュージカル映画でも使われそうな軽快な楽曲で踊っている映像が似合います。Freddie Roach のオルガンが盛り上げてくれますし Grant Green のギターのカッティングも地味ですが良いですね。I've Longed And Searched For My Mother もドナルドの楽曲で、教会の鐘の音から始まります。ここで改めてテーマはゴスペルなんだねと確認。鐘の音は母の葬儀に参加できなかったドナルドの母のためのものでドナルドの心の中に両親はいつまでも生きていることが表現されているとのこと。March Children は デューク・ピアソンの作曲。行進曲のような楽曲ですがハンコックのピアノ・ソロが気持ちよくスイングし余裕に満ちたドナルドのソロは安定感があります。最後の Pearly Gates も デューク・ピアソンの作曲。「天国へ入る人」を描写したものらしく活発にスイングし踊りながら天国の門へ向かう人たちが思い浮かびこのアルバムのコンセプトをうまくまとめているものだと思います。
 少しマニアックな作品であるとは思いますが、新たなドナルド・バードの進化過程を聴けたことで満足しております。

trumpet, flugelhorn : Donald Byrd
organ : Freddie Roach
piano : Herbie Hancock
guitar : Grant Green
bass : Bob Cranshaw
drums : Grady Tate
tenor sax : Stanley Turrentine
french horn : Jim Buffington, Bob Northern
trumpet : Clark Terry, Ernie Royal, Jimmy Owens, Joseph Ferrante, Snooky Young
trombone : Benny Powell, Henry Coker, Jay Jay Johnson, Jimmy Cleveland
tuba : Don Butterfield
vocals (eight voices) : unknown artist
conductor (band and voices) : Coleridge Perkinson

recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, December 17 (1, 3, 5) & 18 (2, 4, 6), 1964

1. Brother Isaac
2. Noah
3. I'm Tryin' To Get Home
4. I've Longed And Searched For My Mother
5. March Children
6. Pearly Gates






  

2022年12月18日日曜日

Joe Pass Trio / Sentimental Moods


 普通のトリオ録音だと思っていましたが、よく見ると With Tommy Gumina Sound Project トリオにもう一人ゲストか?と思いましたが、polycorus という楽器奏者の Tommy Gumina がもう一人の主役のようです。さて polycorus という楽器ですが、音を聴いていると、オルガンのようなシンセのようなエレクトーンっぽい感じの音色です。
 ライナーノーツを読んでいると、この楽器は、シンセサイザー・アコーディオンだそうでどんな形状なのか、ググってみましたも出てくるのは、ギター・エフェクターのこればかりで、corusではなくてchorus です。



しかしRolandで見つけましたシンセ・アコーディオン

FR-1xbFR-4x

 鍵盤はボタン式と鍵盤の2種類ああるようですが、形状はまったくアコーディオンですが、アルバムで聴く限り音はエレクトーン。私が持っているのとジャケ違いで見つけたものでは、Tommy Gumina が持っているのは鍵盤タイプのようです。



 さてこのアルバム、ジョー・パスのギターは Tommy Gumina の音につられてか若干リバーブがきつめで、曲よっては、きつめのオーバー・ドライブで歪ませているのに驚きました。1曲目 My Shining Hour は1943年の映画 The Sky's the Limit のために書かれた楽曲でミュージカル・コメディーの映画だったようで軽快でダンサブルなナンバーです。続く My Ship は1941年のミュージカル Lady in the Dark のナンバーで、しっとりとしたバラードにジョー・パスがメインでソロが展開されています。Once In A While はスタンダードで1938年にルイ・アームストロング、1952年にパティ・ペイジがヒットした曲をミドル・テンポでスイングさせている。Cavaquino はブラジルの演奏家エルネス・トナザレー(Ernesto Júlio Nazareth)の作曲でショーロというブラジル音楽の楽曲で途切れなく連続する音符の羅列をジョー・パスとトニー・グミナがユニゾンしながらアドリブという大変楽しい楽曲です。In The Wee Small Hours もしっとり系で1955年にシナトラがヒットさせたバラード。恋の歌とのことでジョー・パスもロマンティックなギターを展開している。Secret Love は1953年のドリス・デイ主演の Calamity Jane からの楽曲です。時代を感じるスイングでオルガンのような polycorus の音色が印象的。I'm Getting Sentimental Over You は1936年にトミー・ドーシー楽団で原曲はバラードとのことだが、ここでは軽快なスイングで、ジョー・パスが張り切ってます。When You Wish Upon A Star は、ご存じのディズニーアニメのバラード。いつ聴いても素晴らしいメロディーですね。polycorus の幻想的な伴奏に ジョー・パス の透明感あるギターでまさに星空を思い浮かべる美しい仕上がり。難しいことは一切抜きですがこれは良いですね。About Time はトニー・グミナのオリジナルでシンプルな楽曲でトリオが楽しんで演奏しています。ここでジョー・パスが、オーバー・ドライブをギンギンにかけたブルース・フレーズ連発なのが思わずニヤリとしてしまいます。polycorus も遊んでいますね。Will You Give Me These はジョー・パスのオリジナルで独演の曲となります。これぞジョー・パスという感じでさすがです。Guess I'll Hang My Tears Out To Dry は1944年のミュージカル Glad To See You の楽曲で、Tommy Gumina の独演です。ドラムレスで静かに音が流れていく曲でバンド・ネオンの音色に、エレクトーンのようなベース・ラインで、なるほど これが polycorus の名手の演奏なのだなとわかりました。 
 全体的に、ミュージシャンの音楽性云々を考えるより音楽を聴くという楽しみがあるアルバムでした。

