2024年3月1日金曜日

Soulive / No Place Like Soul


 オルガン・ファンクのイメージ、ジャム・バンド/クラブ・ジャズがこのバンドの代名詞と思っていたのが、通算7作目で路線変更。ジャズ・ファンクっぽさは無くなりアグレッシブに・・・ボーカル加入によって力強さが加わったファンク・ロックになりました。
 賛否両論あるのは当然かなと思いながら、インストやライブ音源の曲を申し訳ない程度に残したのは旧来のファンへの気遣いかもしれないが、振り切っていないなあ、等々思いながら聴いています。しかし別のバンドと思えば、なかなかよい味を出しているアルバムだと思います。またこのサウンド、世界的なメジャーになっても、おかしくないと思えるが今いち売れていない、私の好きなスウェーデンのアーチスト。Paulo Mendonca / 11PM を思い出させてくれるサウンドでもあります(つまり、売れないってことか?残念ながら)
 

  それではレビューです。Waterfall は、スライのノリの完全ファンクです。力強い Toussaint(トゥーサン)のボーカルで、いつもと違う雰囲気がしょっぱなから漂います。この新メンバーのトゥーサンは、ボストンを中心に活動していたソウルシンガーで、イーストコーストのツアー中にリーダーのクラズノーと知り合いソウライブのツアーに参加し今回正式メンバーとなったようです。Don't Tell Me は、前述した Paulo Mendonca の楽曲と似たテイストのファンクロックです。リフのため方とシンコペーションの取り方が全くそれで大好きです。Mary は出だしがアコースティックですが、このベースラインは、やはり Paulo Mendonca ですね。ボーカルのメロディーラインまでも似ています。絶対ツアー中に Paulo Mendonca をかけまくっていたに違いありません。Comfort ここら辺でソウライブらしさを出さないとパクリに終始することになりますね。と思っていたら変えてきました。が少々インパクトが弱い楽曲です。Callin' で、またベースとドラムの入れ方が Paulo Mendonca に戻りましたが曲自体はレゲエも感じさせるポップな曲調です。うーん違うバンドみたい。Outrage は、レイボーン風のブルース・ロックのインストです。ここら辺はブルース・ロック好きなバンドの定番のようなものですから何も言うまい。Morning Light レゲエに寄せてきましたね。と思いましたがそうでも無い。少しイモっぽいかな。でもアルバムのアクセントになってます。Never Know は、爽やかです。フォーク・ソウルっぽいです。おそらくここら辺は新ボーカルの持ち味なんでしょう。これはかなり変化球で良いです。Yeah Yeah では、従来のソウライブっぽい感じとスライが混在したような感じです。ありですね。If This World Was A Song これは完全にレゲエ寄せです。One Of Those Days は、ロックなギターリフからファンクを交互に行き来します。大好きです。Bubble は、実験的な変則インスト・ロックですが、ここら辺はソウライブの良いところっぽいような気がします。 Kim では、スローなソウル・ファンク・ロックな一面です。良いですね。少しだけ Paulo Mendonca がいますが。そしてラスト2曲は【Japanese Bonus Tracks】 Steppin'、Azucar は従来のファン向けのサービスのライブ音源、
 今までのゴリっとしたオルガン・ファンクではないけど新しく発見したバンドと思って聴けば、かなりのクオリティなアルバムです🎵

lead vocals : Toussaint
guitar  Eric Krasno
bass : Neal Evans
drums : Alan Evans
keyboards : Neal Evans

producer : Stewart Lerman
recorded by : Stewart Lerman (1 to 11)

1. Waterfall
2. Don't Tell Me
3. Mary
4. Comfort
5. Callin'
6. Outrage
7. Morning Light
8. Never Know
9. Yeah Yeah
10. If This World Was A Song
11. One Of Those Days
12. Bubble
13. Kim
【Japanese Bonus Tracks】
14. Steppin'
15. Azucar





  

2024年2月25日日曜日

Thelonious Monk / The Classic Quartet

 

 1963年5月23日、東京放送テレビ(TBS)のスタジオGでのスタジオライブ音源です。マスタリング界の巨匠バーニーグラインドマンによりオーディオ修復、リマスタリングが完璧に行われたと書いてあります。しかしながら音質は完璧ではありませんでした。
 いつもの音楽好きの集う「おでんバー」に本アルバムを持っていったところ見慣れないジャケットにマスターも興味深々。今のところモンクは今一という人はこのバーにはいません。モンク好きではありますが、全ての音源を聴いている訳では無く、この音源は聴いたことが無いそうなので期待度大でした。しかしながら、聴き進んでも何かパッとするものがありません。他に客はいない中、つまみを作ってくれていたマスターも、途中で「何かつまんんないね」と一言。テレビのスタジオライブの音源なので録音状態は良いものと思っていましたが、モノラルでの録音でもあり残念ながら音質が良くない。このライブは演奏のクオリティの前に音源として何かが欠けているような気がします。音に覇気がなく何か惰性で演奏しているような、ただの録音のような気がしてしまいます。
 録音が悪いのか、そのような時代だったのか?1963年は Columbia に移籍して Monk's DreamCriss Cross などを発表し5月21日のサンケイホールのライブ Monk in Tokyo などが録音されています。Monk in Tokyo は、この録音の2日前だけに聴いてみたいものであります。


