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2025年4月22日火曜日

Lee Morgan / Candy


 1958年録音の作品でワンホーン・カルテットでの録音はこれだけ。なんといっても芸術的にどうだとか、あのソロが良いとかいうのとは別の次元の、実にイキな演奏はやっぱり良い。これは他のも聞かなければいかんと思い、この作品を皮切りにその後色々な作品を聴いてきました。Candy 1957、Leeway 1960The Sidewinder 1964Sonic Boom 1967
 とにかくトランペットの発音が品行方正でメロディも含めてダンディな響きで、この録音時はまだ19歳だったということにもかなりの驚きです。ティーンにして、このダンディズムにはおそれいります。全体の構成は軽く軽快であり聞きやすくて平坦でありながらクオリティが平均的に高いので、落ち着いた気分で本を片手に珈琲を飲みながらといったシチュエーションが似合うアルバムではないでしょうか。


 それでは、作品全体をレビューしていきましょう。Candy 甘いメロディーで明るいラブソングです。色々な人に演奏されている曲ですが、1956年の Nat King Cole が、有名なところです。ボーカルものと比較にはならないですが、Lee Morgan のこのバージョンは、後にも愛される名演と言える出来だと思います。2分49秒のトランペット・ソロの出だし4分17秒の違和感も、誰もマネできない天才的なアイデアと感心します。Since I Fell For You 先輩たち Sonny Clark トリオの素晴らしい後押しで、この胴の入った演奏ができるのか、先輩たちに負けてられるかとの演奏なのか、端正な音使いでのトランペット・ソロです。目立ち過ぎずに、これまた、いぶし銀のピアノが実に心地よいです。 C.T.A. は、テナー奏者 Jimmy Heath の作曲した曲です。こういった早いバップは聴いてい楽しい。All The Way は、1957年の映画 The Joker Is Wild (最近のホラーのヤツではありません)の主題歌で、ここら辺は当時の流行りを意識の曲ですが、A&M の誰かの作品群のように商業的で軽くはなく、抒情的に丁寧に作られています。ありです。Who Do You Love I Hope これも映画アニーよ銃をとれの主題歌ですが、実に明るいトランペットのソロが映える良い曲。Personality は、1940年代のポピュラー・ソングで、丁寧なトランペットがテーマ部分でバンドを牽引し、ソロからガラッと表情を変えて雄弁になる対比も素晴らしい。決して若造の吹くトランペットでは無いものが感じられます。All At Once You Love Her リイシュー盤につくボーナストラックです。スリリングな名演が付け加えられています。
 多作な人なのでこの後も多くの作品を残していますが、この頃のLee Morganの状況を見ていたら、前年の18歳でDizzy Gillespie のビッグバンドに参加していました。しかし直ぐに解散、またコルトレーンのBlue Train への参加、Art Blakey のメッセンジャーズへの参加し Moanin ' のレコーディングなどがあります。1957年’58年はミュージシャンの起点となる大事な年であったようです。じっくりと聞きながら「ああジャズっていいな」ってストレートに誰もが感じられるおススメです🎶

trumpet : Lee Morgan
piano : Sonny Clark
bass : Doug Watkins
drums : Art Taylor

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey on November 18, 1957 (#2, 6 & 7) and February 2, 1958 (#1, 3 to 5)
tracks 1-6 originally issued in 1958 as Blue Note BLP 1590.
#7 is a bonus track (not part of original LP) originally issued in 1987 on the first CD issue of this album

1. Candy / Alex Kramer, Joan Whitney, Mack David
2. Since I Fell For You / Buddy Johnson
3. C.T.A. / Jimmy Heath
4. All The Way / Sammy Cahn & Jimmy Van Heusen
5. Who Do You Love I Hope / Irving Berlin
6. Personality / Jimmy Van Heusen And Johnny Burke
7. All At Once You Love Her / Rodgers & Hammerstein

Candy

C.T.A.