guitar : Joe Pass
polycorus : Tommy Gumina
drums : Jimmy Smith

producer : Joe Pass, Tommy Gumina

1. My Shining Hour
2. My Ship
3. Once In A While
4. Cavaquino
5. In The Wee Small Hours
6. Secret Love
7. I'm Getting Sentimental Over You
8. When You Wish Upon A Star
9. About Time
10. Will You Give Me These
11. Guess I'll Hang My Tears Out To Dry

Cavaquino

My Shining Hour

When You Wish Upon A Star

全世界の音楽を聴きつくすことはできない
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2022年12月17日土曜日

Herman Kelly & Life / Percussion Explosion


 帯は捨ててしまったんですが、限定プレスのCDとのうたい文句とかにひかれて買ったアルバムで、存在を忘れがちなマイアミのパーカッションの Herman Kelly(ハーマン・ケリー)率いる Herman Kelly & Life 。数年前に書いた本ブログで「唯一のアルバムらしい」と書いてありググってみても確かにリーダーアルバムはこれだけというか他のアーティストへの参加なども確認できなかったのでその活動はよくわかりません。ミュージシャンとしての情報量が圧倒的に少ない Herman Kelly です。写真もほぼ無くいろんなバージョンのアルバムジャケットぐらいです。

 
 
 サウンド的にはファンク・ソウルかと思いきやバリバリにラテンの曲もあります。基本的に踊れるパーティ系であることは間違いなく、この限定プレスの再発以前もDJ系の人にはサンプリングされて使われることも多い方のようです。確かドラムとパーカッションにファンク・ベースに乗せるが基本のこういった楽曲はDJのリミックスには適していそうです。
 サンプリングでよく使われるのは Dance To The Drummer's Beat で、きっちりと作ってあって爽やか系の売れ線のファンク。Time After Time は懐かしいレトロなメロディー・ライン、A Refreshing Loveは静かにピアノから始まったかと思ったらワールド系のラテン・ファンクでコーラスはアフリカンな感じも入れてきていて、曲の間のブレイクは完全にラテンの決めで思わずニッコリ、Who's The Funky DJ はラテンとかは排除したジェイムス・ブラウン系の繰り返しファンク・リフの楽曲(ギターもそれ系)Share Your Love ではサザンソウル系に変身します。Do The Handbone はグルーヴィーなモータウンも入ったファンクでホーン部隊がイイ感じ。そしておそらくサイケ路線を狙ったけど失敗したような変なギター・ソロもレトロでバカバカしくて素晴らしい。
 70年代ディスコティックなファンク好きの方ならきっと気に入るアルバムで、私は70年代ディスコに興味はありませんが耳には心地よく感じる世代。こんなマニアなアルバムよく買ったもんだと自分でも感心しております。

vocals & percussion instruments
vocals, drums, bells, temple block, cowbell, castanets, bass drum, gong, cymbal, effects, bongos, congas, wood Block : Herman Kelly

Recorded in Brazil and Miami.

1. Dance To The Drummer's Beat
2. Time After Time
3. A Refreshing Love
4. Who's The Funky DJ
5. Share Your Love
6. Do The Handbone






  

2022年12月16日金曜日

Norman Brown / Just Between Us


 George Benson、Wes Montgomery 系のギタリスト、Norman Brown(ノーマン・ブラウン)のデビュー作。ジャズよりの音色ですが、ロック・フュージョン系のこともできるので私のイメージ的にはフュージョンというよりは、スムース・ジャズ系のギタリストと表現した方がしっくりきます。アメリカ・カンザスシティー出身で、8歳の時から兄の持っていたギターを弾き始め高校卒業後、プロのギタリストとして活動スタート。22歳でハリウッドのギター専門学校の講師を務めながらこのアルバムを発売。レーベルはモータウンのコンテンポラリー・ジャズ部門のレーベル MoJazz の第1弾として発売されました。この手のギタリストも大好きで Ronny Jordan(ロニー・ジョーダン)、Zachary Brooks(ザカリーブルックス)なども聴いてます。