 それではレビューしてみましょう。Epistrophy 収録はお馴染みのナンバーばかり。1941年のモンクとケニークラークの共作。ミントンズのプレイハウス時代から各セットの最後を飾る曲。正調な感じで録音されていてモンクの崩し方、チャーリーラウズも迷うことなくソロを吹いている。Ba-Lou Bolivar Ba-Lues-Are B♭のブルースで Briliant Corners が初録音、私の所有コレクションでは  Live At The It Club にも収録されています。淡々としたブルースの演奏であります。冒頭曲から淡々とした演奏で特に盛り上がるところも無い。Frankie Dunlop のドラムソロあたりで、そんなことを思い始める。モノラル録音なのも単調な感じを増幅させているかもしれません。Evidence は The Nonet!Piano Solo On VogueMisteriosoLive At The It Club の数多くの作品に登場します。この作品では、ひたすら機械的にコードを規則的に不規則に弾き続けるのが印象的。ただ何かの義務感のように演奏しているかのようです。Just A Gigolo は20年代に作曲されたスタンダードで珍しいように思ったが、Monk's DreamThe Thelonious Monk Trio に収録されている常連曲。Blue Monk は、モンクが数多くの作品で演奏しているブルースです。
 録音状態だけで、これほど聴き手の印象に影響を与えるものかと、何か何かモヤモヤする作品です🎵

piano : Thelonious Monk
tenor sax : Charlie Rouse
bass : Butch Warren
drums : Frankie Dunlop

producer : Takeo Yokota

recorded at T.B.S. TV, G. Studio on May 23, 1963.

1. Epistrophy
2. Ba-Lou Bolivar Ba-Lues-Are
3. Evidence
4. Just A Gigolo
5. Blue Monk





  

2024年2月24日土曜日

Tony Monaco Yosuke Onuma & Gene Jackson / Live at Cotton Club , Japan


 オルガン、ギター、ドラムのトリオ編成です。トニー・モナコは、8歳からアコーディオンを始め、ジミー・スミスの演奏を見てジャズオルガンを目指します。10代で地元オハイオ州コロンバスのジャズクラブで演奏を始めましたが、15歳で神経性筋委縮症で入院。退院後に両親からはハモンド・オルガンをプレゼント7された。そしてジミー・スミスのオフィスにデモテープを送付し16歳からジミースミスに師事して20歳で師匠と初共演。しかし1980年~2006年までは父親からの願いと早くに結婚し子供もできたことにより音楽ではない仕事についていた。2000年に友人のジョーイ・デフランセスコのプロデュースでアルバムをリリースし、ジャズウィークのTOP10入りし2枚目の作成を目指す。それからオルガン一本で生計を立てている。
 そんなジミー・スミスの愛弟子トニー・モナコと、2011年5月のコットンクラブ公演を機に結成されたオルガン・トリオで、2012年6月29日のコットンクラブ公演の2ndセット全曲が演奏順に収録された生音源で、収録は実は2日間4セット行われているとのこと。つまりは数十年後にコンプリート版が出る可能性もあるということですね。


 それではレビューです。Answering Service オープニングはブルース・セッションでお出迎えです。軽めのお気軽セッションで肩慣らしといったところでしょうか。Nice To Be With You モコモコ・サウンドから突き刺すようなサウンドまで変幻自在なオルガンサウンドで始まり小沼氏のオーソドックスなスタイルのギターが非常に気持ち良いオルガン・ジャズ・サウンド。Happy Play Ground は小沼氏のギターから始まるアシッド・ジャズ風のファンク・ジャズです。息もピッタリのご機嫌なナンバーです。主役は小沼氏になり樹生無尽の弾きっぷりはさすが。Aglio E Olio は、パスタ料理のアーリオ・オーリオが楽曲名になっています。どなたの曲かは不明ですがテーマの進行具合からしても即興セッションではない?のでしょう。高速で進行します。Happy Sergio もどなたの曲かはわかりませんでした。ボサノバであることからして Sergio Mendes を祝う曲であることは確かでしょう。Called Love は、ボーカルものです。歌は Tony Monaco です。ファンサービスのようなものですね。アットホームな雰囲気がとても良いです。I`ll Remember Jimmy これはトニーモナコの曲でしょう。師匠のジミースミスの賛歌ですね。Slow Down Sagg でライブは終了します。これは師匠 Jimmy Smith の曲です。耳覚えもありますが本家の演奏を聴いたのか?誰かのカバーかは覚えていませんがメンバーも最後はノリ良く演奏しています。小沼氏も珍しく荒々しくギターをかき鳴らしています。オルガンでベンドのような芸当も飛び出して客も大喜び。
 ハモンドオルガンという楽器は、刺激的で味があります。濁っていて音に揺れがあって肉声的であるのに、機械的な音伸びがありますし、私は細かいリズムのバッキングよりも、ロングトーンで、ビブラート効かせたキメの時にグッときます。小沼ようすけ氏の、指弾きならではの絡みつくようなギターフレーズも相性良くオルガンと絡んでいます🎵

