2021年11月28日日曜日

本日のCD Donald Byrd / Blackjack

 


 ドナルド・バードが率いていたレギュラー・バンドによる1967年録音で、このグループは66年暮れからファイブ・スポットに出演していました。メンバーのアルト・サックスのソニー・レッドとは同じデトロイト出身で、歳も同じということもあり、バードも信頼を寄せていた関係で、このアルバムでは West Of The Pecos、Loki、Eldorado 3曲がソニー・レッドの作曲した作品となっていて、レッドのフリーキーなプレイが気持ち良い。ちなみに作曲者は Sylvester Kyner = Sonny Red の本名とのこと。


 アルバム全体からはハード・バップから一歩抜け出すアーシーな感じです。いつもの行きつけ「おでんバー」で初試聴しました。この「おでんバー」アート系のコアな趣味の人とかプロが常連に多い店です。しかしこのアルバム試聴の時は他の常連は音楽系には疎い写真系の人だったのでマニアックに楽しんだのはマスターと私の二人だけでした。結果マニアなマスターも楽しんでいただける内容で、まずそこが大満足の中身でした。タイトル曲の Blackjack はロックビートが強くオトボケ・ファンキーな感じです。Sonny Red がブチ切れたソロをとるとバードやモブレーまでもが、俺も俺もとかましてきたエキセントリックな仕上がりです。ここらへんが最初から私とマスターのマニアな心をつかんでくれます。
 一歩進んで2曲目の West Of The Pecos ではアップテンポの正調モード系ハード・バップとなり、流れとしては1曲目でかまされたのに少し落ち着いてくれと言われている感じです。続く Loki でも正調ハード・バップではありますが切り込み隊長レッドからバード、モブレーに続きなるほど。Eldorado も正調なバップとなり、襟を正して聴く感じです。メンバーも余り乱れたり、目立つ行為は少なく流れとしては、ここでまた押さえておいて、どこかで爆発するんだろうなと思ったりしてワクワク感があります。
 そんな中 Beale Street が始まるとなんか聞いたことがある?と聴きながらモヤモヤします。するとマスターが💡 Herbie Hancock の Watermelon Man 1962 なるほどそうだなとYouTubeで交互に聴いてみると、コード進行とバッキングパターンがやはりマンマです。テーマが少しだけ違う感じで音階の順番を少し変えただけのように酷似しています。Watermelon Man の方が1962年作なので先に発売ですから、Beale Street のほうがWatermelon Man をオマージュしている感じですね。ジャズ界ではこの手のコードだけ変えるとか、メロディーだけ変えるとかの手法は多くみられ元曲を公言されているものも多いですが、ポップやロックでヒット曲だったりすると著作権でよくもめてますよね。まあ何回聴いてもパクリでした。最後の Pentatonic は、早めのバップとなります。Sonny Red のレンジが狭い音使いではじめるソロは面白い。続いてリーダーのバードはきっちりとピロピロと吹いてくれます。やっぱりトランペットソロは、これが気持ちよい。Hank Mobley のソロは、大人な感じで余り外さない、、と思っていたら少しアウトしてくれました。そして Cedar Walton もリズムに乗ったソロです。見せ場は全員短めですが好演でした。
 プロデューサーは Alfred Lion。アルバムとしてもエキセントリックさが楽しいアルバムですが、Herbie Hancock と続けて聴くとまた楽しさ倍増かもしれません🎶🎺

trumpet : Donald Byrd
alto sax : Sonny Red
tenotr sax : Hank Mobley
piano : Cedar Walton
bass : Walter Booker
drums : Billy Higgins

producer : Alfred Lion
recorded on January 9, 1967

1. Blackjack
2. West Of The Pecos
3. Loki
4. Eldorado
5. Beale Street
6. Pentatonic





  

2021年11月27日土曜日

本日のCD 土岐英史 / Little Boys Eyes

 


