2023年2月19日日曜日

土岐英史 片倉真由子 / After Dark

 

 土岐英史が2021年6月に亡くなってから、ソロ・アルバムを購入しはじめました。亡くなってから、亡くなってからは私のような人が多いのか暫くは品揃えが少なかったのが徐々にリアル店舗の棚の品揃えが増えてきているような気がします。そこでタワレコの定期チェックをしていると、この Days Of Delight の見慣れた岡本太郎ジャケット・シリーズで未だ聴いていないのがありました。お相手はピアノの片倉真由子でデュオ作品とのことで雑誌で知っているが未だ聴いたことの無いピアニストなのでワクワクします。これは家でしばらく眠らしてから、いつもの「おでんバー」で封を開けました。これを聴いた時には音楽マニアではないお客様が同席されていたので静かに耳を傾けていて、マスターも忙しそうだったので他の皆様の反応はよく覚えていません。他の方の印象を聴くのも楽しみなので少し残念。


 レビューをしていきます。東京・青山の岡本太郎記念館内にある岡本太郎のアトリエで録音されたとのことですが、アバンギャルドな芸術は爆発の印象はなく、ベタなスタンダードの枯葉は片倉真由子のピアノから始まります。そこにフワッと土岐のサックスがのってくる。奇抜なことはないのですが、フワッと出てくる土岐のサックスにインパクトがあります。After Dark は土岐さん作の楽曲です。ゆったりとしたピアノイントロが1分半、おやピアノの独奏になるのかと思ったら土岐さんがまたゆったりとした音でテーマを吹き始める。朗々と吹かれるアルト・サックスとどっしりした片倉真由子のピアノの演奏はどこまでも続くのかと思われるような演奏で10分弱の曲ですが長いなとも思わずに聞けました。How High the Moon は、1940年のMorgan Lewis 作曲, Nancy Hamilton 作詞のスタンダードで色んな人がやっていますが、私は Ella Fitzgerald の Ella in Berlin のアルバム最後で印象的だった曲。あちらでは激しい感じでしたが、ここでは明るく空に向かって響けとでもいうようなカラッとした演奏です。難しいことは入れずに、この曲を楽しめます。ソロ部分でのちょっとしたサックスとピアノが頤の間合いをとっているところなどはお互いの目で合図しているところが想像できるようなイメージでした。良いですよね。Gee Baby Ain't I Good to You はブルースのスタンダードで1929年の Andy Razaf、 Don Redman による名曲で、ブルース、ジャズのミュージシャンに問わず名演が多い名曲で大好きです。片倉真由子さんのピアノもとてもこの曲によく合っていると思います。ピアノ・ソロ部分でのモンクっぽいリズムの崩し方とかサビのコードを微妙にずらしているところとか聴き入ってしまいます。Back Home Blues 1951年の Charlie Parker 作曲で、ひねくれた?テーマが面白い曲ですね。ここでも片倉真由美の安定したピアノのバッキングで土岐さんのサックスが映えています。レコーディングの順番はわかりませんが、段々と息がぴったり合ってきているかのような演奏で、次の黒いオルフェにそのままなだれ込みます。ここでも早いパッセージなどは必要なくライブハウスでもない小さな喫茶店でライブを聴いているような気軽な演奏が心地よいです。I Hear a Rhapsody 1941年  George Fragos, Jack Baker, Dick Gasparre の作曲で、ポップスからジャズスタンダードで有名になった曲。土岐さんのイメージに合う曲ですね。Bill Evans と Jim Hall の Undercurrent では、もっと憂鬱な感じだったけど、ここでは力強い曲に変身です。最後に Lover Man 1941年 Jimmy Davis、Roger "Ram"Ramirez、James Sherman の作曲でこれも Ella Fitzgerald で有名になったスタンダードです。短めですがしっかりと締めくくってくれています。
 このアルバムも聞き入ってしまいました。改めて土岐さんのアルバムは良いです。やはり日本人として安心して聴けて共感できる和ジャズなんでしょうね。それと若い頃から聴いていた日本のポップスなんかにも、土岐さんのサックスが吹いている曲も相当あったはずなのでこの音が知らず知らずに刷り込まれていたのかもしれません。

alto sax, soprano sax : 土岐英史
piano : 片倉真由子

2019 年6 月18 日 岡本太郎記念館にて録音

1. 枯葉
2. After Dark
3. How High the Moon
4. Gee Baby Ain't I Good to You
5. Back Home Blues
6. 黒いオルフェ
7. I Hear a Rhapsody
8. Lover Man - dedicated to Noboru Shudo





  

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