organ : Tony Monaco
guitar : Yousuke Onuma
drum : GeneJackson

1. Answering Service
2. Nice To Be With You
3. Happy Play Ground
4. Aglio E Olio
5. Happy Sergio
6. Called Love
7. I`ll Remember Jimmy
8. Slow Down Sagg



2024年2月23日金曜日

Folklore(AOKI.hayato haruka nakamura)


 AOKI.hayato と haruka nakamura が2012年に、CDショップ「雨と休日」3周年演奏会結成されたギターDUO。このアルバムは2014年秋にリリースされています。
 そしてアルバム名の「FOLKLORE」と銘打ったDOUでライブツアーに回っていたとのこと、ギター片手の旅は大変そうですがカッコ良い生き方でうらやましいです。出会った人々、見えた風景、経過していった時間、溢れ出す感情を旋律にしながら奏でる。二人で旅を重ねながら1曲づつ曲を構築して2年かけて出来上がったのが本アルバムとのこと。
 風景絵画のように流れる音楽で、静かに語りかけてくる音に惹かれます。

 アルバムには全14曲が収録され、別CDにはAOKIとnakamuraが出会ってはじめて行ったセッションの 録音をまとめたものが収録されています。
 いつもなら、全曲レビューとするところなのですがアルバム全体を通して聴いて1枚のようなアルバムで、特にこの曲がということでもないような気がします。Ⅰで序章、days は出だし曲、FOLKLORE で歌メロ1、call で一休みのような感じです。このアルバムからシングルカットは恐らくありません。メロディーのある環境音楽のようなもので、二人のアーティストが語りかけるように奏でるメロディーはずっしりと、ゆったりと時間を刻みます🎵

【Disc1】
1. I
2. days
3. FOLKLORE
4. call
5. メア
6. fog
7. 夕べ
8. 水声
9. もうひとつの時間
10. TALKING
11. 灯り
12. XII
13. coda
14. g

【Disc2】
1. 二一時二〇分
2. 二一時五七分
3. 二二時三八分





  

2024年2月18日日曜日

Esperanza Spalding / Chamber Music Society

 


 Chamber Music とはクラシックの室内楽のことで、バイオリン、チェロ、ビオラと言った室内管弦楽に使われる楽器による小編成のバンドで、Junjo (2006) Esperanza (2008) に続く、3枚目のアルバムです。様々な表情を見せてくれるエスペランザのアルバムたちですが、今回は心に浸みるような楽曲と壮大な世界観を、小さな室内楽編成のバンドで表現しているのには、また惚れてしまいます。
 といっても、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」では評価は、それほどでもありません。マスターは、それなりに評価はしてくれていますが、表情が全く違うエスペランザを面白がっている感じで、ほぼ私と同年代の音の隙間にこだわるK氏の評価は得られません。まあ音楽とはそういうもので、何が自分の頭の中に響いてくるのかは好みや、それまで体験してきた音楽性、その時の自分の状況、体調によっても聴いている感覚は変わるものです。そしてエスペランザが好きと言った自己暗示もあり、このアルバムは心地よい音楽の良さを感じます。低音域のベースと高音域のボーカルを巧みに操る彼女の才能には今回も脱帽。