  

2025年4月15日火曜日

Mississippi John Hurt / Richard "Rabbit" Brown / Hambone Willie Newbern


 戦前カントリーブルースの巨匠三人のオムニバス。ブルースと言っても現代人が思うブルースとは少々ニュアンスが異なっています。このタイプの音楽はアメリカの南北戦争以降の復興期に、南部の農村社会で演奏されていた音楽でアメリカ全体のものでは無く、地域のコミュニティ・レベルで歌われていたもので、このタイプの歌い手を、業界では「ソングスター」と呼び、=ブルース・マンではないらしい。英語では「songster」と綴り、星のスターではありません。ブルースの誕生以前から存在し、伝承歌、ブロードサイド・バラッド、ミンストレル・ソング、ポルカやリールといったダンス・チューンなど、さまざまな音楽を演奏していたミュージシャンのことで、ブルースも流行の音楽としてレパートリーに加わって、ソングスターに歌われることもあると言う広義な音楽を歌うミュージシャンを表現するものっだそうです。何やら難しいですが、ここら辺のことは、本CDのライナーノーツでは、中山義雄氏がこ書かれています。しかし難解な内容であることと、筆者の造語なん?と思ったこともあり調べ見ると、奥和宏氏のブログ内で「ソングスターの系譜」としてまとめられているものが、少しだけわかりやすかったのでリンクしときます。


 さて、このCDに入っている一人目の巨匠は、ミシシッピ・ジョンハートは本名「John Smith Hurt」で"Mississippi" はセールス用のギミックです。ブルースシンガーにありがちな、ダミ声ではなく、少し鼻にかかった柔らかな声で穏やかで和みますカントリー・ブルースの教本では、必ず出てくる人です。オールドタイムやフォークに近く、タイム感と楽曲の構造は現代のブルースとは完全に違って理解しにくいのですが、スリー・フィンガーのギターの弾き方などは繊細で教則本に載る譜面では現代人が理解しやすいようにアレンジされているものが多いです。収録は13曲ありますが、1928年2月14日①②、1928年12月21日③~⑥、1928年12月28日⑦~⑬の3回の録音で当時ミシシッピ州アバロンに住んでいた彼にメンフィスにきてもらって録音していたのが、ホームシックと大都会のカルチャーショックで行き来しての録音となったとのこと。有名になったのはずっと後の1963年で農民をやりながらギターを弾いていた彼を発見し、ニューポート・フォーク・フェスティバルへ出演してもらったのが、きっかけとのこと。都会の水が合わなかったのか再発見の3年後の1966年11月に心臓発作で亡くなってしまっています。



 もう一人の巨匠は、リチャード・ラビット・ブラウン「Richard "Rabbit" Brown」
当然 "Rabbit"はギミックです。ダミ声までいかないが少ししゃがれた歌声のニューオリンズのストリートミュージシャンで、生涯で6曲しか録音されていないうちの5曲がこのアルバムに入っていて、James Alley Blues は、ボブ・ディランがカバーしています。楽曲は全体的に現代のブルースに近づいていますので、ミシシッピ・ジョンハートよりはるかに理解しやすいと思います。I’m Not Jealous のギターの低音源をバチバチ音を鳴らす スナッピングは印象的でした。Sinking Of The Titanic は、あのタイタニック号の沈没を歌っています。勇ましい歌い口で、歌で物語を語るような感じです。


 最後の巨匠、ハンボーン・ウィリー・ニューバーン「Hambone Willie Newbern」は、このアルバムで初めて知りましたが、酒のみの雰囲気が漂ったいい声してます。テネシー州ブラウンスヴィルの住人で、スリーピー・ジョン・エステスは彼からギターを教わったと言われていますが、詳しいことは余り知られていません。ギターワークは一番現代ブルースに近いロバート・ジョンソンタイプで「Roll and Tumble Blues」は「Rollin' and Tumblin'」の原曲とどこかに書いてありました。確かにそのものだと思います。ロバートジョンソンもクセが強めのソングスターですから、はるかにニューバーンの方が聴きやすいです。1929年にアトランタでたった6曲を残したものが全てここに収録されています。
 この手のソングスターのオムニバスは、勉強で購入していますが、このアルバムは聴きやすい曲、理解しやすい曲が収められており、この手の音楽を聴き始めようと思っている人には入門として良いと思います。玄人向けのものは修行のようなアルバムも多いかと思います🎶