 2021年6月26日に亡くなったジャズ・サックスの土岐英史氏。私は生では演奏を聴いたことは無かったんですが、日野皓正クインテット、松岡直也とウィシングのメンバーとしてモントルー・ジャズ・フェスに出演、山下達郎のバッキングメンバー、山岸潤史、続木徹とともに活動していたチキン・シャックメンバーであったりと素晴らしい音楽作品を残された方でありました。土岐英史 公式HP  のライブスケジュールでは、2021年1/15(金)は調子が悪いので休みますと書いてありその後の3月までのスケジュールが書いてあります。癌で亡くなったので調子が悪かったんでしょうか、時がそこで止まっているようです。
 ソロ・アルバムは持っていなかったので、亡くなった後に行きつけの「おでんバー」でYouTube土岐さんの作品を聴いていたら、ちょうどこのアルバムに出くわしました。ツインギターにサックスのみというシンプルな構成ながら斬新なことに感動し、タワレコに行って直ぐに購入したアルバムです。 youtube より、CDで聴くと感動が増したので他のアルバムも仕入れようと思って、2週間後ぐらいにタワレコやディスク・ユニオンに行くと土岐氏の棚にもあまり作品が並んでいません。どうやら私と同じような方が沢山いたようです。


 土岐さんを支えているのは、日本の若手ジャズ・ギタリスト、荻原亮、井上銘の2名。若手と言っても荻原亮は2007年、井上銘は2011年にプロとしてアルバム・デビューの10年以上のキャリアの持ち主です。ライナーノーツによれば、レコーディングは打ち合わせ、リハは無しで、どっちがテーマを弾くのかはジャンケンで決めるといった自由な録音だったとのこと。若手と呼ばれる二人のギターは、揺れたり、跳ねたりしながら絡み合っていきます。曲によってはワウをキツめにかけたり、トレモロをかけりといった普通のジャズギターではあまりやらないこともやっていて聴いていて楽しい。そのアンサンブルに、土岐さんはゆったりとサックスを被せていきます。
 Beautiful Love は、Bill Evans の Explorations などでも聞いたことのあるラブ・ソングで、絡み合うギターに土岐さんのサックスが合います。オープニングのつかみとしてインパクト十分。 The Guitar Man カントリーロックの David Gates の曲ではなく、二人のギタリストとのセッションに、この曲名がつけられたようです。Wyeth もオリジナルで、画家の Andrew Wyeth のことでしょうか?The Man with a Little Boy's Eyes アルバムのテーマ曲です。浮遊感のあるテーマから始まるオリジナルで、テンポよくスリリングな展開の曲です。リハは無しとのことですが息はぴったり。Smoke Gets in Your Eyes は、大好きなスタンダードの煙が目にしみる。ここは先輩の土岐氏のサックスがメインで、ギタリストも丁寧なバッキングで支えます。Sunny ソウルの名曲のカバーです。ギタリストが気持ちよくブルージーに弾ける曲でもあり、明るい中に物悲しい響きのあるテーマが素敵な曲であります。C Minor は土岐氏作曲で、色々なアルバムでセッションに使われているブルース。キーは確かめていませんが、当然 Cm ですかね。My Foolish Heart も名曲です。ギターの独演から入ります。イントロのつけ方がまた良いですね。サックスが入ってくるとドキッとします。最後は You’d Be So Nice to Come Home to でセッションの定番曲。アルバムの構成などを考えて作ったものではなく、その時の気持ちで曲を選んで演じてから、ギタリストを聴かせる曲の配置でアルバムにしたんでしょう。ベタな曲が多いのも大歓迎のアルバムです。
 土岐さんが亡くなったということで、良作に出会うことができました。これはかなりの愛聴盤になりそうな気配です🎶🎸🎹

alto&soprano sax : 土岐英史 (Hidefumi Toki) 
guitar : 荻原 亮 (Ryo Ogihara)
guitar : 井上 銘 (May Inoue)

2020年10月28、29日東京録音
Days of Delight ファウンダー&プロデューサー 平野暁臣

1. Beautiful Love (Wayne King, Victor Young and Egbert Van Alstynet)
2. The Guitar Man (Hidefumi Toki)
3. Wyeth (Hidefumi Toki)
4. The Man with a Little Boy's Eyes (Hidefumi Toki)
5. Smoke Gets in Your Eyes (Jerome Kern)
6. Sunny (Bobby Hebb)
7. C Minor (Hidefumi Toki)
8. My Foolish Heart (Victor Young)
9. You’d Be So Nice to Come Home to (Cole Porter)