 それではレビューしていきましょう。Little Fly 可愛らしいメロディーで歌い上げるテーマはハエです。おぞましいハエではなくチョロチョロと動き回るハエを愛らしく見つめる歌でしょうか。Knowledge Of Good And Evil エスペランザらしい広がりを持つ曲で、彼女の持つ歌の音階は独特で中毒性があります。アドリブ部分はボーカルではなくまさにボイス。声も楽器です。Really Very Small 中近東的な音階のコーラスのイントロ、変拍子の動きの大きなベースライン、歌詞は無くボイスで全てが表現されています。何が小さいのか?またハエに戻ったのか?Chacarera 民族音楽的なリズムに抽象的なベースとワルツリズムのピアノですが何か室内楽的な響きの曲です。調べてみたら Chacarera はアルゼンチンの民族舞踊の名前とのことでなるほど。でもリズムはアフリカンな気もします。Wild Is The Wind 今度は風がテーマです。曲名からは嵐を連想しますが、ここでは嵐の前の静けさのような厳かな雰囲気が感じられます。包み込むように映画音楽を歌うかのようなエスペランザの最高潮に達する超高音もゾクゾクします。Apple Blossom ギターの Ricald Vogt とともに歌われるフォーク調の楽曲で普通の曲です。普通に良いですがエスペランザの普通にはビックリです。 As A Sprout も、普通に室内楽的な楽曲で41秒の小曲。What A Friend そして少し怪しい雰囲気の出だしですが、この曲はエスペランザ流ポップに分類されるような楽曲で、楽器編成が違うので少し厳かな雰囲気です。Winter Sun 冬の太陽は綺麗な空気の中に冷たく少し暖かな雰囲気の光が差し込むのが嬉しいもの。少し寒い日にグレイな雲を眺めながらブランケットを羽織っている。何が比喩されているのかはよくわかりませんが曲名よりは忙しい展開の曲です。Inútil Pasagem そしてアカペラのイントロ、ささやき系のボーカル。とても可愛らしくて好きですね。エスペランザの新しい一面のような楽曲ですが音の構成は、まさにエスペランザ・ワールドです。と思っていたら Antônio Carlos Jobim の曲でした。Short And Sweet 小さくまとめたような楽曲が心和みます。Midnight Sun 最後は彼女のボイスとベースのみの弾き語りですが、ベース上手すぎ、ボーカルも柔らかな広い声域で、超絶に上下する音階を細かに操る彼女の歌は素晴らしい。
 youtubeでエスペランザの図書館ライブなどを見ることもありますが、その活動の延長でしょうか。とても心に残る内容と音作りは、静かで豊かな心持になりたい時に聴きたいと思います。これを聴きながらウトウトするのも気持ち良いですね。豊かな気持ちになれるアルバムです🎵
acoustic bass, voice : Esperanza Spalding
piano, electric piano (rhodes) melodica : Leo Genovese
guitar : Ricald Vogt (Apple Blossom)
cello : David Eggar
drums : Terri Lyne Carrington
percussion, drums (candombe drums), bombo leguero : Quintino Cinalli
violin : Entcho Todorov
viola : Lois Martin

producer : Esperanza Spalding, Gil Goldstein

recorded at Bennett Studios - Englewood, New Jersey October 8-10, 2009 and January 14-19, 2010

1. Little Fly
2. Knowledge Of Good And Evil
3. Really Very Small
4. Chacarera
5. Wild Is The Wind
6. Apple Blossom
7. As A Sprout
8. What A Friend
9. Winter Sun
10. Inútil Pasagem
11. Short And Sweet
12. Midnight Sun





  

2024年2月17日土曜日

Weather Report Jazz Fusion Guitar & Piano


 あの Weather Report(ウェザーリポート)の曲のカバー・アルバムかと思って購入したんですけど、どうも違うようです。それでも新解釈かと思って必死に聞いてたんですが、どう聴いても、あの Weather Report は、どこにも出てきません。全く関係ありませんでした。実態は、那須基作(Kisaku Nasu)のセレクトによるフュージョン・コンピレーション・アルバムでした。伝統的ジャズから進化したグルーヴ・ジャズのさまざまなバリエーションを聴くことができるダンサブルな一枚で、ライトで爽やかな曲が選曲されています。
 帯の売り文句は「賞味期限無し!ジャズっててカッコ良い。時を超えて残る真のクラシックスのみ厳選!アンチ”使い捨て”!職人復興!つまりルネッサンス」という、興奮して書いたのか何を言ってるのか結構わかりずらい煽りと、誤植を一か所発見です。「ってて」
 もっとわかりやすく書いてある箇所もありました。「パット・メセニー、トニーニョ・オルタの名曲をカヴァーした新人日本人ジャズ・グループSOLID NEXASから美麗ピアノ・ハウスの新定番INTER SELECTOR、さらにはシカゴ・ハウスの巨人LARRY HEARDまでを収録」こちらの方がわかりやすいですね。要は色んなのオムニバスなんだと言うこと。那須基作氏は「JAZZ integral 所属の選曲家で、コンピは Jazz For More / El Dorado を他に所有しています。こちらも素晴らしい選曲を楽しませていただいております。