Mississippi John Hurt
1. Frankie
2. Nobody's Dirty Business
3. Ain't No Tellin'
4. Louis Collins
5. Avalon Blues
6. Big Leg Blues
7. Stack O'Lee Blues
8. Candy Man Blues
9. Got The Blues Can't Be Satisfied
10. Blessed Be The Name
11. Praying On the Old Camp Ground
12. Blue Harvest Blues
13. Spike Driver Blues

Richard "Rabbit" Brown
14. James Alley Blues
15. Never Let The Same Bee Sting You Twice
16. I'm Not Jealous
17. Mystery Of The Dunbar's Child
18. Sinking Of The Titanic

Hambone Willie Newbern
19. She Could Toodle-Oo
20. Nobody Knows (What The Good Deacon Does)
21. Shelby County Workhouse Blues
22. Way Down In Arkansas
23. Hambone Willie's Dreamy-Eyed Woman's Blues
24. Roll And Tumble Blues






  

2025年3月29日土曜日

Chris Daniels & The Kings / is My Love Enough


 ブルースに凝って買い漁っていた時期にタワーレコードかなんかで購入で中古では無い気がします。中身は、いかにもアメリカンな、ひたすら明るいファンク色の強いジャンプ・ブルースを基調のブルース・ロック。楽し気な雰囲気はジャケのイラスト通り。この人については相変わらず情報は乏しいです。
 Chris Danielsはコロラド初のジャムバンドと呼ばれたキングスのバンドリーダーで「コロラド音楽のアイコン」と言われる人とあります。バンドは14枚のアルバムをリリースし、米国でのツアーや21か国ののヨーロッパツアーをやっていたり、バンド名義でのブルースフェスなどの出演経歴から見れば、日本人の私がマイナーと思っていても、アメリカのブルース界では、結構なメジャー級なかたかと思われます。若い頃に組んでいたバンドのメンバーでは New York Dolls のボーカルの David Johansen もいたとのことで、こちらは超メジャー級。(David Johansen は、2015年2月14日ニュースで75歳になっており、ステージ4の癌とのこと)


 経歴を読んでいくと中々のインテリで、音楽活動をやっていたもののバークリー音楽大学とマカレスター大学に通ったとあり、1995年から2000年までスワローヒル音楽協会の事務局長を務め2002年にアラパホ・コミュニティカレッジの非常勤教授となり、コロラド大学デンバー校の学部に加わり、音楽ビジネスプログラムのエリアヘッドを務めているとあります。やっている音楽もきっちりしていますが、セールス的な成功ではなく音楽を職業とすることでも成功をつかんだ人であることが伺えます。


 アルバム全曲レビューはいいかなって感じです。改めて聴いてみて、ZZ Top っぽいギターにブラスを取り入れたブルースロックも多く、Kenny Loggin っぽい歌い方の曲なんかもあります。また Sing Sing Sing をやっているのは少しインテリっぽいくて、いかにもアメリカ。私のブルース収集時の冒険購入は、もっとマイナーなド・ブルースが多いので、これは違った方向での冒険してましたね🎶

electric acoustic guitar, synth, slide guitar, vocal : Chris Daniels
drums, vocals : S.Watson Soell
string(4,5), bass, vocals, piano, synth, acoustic guitar, 7strings guitar : Kevin Lege
baritone sax, tenor sax, bass sax, bass clarinet : Philip Mcclard
alto sax, flute : Carlos Chaves
flugle horn, mute trumpet, pocket trumpet : Forrest Means

1. Jackhammer
2. Is My Love Enough
3. Addin' Up
4. Hip & Thigh
5. Congo Square
6. Stealin' Candy
7. Three Straight Days Of Rain
8. Somebody's Messin'
9. Not Dead Yet
10. That's Why They Call It A Party
11. Sing Sing Sing
12. The Heart Of Saturday Night





  

2025年3月27日木曜日

Dulfer / Hyper Beat


 1995年の発売当時は、トヨタのRV4のCMで、視覚的にも音的にも情報が入ってきました。そしてフュージョン大好き人間だったので、このタイプの音楽もカッコ良いと思ったことは思いました。しかし何か違うものを感じて、当時購入することはなく、おそらく10年以上経ってから、中古でこの盤を見つけて手にしたはずなのでリアル・タイムでの購入ではありませんでした。そう思い返すと1995年グ以来の時は、バス釣りにハマっていて、車の購入にトヨタのRV4もどうしようかと思いながらも、ホンダのCRVを購入、休みの日には夜明け前に起きて、爆音で音楽を聴きながらバス釣りに行っていたことを思いだします。