  

2021年11月26日金曜日

本日のCD Bill Withers / The Best Of Bill Withers Lean On Me


 これは1994年に出た Bill Withers (ビル・ウィザーズ) のベストです。Bill Withers、Donny Hathaway は、私にとってニューソウルの代表格なんですが Bill Withers は私の周りでそこそこの音楽好き(ジャズ好きが多いのではありますが)にも意外と知られていない人で日本人にはあまり人気がないのかもしれません。何回かアルバムを聴かせているんですが歳をとると皆さん物覚えが悪くなるのかなかなか覚えていただけませんので、根気よく普及を続けることにします。

 

 この方音楽エリートではなくフォードモーターに努めていて33歳で1971年にSussex Records よりデビュー。1985年を最後にアルバム制作もなくプロとしてのおそらく言葉が上手く話せなくなる吃音症で音楽活動は休止。割と最近の2020年に80歳で亡くなっています。
 Donny Hathaway はピアノ弾き語りで音楽エリート、Bill Withers は生ギターで独学系と私は認識しています。代表曲としては表題の Lean On Me 、Ain't No Sunshine、Use Me、Just The Two Of Us などでここら辺は何となく聞いたことがあるけど歌っている人は知らないという方が私の友人には多いです。既に持っているアルバムや曲と被ってはしますが、ベスト盤ならではの選曲と曲順でこれはこれで満足の一枚であります。
 さすが大御所でいまだ独自ドメインでの公式ページも存在します🎶🎸



1. Lovely Day
2. I Want To Spend The Night
3. Let Me Be The One You Need
4. Hello Like Before
5. Tender Things
6. I Wish You Well
7. Ain't No Sunshine
8. Grandma's Hands
9. The Same Love That Made Me Laugh
10. Lean On Me
11. Harlem
12. Use Me
13. Who Is He (And What Is He To You)?
14. You Just Can't Smile It Away
15. Just The Two Of Us
16. Steppin' Right Along
17. You Try To Find A Love
18. My Imagination


▶ Use Me



  

2021年11月24日水曜日

本日のCD Barney Kessel / Seven Classic Albums


 ジャズギターの巨匠のひとり、Barney Kessel (バーニー・ケッセル) ですが名前は雑誌などで知りながらも聴く機会がなくスルーしてきてしまったお方です。と言うことで、調べてみると
・ザ・レッキング・クルーと呼ばれた60年代LAセッション集団のメンバーだった
・50年代にリーダー及びサイドマンとして名を上げた
・ビリー・ホリデイからソニー・ロリンズまでジャズ界の様々な著名人とプレイ
・メロウな音と洞察力に満ちたコード選びで知られていた
・和音でギターソロをとる、いわゆるブロック・コードの第一人者
等と書かれています。
 略歴としては、1923年10月17日 - 2004年5月17日で、アメリカ合衆国オクラホマ州出身とのこと。1945年(22歳)からロサンゼルスに住みスタジオ・ミュージシャンとして活動しチャーリー・パーカーの録音に、1952年には初リーダーアルバム Swing Guitars を発売し翌年にかけてはオスカー・ピーターソン・コンボに参加します。そして1953年から1961年まで、コンテンポラリー・レコードに多数の吹き込みを行い1970年代以降はハーブ・エリス、チャーリー・バードとグレイト・ギターズを結成してレコーディングやツアーで活動。1992年に脳卒中で倒れてからは2004年サンディエゴで80歳で亡くなっています。

 

 ディスコ・グラフィーを見ていると売れっ子なだけあって相当に多くの録音を残しておられる方で揃えるのにも結構大変そうだなと思い、まずはこのお買い得パッケージは入門用にと購入しました。収録されているのは1957年から1962年までのアルバムとなっています。短い間に、これほどまでに様々なタッチに変化されているというのも様々なセッションで活躍されるための妙技なのかと興味深いですね🎶🎸