 それではレビューです。First Friendship は Lars Bartkuhn ドイツのフランクフルトのギタリスト、コンポーザーで1990年代から現在に至るまでハウス、ジャズ・シーンで支持を受けるアーチストとのこと。フュージョンとハウスが混ざったハッピーな楽曲。キメとブレイクがカシオペアっぽいところが日本人も好きなパターンですね。ギターは野呂さんタイプではなくファンク系とフュージョン系のミックス。 The Piano Live は Interselector の楽曲。1990年都内クラブでDJとして活動を開始した日本人クリエイター 草島 卓也氏 の活動名がこの名前らしい。DJミックスにキーボード、ギターを被せた録音のようです。ズンズンくるベースとリズムにラテン風味のハウスのキーボードがメイン。Aquelas Coisas Todas は Solid Nexus の楽曲。ネオ・エイジ・ジャズを体現したバンドで、リーダーのギター本吉大我はバークリー音楽院に留学。2005年ギブソン・ジャズ・ギター・コンテストでSolid Nexusを率いて出場し優勝しています。楽曲はスチール・パンが印象的なラテンにフルートっぽい音のギターシンセ。文字上は熱い音楽のようになりますがメチャクチャライトです。 Brazilian Love Affair は Shakatak です。お馴染みアドリブ偏重ではなくメロディと編曲を重視した親しみやすい1980年代にレベル42と人気を分かち合ったブリティッシュ・ジャズ・ファンク。名前だけ知ってて、あまり聴いてこなかったバンドです。耳に馴染みやすいジャズファンクで、これは王道。Summer Knows は Fusik(フュージック)の楽曲で、i-depの藤枝伸介(Sax)と、DJ/クリエイターcharichariこと井上薫のユニット。ここではギターのフラメンコギタリスト沖仁をゲストで迎えての楽曲です。スパニッシュですが、これも基本ライトなフュージョンの仕様です。Better Days Ahead です。Solid Nexus で2曲目になります。この曲はスチールパン無しのシンセギターとピアノが主役です。ジャズしてる感じですが、PCなどの機械で録音していくと、このタイプになりがちな若干無機質感もあります。ドライで良いです。Summer Daze は Nick Holder による楽曲。トロント出身のヒップホップ、ハウスDJ、プロデューサーとのこと。聞き流し系のポップなサウンドです。Amateras  またまた Solid Nexus です。かなり 那須基作氏 の推しですね。DJ系のアーチストは一つのパターンを展開するとかブロック・パーツを組み合わせて楽曲に仕上げる感じが多いのに対し、このバンドはしっかり曲を作っているので、やはりアルバムのアクセントとして重要な役割を果たしていると感じます。Treasure Everywhere は Lars Bartkuhn & His Passion Dance Orchestra なるバンドです。この Lars Bartkuhn の参加する楽曲は私このアルバムで初めて聴きますがタイプです。1曲目の First Friendship よりもUKジャズファンクにブラジル要素が加わった感じはかなり良い。Tejal は DJ Fudge の曲で、この前の曲の Lars Bartkuhn とリズムテンポがほぼ同じなのでメドレーのように次の曲に移行してきました。DJの流すサウンドトラックにピアノで即興しているタイプですね。スキですが聞き流すタイプの曲です。Love's Arrival は Larry Heard で シカゴハウス、ディープハウスの先駆者とのこと。ハウスのリズムにジャズテクニックのエレピの親和性は鉄板ですからこの曲も気持ちよく聴けます。オオトリは、Reaching Out Of Love で 日本人のセッション Seikou Nagaoka Feat. Pamela Driggs です。やはり私は日本人。最後にこのサウンドは落ち着きます。和の音階は無いですが実に日本人好みの洋系の和ものですね。締めにこの曲を持ってくるあたりは、共感。
 きっちり作りこまれたコンピは、聴いていて楽しいです。聞き流しても良し、じっくり聴きこんで個々の曲や、アルバムの構成を聴くも良し🎵

manufactured by  Rambling Records
compiled by Kisaku Nasu

1. Lars Bartkuhn / First Friendship
2. Interselector / The Piano Live (Original Mix)
3. Solid Nexus / Aquelas Coisas Todas
4. Shakatak / Brazilian Love Affair
5. Fusik / Summer Knows (Album Version)
6. Solid Nexus / Better Days Ahead
7. Nick Holder / Summer Daze (Original Mix)
8. Solid Nexus / Amateras
9. Lars Bartkuhn & His Passion Dance Orchestra / Treasure Everywhere
10. DJ Fudge / Tejal
11. Larry Heard / Love's Arrival
12. Seikou Nagaoka Feat. Pamela Driggs / Reaching Out Of Love





  

2024年2月16日金曜日

Yuji Hamaguchi / Going Home


 札幌時代にソロ・ブルース・ギターにのめり込むきっかけとなった濱口祐自。このアルバムはタワレコで初ネット購入したものです。当時、一緒に頼んでいた Blind Blak(ブラインド・ブレイク)が入荷する気配がなく中々届かず、しびれを切らし単独配送に変更して届いたと記録してます。ネット購入より探して買う方が確実で早いパターンもありますが、販売店舗は、閉店、規模縮小されていますので、CD購入の少数派としては寂しい現象です。
 さてこのアルバム、濱口祐自氏のセカンド・アルバムで久保田麻琴が録音/ミックス/プロデュース、細野晴臣、伊藤大地も参加しています。前回のアルバム 濱口祐自 フロム・カツウラ よりライブ感があって、より私の好きな録音です。繊細なフィンガーピッキングと、ここぞという時の粋なフレージングは強烈です。
 当時アコースティック・ギターマガジンでスコアが掲載されていた Mississippi Blues も、録音されていて運命も感じます。私の演奏動画はこちら ➡ Mississippi Blues (muu)
 