 このアルバムの作者は Hans Dulfer で、1940年オランダ生まれ。フュージョン・コンテンポラリー系、娘さんの Candy Dulfer もコンテンポラリー系のジャズで有名なサックス奏者です。他のアルバムについて聴いたことはありませんが、ファンクやパンク・ロックの色合いの濃い音楽性があり、自身のアルバム以外にも様々なセッションに参加しているようです。


 本CDは、日本のみの独自編集版のEPで、Hyper Beat の3種類のリミックスと、Mickey Mouthを含む4曲を収録しています。Hyper Beat ついては、1曲目は、1930年代のスイング・ジャズのリフを使用して、ラップを取り入れながらの印象の濃いサックスのリフを繰り返す、ジャズ・ヒップホップ。2曲目は、重めのリズムに歪みかかったベース、ホーハードロックタイプのドラム、ラップ無し。3曲目 Double Dutch は、テクノっぽいリズムにのせて、打ち込みかサンプリングした切れ目の無いベース・リフを連続させる手法で、1、2曲目目の Hyper Beat には無かったアドリブを入れています。Grand Slam は、完全にプログラミングで作成したヒップホップのトラックにのせて、速いリフで軽快な楽曲。Hyper Beat に次いで色々なシーンで使い勝手が良さそうな楽曲。Valley People も、プログラミングで作成したヒップホップのトラックに、ダル目のサックスでのアドリブをのせる手法ですが、ねちっこいサックスにしています。ラップは味付けに使っています。Mickey Mouth は有名なので、このポップなリフは聴いたこともある人が多いはず。オジサン、オバサンはこれで踊り狂った人も結構いるでしょう。派手でキャッチーでポップ、ラップ愛好者にも受け入れられるセンス抜群の楽曲です。最後の、Hyperbeat (Rav4 Mix) は、基本は1曲目と同じなのですが、ラップでしつこく「Rav4」を連呼するトヨタの手先のような楽曲になっています。
 全曲レビューはする気が無かったのですが、懐かし過ぎて書いちゃいました。お祭り騒ぎ全開で、これはこれで楽しいです。昔のスイング・ジャズの要素もしっかり入れての近代的な音への展開・・・といっても1995年ですから約30年前ですか🎶

1995 EMI Music Holland

1. Hyperbeat (Single Version)
2. Hyperbeat (Ace Mix) 
3. Double Dutch
4. Grand Slam
5. Valley People
6. Mickey Mouth
7. Hyperbeat (Rav4 Mix) 





  

2024年8月4日日曜日

Lou Donaldson / Gravy Train


 Lou Donaldson は Blue Note時代、1952-1963年で17枚、1967-1974念で11枚と数多くのリーダー作を録音しています。現在の私所有音源では、バップ作品は Quartet Quintet Sextet plus five (1954)、Blues Walk(1958) 、Thelonious Monk 作品では Genius Of Modern Music Vol2、Art Blakey 作品では A Night At Birdland Vol1A Night At Birdland Vol2 など、ファンク路線は Hot Dog(1969) です。
 この作品は、1961年の Blue Note 録音、コンガ入りのワン・ホーン・クインテットのバップ作品です。メンバーは1957-1958年に Lou のコンボのレギュラー・ピアニストを務めた Herman Foster、 Art Pepper, Billy Taylor, Quincy Jones, Grant Green, Dexter Gordon, Hank Crawford, Junior Mance, Herbie Mann などサイドマンとして活躍する Ben Tuckerです。ドラムの Dave Bailey は、Blues Walk(1958) でもドラマーを努めていますが、私の所有音源では Grant Green / Green Street(1961)、Curtis Fuller / South American Cookin'(1961)などに参加のドラマー。コンガの Alec Dorsey は私の所有音源に参加はありませんでした。
 このアルバムは淡々とリーダーが気分良くアルトを吹くために、メンバーも特に難しいことはせずに気持ちよく演奏しているアルバムで、特に特徴があるわけではないのが特徴のようです。Gravy Train とは「あぶく銭をもらえる仕事のこと」