●Disc1
【Let's Cook 1957】
 リーダー作としては6作目でミディアムテンポのスイングが多くゆったりとしてギターも歌います。ブルージーな感じを意識しているのでしょうか?チョーキングを、かなり多用していますが昔風。
1. Let's Cook
2. Time Remembered
3. Just In Time
4. Tiger Rag
5. Jersey Bounce
【Kessel Plays Carmen 1958】
これは8作目のアルバムで1曲目からLet's Cookとは打って変わって速いテンポのスイング
ギターの弾き方や音が違うので、思わず驚く変身ぶりです。1年しか違わないのにソロだけではなくカッティングも違うのは興味深い聴きどころ
6. Swinging the Toreador
7. A Pad on the Edge of Town
8. If You Dig Me
9. Free as a Bird
10. Viva El Toro!
11. Flowersville

●Disc2
【Kessel Plays Carmen--Cont. 1958】
1. Carmen's Cool
2. Like, There Is No Place Like
3. The Gipsy's Hip
【Some Like It Hot 1959
4. Some Like It Hot
5. I Wanna Be Loved By You
6. Stairway To The Stars
7. Sweet Sue
8. Runnin' Wild
9. Sweet Georgia Brown
10. Down Among The Sheltering Palm
11. Sugar Blues
12. I'm Thru With Love
13. By The Beautiful Sea
【The Poll Winners--Exploring The Scene 1957
14. Little Susie
15. The Duke
16. So What
17. Misty
18.  Doodlin'
19. The Golden Striker

●Disc3
【The Poll Winners--Exploring The Scene--Cont. 1957】
1. Li'l Darlin'
2. The Blessing
3. This Here
【Barney Kessel's Swingin' Party 1963】
4. Bluesology
5. Lover Man
6. Joy Spring
7. Now's The Time
8. Miss Memphis
9. New Rhumba
【Workin' Out 1961】
ニュールンバ、ペダルポイントあたりがスピード感あってよいです。ギターの音色も変わりLet's Cook の時よりも張りがあって詰まった感じが少ない感じに変わってきています。
10. Good Li'l Man
11. Summertime
12. Spanish Scenery

●Disc4
【Workin' Out--Cont. 1961】
1. When Johnny Comes Marching Home
2. New Rhumba
3. My Man's Gone Now
4. My Funny Valentine
5. Pedal Point
【Bossa Nova 1962】
最後はボサノバ1962年です。スタンダード、ディキシーランド、カウボーイ・ソングなど
様々なレパートリーがあり、オルガンが入ったビッグバンド編成ですがポップな感じのするアルバム。
6. Love For Sale
7. A String Of Pearls
8. They Can't Take That Away From Me
9. Summertime
10. You Came A Long Way From St. Louis
11. Muscrat Ramble
12. Heartaches
13. It Ain't Necessarily So
14. Ja Da
15. Sweet Georgia Brown
16. Tumbling Tumbleweeds
17. Bye Bye Blues







  

2021年11月23日火曜日

本日のCD Bill Evans / Live At Art D'Lugoff's Top Of The Gate


 1968年10月23日のニューヨークのライブ・ハウス Village Gate (ビレッジゲイト)2階でライブのセットリスト通りに収録した完全未発表音源で1枚目は First Set、2枚目は Second Set なので曲順もそのままに収録されていて Emily、 Yesterdays、 'Round Midnight は両ステージでのセットリストに入っているのでその演奏を聴き比べもできるマニアにはなんとも嬉しい音源です。さらに最近の未発表音源では定番のメンバーやトップ・オブ・ザ・ゲイトの写真、当時のポスターが収録された28 頁のブックレットもついています。Art D'Lugoff は Village Gate のオーナーで1958年に160 BleeckerStreet の1階と地下にクラブをオープンし、全盛期には2階が Top Of The Gate と呼ばれるパフォーマンス・スペースになっていたのことで、Village Gate の録音での私の所有音源は現在他では B B King / Live & Well があり、ジャズが主体のようではありますがジミヘンなどの公演も行われていたようです。



 音源は、当時コロンビア大学の学生だった Resonance Records の社長 George Klabin (ジョージ・クラビン) が、カレッジFM局のために収録したものだそうです。各楽器のバランスも良く録れていて客席との距離感も適度にあり少し鮮明さに欠けるようには思えるが、発掘ライブ音源としてはかなり状態は良いと思います。

