1969年リリースの4thアルバムで、全米で300万枚以上を売り上げ1960年代を代表するアルバムの1枚。ローリング・ストーン誌の『オールタイム・ベスト・アルバム500』においては第121位にランクイン、1968年11月に先行販売のシングル Everyday People は、4週間全米シングルチャートの第1位となっています。
次作の1971年「暴動」 There's a Riot Going On は、ドラッグまみれになりながらオーバーダブなどでほぼスライが独りで創りあげたアルバムで暗くヘビーなアルバムで評判は必ずしも良くないようです。しかし、このアルバムはバンド全員で作ったハイテンションで解りやすいサウンドになっていて、この落差を楽しむのも面白いのではないでしょうか。
本アルバムは前述したとおり、バンド・サウンドの勢いに乗っているゴリゴリ・ファンクもあり、ポップ路線もありで、とにかく力強いサイケなサウンドですのでスライの入門として、ここからハマってる人もおそらく多いのではないでしょうか。サウンドの要は何よりも絶好調のラリー・グラハムの強いベースラインで、聴いているうちにどんな人間の気持ちをも高揚させ、体を揺らせる効果があります。そして全体的に多用されるワウとボコーダーがサイケな気分にさせてくれます。
捨て曲が無いのも名アルバムの要因の一つでしょう。Sing a Simple Song、I Want to Take You Higher はアップテンポに気分を高揚させてくれて You Can Make It If You Try、Stand! などはメッセージ性が強い曲です。また Everyday People、Don't Call Me Nigger, Whitey には政治的・社会的なテーマがあります。特に Don't Call Me Nigger, Whitey という人種差別撤廃を旗に掲げている曲がありながらも黒人の自立を説くブラックパンサーはスライに対して、白人のグレッグとジェリーをバンドから追い出し、もっと黒人寄りの曲を作るように圧力を掛けたと言われており、この時代の背景の複雑さには相変わらず考えさせられるものがあります。やはりこの時代の音楽を聴くには、吉田ルイの名著「ハーレムの熱い日々 BLACK IS BEAUTIFUL」を読み直すとより深いものになるような気がします。
本作の発表後の8月には、愛と平和と人種統合の理想を背景にウッドストック・フェスティバルに出演した。アルバム・タイトルの Stand! はこの時代の人種差別などへのメッセージでもあり、ダンスフロアで人々を踊らせながらも Stand! と人種問題への提起を行うアルバムでもあるのが意味深です🎵
vocals, organ, guitar, piano, harmonica : Sly Stone
vocals, guitar : Freddie Stone
vocals, bass : Larry Graham
trumpet : Cynthia Robinson
trumpet : Greg Errico
background vocals : Little Sister (Vet Stone, Mary McCreary, Elva Mouton)
1. Stand!
2. Don't Call Me Nigger, Whitey
3. I Want to Take You Higher
4. Somebody's Watching You
5. Sing a Simple Song
6. Everyday People
7. Sex Machine
8. You Can Make It If You Try
▶ Stand!