 それでは、レビューしていきましょう。Gravy Train は、Lou のオリジナルで、よくあるブルースです。あぶく銭という割には、明るく生真面目な感じで冒険はありません。ピアノソロの和音のみの部分はセンスが良いとは言えないと思います。そんなに固執する必要性はないと思います。ベースソロも無難なところで、盛り上がらずのフェイドアウト。うーん。こんなんだったか? South Of the Border 1曲目で不安になりましたが、この曲で不安は解消です。明るいピアノのリズムと明るいアルトで国境の南はメキシコを意味するのでしょうか、ラテンのリズムとコンガがトロピカルです。Polka Dots and Moonbeamsは、ムーディナナンバーで1曲目のピアノが嘘のように Herman Foster の繊細なタッチのピアノが印象的です。エンディングのアルトのロングトーンが劇場風ですね。Avalon でやっとコンガが存在を示し始めます。無難に卒なくは相変わらずで、ピアノの Herman Foster は、またソロでコード弾きをやっています。乗ってくるとこれなんでしょうね。1曲目よりは全然良いです。Candy は、あの Lee Morgan で有名なヤツです。テンポは若干晩めで、これも朗々とした印象ですが、ピアノの Herman Foster は今回も似たような弾き方ですがファンキーで良いです。 Lou の後半のソロは乗ってきているのが伝わります。Twist time はモロにブルースで、ブルースの演奏だとタイトル曲と同様のアレンジとソロに戻ってしまいます。息抜きタイムのような感じが良い人もいるんでしょうか。Glory Of Love は、どこで聴いたのか耳覚えありますが、同名の曲は持っていませんでしたので何回か聴き直していると、もしかしたら、モンキーズの Daydream Believer にイメージ重ねているのかも
 アルバム全体は可も無く不可もなくですが、敢えて言えばタイトル曲の Gravy Train が今いちかもしれません🎶

alto sax : Lou Donaldson
piano : Herman Foster
bass : Ben Tucker
drums : Dave Bailey
congas : Alec Dorsey

producer : Alfred Lion
recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey, April 27, 1961.

1. Gravy Train (Donaldson)
2. South Of the Border (Kennedy, Carr)
3. Polka Dots And Moonbeams (Burke-Van Heusen)
4. Avalon (Jolson, Rose)
5. Candy (Kramer, Whitney, David)
6. Twist Time (Donaldson)
7. Glory Of Love (Hill)
8. Gravy Train (Alt Take)
9. Glory Of Love (Alt Take)


▶ Candy



  

2023年4月16日日曜日

Sonny Clark / Cool Struttin'

 

 Sonny Clark は1931年生まれのピアニストで1963年に1月13日、ヘロインの過剰摂取により31歳で亡くなっています。地味なスタイルのせいか本国アメリカでは全く売れず知名度がないのに日本では人気のピアニストとのこと。また他の説では、麻薬常習者のためキャバレーカードが発行されずジャズ・クラブでの演奏が出来なかったため知名度が無かったという説もあります。しかしサイドマンとしては、1954年1月、Billy Holiday のケルン公演、 Lee Morgan / Candy(1958)、や Dexter Gordon / Go! 等にも参加しています。
 本作は、New York Times 紙は「いつまでも残るハードバップのクラシック (enduring hard-bop classic) と評されているとのことで、少々古臭い曲調ではあります。Cool Struttin'は(気取って歩く)の意味で、Francis Wolff という人が撮っておられますジャケットのセンスは非常に良いと思います。日本のジャズ喫茶史上最も多くプレイされたアルバムの一枚でとも言われております。確かに、いかにもわかりやすいインパクトのある1曲目はジャズ喫茶でかかれば、心して聴く構えが出来る曲でアルバムをセレクトする側としては重宝するものであったことが予想されと思っていたら、ジャズ喫茶「メグ」のオーナー寺島靖国氏の著書「ジャズの聴き方に法則はない」には、真逆の記述がありました。Art Blakey / Moanin'、Mal Waldron / Left Alone なんかは1日にリクエストが何回もかかり「ヒット・パレード」物と称して差別待遇をして当時は「さっきかかった」「盤に傷がついた」などと称して断っていたことがあるとのこと。なるほどヒットし過ぎるとそうなのかと納得し、何かに似ていると思ったら Moanin' の印象と似ているのかと納得。


