あの Weather Report(ウェザーリポート)の曲のカバー・アルバムかと思って購入したんですけど、どうも違うようです。それでも新解釈かと思って必死に聞いてたんですが、どう聴いても、あの Weather Report は、どこにも出てきません。全く関係ありませんでした。実態は、那須基作(Kisaku Nasu)のセレクトによるフュージョン・コンピレーション・アルバムでした。伝統的ジャズから進化したグルーヴ・ジャズのさまざまなバリエーションを聴くことができるダンサブルな一枚で、ライトで爽やかな曲が選曲されています。
帯の売り文句は「賞味期限無し!ジャズっててカッコ良い。時を超えて残る真のクラシックスのみ厳選!アンチ”使い捨て”!職人復興!つまりルネッサンス」という、興奮して書いたのか何を言ってるのか結構わかりずらい煽りと、誤植を一か所発見です。「ってて」
もっとわかりやすく書いてある箇所もありました。「パット・メセニー、トニーニョ・オルタの名曲をカヴァーした新人日本人ジャズ・グループSOLID NEXASから美麗ピアノ・ハウスの新定番INTER SELECTOR、さらにはシカゴ・ハウスの巨人LARRY HEARDまでを収録」こちらの方がわかりやすいですね。要は色んなのオムニバスなんだと言うこと。那須基作氏は「JAZZ integral 所属の選曲家で、コンピは Jazz For More / El Dorado を他に所有しています。こちらも素晴らしい選曲を楽しませていただいております。
それではレビューです。First Friendship は Lars Bartkuhn ドイツのフランクフルトのギタリスト、コンポーザーで1990年代から現在に至るまでハウス、ジャズ・シーンで支持を受けるアーチストとのこと。フュージョンとハウスが混ざったハッピーな楽曲。キメとブレイクがカシオペアっぽいところが日本人も好きなパターンですね。ギターは野呂さんタイプではなくファンク系とフュージョン系のミックス。 The Piano Live は Interselector の楽曲。1990年都内クラブでDJとして活動を開始した日本人クリエイター 草島 卓也氏 の活動名がこの名前らしい。DJミックスにキーボード、ギターを被せた録音のようです。ズンズンくるベースとリズムにラテン風味のハウスのキーボードがメイン。Aquelas Coisas Todas は Solid Nexus の楽曲。ネオ・エイジ・ジャズを体現したバンドで、リーダーのギター本吉大我はバークリー音楽院に留学。2005年ギブソン・ジャズ・ギター・コンテストでSolid Nexusを率いて出場し優勝しています。楽曲はスチール・パンが印象的なラテンにフルートっぽい音のギターシンセ。文字上は熱い音楽のようになりますがメチャクチャライトです。 Brazilian Love Affair は Shakatak です。お馴染みアドリブ偏重ではなくメロディと編曲を重視した親しみやすい1980年代にレベル42と人気を分かち合ったブリティッシュ・ジャズ・ファンク。名前だけ知ってて、あまり聴いてこなかったバンドです。耳に馴染みやすいジャズファンクで、これは王道。Summer Knows は Fusik(フュージック)の楽曲で、i-depの藤枝伸介(Sax)と、DJ/クリエイターcharichariこと井上薫のユニット。ここではギターのフラメンコギタリスト沖仁をゲストで迎えての楽曲です。スパニッシュですが、これも基本ライトなフュージョンの仕様です。Better Days Ahead です。Solid Nexus で2曲目になります。この曲はスチールパン無しのシンセギターとピアノが主役です。ジャズしてる感じですが、PCなどの機械で録音していくと、このタイプになりがちな若干無機質感もあります。ドライで良いです。Summer Daze は Nick Holder による楽曲。トロント出身のヒップホップ、ハウスDJ、プロデューサーとのこと。聞き流し系のポップなサウンドです。Amateras またまた Solid Nexus です。かなり 那須基作氏 の推しですね。DJ系のアーチストは一つのパターンを展開するとかブロック・パーツを組み合わせて楽曲に仕上げる感じが多いのに対し、このバンドはしっかり曲を作っているので、やはりアルバムのアクセントとして重要な役割を果たしていると感じます。Treasure Everywhere は Lars Bartkuhn & His Passion Dance Orchestra なるバンドです。この Lars Bartkuhn の参加する楽曲は私このアルバムで初めて聴きますがタイプです。1曲目の First Friendship よりもUKジャズファンクにブラジル要素が加わった感じはかなり良い。Tejal は DJ Fudge の曲で、この前の曲の Lars Bartkuhn とリズムテンポがほぼ同じなのでメドレーのように次の曲に移行してきました。DJの流すサウンドトラックにピアノで即興しているタイプですね。スキですが聞き流すタイプの曲です。Love's Arrival は Larry Heard で シカゴハウス、ディープハウスの先駆者とのこと。ハウスのリズムにジャズテクニックのエレピの親和性は鉄板ですからこの曲も気持ちよく聴けます。オオトリは、Reaching Out Of Love で 日本人のセッション Seikou Nagaoka Feat. Pamela Driggs です。やはり私は日本人。最後にこのサウンドは落ち着きます。和の音階は無いですが実に日本人好みの洋系の和ものですね。締めにこの曲を持ってくるあたりは、共感。
きっちり作りこまれたコンピは、聴いていて楽しいです。聞き流しても良し、じっくり聴きこんで個々の曲や、アルバムの構成を聴くも良し🎵
manufactured by Rambling Records
compiled by Kisaku Nasu
1. Lars Bartkuhn / First Friendship
2. Interselector / The Piano Live (Original Mix)
3. Solid Nexus / Aquelas Coisas Todas
4. Shakatak / Brazilian Love Affair
5. Fusik / Summer Knows (Album Version)
6. Solid Nexus / Better Days Ahead
7. Nick Holder / Summer Daze (Original Mix)
8. Solid Nexus / Amateras
9. Lars Bartkuhn & His Passion Dance Orchestra / Treasure Everywhere
10. DJ Fudge / Tejal
11. Larry Heard / Love's Arrival
12. Seikou Nagaoka Feat. Pamela Driggs / Reaching Out Of Love