 さらに1968年10月はドラマーの Marty Morell (マーティ・モレル) が参加した直後の録音でもあり、ビルはリハーサルをしないと言われていることからも一緒の演奏経験は少ないはずだが見事にマッチした演奏ではないだろうか。Eddie Gomez (エディ・ゴメス) は1966年からビルとのコンビなので、遠慮も何もなくアタックの強いゴリゴリとした演奏。さらにこのライブでのエバンスはアタックの強い音で、男性的に豪快に前に前に突進するような力強い演奏が印象的です🎶🎹
 とにかく発表音源の多いエバンスの作品です。気になるので本アルバムでの収録曲が、どぐらい私の現在の市所有音源で演奏されているの調べてみました。California Here I Come のみが、今のところ、この盤のみでした。
・Witchcraft - Portrait In Jazz 
・Yesterdays - Live At Ronnie Scott's 
・California Here I Come
・Gone With The Wind - Piano Player 
・Turn Out The Stars - Some Another Time
・In A Sentimental Mood - Some Another Time
・Mother Of Earl - At The Montreux Jazz Festival
・Here's That Rainy Day - Alone

piano : Bill Evans
bass : Eddie Gomez
drums : Marty Morell

producer : Zev Feldman
recorded by George Klabin

recorded live at Art D’Lugoff’s Top of the Gate October 23, 1968 by George Klabin

【DISK1】
1. Emily (Johnny Mandel, Johnny Mercer)
2. Witchcraft (Cy Coleman)
3. Yesterdays (Jerome Kern)
4. 'Round Midnight (Thelonious Monk)
5. My Funny Valentine (Lorenz Hart, Richard Rogers)
6. California Here I Come (Al Jolson, Buddy G. De Sylva, Joseph Meyer)
7. Gone With The Wind (Allie Wrubel, Herbert Magidson)
8. Alfie (Allie Wrubel, Herbert Magidson)
9. Turn Out The Stars (Bill Evans)

【DISK2】
1. Yesterdays (Jerome Kern)
2. Emily (Johnny Mandel, Johnny Mercer)
3. In A Sentimental Mood (Duke Ellington)
4. 'Round Midnight (Thelonious Monk)
5. Autumn Leaves (Joseph Kosma)
6. Someday My Prince Will Come (Frank Churchill, Larry Morey)
7. Mother Of Earl (E. Zindar)
8. Here's That Rainy Day (Jimmy Van Heusen, Johnny Burke)


▶ Emily

  

2021年11月22日月曜日

本日のCD The Gadd Gang


 私のジャズ・フュージョンを聴き始めた頃に聴いていた、教科書のようなアルバムです。高校時代には、ロック小僧だった私が、腕を磨きたいとジャズ研に入ったは良いのですが、志はそれだけだったんで、ジャズなんて聞いたことが無いしフュージョンもあまり知らずの状態。最初に組んだコンボでは当時はやりのナベサダの曲を練習するものの、ジャズなんて聞いたことが無いので、その頃はいまいち感性に合いませんでした。何か面白そうなバンドが無いか探していた時にドラマーの家に行くとこれが置いてあって、ジャズっぽくソウルやブルースが強く感じられる演奏です。これだ!と思って自分も購入したんですが、実はガッド・ギャングでのコンボを作ることは出来ずに学生生活は終了しています。Staff(スタッフ)よりも先にGadd Gang(ガッドギャング)を聴いていたようにように思います。
 数多くのセッションで正確無比な緻密なプレイの Steve Gadd、個性派キーボードのRichard Tee、さりげなく、なでるような、いぶし銀のギターの Cornell Dupree。そして、ビル・エヴァンス・トリオやマンハッタン・ジャズ・クインテットの Eddie Gomez が加わって結成されたスーパーがつくフュージョン・バンドです。スタッフではベースは Gordon Edwards でした。