 本盤は参加メンバーも有名どころが揃っています。Sonny Clark(p)、Art Farmer(tp)、Jackie McLean(as)、Paul Chambers(b)、Philly Joe Jones(ds)が参加しているところを確認しレビューです。
 オープニングはタイトルトラックの Cool Struttin' で、ジャケットの女性がカッカッと気取って歩いている様かと思うと古臭いと思われるテーマもクールに聴こえてくる。時代が時代なら違った聴こえかたをしたに違いありません。ソロでは Art Farmer がいかにもブルースな演奏をして Jackie McLean がブイブイ言わせ、弓ベースのソロもまとまっています。Clark はリーダーで目立ちすぎるということも無く程よいアンサンブル。次は、Cool Struttin' と同じく Clark のオリジナル・ナンバーの Blue Minor。ブルージーで親しみやすいメロディーでありながら途中のテーマ部分のラテン・アレンジも魅力的で、McLeanとFarmer は伸びやかにソロを撮っています。1曲目より Clark は存在感があり粋がった感じのピアノがとても良い。Sippin’ At Bells は、小気味よいドラムソロのイントロと管2本のポップで印象的なテーマ。聴く人が聞くとバド・パウエルの影響があるらしいスタイルらしいが私には未だそこを聴きとる力はなく、ただただ軽やかな推進力のあるスイング感が好き。そして Deep Night で仕上げです。My Funny Valentine の作者として有名な Lorenz Hart / Richard Rodgers の作品で、非常にかっこよい曲で Clark のピアノ がとても粋な感じにキマっています。
 全体的にアルバム全体の曲の構成、長さ、王道で潔い演奏は、聴きやすく黒く煮詰めた珈琲と薄暗い空間が良く似合うアルバムですね🎵

piano : Sonny Clark
bass : Paul Chambers
drums : "Philly" Joe Jones
alto sax : Jackie McLean
trumpet : Art Farmer

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

recorded on January 5, 1958. Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey

1. Cool Struttin'
2. Blue Minor
3. Sippin' At Bells
4. Deep Night





  

2022年3月3日木曜日

Sonny Clark Trio Blue Note ST-1579

 

 最近になって、モンク、エバンス以外のピアニストにも着目して聴いていった方が面白いんだろうと思いながらコレクションを増やしています。そこで名前は見たことがあるものの着目してこなかった Sonny Clark を聴いてみることにしました。(例によって中古CDの購入ですが)
 Sonny Clarkは、1931年生まれのピアニストで作品は、ほぼ Blue Note からリリース。1963年に亡くなっています。しかし本国アメリカでは全く売れず知名度がないのに日本では人気のピアニストとのことです(へえ)本作を聴く限りそれほど地味であるとも思えないですが、アメリカ人には、地味な演奏スタイルが合わず日本人に向いていたのではないかとのこと言われているようです。また他の説では、麻薬常習者のためキャバレーカードが発行されずジャズ・クラブでの演奏が出来なかったためというものもあります。
 Bill Evans でさえも、最初はアルバムが売れた訳ではありませんし、良い音楽が演奏出来てその録音がレコードとなれば必ず売れるというものでもありません。時代の流れ(流行り)やプロモーションなどにより、もっと売れても良いのにと思われる作品も多い訳で。それが日本人の好みとマッチして、日本でのみセールスプロモーションが上手くいったということもあるのではないでしょうか。
 想像するにそれよりも日本のジャズ文化を醸成したジャズ喫茶のオーナーに口コミで広がったものが、じっくり珈琲を飲みながら静かにジャズを聴くという日本のリスナーに受けた。アメリカでは酒を飲みながら音楽を聴く方が当時の流行り?だったんでしょうから、その背景には日本独特の文化も背景にあるに違いないとも思います。
 さてリーダー・アルバムは、これが初ではありますが、サイド・マンとしては数多くの作品に参加しています。私所有のアルバムを検索してみると、Lee Morgan/CandyBillie Holiday/Lady LoveGrant Green/Born To Be Blue など、ソロでは人気はいまいちでも、その録音を聴いていた人はアメリカでも多いはず。