 それでは、レビューしていきましょう。Happy Birthday,Mr. Cameraman 氏のフォーク・ブルースっぽい1分10秒のオリジナルです。このアルバムの収録時の撮影カメラマンへのお祝いなのでしょうか。スピードのあるフィンガー・ピッキングが良いですね。Welcome Pickin’~Caravan 氏の定番であるキャラバンは、youtubeに様々なバージョンが公開されています。それと練習パターンをつなげた構成になっているようです。Spring Power これも氏による楽曲で、田舎の春の風景を描いているようなメロディー。Wakinotani 曲名は那智勝浦の地名ですので、この地で弾き続けてきたブルースに地名を付けたものと思われます。この曲も様々なテンポやアレンジのバージョンが youtube に公開されていますのでアルバムで聴く前にチェックしていました。Lucky Train~Freight Train~My Grandfather’s Clock フォークブルースの古典をイントロにして大きな古時計につなげています。おそらくライブではこんな楽しいアレンジがいっぱいなのでしょう。Amaging Grace Slide トラディショナル・ソングのアメグレです。きっと何千回も弾いてきているんでしょうね。いわずもがなの説得感のある演奏。Hangover Shuffle シャッフルのブルースです。ノリ良く弾いているのでボトルネックがバキバキと効果音になっています。The Entertainer フィンガーピッキングで教則本に掲載され、ギタリストの皆さんが通る名曲です。これも名曲です。Thank You,Mississippi は、John Hurt の曲ですね。お手本になります。このような曲を弾かせたら氏は天下一品の世界に通用するギタリストでしょう。Shibinawa Blues この曲名も地名だろうかと検索したけど出てきませんでした。典型的なブルースですが日本的なメロディーラインです。内田勘太郎の即興ブルースもこんな曲調がありますね。Tokyo Summit もはや曲名は何でも良いのでしょう。東京サミットの時にやっていたブルースですね。わかりやすくて、定番のブルース・パターンならではの魅力です。Short Time Minor これも2分9秒の小曲です。マイナーのブルースの練習曲なのですかね。氏の教則ビデオにもカッコ良いと思ったパターンをドンドン複雑に発展させる練習法が掲載されていました。Great Dream From Heaven バハマのギタリスト、ジョセフ・スペンス Joseph Spence の曲でライが・クーダーでも有名な曲です。Gymnopedies No.1 エリック・サティですね。これもライブで良く演奏されているみたいです。氏はブルースマンでありますが、ギターの響きを引き出すギタリストなので様々な引き出しがあります。同一アルバムにあると雑多な感じもしますが、これもまた魅力。Mississippi Blues 大好きな古典ブルースで、低音減とアルペジオの組み合わせが少しばかり変則的なのが面白いブルースです。氏は様々なパターンに変えて弾いているのがまた非凡です。Arigato,Tokie Robinson 誰なんだろうTokie Robinson?曲は「遠きなんとかに日は落ちて~」の下校の時にかかっていた曲ですね4.しあわせ 氏が歌っています。朝が来て昼が来て、潮が引きといった歌詞で、ほのぼのと歌われています。あちらのブルースの歌詞はこんな感じのたわいもない歌詞が多いですよね。自然体です。
 57歳からメジャーになった和のブルース・マン。いや音楽も生き方も、カッコ良い方です。好きなギターを片手に生きている。味のあるこのアルバム愛聴してます🎵

guitar, vocals : 濱口祐自
drums : 伊藤大地 (2,4,5,7,11)
bass : 細野晴臣 (4,7)
bass : 久保田麻琴 (11)

recorded by Makoto kubota and Yoshiaki Kondo at GOK sound

1. Happy Birthday,Mr. Cameraman(Hamaguchi)
2. Welcome Pickin’~Caravan(Hamaguchi~Ellington/Tizol)
3. Spring Power(Hamaguchi)
4. Wakinotani(Hamaguchi)
5. Lucky Train~Freight Train~My Grandfather’s Clock(Hamaguchi~Cotten~Work)
6. Amaging Grace Slide(Trad.)
7. Hangover Shuffle(Hamaguchi)
8. The Entertainer(Joplin)
9. Thank You,Mississippi John Hurt(Hamaguchi)
10. Shibinawa Blues(Hamaguchi)
11. Tokyo Summit(Hamaguchi)
12. Short Time Minor(Hamaguchi)
13. Great Dream From Heaven(Spence)
14. Gymnopedies No.1(Satie)
15. Mississippi Blues(Brown)
16.  Arigato,Tokie Robinson(Hamaguchi)
17. しあわせ(Hamaguchi)