 Watching The River Flow はボブ・ディランのカバーでブルージーな4ビートにしてR&Bフィーリングいっぱいに、そしてリラックスした感じの一糸乱れぬ素晴らしいアレンジ。Way Back Home はクルセイダーズのカバーでグルービー。Duke's Lullaby は4分間のドラム・ソロで正確なリズムとバカテクにはやっぱり驚きですね。曲に仕上げてしまうってのも凄い。Honky Tonk / I Can't Stop Loving You はメドレーになっていますが、当時これを聴いてジャズって難しいと思っていたけど、こんな感じでなら俺にもできるかもって錯覚させてくれて Way Back Home とこの曲をギター・コピーしましたっけ。いやいや懐かしくて良いですね。
 でもこれを、行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」に持って行っても、完成されすぎて面白みに欠けるとか思われそうな感じもします(それがこのバンドの凄いとこなんですけどねえ)🎶

drums : Steve Gadd
guitar : Cornell Dupree
bass : Eddie Gomez
keyboads : Richard Tee

bariton sax : Ronnie Cuber (1, 3, 7)
trumpet : Jon Faddis (7), Lew Soloff
trombone : Barry Rogers (7), David Taylor (7)
tenor sax : Michael Brecker, George Young (7)

producer : Kiyoshi Itoh

recorded at : Record Plant, N.Y.C.
recorded and mixed in June and August, 1986 by using SONY 3324 Digital Recorder.

1. Watching The River Flow (Bob Dylan)
2. Strength (R. McDonald, S. Gadd, W. Salter)
3. Way Back Home (Wilton Felder)
4. Morning Love (arranged by Richard Tee, composed by : Eddie Gomez)
5. Duke's Lullaby (Steve Gadd)
6. Everything You Do (Richard Tee)
7. Honky Tonk / I Can't Stop Loving You (arranged by horns David Matthews
composed by B. Doggett, B. Butler, C. Scott, D. Gibson, E. Grover, S. Shepard)





  

2021年11月19日金曜日

本日のCD Bill Evans Trio / On a Friday Evening

 

 1975年6月20日のカナダ・バンクーバーでの完全未発表ライヴ音源です。これは今年2021年の6月18日に日本先行リリースされた音源です。日本にビル・エバンス信者が多いとか、日本人はダウンロードではなくCD購入派が多いとか、そんな市場原理が働いたのでしょうか。日本人である私は思わず購入です。
 当時のラジオで放送された音源でそのオリジナル音源テープが今回の発売となったとのこと。所有者は2回変わっているとのことでマニアの間、密かに所有されていたものが世の中に出てきたんでしょうか、今年は更に1作品のリリースがある模様です。世の中にはこんなものがまだあるんですね。
 さてラジオ放送音源とのことで録音状態は良いのですが、ステージから比較的少し離れた席で聴いているようなマイク位置で、音量をあげないと臨場感に乏しいところが少し惜しいところでしょうか。そこがライブ盤の良いところかもしれないし、古びたラジオのような録音が間発表音源として出されることもあることを考えれば十分なレベルです。
 ライブの会場は、、カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバーのOil Can Harry's (オイル・キャン・ハリーズ)という1968年に設立されたクラブ。クラブはライブハウスとは違うようでお酒は提供されないらしんですが、とても雰囲気がよくてアルコールがあっても良かったんじゃないかとインタビューで言っていたとか


 このライブは1975年6月20日、この録音の7か月前のヨーロッパ・カナダのツアー中にドラマーのマーティ・モレルが脱退しています。ツアーはゴメスとのデュエットで後半を乗り切っています。1974年にレコード会社は Milestone から Fantasy に変わり1975年に入ってからは歌手トニー・ベネットとの共作なんかも発表し企画色の強い録音が多くなります。このトリオのドラマーの Eliot Zigmund は1975年1月にビレッジ・バンガードで初めて録音し以降のツアーに参加しています。アルバムでは1977年以降 Crosscurrents, I Will Say GoodbyeYou Must Believe in Spring なんかがあります。マーティ・モレルの緻密な演奏とは違った空間のある演奏です。エバンスはリハしない人で、ジグムンドは、でかい会場ではビビりながら演奏したとの記事も見ましたが、ここでは場所もあるんでしょうがリラックスしたとても良い演奏と思って聴いております。ちなみに Eddie Gomez はもう長いので実にメリハリのある素晴らしい演奏でエバンスが世界に入ったソロを続けていると、ベースで違う世界に自然にもっていくとこがすごいとこですね🎶🎹