 ウェスとベンソンが好きです系なんですがと言われなくても聴けばわかる演奏ですが、このデビュー作改めて聞いてみると粒立ちの良い音とピッキングの正確さによって詰め込まれる無数の音はやっぱり引き込まれてしまいます。
 アルバムの作りとしてはオケやボーカル入れたりしたりしているのでフュージョン的なアレンジの曲が多いですが、意外と柔らかな音も出してます。そして4曲目 Love's Holiday なんかはEWFのホーンセクションがまるごと参加、そしてEWFのナンバーをカバー、ヴォーカルにステーヴィー・ワンダーが参加した6曲目 Too High などもコッテコテで格好良い。発売当時、弱冠22歳。レーベル的にも力を入れていただけに、他にも Al McKay、Nathan East、Boyz II Men、豪華メンバーで金かかってる音で出来も最高です。

guitar : Norman. Brown
keyboards : Jerry Peters, Brian Simpson, Herman Jackson, Wayne "Ziggy" Linsey 
piano : Bobby Lyle
synthesizer : Herman Jackson
rhythm guitar : Al McKay
bass : Verdine White, Nathan East, Richard Patterson, Sam Sims 
drums  : Land Richards,  Chuck Morris, Mike Baker 
percussion : Darryl Munyungo Jackson, Paulinho DaCosta

backing Vocals : Boyz II Men, Della Miles, Tony Warren, Perri
lead vocals, harmonica : Stevie Wonder

soprano sax : Ronnie Laws
tenor sax : Kirk Whalum,  Gerald Albright
sax, flute : Gary Bias , Jeffrey Clayton
trombone : Reginald Young
trumpet : Raymond Brown

1. Stormin'
2. Just Between Us
3. East Meets West
4. Love's Holiday
5. It's A Feelin'
6. Too High
7. Something Just For You
8. Here To Stay
9. Moonlight Tonight
10. Sweet Taste
11. Inside




  

2022年12月11日日曜日

Keith Jarrett, Gary Peacock & Jack DeJohnette / Standards, Vol. 1

 

 キース・ジャレットも最近聴き始めたピアニストで、難解というイメージが付きまとっていたせいか今まで敷居が高かった人です。オジサンの世代的には有名な人なので知ってはいましたし、行きつけの「おでんバー」でもマスターが好きなので比較的よくかかっていたので段々と耳馴れしてきてやっと自分で購入した一枚目がこのアルバムとなりました。
 初のリーダーアルバムの購入とはなりましたが、Keith Jarrett の参加している作品はマイルスぐらいでした。Miles Davis / Live EvilMiles Davis / Get Up With It


 イメージとしては長尺のソロを唸りながら演奏する印象だったので、このアルバムは正直正統な演奏だったのが意外でした。この作品はトリオでの演奏としてのデビュー作で、その出発点と言うことです。実際1981年までは、キースは全くと言っても良いほどスタンダードを弾かないピアニストで1982年のソロ・コンサートでアンコールにOver The Raibow, All The Things You Are などのスタンダードを演奏したのが反響を呼び翌1983年1月に、このアルバムのレコーディングに入ったとのこと。
 選曲はスタンダードながらも繊細なタッチでありながらドラマチックなピアノにドラムのジャックのリズムに乗せ、ベースのゲーリーも濃密に絡み合う。激しく高揚させてくれたり音は鳴っているのに静かな静寂ような気持にさせてくれたりとこれも買ってよかった。
 Meaning Of The Blues ではスタンダードではあるものの、お互いの音を確かめるような感じで、そっと演奏が始まります。All The Things You Are は、ジャズマンならお馴染みの名曲で、コンサートでもアンコールで演目には入っていたとのことで、やはり堂に入ったもの美しいテーマ部分は導入部でその後は激しく目まぐるしいソロに入ります。唸り声も絶好調でノリにのった力強い曲になっていますが、曲のラストでいきなり失速してくずしたテーマに戻るところがまた良い。It Never Entered My Mind は美しいバラードで1940年に初演のブロードウェイ・ミュージカル Higher And Higher の中の失恋ソングで原曲はミディアム・テンポだったのがフランク・シナトラが歌って以降バラードとして定着した曲だそうです。The Masquerade Is Over については、落ち着いた調和のとれたスタンダードらしい演奏で安心感がありますが気持ちよさそうに唸るキースが絶好調だなあ。God Bless The Child はエリックドルフィーで有名な曲で、元々の曲は非常に辛気臭いブルース調の曲なのですが、ダンサブルなソウルのような曲調にしていて、ドラムも8ビートですか?へえこんなこともするのかと15分の演奏も気にならない。新鮮でした。なるほど、これも名盤と呼ばれているのがわかります🎵

piano : Keith Jarrett
double bass : Gary Peacock
drums : Jack DeJohnette

producer : Manfred Eicher

recorded January 1983 at Power Station, New York City.

1. Meaning Of The Blues
2. All The Things You Are
3. It Never Entered My Mind
4. The Masquerade Is Over
5. God Bless The Child