▶ Caravan





  

2024年2月11日日曜日

Marvin Gaye / I Want You

 

 別格の風格、余裕とエロさを見せつけてくれる Marvin Gaye の 1976年アルバムです。代表作として思い浮かぶのは、まず What's Goin On(1971) で、数の多くのアーチストにカバーされる名作で、ベトナム戦争から帰還した弟から戦場の様子を聞いての反戦歌がテーマとなった強力なメッセージ性のあるアルバムです。それに対しこのアルバムは前作 Let's Get It On(1973)の発表して以来、恋人とゆっくりと暮らしていたところに、所属するモータウンかアルバムを作るよう催促されたため、急きょ製作したアルバムで、このような背景からか、全体的にメロウで気だるいような雰囲気が漂うエロさを醸し出しています。
 購入最初の試聴は、当然のいつもの音楽好きの集う「おでんバー」でした。商業主義的な音楽は、あまり好んで聴かないタイプの人が多い場所ですがコイツは聴く人の心をつかんだようです。好んで聴いてはいなかったでしょうが世代的にはドンピシャですからねえ。耳馴れもあると思います。


 ということで、このアルバムも再度聴きながらのレビューです。I Want You タイトル曲になりますラブソング。反戦歌の面影はどこにもありません。ひたすら Love ですね。ファルセットを活かしたコーラスの多重録音による空間的な広がりが魅力的な曲です。実にエロい歌いっぷりが素敵です。今聴くと Wham! のようなメロディー感がありますので、あの二人も Marvin Gaye を歌いこんでいたんだろうと聴きながら思ってしまいました。Come Live With Me Angel これも、どっぷりラブソングですね。After The Dance アシッドなイメージのシンセによるインスト曲でリズムはラテン。ラスト曲でボーカル入りが聴けます。Feel All My Love Inside で、またもやラブソングです。I Wanna Be Where You Are なんと1分18秒のフェイドアウト。レコードでは隠しトラックとしてs¥収録されていたとのことですが、後に7インチCDで完全版が発売されています。I Want You (Intro Jam) は次の曲へのイントロして使われています。1曲目の切り抜きではないようなので、おそらく別バージョンを収録した時のバッキングトラックが気に入って使っているのでしょうか。 All The Way Around は、広がりのあるアレンジのソウルナンバー。このサウンドの作り方は多くのソウル・ファンクミュージシャンのお手本ですね。Since I Had You 落ち着いた雰囲気のイントロ。そこからファルセットのコーラス。甘いですね。とてもスイートです。Soon I'll Be Loving You Again 軽めのリズムにのせたノリの良いメロディーライン。これも王道です。そして2回目登場の I Want You (Intro Jam) は1回目より少し長めですが繰り返しのバッキングの編集なので長さだ毛の違い。ラストは After The Dance で締めです。小さコンボで演奏されているような、こじんまりとしたアレンジと濃すぎない軽めの楽曲は心地よいです。
 アルバムを聴きながらライナーノーツを読んでいると、このアルバムの楽曲はダイアナロスの弟 T-Boy Ross とモータウンのお抱えコンポーザー Leon Ware による楽曲で構成されているとのことで、その頃には既に録音を終えていた Leon Ware の I Want You をそのまま譲り受けたアルバムとのことで「他人から譲り受けた作品であるがためマービンの代表作として取り扱われることはない」と書いてありました。理由として他人の作品だからは少々理由付けとしては乱暴な気はしますがメッセージ性のある What's Goin On と真裏の名アルバムでした🎵

vocals : Marvin Gaye
piano, electric piano (fender rhodes) : Jerry Peters, John Barnes, Sonny Burke
guitar : David T. Walker, Dennis Coffey, Jay Graydon, Melvin "Wah Wah" Watson, Ray Parker 
bass : Chuck Rainey
drums : James Gadson
percussion : Gary Coleman, John "Jack" Arnold
congas, bongos : Bobbye Jean Hall, Eddie "Bongo" Brown Jr.

executive producer : Berry Gordy, Marvin Gaye
producer : T-Boy Ross (3, 6, 7, 9 to 11), Hal Davis (1, 2), Leon Ware

recorded at Motown/Hitsville U.S.A. Recording Studios, Marvin Gaye Studio

1. I Want You 
2. Come Live With Me Angel
3. After The Dance (Instrumental)
4. Feel All My Love Inside
5. I Wanna Be Where You Are
6. I Want You (Intro Jam)
7. All The Way Around
8. Since I Had You
9. Soon I'll Be Loving You Again
10. I Want You (Intro Jam)
11. After The Dance





  

2024年2月10日土曜日

Brad Mehldau Trio / Art Of The Trio, Vol. 4: Back At The Vanguard

 