piano : Bill Evans
acoustic bass : Eddie Gomez
drums : Eliot Zigmund

recorded live at Oil Can Harry's, Vancouver, Jun.20, 1975

1. Sareen Jurer
2. Sugar Plum
3. The Two Lonely People
4. T.T.T. (Twelve Tone Tune)
5. Quiet Now
6. Up With The Lark
7. How Deep Is The Ocean
8. Blue Serge
9. Nardis



Nardis


  

2021年11月17日水曜日

本日のCD Roy Hargrove Mulgrew Miller / In Harmony

 

 2018年に49歳で他界したトランペッター Roy Hargrove (RH)と2013年に57歳で他界したピアノニスト Mulgrew Miller (MM)の2人が残したライヴ音源。録音は2006年と2007年のニューヨークとペンシルバニアのホールでの公演。リリースは今年の2021年です。
 私がRHを知ったのは1997年の Habana からでアフロ・キューバンでラテン寄りのジャズが鮮烈だったんで、RHファクターの活動を知り、Hard Groove を聞いてトランぺッターはファンク系に行きつきやすいど、RHのその前はどんな音楽をやっていたのか?と1994年 With The Tenors Of Our Time を聴いてやっぱり出身はモロにジャズなのかと感心しました。この録音と同じ時期の2006年 Nothing Serious は Habana 寄りでした。まだまだ、RHの作品は聴きこんでいないので、この In Harmony のような全く違う音楽性のアルバムに出くわすと嬉しくなってしまいます。
 さてRHは最近色んなアルバムを聴きこんでいますが、Mulgrew Miller (MM)は余り耳にしたことが無いと思って調べてみたら、私の手持ちでは David Sanborn の Another Hand でタイトル曲と Dukes & Counts で既に聴いてはいました。1955年米ミシシッピー州グリーンウッド生まれで、R&Bからジャズに転じ77~80年までデューク・エリントン・オーケストラ80年からはベティ・カーターやウディ・ショウの楽団、84~86年からArt Blakey And The Jazz Messengers に在籍し、その後、トニー・ウイリアムス・クインテットや自身のトリオなどのセッションで活躍する方でした。なるほど、つまりは私は今は1950年代から60年代のアートブレイキーなんかは聴きこんでいるので、おそらく何れは聴きこんでいけば出会うであろう人でした。


 このアルバムでは二人だけでインタープレイを続けていくんですが、張りつめたものではなく、ゆったりとした温かな音楽的な語らいが感じられるもので、最初は2枚も延々と聴くのは少ししんどいかと思っていたのが聴きこむほどに世界に入っていける感じです。腰を据えた感じの伸び伸びと真っ向勝負でアドリブに興じさらっと晴れやかな風がそよそよと吹き時にはビュンビュンと飛ばしてくる掛け合いは素晴らしい。ただホールでの録音なので、ピアノの響きが少しオフ気味なので長く聴くにはちょうど良いのかもしれないがもう少し前に出てくれれば迫力が増して聴きごたえのあるものになっていたかもしれないと私は思います。
 日本語版43ページ、英語版45ページの分厚いアルバムのブックレットには様々なミュージシャンや、プロデューサーの言葉が寄せられているのも、このアルバムの特典です。かなりの読み応えですので、珈琲でも飲んでゆっくり聴きながらこの分厚いブックレットを読めばほっこりできること間違いなしです。
  
 

trumpet, flugelhorn : Roy Hargrove
piano – Mulgrew Miller
producer : Zev Feldman,  Larry Clothier

【Disc1】
1. What Is This Thing Called Love?
2. This Is Always
3. I Remember Clifford
4. Tristeza
5. Invitation
6. Con Alma

【Disc2】
1. Never Let Me Go
2. Just In Time
3. Fungii Mama
4. Monk's Dream
5. Ruby, My Dear
6. Blues For Mr. Hill
7. Ow! (Encore)




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