2024年10月5日土曜日

Herbie Hancock and Wayne Shorter / 1+1

 
 元々は、1996年にワシントンD.Cで行われた、セロニアスモンクジャス協会設立10周年 記念コンサートで披露したニ人のデュオが評判となったことから、このアルバムの企画が持ち上がったということです。しかし二人のデュオとしては、このアルバム制作から17年前に遡る1979年7月26日に、豪雨の田園コロシアムで行われたライヴアンダーザスカイでの V.S.O.P 公演のアンコールで偶発的に披露された演奏が、歴史的名演として語り継がれています。録音はハンコックの自宅、Garage Sale Studios、Imua Music というところで行われ、日本から録音エンジニア鈴木智雄氏が参加しています。鈴木氏はハンコックとVSOPの時からの付き合いで、マイルスの Agarta, Pangaea のエンジニアでもあります。
 さて私の行きつけの音楽好きの集う「おでんバー」では、Herbie Hancock、Wayne Shorterともにあまり人気がないので、ビニールを剥いで最初の視聴をするときに、あまり歓迎ムードではありませんでした。しかし、この二人ののデュオ・アルバムであれば、中身はどうであれ聴いてみたいと、見た瞬間に握りしめてしまったので強行突破で聴いてみました。思ったより周りの反応は良かったのですが、聴いていると段々飽きてくるねの評価で、私もそんな気がしていました。中古とはいえ購入した私としては認めるのは悔しく惨敗は認めませんでしたが、店で聴くのと家で再度聴くのでは印象が大きく変わる事もよくあるため、再度聴き直すと、どうなのか気になるところ。


 それでは、レビューしてみましょう。A Wood Sylph おそらく Eric Satie 的と言えば的確なんでしょうか。不思議な世界感があります。ピアノとソプラノ・サックスだけの音の世界に聞き入ってしまいます。 続く Aung San Suu Kyi は、ミャンマー民主化運動の指導者であり、現在同国の国家顧間であるアウンサンスーチー氏に捧げられたグラミー賞を受賞しています。アルバムが発表された1996年は、1989年から続いていた自宅軟禁から解放された次の年でもあります。東洋的な音階で始まりテーマもわかりやすい曲で、混沌の中から静かに解放されていくような響きを感じ、どっしりとした力強さも感じます。Sonrisa はハンコックの持ち曲で、1978年録音の ソロビアノ・アルバム「The Piano」にも収録されている曲で、リズミカルなピアノと開放的な響きが交互に繰り返され、Wayne Shorter のサックスも熱い。Memory Of Enchantment は オランダのピアニスト Michiel Borstlap(ミケル・ボルストラップ)の作品で二人の作曲以外の作品の演奏はこの曲だけです。なにしろ曲の広げ方がすごいですね。セロニアス・モンク コンベティションで最優秀作曲賞に輝いている曲だそうです。ただ4曲聴いてきましたが緊張感のある曲が続くので少し疲れます。Visitor From Nowhere は二人の共作ですが、段々と熱が入ってきます。Joanna's Theme は、次の曲 Diana とともに Wayne Shorter の Native Dancer への収録曲。前者は1974年の映画「Death Wish」のために書いた曲で、後者は、その時のアルバムに参加したパーカッションの Airto Moreira の娘にささげられた曲であるとのこと。Visitor From Somewhere は5曲目の Visitor From Nowhere と対をなす曲名がつけられています。イントロとテーマが同じで展開を変えているようです。同じ曲を演奏したら両方よかったんで名前を変えて収録したんでしょうか。Manhattan Lorelei は、少しリズミカルにジャズ調になったような気がします。 Hale-Bopp, Hip-Hop はセッション風の曲で、このぐらいの俗っぽい流れの方が安心します。
 聴き始めると正座して神妙に聴かなければならんのかな、と思わせるエモーショナルで、スピリチュアルな演奏でした。感動的ではありますが、1音1音の密度が濃すぎるような気がします。ネガティブな意味ではなく、何回か聴いて慣れたころに、もっと良さが感じられるよいな気がします🎶

piano (acoustic piano) : Herbie Hancock
soprano sax : Wayne Shorter

recorded by (assisted by) : Alvin "A-1" McGill, Darrell Smith
recorded by, engineer  : Tomoo Suzuki

producer : Herbie Hancock, Wayne Shorter
recorded at Garage Sale Studios, Los Angeles, California
tracks 1, 2, 7: Imua Music (BMI)
tracks 3, 6, 10: Hancock Music (BMI)
track 4: Pentagon via Lipservices Music (BMI)
tracks 5, 8, 9: Hancock Music (BMI)/Imua Music (BMI)

Herbie Hancock performed on a 9 foot, Model D, Steinway piano. 
Wayne Shorter performed on a Yamaha soprano saxophone.

