2023年8月20日日曜日

Bill Evans / Morning Glory

 

 ビル・エバンス・トリオの1973年アルゼンチンのブエノスアイレスでのライブ録音です。1973年の録音としては、The Tokyo Concert Live、Half Moon Bay があり、いずれもライブでこのライブと同じメンバー。もう一枚 Eloquence は、エバンスのソロと Eddie Gomez とのデュオとなっていて、ゴメスの比重が非常に重い時期の録音となります。
 発売はカルフォルニアを拠点に2008年に設立されたジャズの発掘音源のレーベル お馴染み Resonance Records(レゾナンス・レコード)です。いつもの紙ジャケですが、中身のブックレットが充実していて、マニアにはたまらない仕様で、実際のコンサートからの貴重な写真やアメリカの作家/ジャーナリスト、マーク・マイヤーズとアルゼンチンの作家クラウディオ・パリジによるエッセイ、さらに、エディ・ゴメスとマーティ・モレル、ピアニストのリッチー・バイラーク等の最新のインタビューも等が収録されています。
 この録音は海賊版で出回ったことがある音源らしいのですが、オリジナル・テープ・リール (放送音源) があったらしくそこからリマスターされたものであるとのことで海賊版より音は確実に良いものとなっているとのこと。


 1973 年は、この収録のトリオが初来日を果たし、日本全国 11 箇所を演奏旅行した年でもあり、東京郵便貯金会館でのライブ The Tokyo Concert も発売されていて、このアルバムの収録曲もエヴァンスが好んで演奏した曲のオンパレード。Mornin' Glory、My Romance 等が演奏されているようで、これも比較して聴いときたいとこです。
 さてレビューですが、最初は、Re: Person I Knew です。静かな、いかにもエバンスっぽい音をちりばめたピアノのイントロから始まります。抽象的な曲なのでソロ部分だけでなく至る所で、各楽器の細かな細工が聞き取れて良い感じです。終了後の拍手も静か。次いでEmily です。確か娘さんの名前を取った曲だったんですよね。テーマ部分の繰り返されるフレーズがとても印象的な曲で、何か娘さんに優しく語り掛けるようで大好きな曲です。これも好演。このバンドのこの時代の Eddie Gomez は、やはりとても素晴らしいことも再認識。Who Can I Turn To? も、エバンスっぽい装飾音がちりばめられたピアノ・イントロ、テーマと来て直ぐに Eddie Gomez のソロが冴えます。でも曲の展開パターンが一辺倒のような気もしますが、トリオだからそこら辺の制約はありますか。The Two Lonely People
は、はかなさが漂う曲で、ここら辺のエバンスのニュアンスが好きな人は多いんではないでしょうか。 What Are You Doing the Rest of Your Life も、静かな曲ですが劇場で場面が変わっていくような展開で聞き入ってしまう曲です。そして My Romance ですね。演奏回数は相当多い曲なので、曲の展開に対してメンバーの息がぴったりです。Marty Morell のソロが入り、 Eddie Gomez のボウが入るところも面白い展開です。全く違う世界に行ってしまうところはファンにとっても楽しかったはず。とここで一枚目が終了。2枚目は、アルバムタイトルの Morning Glory から開始で、違うライブが始まったかのように、My Romance の熱のこもった演奏から、また落ち着いたパターンに戻ります。曲の構成バランスも良くなるほど、テーマにするだけの演奏ですね。Up with The Lark は、優雅な曲調にミドルテンポで、曲を食い気味にリードする Eddie Gomez が、また良い仕事をしていると感じます。Twelve Tone Tune (T.T.T.) は、On a Friday Evening でも聴いていて印象に残ったスリリングな曲で、だいぶ熱がこもった演奏に客の拍手も喝采。Esta Tarde vi Llover 「今日の午後雨が降るのを見た」メキシコが生んだ巨匠、Armando Manzanero アルマンド・マンサネロ氏の1967年作品で、失恋して雨が降るのをぼーっと見ているという歌詞のしっとりした曲です。Esta tarde vi llover ここでの演奏もしっとりとした空間を持って美しい。エバンスにしては装飾は少な目で原曲が大切にされている感じです。そして Beautiful Love はしっかりとスイングする感じできっちりとエバンスのピアノを Eddie Gomez とMarty Morell がフォローする。 ん?3分8秒ぐらいのところで、カチャというシャッター音のような音、その後もカチャカチャがあり何の音だろうと気になってしょうがない。ドラムのシンバルに何かが接触している音のようなものもある。曲も良いけど気になります。以降他の曲でも時々あります。ここら辺がこの音源がずっとリリースされなかった原因でもあるんでしょうかね。そして有名な Waltz for Debby、My Foolish Heart と続けて締めです。ライブですから、これを聴いて満足する顧客サービスですね。悪い訳がない。
 このアルバムを購入してから、しばらく家で寝かせておいて、いつもの「おでんバー」で最初に聴こうと持っていきました。何回か書いていますが、この「おでんバー」は、アンチ・ビルエバンス派が多く中々かけることが出来ませんでしたが、他の常連さんがいない時を見計らってかけてほしいと頼むと、渋々マスターがかけてくれました。結果はマスターもこれは、良い録音だと認めるなかなかの内容でした。録音と店のオーディオ・セッティングとの相性も良かったように感じます🎵

piano : Bill Evans
bass :  Eddie Gomez 
drums : Marty Morell

producer : Zev Feldman
recorded by –:Carlos Melero

recorded live at the Teatro Gran Rex in Buenos Aires, Argentina on June 24, 1973.

【Disc 1】 
1. Re: Person I Knew 
2. Emily
3. Who Can I Turn To? 
4. The Two Lonely People
5. What Are You Doing the Rest of Your Life
6. My Romance 
【Disc 2】
1. Morning Glory 
2. Up with The Lark 
3. Twelve Tone Tune (T.T.T.)
4. Esta Tarde vi Llover
5. Beautiful Love
6. Waltz for Debby
7. My Foolish Heart 

▶ Emily




  

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