 青色の無機質なデザインのジャケットには、正直期待していなくて家の未試聴CDの山に長く眠っていた盤でありますが何と当たりでした。もったいない。私がリトマス試験紙として反応・評価を引き合いに出す、音楽好きの集う「おでんバー」でも珍しく万人に評価上々でした。「おでんバー」の住人は新しめのアーチストを味わう余裕は無いので、1970年生まれの Brad Mehldau に馴染みはありませんでした。(それでも現時点でメルドー53歳)
 私自身も Brad Mehldau の演奏を聴いた機会はそれほどなく不思議系と正統派ジャズのKurt Rosenwinkel / Deep Song ぐらいで、最近は購入していないジャズ雑誌にも名前は良く出ているので存在は知っていましたがピアニストに注目はしていませんでした。
 Mehldauの Art Of The Trio はVol5までシリーズ化していて、そのシリーズ第4弾のVillage Vanguard ライブです。これは中古盤屋で探してコンプリートしなければならないかなと思いますが、7枚組のボックスも発売されているようです。ボックスには7枚目のCDが Additional Recordings として収録されている模様。収集家としては1枚づつ購入して気に入ったらボックスも購入のパターン。コンプリート・ボックスみたいなものは企業の大人の販売戦略であると思ってはいます。しかしダブるのはもったいないんですが、ジャケットやライナーノーツもみて観たいし未収録曲も聴いてみたいのでコンプリート・ボックスは価値があれば企業の販売戦略にはまるのも致し方ないでしょう。


 数度聞き流していますが、深くは聴いていないこのアルバムのレビューは楽しそうです。さて、 All The Things You Are 誰もが良く知る曲で聴いたことのあるナンバーですが、何かの違和感があります。変拍子です。なるほどブツブツと至る所で分断される知っている部分が急展開でつながっていくこの感じは楽しいです。後半は変拍子がわからくなるのは腕ですね。Sehnsucht 邦題は憧れとありますメルドーのオリジナル。これはベースとピアノが何拍かズレているようで、ズレていない不思議な曲です。ズレていると感じるか感じないかは聴き手次第のような部分もあります。1曲目は変拍子のリズムによる遊び、2曲目は旋律での遊びですが、これも聴き進めるうちに違和感がなくなる魔法のような展開。ピアノソロではバロックの練習曲のような展開もあります。最後のワザと音程を外した終わり方も会心の演奏もこれで終わりだよと客に笑いかけながらの締めが想像できます。心にくい。Nice Pass もメルドーのオリジナル。マイクスターンにあるようなテーマの音の使い方です。マイクスターンの場合は、機械的にあるフレーズをギターの指盤で動かしていくとこのパターンになりますがピアノでも、多分同じ原理ですね。この曲もピアノが規則正しくパターンを弾きながら、ベースが微妙にかみ合わないようなパターンで弾くが何回かにピタッと合うところができて、それが聴く人に快感をもたらします。しかもそれをアドリブでやってしまうと言う超人的技術力と音感とリズム感。Solar は Miles Davis 作品です。序盤はベースの Larry Grenadier がバンドを引っ張りながらの変則的な演奏。それが終わるとテンポ早めのビバップとなり表情が変わります。これも良いですね。London Blues についてはメルドーオリジナル。アメリカで活動ですがロンドン・ブルースですから、ツアーの時に作ったんでしょうか。予想していましたが全くブルース的には聞こえません。コード進行はブルースなんでしょうか?I'll Be Seeing You は、出だし優しくとっつき易いです。1938年に発表されたブロードウェイ・ミュージカル Right This Way の挿入歌とのことで、聴いたこともありますね。同じようなフォーマットで飽きさせることの無い内容は脱帽です。最後は Exit Music (For A Film) 「ロミオ+ジュリエット」のために書き下ろされ、Exit Music(映画のクレジットのとこで流れる曲)として使われた曲です。物悲しい旋律を変拍子も無く淡々と演奏するのには逆に面食らい、進行するほど熱くなってくる演奏には聴いている側もコブシを握りしめるような展開になります。いや良いです。
 聴きどころは、1曲目の All The Things You Are だと思いますが、それぞれ聞かせどころ演奏のコンセプトが様々で、それぞれ明確で魅力あり、かつクリエイティブで、どこをとっても素晴らしいアルバムでした。このアルバムの保管場所は、直ぐに聴けるCD置き場行き決定です🎵

piano : Brad Mehldau
bass : Larry Grenadier
drums : Jorge Rossy

producer : Matt Pierson
recorded by : David Oakes

recorded January 5-10, 1999 at the Village Vanguard, New York, NY

1. All The Things You Are
2. Sehnsucht
3. Nice Pass
4. Solar
5. London Blues
6. I'll Be Seeing You
7. Exit Music (For A Film)


▶ Solar