1. Meridianne - A Wood Sylph (Wayne Shorter)
2. Aung San Suu Kyi (Wayne Shorter)
3. Sonrisa (Herbie Hancock)
4. Memory Of Enchantment (Michiel Borstlap)
5. Visitor From Nowhere (Herbie Hancock, Wayne Shorter)
6. Joanna's Theme (Herbie Hancock)
7. Diana (Wayne Shorter)
8. Visitor From Somewhere (Herbie Hancock, Wayne Shorter)
9. Manhattan Lorelei (Herbie Hancock, Wayne Shorter)
10. Hale-Bopp, Hip-Hop (Herbie Hancock)





  

2024年10月4日金曜日

Shiro Sasaki & Caoba Big Band / Peace!


 1987年リード・トランペットとして Orquesta De La Luz に加入。そのほかドリカム、B'z、浜田省吾バンド、米米クラブ、熱帯ジャズ楽団、BIG HORNS BEE、山下洋輔Special Big Band、DCPRG(ex)、Far East Jazz Emsemble等に参加する、売れっ子トランぺッターの佐々木史郎氏。 
 その佐々木史郎氏を中心に2001年に高円寺JIROKICHI のカウントダウンライブを機に結成されたビッグ・バンドが、Caoba Big Band です。メンバーは、元T-SQUAREサックス奏者、本田雅人、DIMENSIONの初代ドラマーの石川雅春、などのファンク、フュージョン、ジャズ、スタジオ等の人気ミュージシャンが集結したドリーム・ビッグ・バンド。1930年代スイング時代のダンスフロア・ビッグバンドの現代版として進化し続けています。


 それでは、レビューしていきます。やたらカッコ良い Dujii が一発目ですが、この曲は Kool and the Gang の初期の楽曲で、オリジナルに近いアレンジのファンクサウンドですが、本家よりもスピーディでカッコ良いサウンドです。Ride On こちらもファンクなフュージョンですが、拍子の置き方を変則的にしたアシッドな雰囲気な曲です。後半のテンポアップも気持ち良いです。X File は、怪しげなリフのフュージョン曲ですが、佐々木史郎氏の作曲ですから、あのアメリカのSFテレビドラマで使われている曲?訳ないですよね。でも聴いたことあるメロディーです。次いで、Peace! でテーマ曲になります。正統派にジャズファンクがビッグバンドでストレートに楽しい曲です。ブラス部隊のキュルキュルと言うキメが、楽しい曲です。ZURI ZURI 変わった名前の曲ですが、曲自体は普通で、Weather Report をわかりやすくしたような曲です。佐々木史郎のハイトーン・ソロも音数は少ないけどカッコ良かったです。キーボードの青柳誠氏の作曲。New Morning 得意のモロなラテン曲です。痺れます。細かなリズムとキメが素晴らしい。Groove Society こちらはラテンから離れて一般的に楽しい曲。曲名の通り非常にグルービーなノリです。Twilight Express 2006年4月2日から2008年3月30日までテレビでやっていたあの番組に関係あるのか?そこらへん調べるのもめんどくさいので記憶だけしときます。GO★GO 楽し気なネーミングの通り、アップテンポなビッグ・バンドな曲で、昭和の香りがメロディーに漂います。 Royal Street Blues アメリカでよくあるニューオリンズジャズ的なブラス・バンドな曲です。ただよくあるブラスバンドの演奏より洗練されています。お祭り騒ぎですね。
 熱帯ジャズよりファンクよりなビート重視、圧倒的なソロ、強烈なリズム、アレンジ等々、素晴らしくかっこよいのだが、動画などが全く見当たらないのが惜しまれます🎶🎺

trumpet:佐々木史郎、佐久間勳、小林太、五反田靖
alto Sax:本田雅人、吉田治
tenor Sax:アンディーウルフ、臼庭潤
baritone sax:山本一
keyboad:青柳誠
drums:石川雅春
bass:土井孝幸
percussion:玉木正昭
guitar:田中義人

1. Dujii (Richard Westfield)
2. Ride On (Shiro Sasaki)
3. X File (Shiro Sasaki)
4. Peace! (Shiro Sasaki)
5. ZURI ZURI (Makoto Aoyagi)
6. New Morning (Kuno Schmid, Willi Gaerthner)
7. Groove Society  (Shiro Sasaki)
8. Twilight Express  (Shiro Sasaki)
9. GO★GO  (Shiro Sasaki)
10. Royal Street Blues  (Shiro Sasaki)

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