 さて、先にも書きました私には地味な演奏とはとは思えない本アルバム、ガレスピーのファンクな Be-Bop から I Didn't Know What Time It Was、Two Bass Hit、 Tadd's Delight までアップ・テンポな曲が続きます。ピアノ・ソロも饒舌的で独特の打鍵のタイミングと粘りっこい節回しは外交的なピアニストに聞こえます。そして残り2曲の Softly As In A Morning Sunrise、 I'll Remember April はバラード。聴きどころは Softly As In A Morning Sunrise と巷では名演と言われています。なるほどハードなアップテンポのピアノの打鍵の連発から、倦怠、憂鬱さが入ったメロディっくな演奏は当時のジャズ喫茶では、シチュエーションとしてはばっちりなような気がします。
 何回か聴き直しながら、このレビューを書いていますが書いているうちに色々な情報が入ってきて、色々なことを思いながら想像して聴いているとただ単に聴いているのとはまた異なった印象になってきているような気がします🎵

piano : Sonny Clark
bass : Paul Chambers
drums : "Philly" Joe Jones

producer : Alfred Lion
recorded by : Rudy Van Gelder

1. Be-Bop
2. I Didn't Know What Time It Was
3. Two Bass Hit
4. Tadd's Delight
5. Softly As In A Morning Sunrise
6. I'll Remember April
【Bonus】
7. I Didn't Know What Time It Was (alternate take)
8. Two Bass Hit (alternate take)
9. Tadd's Delight (alternate take)

▶ Be-Bop




  

2022年2月1日火曜日

Lee Morgan / Leeway


  1960年4月28日の Van Geler Studio での録音で、この時期のアート・ブレイキー・ファミリーの録音の多さには改めて驚くばかりだが、どれも似たような素晴らしい録音でこの時期の録音には心が躍ってしまいます。ジャズ・メッセンジャーズに在団中に出したリーダー・アルバムですが、4曲とも全てが熱い演奏なのは、やはり御大のブレイキーの存在によるところでしょうか。


 BlueNote の Lee Morgan (リー・モーガン) といえば、やはりジャズ・ロックを形成したと言われるがいまいちピンとこない The Sidewinder が有名。私は品行方正な初期の Candy のほうが好印象ではあります。Candy は1958年で19歳の時のワンホーンでの作品でした。このアルバムのモーガンは20歳になって少し色男的な悪っぽい感じに変化したのは、2年間でものすごい量の経験を積んできたのと、フロントに Jackie McLean を起用したことも大きいように思います。リズムセクションは、ピアノがBobby Timmons、ベースはPaul Chambers、そしてタイコがArt Blakeyとお馴染み過ぎるメンバーです。
 この時代の録音が密集して残されているのは、リーダーが誰になるかで少しづつ変化を加え、レコード会社もこのメンバーなら売れるからとリーダーに厚めのギャラを支払っているからの量産なのでしょうか?ジャズが巨大なビジネスとなっていたこの時代は素晴らしい。
 3拍子で始まる These Are Soulful ドライな哀愁を帯びた Suite、The Lion and the Wolff はブルーノート創業者への感謝を込めた作品でしょうか。そして不良っぽい雰囲気の Midtown Blues は苦しそうに吹くリーの高音トランペットが色っぽいですが、これはモーガンの調子の悪さ、下り坂も意味しているようで、この1960年以降の3年間は行き詰まりを見せ、そして3年後の復活の The Sidewinder が吹きこまれる。ここではリーのプリッとした不良っぽい音に、マクリーンのダークで重い音色は王道のコントラストで絶妙な絡みを見せ、まさにハードバップの醍醐味が味わえます。🎵

trumpet : Lee Morgan
piano : Bobby Timmons
bass : Paul Chambers
drums : Art Blakey
alto sax : Jackie McLean

producer : Alfred Lion

recorded at the Van Gelder Studio, New Jersey on April 28, 1960.

1. These Are Soulful Days
2. The Lion And The Wolff
3. Midtown Blues
4. Nakatini Suite





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